召喚師の改造記   作:獅狼

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番外編的なものです。

イチャラブを所望する声があったと思ったので。

これが今の俺の限界だ!!


いやまじで遅すぎてごめんなさい、ラブコメとかやっぱり無謀だったんダ!!



風邪は治ったと思うが、朝に咳とともに出る痰が赤い件



【番外】future--確定的に明らかな未来--

とある豪邸の一室。

 

「朝よ、ほら起きて」

 

死んだように机に突っ伏して眠る男を起こす、いかにもお嬢様と言った金髪が眩しい美女がいる。

対して死んだように眠る男は服装こそしっかりしているものの髪の毛はボサボサでなぜか寝ているにも関わらず手がゆっくりと確かに字を書くように動いていた。

 

「全く、また夜更かしして…………今度は何かしら」

 

女性、アリサ・H・バニングスは机の上に散らばっている紙を手に取り内容を確認するが……

 

「相変わらず、何を書いているのか解らないわね」

 

描かれていたものはひとつの図を中心に線がいくつも引かれ目を通すだけで頭がいたくなりそうな情報が書かれた設計図のようなものだった。

 

「あら、この山は……」

 

他と違い綺麗に積まれた書類の山が目に入り、一枚手に取り確認するとそれには見慣れたロゴが入っている。

 

「バニングスグループの資料………しかも、私が今日やろうと残した………」

 

少し驚いた表情が出たがそれもすぐに引っ込み、ふふ…と微笑み、

 

「自分の方の仕事もあるって言うのに私の残した仕事まで………どうせ目についたからとでも言うつもりなんでしょうね」

 

優しく寝ている男の頭を撫でて、机の上に置いてあるベルを手に取り鳴らす。

チリーンと可愛らしい音が成り、すると三秒とせず入り口の扉から一人の侍女が入ってくる。

 

「御用件は」

「この人、ここで寝ちゃったみたいだからお風呂にいれてベッドに寝かせておいてくれる?」

「承りました」

 

そう言って侍女…侍女式自動人形B(バニングス)‐02は懐から円柱状の何かを取り出し、

 

机に沈み込む男性、本多匠の首に優しく打ち付け、反対側のボタンを押し込む。

プシュッ……

と何かの噴射音が聞こえ、何事もなかったかのようにB-02はそれを服の中に戻した。

 

「それでは奥様、前を失礼します」

 

匠に右手を向けると、匠の体がまるで重力から切り離されたかのように浮き上がり、机を超えて扉へと向かう。

そうして静かにB-02も退室し、音もなく扉が閉じられた。

 

「何をしたか、聞かないほうがいいんでしょうね」

 

アリサは自己暗示をかけた。

私は見ていない。

匠が何かをうたれて一瞬跳ねた光景なんて見ていない、と。

 

「よし、私は何も見ていない」

 

そう言って彼女は机に目を移す。

 

「これがわたし(バニングス)の資料で、これが……って、またあそこ何か始めるの?」

 

手に取るのは見覚えのある宇宙開拓(・・・・)の印の付いた資料。

しかし内容は知らないものだった。

知っているのは軌道エレベーターに月面コロニー…

しかし、今手元にあるのはどちらでもない。

 

資料には相も変わらず見たことのない字で何かが書かれている。

唯一分かったのは中央右に書かれている図だ。

人型にいくつかのパーツが付けられていて何らかの数値がおそらく寸法として書かれている。

 

「パワードスーツ?それにしてもコンパクトすぎる気が……ああ、でもあそこの連中ならこのサイズでもなんとか出来そうよね……」

 

アリサは総自分を納得させて資料を一纏めにして机に置き直す。

 

「それにしても相変わらずの謎言語ね……英語とかの文章的な規則の面影以前に漢字だとかみたいなパーツの規則性もバラバラで……暗号にしても種類が多すぎで解読できるのかしら……句読点もないし固有名詞だとかも訳分かんない……」

 

どこぞの魔本、魔道書に書かれている文字と言われても納得できそうな謎すぎる文字の集まりに思わず目を押さえることもよくある。

 

「なんでかしら、この文字を見ていると時々何かが削られていくような感覚に襲われるのよね」

 

