隣の席の文学少女   作:ユウツ

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この話にシリアスは合わないだろうに。何故か衝動で書いてしまった。


計算されたあざとさは悪。ならば天然は正義

 少年は類いまれなる才能を有していた。

 大抵のことはすぐにできてしまう。

 

 少年は自らの才能を恨んだ。

 これではまったく楽しくない。

 

 少年は自分の兄を尊敬した。

 自分の兄はすごいのだと、兄より弟が優っているなどあってはならないと……。

 

 そうして少年は勝とうとしなくなり、上手な負け方を覚えた。

 

 少年は楽しいことを模索した。

 そして少年は発見した。こんなにも楽しいことが世の中にはあったのだと知った。

 それからの少年の人生は色づいたものとなった。

 

 そして…………

 

 少年は彼女に出会った。

 

 

 _______________

 

 

 椎名と食事に行った数日後、Cクラス内騒がしかった。それもそのはず、今日は6月1日。毎月のプライベートポイントがもらえる日である。俺たちCクラスは中間テストでの頑張りと1年生のご褒美というのがあり、100ポイント程クラスポイントを伸ばしていた。しかし、その支給されるはずのポイントが入っていなかったのである。

 朝椎名と登校する時もその話題になったが、おそらく学校の不備だろうという結論に至った。

 

 「おはよう皆の衆。今日はやけに騒がしいな?」

 

 チャイムが鳴ると共に担任の坂上が入室した。

 

 「おい、坂上。これはどういうことだ。ポイントが支給されてねえじゃねえか」

 

 龍園が坂上に携帯の画面を見せた。それと同時にクラスからも抗議の言葉が飛ぶ。

 

 「それについては今説明する。とりあえず立っているものは席に着け」

 

 坂上の言葉にクラスのものがしぶしぶ座り始めた。

 

 「こちらの方で少しトラブルがあってだな。1年へのポイントの支給が遅れている。今回のことは完全にこちらの落ち度だ。君たちには申し訳ないが待っていてくれ給え」

 「おい、それに関してポイントのプラスなんかはねえのか?」

 「ないな。あぁ、そうだポイントが支給されるまでにポイントが増減すればその分のポイントが支給される。そこは注意しときたまえ」

 「なるほど……。はっ、それは注意しねえといけねえなあ」

 

 龍園は口元をにやりと歪め、悪者っぽい顔をした。ただ、あの顔もこの前椎名と話した、龍園はツンデレというのを思い出してしまい。つい笑ってしまいそうになる。

 

 

 その日の昼休み。いつものように椎名と昼食をとっていた。

 

 「龍園君がまた何か良くないことを思いついたようですね」

 「そうなのか……?」

 「多分そうだと思います。坂上先生もわざわざ意味深に説明してましたし……。おそらくまたDクラスと何か起こすつもりなんでしょう」

 

 なるほど、まあ最初に手をつけるべきはDクラスだからな。多分ポイントを減らそうと考えているってところだろうか。まあクラスのことはツンデレ龍園に任せるべきだろう。椎名が何も言わないならそこに文句はないんだろう。

 

 

 

 _______________

 

 

 次の日の朝、ホームルームで異変が一発でわかった。

 クラスの3人の男子生徒が包帯やらを巻いて重症なのである。クラスの連中もちらちらとそちらに視線を送っていた。

 これが昨日椎名が言っていた龍園の策なのか……?

 坂上からの連絡事項でなにが起こったかがわかった。

 

 「先日、学校で生徒間のトラブルがあった。クラスの小宮、近藤、そして石崎とDクラスの生徒と暴力事件があった」

 

 クラス内がざわついた。

 

 「静かにするんだ。うちの生徒が一方的に殴られた。それに関してうちのクラスから殴った男子生徒に訴えを出した。一週間後生徒会を交えて審議を行う。場合によってはその生徒は退学、クラスポイントも削減となる」

 

 なるほど、この方法はひどいな。やはり龍園に注目されたくはないな。いくらクラスのためとはいえ、殴られたりするのは嫌だからな。

 

 「いくらなんでも、これはひどすぎます」

 

 椎名は悲しそうな表情だった。

 

