high school D×D 〜仮面ライダードラグナー〜 作:ドラゴンズネスト
それはゆっくりと意識を覚醒させる。《ハイスクールD×D》と言う世界の主人公に憑依した、既に自分の過去の名前の記憶すらない転生者の為に用意された転生特典の一つとして誕生……否、再誕した。
(よし、この世界ならば再び……)
《蛮野 天十郎》と言う男の人格と頭脳をコピーしたベルト、通称《バンノドライバー》に宿るモノは己が何者なのかは辛うじて自覚しているが、それが本物の蛮野であるかは定かでは無い。だが、この世界には蛮野と言う人間は存在して居ない。ならば、己こそが唯一無二のオリジナルだと確信する。
『へ?』
ならば己の目的は一つ。そう定めた所で……外の光景を視界に写すと、バンノドライバーはマヌケな声を上げて言葉を失った。
「逝っていいよ、って言うか逝っちまえ」
『え?』
信号機と斧の合成態の様な武器を振り上げた青い騎士甲冑の様な物を纏った仮面ライダーが目の前に居た。
『ま、待て待て待て!!! 待つのだ! 偉大な私の……』
「死ね」
慌ててかつてオリジナルが己の息子に対してした様な上から目線の命乞いさえさせてもらえずに真っ二つにされるバンノドライバー。冷酷に言い放つと真っ二つになったバンノドライバーをミラーワールドに投げ捨てて周囲の景色を眺める。
「……さてと、これが転生者の転生特典って奴か?」
彼、ドラグナーはドラグナーのデッキと勘違いしている兵藤一誠に転生した男の本当の転生特典に目を向ける。……もっとも、ドラグナー……四季はそれが一誠の転生特典などと認識はしていないが。
同型のベルトが二つに先ほど破壊したベルトと同型と思われるベルトが二つ、合計四つのベルト。白と紫の二台のバイクに黒と赤の二台の車……。ドアのような銃を初めとする先ほどバンノドライバーを破壊した斧『シンゴウアックス』等の武器の数々、トランクの中に入っているのはミニカーの様な物の数々。
四季のドラグナーのカードデッキよりも新しいライダーシステム、『仮面ライダードライブ』の力の一式が目の前に存在していた。
「カードデッキの方が便利だな、携帯性が」
妙な感想を呟きながら目の前のベルト残り四つに視線を向ける。流石にファンタジー色の強い龍騎と科学サイドの技術で産まれたドライブなのだから、当然ながら携帯性の差は出るだろう。
自分に科学側の知識が有れば安全か確認してから自分で使うのも有りだが、残念ながらドラグナーに其処まで科学的な知識は無い。破壊するしか道は無いだろう。
「とりあえず、他のベルトも壊しとくか」
何か仕掛けが有るかもしれないと思ってそう判断する。壊した後はミラーワールドに捨てとけば誰にも回収できないだろうと推測しておく。
念の為にドラグレッダーによって焼いてしまえば更に問題ないだろう。現に先ほど叩き壊したバンノドライバーもドラグレッダーが火球をぶつけて焼いている。
《ストライクベント》《ソードベント》
腕に装着するドラグクローと車の近くに突き刺すドラグセイバー。一つ一つ壊していくのが面倒になったので、車とバイクとベルト纏めて壊すことにしたドラグナーだった。
ミニカー達と武器類はミラーワールドに投げ捨ててマグナギガとドラグレッダーに纏めて破壊してもらえば楽に終る。
『待て! 待ちたまえ!』
そう呟きながら早速変身用のベルトを破壊しようとしてとりあえず赤い車《トライドロン》のボンネットに叩きつけようかと思ってベルトに触れた瞬間、ベルトから聞えた声に止められる。
流石に一切の交渉も無く問答無用に壊されるのには誰でも普通に慌てる。まあ、ドラグナーはドラグナーで『またか』と斬り捨てる。
……それが四季と彼ドライブドライバーに宿る意識、通称《ベルトさん》のコピーとの出会いだったりする。
まあ、
『頼む、先ずは私の話を聞いてくれー!』
「せーの」
ドラグナーがトライドロンに自分を叩きつけようと勢い良く振り回している現状では、一刻も早くドラグナーを説得しなければ拙いだろう。一切聞く耳を持たなかったドラグナーに話を聞いてもらうのにベルトさんの必死の説得があった事を追記しておく。
ベルトさんの最大の不運は一誠の転生特典であった事だろう。四季の他人の転生特典に対する感情は『念の為に破壊する』であるのだから。
『だからちょっと待ってくれー!!!』
さて、何故四季が此処を発見できたかと言うと町中を調査させていたダークウイングからの報告である。明らかにこの世界の技術力を超えた物……四季のカードデッキ並のオーバーテクノロジーを見つけた事が原因だった。
本来手に入れる者が見つける前に発見できたのは幸運だったと思う。どんな強力な武器であっても使うものが居なければ意味が無い。……例外はバンノドライバーなのだろうが、不意打ちの一撃で即座に葬った。最悪破壊は無理でもミラーワールドに捨てれば封印にもなる。
そんな訳で、ダークウイングが偶然見つけたドライブピッドを調べ、転生特典の可能性が高いと確信し、こうして破壊作業に勤しんでいた訳である。
そんな中、本来ドライブの力を得るはずだった一誠に憑依した転生者はと言えば、
「ぶっ飛びやがれぇ!!!」
「ぎぃ、ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
一誠の
(くっ、くくくくっ、あっははははははははっ!!! やっぱりオレは主人公なんだよ! この世界はオレの為に廻っているんだ!!!)
禍々しい形に変貌した
倍化された力で片腕と片翼を消し飛ばされ這い蹲っているレイナーレが命乞いをしているが、優越感に浸っている一誠の耳には届いていない。自分の手にある力に笑みを浮かべながらも、表面では『最悪の初恋を経験した少年』を演じていた。
最後に思い出したように『お願いします、部長』と、レイナーレへのトドメをリアスに頼み、取り戻した神器とリアスの元にある悪魔の駒をアーシアへと与えた事で、彼女は悪魔として転生し、生き返ることができた。
(あとは龍騎の力を取り戻せば……)
そんな事を考えていたが当の本人は気付いていない。既に本来手にする筈の転生特典は四季に破壊、或いは奪取されていると言う事に。
(チッ、それにしてもレイナーレは結構惜しかったな、年増には興味ないけどロリの方も結構可愛かったし)
……欲望全開なあたりはどうかと思うが、かなり見境のない転生一誠である。
ベルトさんと会合を終えた四季は、目の前で消えていくエイを模した仮面ライダー、『仮面ライダーライア』を一瞥し、彼の契約のカードを抜き取る。ライアの契約モンスター『エビルダイバー』もこれで入手したわけで有るが、
(……この世界の歴史が動くたびに、オレも新しい力を得る機会がある、か)
カードデッキを、ドラグナーの力を手に入れた時の話ではそう聞いた。先ほど倒したライアもその“機会”の一つだったのだろう。姿と力を模しただけの人形では有るが、紛い物に負けるほどドラグナーは弱くは無い。
(二人の護衛役にはなるか)
戦力としては三体で十分である以上、頼むべきは其方だろう。お蔭で自由に扱える戦力がまた一つ増えた。ベルトさんも味方になってはくれたが、どんな細工がされているかは分からない以上、変身するのは避けた方が良いと言うのは四季とベルトさんの共通の認識である。