high school D×D 〜仮面ライダードラグナー〜 作:ドラゴンズネスト
「ったく」
何時もの様に授業をサボって屋上で横になりながら四季は思わず悪態を吐く。どうも先日のはぐれ悪魔の一件からリアスとその眷属達が使い魔を使ってドラグナーを探しているらしい。
恐らくドラグレッダーの様な大型のドラゴン……東洋龍を簡単には隠せないと考えて探索しているのだろうが、四季にしてみれば無駄としか言えない。流石に普段はミラーワールドで活動しているミラーモンスター達を現実世界だけの探索では見つける事は出来ないだろう。
どうせならば自分の領土に潜伏している堕天使相手に何らかの行動に出て欲しいと思っているが、残念ながらその様な動きは見られない。流石に現在冷戦状態の三大勢力の間では挑発行為は兎も角直接的な被害を出しては戦争に転びかねないと言う所だろう。……あれだけ探索していて気付いていないのなら、それは単なる無能だ。
(……身内贔屓で無能な奴に管理なんてやらせるほど現魔王の一人もバカじゃないだろう)
だからこそ四季は三大勢力間の問題で手が迂闊に出せないのだろうと推測している。戦争を望んでいる勢力が他勢力の領域で何らかの行動を取るのは戦術としては間違っていない。……その結果迷惑を被る側としてはたまったものではないが。
(……チッ、堕天使は最悪オレが残らずドラグレッダー達の餌にするしかないか)
そこまで考えた後、ふと四季は一誠の様子に疑問を覚える。
(……カードデッキの事を知っている様に思ったけど、思い過ごしだったか? ……いや、あいつも自分の主に報告していない、それだけか?)
思い過ごしだとすれば、先日の……態々鏡面を消して廻っていた行動が説明できない。寧ろ此処は何らかの思惑を持って報告していないと考えるべきだろう。
「さて」
そろそろチャイムが鳴る頃だろうと考えて立ち上がると校舎の中に入っていく。何時までも此処に居て生徒会や詩乃達に捕まるのはゴメンだとばかりにチャイムが鳴る前に授業をサボっていた事がばれない様にさっさと校舎の中に向かったのだが、
「はぁーい、こんな所で何をしてるのかな?」
「カ、刀奈姉」
三階に下りて早々に捕まってしまった四季君なのでした。ゆっくりと振り返りながら再度逃げ出そうとするも、
「ねぇ、言ったわよね、授業にはちゃんと出なさいって」
しっかりと四季の肩を掴んでそう告げる詩乃さんの姿が。二人とも笑顔では有るが、間違いなく起こっていると確信できる表情。
(ま、拙い……拙い拙い)
己の置かれている状況に真っ青になりながら何とか現状を打破できないかと考えているが……ふと、窓に映るドラグレッダーとダークウイングが『フッ』と言う笑いを浮べているのが目に入った。
(お、お前達かぁー!)
それが二人に
……どうも、魔王の妹やその眷属達よりも二人の人間の少女の方が怖い四季であった。
常に四季の近くに居るドラグレッダー、ダークウイング、マグナギガの三体では有るが、実は三体とも四季だけでなく詩乃や刀奈の言う事も聞く。……と言うよりも場合によっては二人の言う事の方を聞く。今回もモンスター達に四季が授業をサボらない様に監視を頼んでいたらしい。
「……酷い目にあった」
放課後に二人から散々説教された後、用事が有ると言う二人と分かれて一人で帰宅途中な訳である。念の為に二人にはダークウイングとマグナギガの契約のカードを渡してあるので、何か有れば容赦なく悪魔だろうが堕天使だろうが餌にしてくれる事だろう。
「まあ、取り合えず……」
自分の目の前に居るドラグレッダーと戦っている女を一瞥し、カードデッキを手に取る。『悪魔臭い』だの、『
戦闘では無く一方的な蹂躙では有るが、流石にグレモリー眷属の監視網に引っかかりたくは無いが、獲物が向こうから出てきてくれたのだ、見逃してやる手は無いだろう。
「変身!」
鏡面へと翳したカードデッキ、それに合せて出現する変身ベルト《Vバックル》。叫びと共にバックルへとカードデッキを差し込んだ瞬間、ドラグナーの鏡像が四季と重なり彼の姿を仮面ライダードラグナーへと変える。
《ソードベント》
……まあ、態々向こうから出てきてくれたのだから、この機を逃す手は無い。詩乃や刀奈が被害を被る前に確実に始末しておこうと考えながら、ドラグセイバーを構えながらドラグレッダーにボコられている堕天使の女に近付いていく。
「さて、害獣駆除でもするとするか」
