high school D×D 〜仮面ライダードラグナー〜   作:ドラゴンズネスト

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ep.002

(何が目的なんだろうな……?)

 

 遠い眼をしながらそう思ってしまう。この町にいるらしい堕天使が一人兵藤一誠に接触して殺そうとして失敗したらしい。昨日まで出回っていた一誠に彼女が出来たと言う噂が跡形も無くなった事、そして……

 

(元気そうだな、何時にもまして……)

 

 『ぐっふふふ……』等と不気味に笑っている一誠を眺めながらそう思ってしまう。一誠が堕天使と何らかの取引をして生き延びたとも考える事が出来るが、悪魔でそれは可能性の一つだ。妙に喜んでいる一誠の様子からするとそれも有り得る。

 

(……詩乃達に一誠に近付かないように伝えておくか)

 

 色んな意味で危ない一誠の姿にそんな事を思ってしまう。

 

「ん?」

 

 ふと窓ガラスを見てみるとドラグレッダーが一誠とダークウイングを指差している姿が見える。

 

(……一誠、ダークウイング? いや、蝙蝠? 一誠と蝙蝠……一誠が蝙蝠……蝙蝠……悪魔? 一誠が悪魔?)

 

 連想ゲームの様な状況だが、ドラグレッダーが指し示すキーワードから連想するのはそう言う事になる。四季がそんな事を考えていると窓ガラスに映るドラグレッダーも頷いている。

 

(まあいいか)

 

 其処まで考えた後、あっさりと切り捨てる。そもそも、四季は一誠とはそれほど親しくは無い。例え悪魔に転生していたとしてもそれほど一誠と係わり合いになることは無いだろう。

 

(……警戒するのはあいつの主人の悪魔か)

 

 早急に始末する必要のある堕天使もそうだが、此処の管理をしていると言う悪魔達も監視はしている。流石に大人数を監視しきれないと言う点から相手の拠点をミラーワールドから監視しているだけだが、それでも情報を仕入れるだけならば十分だろう。

 

(……流石に今の契約モンスター達とオレだけじゃ全部を敵に廻すって訳には行かないからな)

 

 忌々しさを浮べた表情を窓へと向ける。手持ちのカードはドラグレッダー、ダークウイング、マグナギガと己自身である仮面ライダードラグナーのみしか居ないのだ。

 今すぐにでも攻め込みたい別の町にある、とある悪魔の拠点の位置も場所も分かっているのに攻め込むだけの戦力が無い現状に苛立ちを覚える。

 

(……いや、もう一体……と言うか一組もいたな)

 

 『ギガゼール』と名付けられた三体のゼール型のミラーモンスター。戦力では無く数を活かした監視と調査を担当しているモンスター達なのだが、純粋な戦闘力を重要視した役割では無くどちらかと言うと監視と調査を担当して貰っているために下手に戦力に数えて其方の手を緩めたく無いと言うのが本命でもある。

 

 一体は学園に居る悪魔達の監視と諜報活動、一体は前述のとある悪魔の拠点の監視、最後の一体は現在は堕天使のいる廃教会の監視に勤めてもらっている。

 そんな怪しさ満載の一誠に警戒する視線を向けつつ、時は過ぎ去り放課後となった教室で、警戒対象である一誠が変態三人組と呼ばれている仲間の二人……松田と元浜とAV談義をしていると、

 

「やぁ、君が兵藤君だね。リアス部長が呼んでいるんだ。悪いけどぼくについてきてくれるかい?」

 

 同じ学年の生徒で成績優秀、スポーツ万能とイケメン王子と呼ばれて女子から人気の『木場 祐斗』が一誠へとそう声をかける。

 

「リ、リアス先輩が!?」

 

「?」

 

 ……悪魔に転生した可能性が有る事から、一誠をリアスが呼んでいることについては特に何も思わないが、問題は別に有る。演技では無い事は分かるが…………一誠の驚き方には多少の違和感を感じる。

 

(……まあいいか)

 

 『三大お姉様』と呼ばれ学園内で男女共に人気のある先輩の一人からの呼び出しにウキウキとした様子で、木場の後を突いていく一誠を一瞥するとダークウイングへとリアス達の監視を頼むと鞄を手にとって四季は教室から出て行く。

 

「そんな! 天宮君なら分かるのに、お姉さまがあんな変態に何のよう!?」

 

「どうして、あの変態が!?」

 

「なんで兵藤なのよ!」

 

「うううぅ……木場くんと天宮くんとのツーショットなら絵になるのに」

 