 「そうだな、Dクラスには本当に申し訳ないな」

 「全くです。しかし、起こってしまったことは仕方ありません」

 「あぁ、3人がかりで無傷で一方的にやられるなんて普通ありえないけどな」

 「はい、坂上先生も龍園君の策に乗り気のようですし、教師なのに何を考えているんでしょうか」

 

 椎名は溜め息を吐いた。

 一応俺の方で綾小路君に謝罪のメールを送っておくことにしよう。

 

 

 _______________

 

 

 日曜日の昼頃、俺は家電量販店に向かっていた。昨日の夜に謝ってイヤホンを踏んで割ってしまった。接続が悪くなっていたので携帯の充電器などもついでに買ってしまおうと思い至ったのだ。

 

 「安藤か……?」

 

 家電量販店に着いた俺に後ろから声が掛かった。綾小路君だ横には2人の女子生徒がいる。両手に花というやつだろうか。どちらも可愛い、というかでかい。なにがとは言わないけど。髪の長い女子は俺の視線からか、綾小路君の後ろに隠れた。

 

 「綾小路君か、デート……ではないよな?」

 「全然違うな、今日はちょっと用があって来たんだ」

 「綾小路君、この人は?」

 

 茶髪の女子が首を傾げた。なんていうか、もう1人の子とは対照的な子だな。

 

 「あぁ、この前知り合ったCクラスの安藤だ」

 「えっと、安藤修永だ。よろ、しく?」

 「そうなんだっ、私はDクラスの櫛田桔梗だよっ。よろしくね?」

 「ああ、よろしく」

 

 というか櫛田さんって子近いんだけど……いまだに俺は椎名の接近には慣れてないのだ。この櫛田さん、あざといな。こういうタイプの人は苦手だな。

 俺は眉を顰めて後ずさった。

 

 「えっ……?」

 「ん……?」

 

 櫛田さんは俺の顔を見て一瞬驚いた顔をした。そんなに不細工だろうか俺の顔は。

 

 「えっと、それでそちらは……?」

 

 俺は強引に話を変えて、綾小路君の後ろに隠れている女子に視線を向ける。

 

 「ああ、佐倉」

 「あ、えっと、はい。Dクラスの佐倉愛里、です」

 

 佐倉さんは目を伏せながら言った。

 

 「それで、安藤は何でここに?」

 「ん? あぁ、イヤホンを壊してな、新しく買いに来たんだ」

 「そうなのか」

 「うん。あ、そうだ。メールでも言ったが、うちの生徒がすまなかったな」

 

 俺は3人に向かって頭を下げた。

 

 「いや、安藤は今回のことに関係ないんだろう? それに須藤が暴力を振るったのは事実だしな」

 「そうだよっ、私は気にしてないよ」

 「…………」

 「そうか、悪いな。なんとかしてあげたいが、俺は何もできないんだ」

 「問題ないさ。なにかあったら聞いても良いか?」

 「そうそう。それに、私たちもなんとか須藤君の無罪が証明できないか色々調べてるんだ」

 

 相変わらず綾小路君はクールだ。てか櫛田さん本当あざといな。しかも一応俺Cクラスだから敵のはずなんだけど。

 

 「……まあ、なんかあったら何時でも聞いてくれ。龍園がいない所なら喜んで駆けつける」

 「嫌いなのか……」

 「嫌いなんだね……」

 「……」

 

 というかこの佐倉さん全く喋らない。出会った頃の椎名をさらに悪くした感じだ。

 どうやら、今日はこの佐倉さんのデジカメを直しに来たようで、修理の受付に向かった。俺は一番安いイヤホンと充電器を買って店を出る。綾小路君達も申請が終わっていた。俺は手を上げて帰ろうとする。すると綾小路君は手を上げ返してくれたが、櫛田さんがこちらに小走りで来た。

 なんか一度あざといと思うと、走り方まであざとく見えてしまうな。

 櫛田さんは俺の前に来ると、ふぅと息を吐いた。あざとい。

 早く椎名の癒しが欲しい。

 

 「何か用かな、櫛田さん」

 「えっとね、連絡先交換しないかな? この学校中のみんなと友達になりたいんだ」

 「…………まあ、構わないけど」

 「ありがとうっ」

 

 それで連絡先を交換して軽く手を上げた。

 

 「それじゃ」

 「え? あっ……」

 

