アリサに引っ張られてきた俺です。
なんで手を放してくれなかったかと聞いたら、絶対逃げると思ったからと言われました。
その通りです。
放課後に成ったら三人で挨拶すると言って逃走します。
此所まで連れてこられては仕方ないのでテンプレな自己紹介+αで可能な限り時間を使ってそのあとは少しの会話で逃げました。
やめてほしいよ、転校生囲んで他の子が近づけないようにしておいてそこに僕を呼ぶとかさ……すれ違った男の子に「またお前か」みたいな目を向けられたんだよ?
確かに?友達やってるけどさ、君達、アイドル的存在。僕一般人。
しかも新メンバー加入の時に僕を呼ばなくてもいいじゃないか!!
せめて他の子シャットアウトするのはやめて!!
放課後に入ってようやくまともにお話です。
「改めまして、本多匠です。こいつらは鉄鉄心と立花薫。友達を死地に平然と送り出す外道だ。」
仕返しのつもりでそう紹介する。
「初めまして、僕は立花薫、よろしくね。匠はこう言っているけどちゃんとフォローはしたよ」
それだけだと相手にはいったい何のことか伝わっていないだろう。
「初めましてだ、俺は鉄鉄心、見ての通り強面だができれば怖がらないでほしい。よろしく頼む」
小さい子に怖がられることに定評のあるテツだ、なんでか女子相手の自己紹介では毎回同じことを言っている。
「こちらこそ、フェイト・テスタロッサです。よろしく」
なぜかガチガチな奴ら。
……ん?テツと薫がなのはとテスタロッサさん見て黙り込んでいると思ったら見られた二人が目を見開いて驚いた……
知り合いだったのかな?
「あんたたち何見詰め合っているのよ……もしかして一目ぼれ?」
「「「「え?」」」」
アリサちゃんが声をかけてようやく再起動する四人。
すずかちゃんは苦笑いをしている。
「そそそ、そんなことないよ!!」
「そうだよ、絶対ないよ!!」
……あ…流れ弾。
「まあ、確かに違うけどさ……」
「ここまで否定されると……」
orzの構えになる男二人。
ちなみに二人とも紳士だ。ここでどさくさまぎれにスカートを覗く様な真似はしない。
それ以前に丈が長いからこの程度で覗けるわけではないけど、それでも頭をこっちに向けてorzしている。
まるで僕に向かって土下座しているみたいだ。
まあ、僕もそんなにひどい奴じゃない。
屈んで二人の肩に手を置いて慰める。
ちなみに僕の正面で、なのはちゃんとテスタロッサさんは何でこうなったのか解らずにおろおろしている。
……ふむ、天然が二人……か?
三分で立ち直らせて七人で下校。
しかし野郎二人の顔はまだ少し暗い。
「にしても驚いたわよね、いきなり転校してくるんだもん」
「そうだよね、でも連絡を取り合って居たせいか前から居たような感じがして少し不思議だね」
「にゃはは」
と、女子組は楽しくお話し中。
こっちは少し暗い雰囲気の中で賭けの打ち合わせだ。
「さて、今回の勝負1対1対0で薫の負けだな。じゃあ、ジュースおごりで」
「うむ、俺もそれで問題ない」
「くっそ、さすがに銀髪は無かったか……」
「いや、なんであの組み合わせにしたのか俺には理解できない」
「そうだな……さすがにいきなりツンデルことは無いだろう。とっつきにくいと思われて友達が出来なくなるかもしれないからな」
ごめん、そこまで考えていなかった。
「むう……そんなにおかしいかな、銀髪ツンデレ……金髪ツンデレはもうアリサちゃんが居るからそれに対応していたら面白いかと思ったんだが……」
「そんな理由で……まあいいや、じゃ僕は《翡翠色の衝撃》で、明日までで良いよ」
「ならおれは普通にブラックコーヒー【黒め】で」
「……なんでそんなにわけのわからないものを……いや、知ってるけどさ。
ってか、両方とも210円するものじゃないか!!」
「え?知ってるの?」
知って居ることに驚く俺。
「知らないと思ったのに言ったのか!?」
この外道め!!と言外語る薫。
以上で賭けの商品の交渉は終了し、そのまま雑談をしながら家へ向かう。