まさかね、と首を振ってアリサは部屋を後にする。

閉じる扉の向こうでほのかに光る紙束があったが、それに気がつく者は誰ひとりとしていなかった。

 

 

 

それから約三時間後。

アリサは寝室に簡単な仕事を持ち込んで匠を見ながら処理していた。

カタカタと細い指がキーボードを打ち鳴らす音だけが響き、一息入れようかとアリサが考え始めた頃、死んだように眠っていた匠に動きが生まれた。

というよりも勢いよく飛び起きた。

 

「クハッ……!!こ、ここは?」

「寝室よ」

「あ、アリサ?」

「そうよ。全く、また机で寝ちゃって……体痛くない?」

「あ、ああ。大丈夫だ。というよりもあれだろ?自動人形、しかも2番に頼んだだろ。あいつどこがAI担当したのか知らねえけど機会があれば新薬を試そうとしやがるからな……」

「え?そうだったの……」

「安心しろ。奴らは野郎にしかやらねえよ」

「……なんとなくだけど安心できたわ。それで?あなたが打たれた薬は?」

「イカレタ栄養剤だよ。摂取してひと眠りすれば疲れがスッキリ、活力百倍を売りにして売り出そうかとしているんだが摂取方法は注射、しかも睡眠中に摂取するのが一番効きががよくてな。元気な時に使うと精力剤になる。エロゲ主人公真っ青な精力剤にな。もしくは寝たくても寝れなくなって急に走り出すかもしれないな。フルマラソン前に飲めば走破が楽勝になるだろうよ………」

「へ、へぇ……」

「言っておくが俺に使うのも自分で使うのもやめておけ。体力自慢がドクターストップだ」

「そ、そんなこと考えてないわよ!!」

「そうだよな、あれで物足りないと言われたら俺は違った趣向を試さなくてはいけなくなる。話は戻ってあの薬だが、まあ、薄めて錠剤とかドリンクにして売り出すらしい」

「そうなの、これはまた手ごわそうな商品……」

「ラベルはいかにもって感じで注意書きにはとても疲れている人以外服用しないでください!!成人以上限定!!三日に一本まで!!と目立つように書いておくらしい」

「それ、薬剤師の免許持っている人しか扱っちゃダメなんじゃ……」

「そう連絡したら企業直下の小売店でしかああ使わないようにするとのことだ」

「そう、それなら安心……なの?」

「大丈夫だと思う」

 

イカれているのはあくまで研究開発系の人間だ。販売や営業部は常識的な筈だ。

そこで少しだけ音のない時間が在り、アリサが話を変えて問いかけた。

 

「そういえば、なんで私の仕事もやちゃったのかな?」

「………なんの話かな?」

「あなたをここに運ぶように言ったのは私よ?散乱してた机の上の整理もしたからね」

「ははは………目についたからだよ」

「それよりもちゃんと寝なさいよ」

「いやー企業の方のが行き詰まってな………そー言えば俺って自営業で旅館経営してたはずなんだけどどうしてこうなったんだ………」

「教えてあげるわ。

 

『開拓しようかと思ったけど良い感じの環境だから破壊したくない。

よし、安価で開拓先を決めよう』

 

そう言って某掲示板でやらかしたら偶然にもネタの中にあった宇宙に刺さった結果でしょ?」

「そうでしたぁ……」

「まあ、本当に宇宙開発始まって書いた人もびっくりでしょうね」

「観光名所になったもんな、宇宙エレベーター」

「そんなことはいいから話を戻すわよ、ちゃんと夜は家で寝ること!!最近連日で徹夜だったり企業に泊り込んだりでせっかく一緒の寝室なのにいつも私がひとり寝じゃない!!」

 

 

 

 

「…………え?確かに悪いとは思っていたけど、「確かに籍入れただけで、披露宴まだだし、実感がないのは解るけどね、まだ入籍から半月も経ってないのにちょっと冷たすぎると思うのよ、ここは若者らしく盛りのついた……」ストップストップゥゥ!!!!!いや確かに仕事に着きっきりでお前を放置ぎみなのは謝るが俺だってイチャイチャしたいわけだよ、それには仕事が残っていると気になるんだよ、だから早急に終わらせようとだな………」

このお嬢様は何を言い出すか!!

