隣の席の文学少女   作:ユウツ

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原作第2巻と絡ませようとしてたけど、あれってテスト直後じゃないよなと気づき、まるまる書き直すはめになった。


龍園君はツンデレ

 中間テストが終わり、椎名からテストのお疲れ会ということで食事に誘われた翌日の土曜日。

 あの後椎名はただ食事に誘っただけなのに俺は何を期待してるんだ。と、途端に急激に恥ずかしくなった。

 しかし女子とどこかへ行くなんて初めてなことで昨日の夜は全く落ち着かなかった。俺は基本休日は部屋で過ごすからな、服を選ぶのにあれだけかかるとは思わなかった。結局動きやすい格好にしたんだが。

 昨日の内にメールでとりあえず昼前に寮前集合で色々見てから決めるということになった。

 

 そして現在集合30分前、俺は部屋を出ていた。なんとなく椎名ならかなり前から待ってるんじゃないだろうかと思い向かったわけだが……。

 

 (まじでいた…………)

 

 俺は寮から出ると出てすぐのところに見慣れた淡い水色の髪の少女を見つけた。椎名はいつもの抜けた目でボーっとしていた。

 

 「おはよう椎名。ごめん、待たせたかな?」

 「おはようございます安藤君。いえ、まだ集合時間前ですから。安藤君が気にすることはありません」

 「そうか……? ちなみになんだが、何時から待ってた?」

 「そうですね、ほんの10分前ぐらいですかね」

 

 デートの逆テンプレまがいのことをして俺は椎名の全身を見た。めちゃくちゃ可愛い。というかふわ可愛い。何言ってるかわかんないと思うけど、実物を見ればわかる。いつものゆるふわオーラが増し増しになっている。

 この間の土曜に俺ガイルを貸すために会った時は制服だったので椎名の私服姿を見るのはこれが初めてになる。

 俺は静かに感動していた。

 

 「その格好似合ってるよ」

 「そうですか、良かったです。変じゃないかなって心配してましたから」

 「いやいや、自分の語彙力の無さを恨むくらいだよ」

 「ふふっ、ありがとうございます。安藤君も格好良いですよ」

 

 椎名は微笑んだ。今の彼女の写真があれば、俺はいくらでも払って喜んで買うだろう。

 

 

 _______________

 

 

 寮から少し歩き、レストラン街に来た。ここに来る間に休日を楽しんでる男子生徒たちは椎名の私服姿に目を奪われたのか、椎名が通ると後ろを振り返るものがかなりいた。やはり椎名はかなり可愛いということだな、知っていたが……。

 その椎名の隣にいるのが俺というのはどう見ても釣り合わないだろう。現に何人かの男子から訝しげな視線を送られているのだから。椎名はコミュ力抜きで容姿だけ見れば、かなりの美少女でこの学校の1年の中でもかなり上位に入るだろう。対して俺は平凡な容姿。身長も175と高身長というわけでもない。眠そうな目も合わせて全く釣り合ってない。

 俺が自分の残念な容姿を恨んでいると不意に椎名が振り返った。

 

 「初めて来ましたが、すごい数ですね……。何にしましょうか?」

 「そうだな、俺はなんでもいいが……」

 「そうですか……うーん、ではここなどはどうでしょう」

 「よし、そこにしよう」

 

 そしてオムライスの店に入った。

 店員に連れられ、席に着いてメニューを選んだ。俺はデミグラスソースの、椎名はホワイトソースのオムライスにして椎名は標準のSサイズ、俺は一回り大きいMサイズにしてマルゲリータピザを一緒に食べるということで注文した。セットドリンクバーも頼んだ。

 

 ドリンクを取ってきて少しして商品が届いた。ジュースの入ったコップを合わせて乾杯をした。

 

 「中間テストお疲れ様でした」

 「あぁ、椎名のおかげで高得点が取れたよ」

 「いえ、そんな。安藤君が頑張ったからですよ」

 

 感謝は受け取ってほしいものだ。それから会話をしながら食事を楽しんだ。

 俺はテスト前に起こった出来事を話した。

 

 「そうですか、龍園君とDクラスの方が……」

 「あぁ、まあDクラスに退学者は出なかったみたいだけどな」

 「龍園君は方法はあれですが、あれでCクラスのために行動しているんですよ」

 「そうだったのか、龍園がツンデレだったとは」

 「ツンデレ、とは?」

 「ん? あぁ、まあ簡単に言えば雪乃だな」

 

 椎名はぷっと吹き出して肩を震わせている。

 

 「なるほど、そうかもしれませんね。けど龍園君が聞いたらどんな顔をしますかね」

 「やめてくれ、それで山田みたいに龍園に使われるのはごめんだぞ」

 「山田君達もああ見えて龍園君を慕ってるんですよ」

 「へぇー」

 

 弱みとかを握られたわけではないんだな。

 それからはいつも通り小説の話を始めた。椎名は戦う系のものでも物語がしっかりしていれば問題ないようだ。どうやら俺ガイルがかなり気に入ったのか、早く他のラノベも見たいようだった。

 

 「椎名、わざわざ俺から借りなくても、ラノベなら図書館にいくつかあるぞ?」

 「いえ、安藤君から借りたいので……」

 「ん……?」

 

 それはどういうことだろうか、多分無自覚で言ったんだろうが、恥ずかしいから本当やめてほしい。この天然娘め。

 