いつも通り、すずかちゃんと本や猫の話をしたり、アリサちゃんとゲームの話をしたり、なのはちゃんに翠屋で新作が出る予定は無いかと聞いたりしながら……その中に新顔のテスタロッサさんがすごく自然に入り込んでいて後で驚いたが……本当にあの三人と仲がいいようなので仕方がないか……
「じゃ、僕たち今日こっちだから」
途中でテツと薫がいつもと曲がる場所とは違う所でそう言う。
「あれ、どうしたよ」
「つい最近、習い事を始めてな……」
「そう、だからこの先でバスに乗ってそこに向かう訳だ」
二人してそう教えてくれる
「へえ、何習ってんのよ」
アリサちゃんが尋ねる。
「う~ん……ごめんね、ちょっと教えれないんだ」
薫がそう言う。こいつ、距離が一定以下に成ったら急にチャラく無くなる不真面目なチャラ男なんだよな……
それ故クラスでもキャラ作りではないかと言う話に成っている。
言動はそうなのにけっこう真面目だからよりいっそうだ。
と言うより、自称だからね。
あくまで自称チャラ男だから……
と、そんなことを考えている内にアリサちゃんの何時か教えなさいよ!!で話が終わった。
まあ、確かにこいつらに共通した習い事って想像できないな。
「それでは、また明日」
「じゃあね~」
………去っていく二人を見ながら
あれ?この通りって……
何か記憶に引っ掛かるところがあるが……
まあ、良いだろう。
いつの間にか、なのはちゃんとテスタロッサさんだけになっていた。
……なにも話さず、少し歩いたところでなのはちゃんが意を決したような表情でこっちを向き、聞いてきた。
「匠くん、あの二人ってなにもの?」
唐突で、あんまりな台詞だった。
さっきまでにこやかに会話をしていたのに突然この台詞だ。
「……唐突だね、あいつら何か気に障るような事でも言ったのかな?」
そう聞き返す。
(質問を質問で返すな!!)
なんて事は言わず。
「そんなことは無いんだけど……ちょっと気になったんだ」
……ちょっと気になった程度じゃ無いような真面目な表情で何を……
「はぁ……自称立花宗茂の子孫で自称チャラ男と強面兄貴系、二人とも二年前にここ、海鳴に引っ越してきた。両方とも家庭の事情、仕事関係での引越らしい。
薫の方は剣術をやっていて、テツの方は不明」
簡単な説明をしてやる。
「……そう、うん…ありがとう」
まだ何かを考えている様だが、ちょうど分かれ道に着いたので挨拶をして家へ向かう。
なのはちゃんとテスタロッサさんはまだ考え事をしているようだが……器用にまっすぐ自宅へ向かって歩いている。
いや、あれはマルチタスクか……お母さんはそれを発展させて完全に別思考を三つまで作って討論させることが出来るとか言っていたな……
ま、いいか。それにしてもなのはちゃんがあんな質問をしてくるなんて……あの二人何かやらかしたのか?
おっと、家に着いた。
「お母さん、ただいま!!」
「お帰りたっくん!!」
不自然な滑り方で玄関までやってきて出迎えてくれるお母さん。
「早く帰ってきてくれて嬉しいよたっくん。お父さんから今日は遅くなるって連絡が有ってさびしかったんだよ~…小次郎君も今日はお父さんと一緒に出掛けちゃったから……シロとクロ、ヒノアラシと一緒に居ればいいと思っていたらヒノアラシはトレーナーが見つかったとかで送還してから呼んで無いし、シロとクロもお出かけ中でさびしかったんだよ!!」
靴を脱いだところで飛びつかれた。
もちろん人並みしか力のない僕は床に押し倒される……かと思いきや謎のメカによって受け止められ、そのままリビングへ輸送される。
鞄等の荷物は持って行かれた。たぶん部屋に運んでくれるのだろう。
さて、こうなったお母さんはしばらく解放してくれない。
ここはおとなしく激流に身を任せて同化するとしよう。
……ん?そういえばあの二人が曲がった交差点の先に某企業行きのバスが有ったような……まあ、そっちの方向に用事があっただけだろう。
むしろそうであってほしい