《無双龍》……並び立つ者が居ないが故に《無双》。自ら二天を超える龍と宣言しているドラグレッダーの二ツ名だが、その力はその名に恥じないだけのものを持つ。
「さて、害獣駆除とでも行くとするか」
「……ッ!? 虫けらが!!! 堕天使である私にそんな口の聞き方をしてただで、ギャァー!!!」
ドラグナーの言葉に激昂する堕天使の女がドラグレッダーの火球によって再び吹飛ばされる。
「どっちが虫けらだよ? まあ、オレもタダで済ませる気は……一切ないがな」
「貴様、ガァ!!!」
這い蹲っていた堕天使が光の槍を手に立ち上がり襲い掛かろうとするが、それよりも早くドラグナーが顔面を蹴り飛ばす。
鼻が潰れ前歯も何本か折れ、ドラグレッダーによって片翼まで失った姿は、元々がそれなりに美人と呼んで良い姿だけに、惨め過ぎる光景に映るだろう。続いて自らの血と砕けた歯の破片が混ざり合った物へと向けて吐き出す堕天使の後頭部に踵落しを叩き込み、自らの吐瀉物に叩き付けられると、それが撒き散らされたアスファルトに小さなクレーターができる。
「き、貴様……わ、私にこんなマネを、して、アザゼル様が……」
「黙ってないなら後で始末してやるから神器マニアと地獄で仲良くな」
堕天使の言葉に冷たく言い切りドラグセイバーを脳天に振り下ろす。堕天使は屍ではなく羽を残すというがやはりモンスター達の餌となる球体は別の様子だった。空中に浮かび上がる光の球体を飲み込むドラグレッダーを眺めながらそんな事を思う。
「……ダークウイング達の分どうするかな?」
今回の堕天使は予定外の遭遇戦とは言えドラグレッダーばかりに最近食事を与えているのが気になるドラグナーだった。
本人は高貴だなどと言っていたが単なる下級の堕天使だったのだろう、生命エネルギーの捕食を終えたドラグレッダーも『食べたり無い』とでも言う様な顔をしている。
下級の堕天使ではその辺のはぐれ悪魔と大差ない程度の価値しかない、
ゼール軍団には十分なエネルギーでも強力なモンスターに分類されるドラグレッダーには全然足りないらしい。……しかも、ドラグレッダーは好みでは無いらしく微妙な顔をしているが……
(有るんだな、味って)
どうやら生命エネルギーにも味はあるらしい。
「よっ」
サッサと鏡面へと飛び込みミラーワールドへと移動する。それなりに派手な戦いをして見せたのでグレモリーの探索に引っかかる可能性は高いのだ。
ドラグナーにとって賞金が掛かっているはぐれ悪魔と違って堕天使には其方の価値が無いので、残された羽は放置していく。後始末はこの町にいる悪魔が何とかしてくれる事だろう。
グレモリーの眷属が其処に着いた時にはドラグナーの姿は無く、堕天使の存在だけを伝える黒い羽だけが残されていた。
「今度は堕天使ね」
オカルト研究部の部室……紅い髪の女性『リアス・グレモリー』は何処か苛立ちの篭った声で黒い羽を弄びながら呟いた。
「私の領土でやってくれるじゃない」
全てはこの町に存在しているドラゴンを従えた正体不明の騎士甲冑の男……『ドラグナー』に対する苛立ちである。
当然ながらドラグナーへの変身については監視に引っかからないようにドラグレッダーを通じて確認していた。ドラグナーに変身後の移動は基本的にミラーワールドを介しての物であり、ミラーワールドや仮面ライダーに関する知識を持ち得ないリアス達には直接変身する姿を見られなければ正体はばれないだろう。ミラーワールドへの移動だけに限定すれば鏡を媒介とした魔術の一種と誤認しかねない。
「一誠は一誠で教会に近付いてしまうし」
そう考えると頭の痛い思いのリアスだった。自分の領土内で堕天使が何者かによって抹殺された……それは悪魔側の仕業と誤認されかねない。悪魔である一誠が天界の領域である教会に近付く事も光の槍が飛んできても可笑しくない。
まあ、一誠の行動は何事も無く済んだので次から近付かないようにさせれば良いだろうが、問題はこの町で抹殺されてしまった堕天使の方だ。最悪それを行なった犯人が分からなければ戦争の火種になりかねない。
早急にドラグナーの捕獲或いは最低でも正体を暴かなければ拙い。
「アーシアァァァァァァァァ!!!」
翌日……一誠は仲良くなった少女『アーシア・アルジェント』を自分を殺した堕天使に攫われていった事で叫んでいた。
(畜生、ふざけるなよ! オレは主人公のはずだろう!? 一誠よりも上手くやれるはずの主人公だろうが、オレは!!!)
自分に危害を加えさせないために彼女が大人しくついていった事に絶叫していた。
(
その憎しみを堕天使だけでなく、ドラグナーへと向けていた。