日常回です。
今日も今日とて学校です。
だって小学生だもの……
「おい匠、知って居るか?転校生が来るらしいぞ」
話しかけてきたのはクラスでも珍しい濃いめの男子、『鉄鉄心』読みはくろがねてっしん
かなり男らしい名前です。
性格も豪胆で頼りがいのある兄貴みたいな感じで、隠れファンクラブ(会員数二桁中盤)があるすごい人です。
年上からも兄と呼びたい人として挙げられていますね。
彼はその姿と振る舞いからガチガチの硬派と勘違いされていますが結構かわいいものが好きで小動物を見て頬を緩ませる事が有ります。
その男前な印象のせいで彼に告白する人はいません。
さらに本人にはファンクラブの情報が一切入っていないのでやっぱり怖いからか?濃いからダメなのか?と相談されることが週に二回ほどあります。
ファンクラブの当人に対しての秘匿性の高さには目を張る所がありますね。
ちなみになのはちゃんの小動物っぽさに癒されているようです。
恋心とかにも疎いようで彼に自覚はありませんが……きっと気が有ると僕は見ます。
「しかも女の子で美少女だ。これはあれだな、狙うしかない!!」
今発言したのは立花薫…たちばなかおる。
飄々としてチャラ男っぽいし、実際にチャラ男だけど武術の心得があるらしい。
立花宗茂の子孫だ、みたいなことを言っていますが真実かどうかはわかりません。
小学生の癖にピアスを付けている
でもなぜだか指導されない不思議……金か?金をつかませているのか!?
前の文化祭で女装をさせられた際に、いつもちょんまげっぽく纏めてある髪を下して少し整えたらかなり女の子になってしまったせいで薫ちゃんと呼ばれている。
二人ともちょっとばかり有名で少しクラスから浮いたところのある僕の親友だ。
……おいコラ、類友とかいうんじゃない。
「へえ、そうなんだ……薫がそう言うってことはこのクラスに来るんだね」
「ああ、こいつが珍しく俺の来る前に教室に居てな、入るや否や飛びついてきた」
良いのが入ったと思ったのだが……とテツはつぶやく。つまり拳を振りぬいたんだね?
「ハハ、なんだか今日は何か有るって虫の知らせが来てね。職員室に行って様子を伺ったら案の定だ」
まだ、俺には届かないよ……半年早い!!と、テツの呟きに返す薫……なんでそんなに微妙で現実的な時間なんだ……
ちなみにテツは毎日一番に学校に来ている。
なのはちゃんたちが戯れながら校舎に入ってくるのを眺めながら癒されているようだ。
本人にその気がなくともなんとなくわかる。
こいつは無意識でそう言う事をしているんだと……テツは感情に疎いからなぁ~と、少し遠い目をしていると…
「おはよう、匠君、鉄君に薫ちゃんも」
「おっはよう!!……匠、なんで遠い目してんの?」
「にゃはは…おはよう、三人とも」
我がクラスの誇る美少女三人組が来たようだ。
他人から見るとわからないだろうが僕と薫にはわかる。
テツが少し緊張しているって……
「うむ、おはよう」
「おはよう、今日も綺麗だね」
「薫、この年でそれはまだ早いよ…それを言うならかわいいね、だろ?おはよう、三人とも」
テツがうむ、と僕の言葉に相槌を打ち、薫が「そうだね、確かに今は美しさより愛らしさが勝るね」と言う。
三人が顔を少し赤くして居るが、薫はこれで通常運行なので慣れてほしい。
まあ、今回は僕の口が滑ってってのも有るけどね。
「そう言えば君達は知っているかい?今日転校生が来るんだ」
気を取り直すように薫がそう切り出す。
すると解りやすいくらいになのはちゃんの表情が変わる。
アリサちゃんとすずかちゃんは一瞬考え込み、なのはちゃんの方を向き一言何かを言って頷く。
「あたし達は知らなかったけどなのはに心当たりが有るみたい。ちなみに誰が転校してくるかは知って居るけど教えないわよ」
悪戯を思い付いたような無邪気な表情でそう言ってくるアリサ。
「もちろん、教えてもらわなくていい……いや、教えないでくれ。こういうのは知らない方が良い」
薫がそう言って返す。
まあ、確かにその方が楽しみはあるが……
「まあ、確かにその方が楽しみが有るな。ならばここは我ら三人でどんな子が来るか予想するとしよう。そっちの三人はポーカーフェイスが苦手な様ならこっちを……特に匠の方を向かないでおいてほしい」
「そうだね、匠は妙にそういった事が上手いから、ちょっとした表情の変化から読み取りかねない」
みんなひどいよ。
そんなこんなでホームルーム
「はーい、皆さん席について」
とはいうもののチャイムが鳴って皆席に着いた後。
教室外に居た者もすでに着席寸前である。
「突然ですが転校生を紹介します、入ってきてください」
そして見えたのは……
金髪!!