 「安藤君、何で横を向いてるんですか?」

 「いや……自分の精神の弱さを悔やんだだけだよ」

 

 まじで綾小路君のような心の強さが欲しい。あんな感じでクールにできたら女子は惚れるんだろう。(実際は綾小路も女子に全く慣れていないことを修永は知らない)

 俺が何故落ち込んでいるのかわからない椎名は首を傾げた。

 

 「それで、これからどうしましょうか?」

 「え、どうするって……?」

 「この後の予定はどうするのか、ということです」

 「あ、あぁ、そういうこと」

 「はい」

 

 てっきり一緒に昼食べたら帰ると思ってたんだが……。そういえば。

 

 「テスト終わったら、俺ガイルのアニメ見たいって言ってたよな? だから、借りに行かないか?」

 「そういえば、そうでしたね……では、そうしましょうか」

 「あぁ、ちなみに聞くが、椎名の部屋にプレイヤーはあるのか?」

 「……ありませんよ? 私の部屋にはパソコンもテレビもありませんし……」

 「はっ? じゃあどうやって見るんだよ」

 

 というか今時パソコンもテレビもない部屋なんて珍しいな。しかし本当にどうするんだ?

 

 「安藤君の部屋で見ればいいじゃないですか」

 

 今何て言った、この天然は。だからまじで勘違いするからやめろって本当に切実に。

 

 「もしかしてご迷惑だったでしょうか……?」

 「いや椎名、あまり安易にそういうことは言うもんじゃないぞ。男の部屋なんてみんな魔窟なんだぞ」

 「……? 前に安藤君の部屋にお邪魔した時はそんなことはありませんでしたが……」

 「いや、だから、そういうことじゃなくてだな?」

 「……なるほど、心配要りませんよ。安藤君のことは信用していますから」

 「っ……」

 

 俺の心にクリティカルヒット! ATフィールドが作用していません!

 俺の汚い心が椎名の純粋無垢な心にズタズタに打ち砕かれた。

 

 俺と椎名は食事を終え、店を出てレンタルビデオショップに向かった。

 

 「とてもおいしかったですね」

 「そうだな、たまにはああいうのも良いが、ポイントが無くなっちまう」

 「ポイントは有限ですからね」

 「けど、もうすぐ6月だからな」

 「そうですね、ポイントが増えていれば良いんですが……」

 「龍園のことだから何か策は打ってるんだろうから心配はないけどな」

 

 今回の中間テストでクラスの平均が高かったのも龍園がなにかしたんだろう。あいつにかかれば、一気に100ポイントぐらい増えるんじゃないだろうか。俺のポイントはゲームを買ったりラノベを買ったりしたとはいえ、かなり余裕はある。しかし、ポイントはあるにこしたことはないからな。

 しかし、クラスの情報をほとんど知らない俺って一体……。

 

 「流石はゆきのん、ということでしょうか」

 「ぶはっ」

 

 椎名の不意打ちで盛大に吹き出してしまった。ただ、椎名? それは全国のゆきのんファンを怒らせるからやめような?

 

 

 _______________

 

 

 あの後レンタルビデオショップに行き、俺ガイルのDVDを借りて寮の部屋に戻っていた。なんとなくベッドには座りにくかったので、座布団の上に座って見ていた。

 椎名はあまり感情を表に出さないが、最近はなんとなくだが、感情の機微がわかるようになってきた。なんとなーく雰囲気がわかる。今も、材木座が出るシーンや、戸塚の朝チュンのシーンでは楽しそうな雰囲気だ。初見でこの様子を見たら、全然楽しくないのかと心配になるだろう。

 椎名の感情がわかるようになってから知ったが、小説を読むからか、彼女は結構感じやすいタイプのようだ。変な意味ではない、断じてない!

 

 そうしてもう夕方といった頃、ようやく1期を見終えた。椎名はふぅーと息を吐いた。

 

 「面白いですね、アニメは。声や絵でしか、わからないこともあります」

 「そうか、気に入ってもらえたなら良かった」

 「はい。アニメでも比企谷君は捻くれてましたね。あの生き方は救われませんが判ってくれる人ができればいいですね。多分どちらかになると思いますが……」

 「そうだな、2期では絵が1期とは全然違うぞ」

 「そうなんですか、ではまた見ましょう」

 

 やっぱり俺の部屋なんですね……。まあいいけど。これからは絶対部屋を汚くできないな。

 

 「今日はありがとうございました」

 「いや、今度来るときは2期を借りとくよ」

 「それは嬉しいですね、あとこちらもありがとうございます」

 

 椎名は俺が今日貸した『ココロコネクト』を掲げた。

 

 「では、また明日」

 「あ……あぁ、うん。それじゃ」

 

 やっぱり1日読み終わるんだね。今回も全巻貸したんだけど。今度彼女が広辞苑をどれくらいで読み終えるかやてみたいな。小説じゃないが。

 それで椎名は帰った。後で気づいたがこれは家デートだったのではとまた身悶えていた。

 

 

 ちなみに次の日に小説を返すついでに俺ガイル2期を見たのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 




一成「デート描写苦手なのって経験ないから?」
作者「ばっ、ちげーよ。経験ありまくりだから」
一成「あっそう(したり顔)」
作者「お前あとがきでも出さないよ?」
一成「とか言っちゃって出すんでしょ? ツンデレなんだから」
作者「…………」
一成「図星? 図星ですかー、あっちょ、その振りかぶったこぶしを下ろ、ぐえっ」

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