普段は冷静沈着で感情的で勝気なのに突然暴走するから困る。

 

その証拠に少し自分の発言を思い返して顔を真っ赤にっさせている。

 

「いや、だからな、あと五日間待ってくれ。今回の仕事はちょっとしたことだからそれで終わる。軌道エレベーターや月面コロニーみたいに年単位もかからないから」

「……それも両方合わせて一年で終わらせたわよね?」

「実は今だに改装改築を試行錯誤して………じゃなくて、まあ、そういうわけだから五日間待ってくれ。

その間に披露宴の日取りとかを考えておいてくれないか?正直そういった華やかなことに関して自分はセンスがないから全面的に任せたい」

 

これは事実だ。どうしても機能性を優先してしまうので華やかなと言うのは向かない。

実際に幼い頃から改造を重ねた近衛的なアルト・アンジェロに元の騎士のような外見は無くなり飾りが一切ない姿になってしまっている。盾も羽を模した物からより機械的な姿になっている。

デザインを気にしても華やかとは程遠い結果になるのは既に実証済みであるのだ。

 

「そう、わかったわ式の準備は私が全部しておいてあげる。

だからできるだけ早く終らせてね」

 

そう、アリサは笑顔で言ってくれた。

ただ気になるのは、その笑顔。

 

口角がニコリというよりもニヤリだった気がする。

 

いや、ないよな。そんなこと……

 

 

 

 

 

それから数日、俺は職務に専念した。

 

目標は五日間で終わらせること。正直きついと言える日程ではあるが、まあ……愛する者のためにも頑張ろう。そういう気持ちで頑張って……

 

「……終わった……四日で終わった。やけに仕事が捗ったな。」

 

ちなみに合計睡眠時間は10時間を軽く切る。

首に手を当て、首を回しながら奇妙な違和感を感じる。

 

「寝てないわりにはそれほど疲れが………」

 

そこで滑らせた手がなにかを感じた。

普通ならばわからない程度だが精密加工も行う自分には解る。

 

「これは………無針注射の痕か?」

 

アスピナの効率重視の物を改良した注射器、注射後1日もすれば痕は消えるが、射った直後は赤く、少し盛り上がったあとが残る。

(さわった感じでは12時間経過前と言ったところか……)

どこぞのお節介が気を効かせてやってくれたのだと、そう認識しておく事にしよう。

 

早めに仕事が終わったので嫁さん訪ねに移動する。

しかしなんでか部屋に近づくにつれ嫌な予感がする。

と、そこで向かう先から豪快な笑い声が聞こえてきた。

その笑い声には心当りがある。

足を早め、ノックをして返事を待たずに扉を開ける。

目に入ったのは企業の要人と何かしらの交渉を終えた(アリサ)の姿。

 

「お、噂をすれば」

アスピナの部長

「ガッハッハ、良い嫁さんを持ったな匠」

有澤重工の副社長兼技術部長

「ハハッ、めでたい話だな」

親父

「もう、たっくんてば準備にはもっと余裕を持ってだよ」

母さん

「あ、匠ちょうど良いところに。寸法図るから大人しくしてね」

アリサが手を叩くと侍女が入ってきて俺の体を計測して出ていった。

 

 

 

 

「いやいやいや、なんのことだよ!!」

思考が動きだし第一声で叫ぶ。

 

「明々後日、披露宴やるわよ」

アリサがさらっと答えてくれた。

「明々後日!?ずいぶん早急だな。ちょっと無理があるんじゃ…………式場とかとれるのか?」

「大丈夫、式はあそこでやるわ」

そう言って上を指すアリサ。

少しだけ傾いているのでその先を追ってみると…………

 

「軌道エレベーター………だと………!?」

「ええ、お義母様とお義父様にお願いしてみたら思ったよりあっさり通ったわ」

 

バッと両親を見るが笑顔で頷くだけだ。

ダメだと判断、次にこの場にいるふたりに目を向けるが、

「いいと思うぞ」

「いいんじゃないですかねぇ」

ダメだった。

 