 この場を離れないとこのあざといオーラに毒されそうなのでさっさと帰宅する。後ろから小さく「…………ちっ」と聞こえた気がした。

 

 

 _______________

 

 

 明日には暴力事件の審議が行われる。俺と椎名は一緒に登校すると、階段の踊り場の掲示板の前に綾小路君とこの間の一之瀬さんと見知らぬ男子生徒がいた。イケメンだ。身長が高くて切れ目の超イケメン。

 すると一之瀬さんが俺に気づいた。

 

 「あっ、おはよー安藤君っ」

 「ん、おはよう安藤」

 「あぁ、おはよう。何かあるのか?」

 

 掲示板を見ると、今回の暴力事件に関する情報を持つ生徒を募集する貼り紙がしてあった。

 

 「これは……」

 「それ、私と同じBクラスの神埼君が貼ったんだよ」

 「残念ながら良い情報はなかったがな。それで、こちらは?」

 「あっ、紹介するね。Cクラスの安藤君。さっきも言ったけどこっちがBクラスの神埼君」

 「Cクラス……?」

 

 俺がCクラスと聞くと神埼君は俺を訝しむように見た。それを見て一之瀬さんは付け足す。

 

 「大丈夫だよ。安藤君は神埼君が思ってるような人じゃないよ」

 「いや、構わないよ一之瀬さん。Cクラスの印象が悪いのも仕方がない」

 「……すまん。俺の早とちりだった。Cクラスにもお前みたいな生徒がいたんだな」

 「それで、そっちの子は安藤君の友達?」

 

 一之瀬さんが今まで黙っていた椎名に目を向けた。何故か椎名は半目で俺をじとーっと見ていた。

 

 「あぁ、悪い。紹介するよ、同じクラスの椎名だ。椎名、こっちがBクラスの一之瀬さんと神崎君、それとこっちがDクラスの綾小路君」

 「椎名ひよりです。安藤君とはとても仲よくさせていただいています」

 

 ん? 普通に友達ですでいいのでは? それに心なしか一之瀬さんに対して言っていたような。

 

 「なるほどね~。安藤君も隅に置けないね。一之瀬帆波だよ、よろしくね」

 「綾小路清隆だ、よろしく」

 「神埼隆二だ、よろしく」

 「よろしくお願いします。それと、私たちのクラスの生徒がDクラスに失礼なことを、本当にすみませんでした」

 「俺からも、すまなかった」

 

 俺と椎名は揃って頭を下げた。頭を上げると神埼君が目を丸くしている。

 

 「驚いた? 神埼君」

 「本当に驚いたな。Cクラスは皆龍園に支配されていると思っていたが……」

 「支配はされてるでしょうね。ただ、私たちは特にそういうことに関心がないので……。龍園君も何も言ってこないですし、自由にやらせていただいています」

 「まぁ、龍園にとっては取るに足らない人間だからな。椎名は違うかもだけど」

 

 そう言って俺は肩を竦めてみせた。

 

 「それで、須藤君の無罪は証明できそうか?」

 「いや、どうしても須藤が一方的に殴ったというのが重く圧し掛かる。うまくやったとして、良くて半々だな」

 「Dクラスの目撃者の意見を合わせれば頑張って7対3ってところじゃないか?」

 「目撃者がいたんですか、それは良かったですね」

 

 やはり目撃者がいても無罪にはならないか、まあ、須藤君の方は無傷だからな。難しいだろう。

  

 「それに、一之瀬が学校のHPで目撃者がいないか呼び掛けたんだが……それで情報が来てな。今はその話をしていたんだ」

 「どんな内容だったのですか?」

 「例のCクラスの石崎君が中学時代相当な悪だったみたいで、喧嘩の腕も相当たつって地元で有名だったみたいなの」

 「なるほど、それでその須藤君という方が一方的に殴ったのはおかしいとそういうことですね」

 「ああ、それでもしかしたらわざとやられたのでは、と考えていたんだ」

 

 まあ、悪っぽい顔してるもんな彼ら。

 

 「とりあえず、情報くれた子にはポイント振り込んであげないとね。あ、でも相手は匿名希望か……どうやってポイント譲渡すればいいんだろ?」

 「良かったら教えようか?」

 「綾小路君わかるの?」

  