(よっし!!)
机の陰で拳を握りガッツポーズ。
テツは黒髪、薫はあえての銀髪予想だった。
そして金髪予想の俺が勝ったと言う訳だ。
そしてみんなが感嘆の音を出す。
確かに素晴らしいほどの美人だ。
さあ、次は第二回戦、第一印象。
自己紹介からの性格!!
「ふぇ、フェイト・テスタロッサです。よろしくお願いします」
よし、弱気な雰囲気有、強気のツンデレと言った薫はもちろん、寡黙予想のテツもはずれだな!!
でも、僕の予想である天然はよく考えたら自己紹介でわかるようなものではない気がする……
つまり二回戦はドローか……恥ずかしがり屋な印象はあるけど天然成分は解らないな……
続いて第三戦どうやらあの三人と知り合いのようなので、だれの名前が最初に出るか。
僕は速攻でなのはちゃんを選びました。
薫はさっきの会話からアリサちゃん。
テツはすずかちゃんを、魔砲少女りり狩る☆なのはを見たからわかります。一番親しいのはなのはちゃんだろう。
だから三人同時に話しかければ最初にはなのはちゃんの名前を呼ぶ確率は高い!!
この勝負、貰ったぁ!!
結果……
「はいはい、あなた達そこまでにしておきなさい。質問は順番に!!」
「大丈夫だった?フェイトちゃん、こうして会うのは初めてだよね、知って居るとは思うけど私は月村すずか、よろしくね」
「うん、よろしくすずか、あとありがとうアリサ」
……え?
な、なのはちゃんは!?
……一歩引いたところで見守っていらっしゃるぅ!!
畜生、誤算だ!!
薫はがっかりしているが、テツは……僕と薫にしかわからない程度だが顔が少し緩んでいる。
俺とテツの同点勝利か……
ジュース二人分奢りだな……手加減はしてやらないけどな!!
しかし、小学生に200円は大きいな……
だがまあ、あいつもそこそこお小遣い貰っているから気にするほどじゃ無いな。
ここで俺はあえて150円のペットボトルジュースを選んでやろう。
いや、あれかな?アクアビット製炭酸ジュース《翡翠色の衝撃》まあ、強烈な炭酸のメロンジュースなんだけどね……
キャップにソルディオスが書いてあって、知らない人からすればかっこいいで済むけど知って居る人からすると飲む気が失せる商品だ。
無駄に凝りすぎておいしいんだけど半リッター200円オーバーのビックリ商品だ。
おい、マテ三人して手招きをするんじゃない、こっちを向いて手招きをするんじゃない!!
あれか、後ろにいる人に手を振っているだけだよな?
……窓際で今、僕の後ろの人はいませんでした!!
畜生、教室の真ん中で仲良くはしゃぎやがってぇ……席を立ったらそこへ行かざるを得ない状況が出来ちゃってるじゃないか!!
テツ!!……露骨に顔を逸らすな!!確かにお前は少し人見知りな所があるが彼女は人当たりがよさそうだろ!!
薫……僕はまた今度にするよ?なんでだよ、なんで一緒に来てくれない!!
「そんなの、決まっているだろ?負けた腹いせさ、せいぜい居た堪れない空気を感じて来ると良いよ。
美少女四人の中に野郎が一人……さぞかし周りの視線が痛かろう、ね」
…コイツ!!……ッ口に出して言いやがった!!
「さあ、逝ってくるんだ!!あの子たちがお前のことを待っているよ」
にやにやしながらそう言ってくる薫。
テツはすまないと目で語って鞄から本を取り出して読み始めた。
……
どうする、どうするよ!!
その時、パシッ!!と言う効果音が出そうな感じで腕が何者かに掴まれた。
「匠、さっきから呼んでるのわかってんでしょ!!さっさと来なさいよ!!」
……いつの間にやらアリサちゃんが来ていた。
「二人とも、こいつ借りてくわね。あ、二人も来る?フェイトに紹介するわよ?」
「いや、僕はまた今度時間が有る時で良いよ……もうこの放課もそれほど残っていないしね」
「薫と同じ理由で俺も遠慮しておく。それより早く連れて行くと良い、十分を切った」
---う、裏切ったな!!お前たち、僕を裏切ったんだな!?
---何を言っている?三人も紹介していたら十分なんてすぐじゃないか。
---そうだよ、だから僕達は時間のある放課後に回して貰うんだ。
---だったら僕もッ!!
---一人ならば紹介後、話す時間がある。
---諦めな、お姫様がお待ちだよ。
………チックショォォォウ!!
そして僕は手を引かれてクラス皆の視線を集めながら、今話題の転校生のもとへ連行された。
恥ずかしいから手を放してと言ってもアリサちゃんは手を放してくれません。