「いや、だがあれはまだ十全では」

「十二分ではないが十分なところまでいってて問題ねえってこった。だからこそここにいる装甲を担当した有澤の代表代理とエレベーターを担当したアスピナがYESと言っているんだぜ」

親父がいつもの調子でバッサリ切った。

「ま、おとなしく披露宴開こうぜ、どこの国の王のよりもド派手なパーティーにしてやっからよ」

 

「おい、絶対におもしろ半分でやっているだろ!!」

「まさか………面白八割に決まってんだろ、残りの二割は技術を見せびらかしてやろうかなって話になるけどな」

「ふざけ過ぎだろ、披露宴ってことはバニングスの関係者も入るんだぞ?ちょっとした身内だけの式とはわけが違うんだ!!

それ以前に一体どれだけの出費になると思ってるんだ!!」

「ざっと数千億から数兆かね、なぁに、大した額じゃない」

「十分におかしいわ!!」

「大丈夫だよ、名目上は例の新型の試運転だから、許容範囲、許容範囲♫」

そう言われてしまうと言い返せないのが『企業』の怖いところ。

そういったところには手を抜かないので奴らなら確かにポンッ!!と使うだろう。

 

「はい、論破!!ヤッタネアリサちゃん。たっくん陥落したよ!!」

突っ込める点は多いが、いろいろなところで変態企業ならば仕方がないで終わるから厄介だ。

その上両親が向こうについている時点で、明々後日に披露宴を行うと言うことは覆せなくなっているようなものなのだ。

 

「まさかこう来るとは思わなかったよ……」

「私が待つばかりの女だとでも思っていたの?使える駒があれば例えお城であっても落としに行くわよ、私はね」

うふふと機嫌よく、いたずらに成功した子供のように微笑む。

それに対して俺は両手をあげて降参する他なかった。

 

「それにしてもよく企業を使うことを思い付いたもんだ」

「あら、だって全部私に任せてくれたのよね?なら使えるものはしっかり使うわ、本当はお義父様、お義母様に相談するだけのつもりだったのだけれども、文字通りあっと言う間に手回しが終ったわ。で、今日がそれの最終調整」

「………あー、成る程な。うん、俺の親に話を持ちかけた訳か………数パターン、シミュレートしてみたが確かに差は有れどこんな感じの結果になるな。仕方ないか………」

 

 

「あ、たっくん。あれの設計できたんだったら早急に本社に送っておいて、明々後日に試験運転するから」

「は?ちょ、ちょっと待ってくれ、まだちゃんと動くかも解らないのに決定事項とかやめてくれよ、俺の設計で死人が出たとか洒落にならんぞ」

「大丈夫、大丈夫。ちゃんと専門の人にも見せるからさ!!それにたっくんもちゃんをシミュレートしたんでしょ?なら大丈夫だよ!!」

「だが、宇宙での運用となると……」

「大丈夫だよ?」

「いやでも」

「大丈夫だよ」

「だから」

「大丈夫」

「……はい」

 

 

どうあがいても俺にはどうすることもできない。

 

 

 

 

そんなこんなで明々後日に披露宴を行うことになった。

 

 

披露宴は……まあ、やりすぎの一言に尽きる。悪ふざけが過ぎていたとしか言えない。

 

いくらGA主体で作った装甲だからといって近距離の宇宙空間でドンパチはやめて欲しかった。

高性能迎撃システムを積んでいるからといっても真空で無重力なので慣性に従ってものが飛ぶため、爆砕が起こった時は背筋が凍ったよ。

だって、クレイモアを炸裂させたのと同等以上の散弾だぜ?

プライマルアーマーに阻害されて被害は皆無だったけどさ、積んでいるならそうと先に行っておいて欲しかった。

 

 

 

それで、俺たちはその後月面コロニー(現在はほぼ工場)にいつの間にか作られたレジャー施設で一泊することになった。

 

ゆうべは おたのしみでしたね。

 

帰りの宇宙船でそう言われたときはうっかり手が出そうになった。

 

 

 

 

 

まあ、否定できないんだけどな………

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