 そうして一之瀬さんは綾小路君に身を寄せた。なんというか近いな、まるで恋人みたいだ。それに一之瀬さんのある部分が綾小路君の体に押し付けられている。でかい。

 俺がそんなことを考えていると一瞬寒気がした。横を向くと椎名が魔王状態で俺を見ていた。相変わらず目が笑っていない。というか何で怒ってるんだ……?椎名は小さい声で「やはり大きい方が……」と言っていた。

 椎名さんからの視線攻撃に耐えていると操作が終わったようで一之瀬さんが綾小路君から離れた。何故か綾小路君はじっと一之瀬さんを見て黙っていた。

 

 「じゃあ、行こうか」

 「ああ」

 「そうですね」

 「うん」

 「…………」

 

 俺たちは歩きだしたが、綾小路君はその場で黙って立ちつくしていた。

 

 「……? 行かないのか、綾小路君」

 「ああ、すまん」

 

 ようやく綾小路君は歩きだした。

 

 「安藤君」

 「ん? 何だ、椎名」

 「後で、一之瀬さんとどういう関係なのか教えて下さいね?」

 「……? まあ、構わないけど」

 

 というか、何でまだ魔王状態なんですかね椎名さんや。というか一之瀬さんと会ったのは二回目なんだが。

 そして教室で椎名にそのことを話すと、椎名は顔を少し赤くして慌てていた。

 

 

 _______________

 

 

 あれから数日後、翌日の審議では決まらなかったようで、再審議が行われることになった。が、何故かその前に石崎君達(石崎君だけ覚えた)が訴えを取り下げ、事件はなかったことになった。

 後で聞いた話によれば綾小路君と一之瀬さんがうまくやったようで、彼らは訴えを取り下げたらしい。

 

 「本当に良かったですね、どうやったかはわかりませんが……なかったことにするというのはDクラスにとって一番良い結果で終わったのではないでしょうか」

 「そうだな、龍園も驚いていたし、坂上も悔しそうだったな」

 「そうですね、これが良い薬となればいいのですが……」

 「そうはならんだろうな」

 「ですね……ままならないものです」

 

 本当にその通りである。しかし、龍園を出し抜くなんて、綾小路君はすごいな。いや、一之瀬さんが考えたのか?まあどちらにせよ、龍園も簡単にはうまくいかないということだな。

 

 まあそんなことどうでもいい。今の日常が壊されなければそれで。

 

 もし、その日常を邪魔したり、俺や椎名に害を為すなら―――――

 

 

 

 ―――――俺が潰す。

 

 

 

 俺は小さく笑った。

 

 

 

 そんな中二病染みたことを考えている一方ひよりの方は。

 

 (私はどうして安藤君が一之瀬さんと親しいことで不機嫌になったのでしょう? 安藤君を取られるなどと思ったのでしょうか、安藤君は私のものではないのに)

 

 他人の観察には長けたひよりだが、自分のことはわからない鈍感だった。彼女が自分の嫉妬という感情に気づくのはいつになるのか。

 ただすでに修永の家で良くアニメを見る2人はそこらのカップルよりもカップルらしい。しかしそれ故、2人の距離が近すぎるのも2人の進展を邪魔する弊害となっている。

  

 

  




まじでシリアス向いてない。そう切実に思った今日この頃。

一成「アニメ版では鈴音がヤンキーを成敗したのに原作では帆波だよね」
作者「お前脇役の分際でなに呼び捨てしてんの?」
一成「俺は鈴音押しです」
作者「(何でこいつ段々でかい態度とるようになってんだろ)」
作者「ていうかお前キャラぶれてない? 僕ちゃんキャラだろ?」
一成「いや~、話と関係ないなら別に良いかなって」
作者「なに開き直ってんだよ……」
一成「これからも世界を大いに盛り上げるための安藤一成をよろしく」
作者「消失見たんだな……」
一成「急に見たくなるよね、長くなっちゃった。それじゃ、また!」
作者「完全に仕切っちゃってるよ。はい、また」

 余談ですが、神埼君って打つと何回かかんざっくあんってなるんですよね。カタカナにすればガンダムみたいですね。はい。

 誤字脱字、批判ありましたら報告お願いします。感想も待ってます!(切実に)
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