 一部の女子がそんな会話を涙を流しながら話している。……どうでも良いが四季も四季で女子から人気がある。

 ライダーとして鍛えた身体能力でスポーツは万能、普段から詩乃達に教えられている為に成績は優秀……普段の不良っぽい印象からワイルドで格好いいと人気がある。

 三大お姉様の一人である『更識 刀奈』と同学年の詩乃と仲が良いために女子から近寄りがたいと距離を置かれているが。(やはり浮いた話が無く、フリーのほうが人気が出るということなのだろう)

 

 『何でアイツだけがぁぁぁぁ!!!』と絶叫しながら悔し涙を流している元浜と松田を横目にさっさと教室を出て行く。……今日は詩乃と刀奈の二人と一緒に帰る約束をしているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、やっぱりあいつは悪魔になってたか」

 

 ダークウイング達の話(筆談)を聞きながら改めて推測が正しい事を確認する。一誠は彼の持つ神器(セイクリッド・ギア)を危険視した堕天使に殺された際、本来ならば眷族の誰かが呼ばれる所を主であるリアスを呼び出し、その結果悪魔に転生した様子だ。

 オカルト研究部の会話を聞く限りでは一誠を殺した堕天使は『天野 夕麻』と名乗っていたらしいが、恐らくは偽名……一誠に近付くために名乗っていたその場凌ぎの偽名だろう。

 

「……それほど有意義な情報は無いか」

 

 どうもこの町を管理していると言っている悪魔側はまだ堕天使に対して対処する気は無いらしい。

 ……仮にも魔王の妹が二人も居る町で活動している事は大胆不敵とでも言うべきだろうか。……逆に言えば魔王の妹……世襲制では無いとは言え、相応のVIPである以上迂闊に堕天使への攻撃は出来ないだろうと読んでいると考えているべきだろうか。

 それとも、単純に二人とも身内の七光りで管理者になっただけの(人間の年齢で)子供程度と侮られているのか。

 どれが原因か定かでは無いが将来的に悪魔側に敵対する理由がある四季としても、此処が一番活動し易いと考えて活動拠点に定めているわけだ。……要するに、悪く言ってしまえば四季にも、堕天使にも、はぐれ悪魔にも“舐められている”と言う所だろう。

 

「まあ良いか。……今は怪物退治の方を優先しようか」

 

 そう呟いてカードデッキを手に取ると窓に映るドラグレッダー達三体へと視線を向け笑みを浮かべる。

 この町に残っている堕天使をどうするかについては放置も出来ないが、なるべくならばリアス達が堕天使の行動に気付いてからの方が動きやすい。……後始末を向こうに押し付けるという意味でも。雑魚散らし(はぐれエクソシストの駆除)兼廃墟の撤去としてヤツラが拠点にしている廃教会にエンド・オブ・ワールドでも撃ち込んで更地に変えれば嫌でも動いてくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

『が……ガァ……』

 

 とある廃墟、己の前に倒れる人間の女の上半身に獣の首から下を下半身に持った様な外見のハグレ悪魔『バイザー』を見下ろしながら、ドラグレッダーを従えた四季……ドラグナーはドラグレッダーの尻尾を燃した青龍刀の様な剣『ドラグセイバー』の一閃でトドメを刺す。

 

 例によってバイザーを倒した際に現れた球体をドラグレッダー達三体が捕食している。どのモンスターも強力とは言え、流石に複数契約は食事等の問題がある。

 

(……その内、ゼール達にも食わせてやらないとな)

 

 どうも諜報活動をさせている為に食事させるタイミングが中々取れないゼール達の事を考えると思わず頭を抱えてしまう。

 

「ん?」

 

 ドラグレッダーの食事が終ると足音が聞えてきた。恐らくはリアス・グレモリーとその眷属達だろう。

 

「あら、久し振りね。会いたかったわ、謎の騎士(ナイト)さん?」

 

「此方は会いたくなかったがな、七光り」

 

 口調こそいつもと変わっていないが睨み付けるような視線でドラグナーを睨みながら出口を塞いで堂々と立っているリアス・グレモリーとその眷属達……その眷属達の奥に居る一誠は驚愕の表情をドラグナーへと向けていた。

 

(おいおいおい、何で仮面ライダーが此処に居るんだよ!? しかも、あそこに居るのはドラグレッダーだろ、仮面ライダー龍騎の契約モンスターの!? もしかして、あれがオレの貰える筈だった転生特典か?)

 

 一誠はドラグナーを見ながらそんな事を考えている。

 

(そうか、オレが仮面ライダーに、龍騎になる筈だったのに、あいつがオレの特典を盗みやがったのか?)

 

 そう考えて一誠は憎悪の篭った視線でドラグナーを睨み付ける。……そんな一誠の心境に気付かずリアスは目の前に立つドラグナーへと言葉を続けた。

 

「今日こそは聞かせてもらうわ、貴方が何者なのかを」

 

「答える義務は無いな」

 

「義務なら有るわ。前にも言ったけど、私は此処の土地の管理を任されてるのよ、貴方みたいな正体不明の不審者を拘束するのは当然よ」

 

「ならオレも前にも言ったが、お前達悪魔の都合なんて知った事じゃない」

 

 『俺は悪魔じゃないんでな』とリアスの言葉に嘲笑するように言葉を返すドラグナー。……近場の鏡面は既に確認している。以前同様に適当に挑発しつつ攻撃を誘導してその隙にミラーワールドに飛び込めばいい。

 

「そうね、今日こそ聞き出させてもらうわ。祐斗」

 

「はい、部長。悪いけど、今日こそ倒させてもらうよ」

 

 何処からとも無く剣を取り出し向かって来る木場だが、無差別に打ち込まれるドラグレッダーの火球の前に足止めされてしまう。彼の駒は騎士、いかに早いと言えども回避しきれない広範囲の攻撃と足場の破壊によって一時的に動きを止めることが出来る。

 

「悪いが、正面からバカ正直に迎え撃つわけないだろ?」

 

 ドラグレッターの爆撃に紛れて使用した『ストライクベント』のカードで召喚した『ドラグクロー』を構え、

 

「はぁぁぁぁぁあ!」

 

「かはぁ!」

 

 カウンターの形で爆煙の中を飛び出して来た白い髪の小柄な少女『搭城 小猫』に炎を纏ったドラグクローを叩き付ける。

 

「バレバレだ」

 

 正しく言うとグレモリー眷族側にある鏡面からダークウイングとマグナギガで相手の動きを監視していた結果だ。彼女の駒の特徴の防御力と攻撃力を活かして正面から突っ込んできた様子だが、タイミングさえ掴んでしまえばカウンターを与える事は容易い。

 

「序でだ」

 

「かはぁ!」

 

 同時に吹飛ばされる寸前の彼女に廻し蹴りを叩き込み、真上に蹴り上げると真上からドラグナーへと向かっていた『姫島 朱乃』の雷を彼女が変わりに受けることになる。

 

 

《シュートベント》《シュートベント》

 

 

 その隙に新たに二枚のカードを取り出してドラグバイザーに読み込ませる。態々多対一で一人ひとり相手にする必要は無い。

 

「面倒な戦いは好きじゃ無いんでな」

 

「「「なっ!」」」

 

(おいおい、あれってゾルダの武器だろ!? あいつ、ゾルダのモンスターとも契約してるのか!?)

 

 両肩にギガキャノンを装着し、ギガランチャーを構えたドラグナーの姿に思わず驚愕するリアス達(一誠はちょっと違う意味で驚愕しているが)を他所に、無情にもドラグナーはギガランチャーとギガキャノンの全弾と、オマケとばかりにドラグレッダーの火球を発射する。

 

「きゃぁぁぁぁ!!!」

 

「うわぁぁぁぁあ!!!」

 

 原典の世界では並のミラーモンスターならば一撃で粉砕する破壊力を持つ弾丸が打ち出される中、慌てて迎撃するリアスと朱乃、二人の迎撃し切れなかった弾丸を防ぎきれないならばと大量の剣を作り出してそれを盾として防ぐ祐斗。

 

「さ・よ・う・な・ら」

 

 ……一通り弾を撃ちつくした後、この場でトドメをさす気も無いのでさっさと近場の鏡面からミラーワールドへと飛び込む。

 

 ドラグナーによる一斉射撃が止んだ後、その場には必死に砲撃を防いでいたリアス達一同の姿があった。

 爆撃の直後に姿の消えたドラグナーに対して奇襲を警戒しながら廃墟の中を探していたが結局見つけることが出来ず、悔しげに苛立ちながら帰っていった。

 

「……まったく、また面倒な事になりそうだな」

 

 ミラーワールドの中から己を探すリアス達を眺めていたドラグナーはそう呟く。

 

「……それにしても、兵藤一誠。あいつ……なんで鏡を?」

 

 ふと、そんな疑問が沸きあがる。一誠の行動に妙な違和感を覚えていたのだ。……鏡、鏡面となる所を見たと思ったら、鏡面を態々一つ一つ消していた。……ドラグナーの、ミラーワールドで活動するミラーワールドのライダーの能力を知っているかのように、だ。

 

「……まあ、別にどの鏡面からでも出れるから問題は無いけどな」

 

 カードデッキを渡した相手曰く、変身してさえ入ればどの鏡面からでも自由に出入りできるらしく、活動限界時間もなくなっているそうだ。

 

(……兵藤一誠、アイツは仮面ライダーの事を知っている?)

 

 そんな呟きがミラーワールドの中に響くのだった。

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