high school D×D 〜仮面ライダードラグナー〜 作:ドラゴンズネスト
「……頼まれていたものはこれで全部だよな?」
ライザーを助けた時から数日が経ったある日……詩乃に頼まれて切らしていた調味料を買いに出かけた四季は、メモを片手に買い物袋の中身を思い浮かべる。調味料以外にも色々と買い物が有ったらしく、二人に頼まれた物はそれなりの量になってしまった。
「ギガゼール」
鏡の中からギガゼールを呼び出すと買い物袋を家に持ち帰るように頼む。
シフトカー達のお蔭で最近ではゼール軍団も交代で食事を取らせる事が出来るようになった。本日四季が連れているのはドラグレッダーと先ほどのギガゼールに、エビルダイバーと先日新たに契約した六体目のモンスターだ。ダークウイングとマグナギガは自宅の警備中となっている。
ベルトさんは現在、本人を初めとする四つの変身用のベルトと二台のトライドロンに妙な仕掛けが無いか調べている最中だ。何れは四季が安心して変身できる様にしたいと言っていた。
(さて、夕食に遅れないように急いで帰るか)
足りない調味料はギガゼールに届けさせたので四季が家に着く頃には夕食は出来ているだろう。遅れると二人に怒られそうなので急いで帰ろうと考えると、
「っ!?」
鼻を突く嫌な匂い。……こんな物に敏感になった事など嘆きたくもなるが、その辺は考えないことにする。……それは、間違いなく血の匂いだ。
「変身!」
近くにあった鏡面にカードデッキを掲げ、腰に出現したVバックルに走りながらカードデッキを装填すると四季の姿はドラグナーへと変わる。
(ここか?)
路地裏に飛び込むとドラグバイザーに新たにソードベントのカードを装填する。路地裏から感じられる敵意……殺意とでも言える気配に警戒しながら視線を向けると、
「っ!?」
血まみれになって倒れる神父らしき男性の姿があった。周囲にあるのは戦闘痕、恐らく何者かと戦闘が有って敗北したのが神父だと推測できるが。
「手遅れだったか?」
既に息が無い事を確認すると腕のドラグバイザーをスライドさせ、
《ソードベント》
手の中に出現するドラグセイバーを後ろに向かって振るう。
「ちょいさー!!!」
奇妙な掛け声と共に振り下ろされた剣とドラグナーのドラグセイバーがぶつかり合う。
「ふっ!」
「ぐほっ!」
相手が動くよりも先に空いた手で相手を殴り飛ばす。転生悪魔だろうが純粋な力比べならば、ドラグナーの方に圧倒的に部がある。先ほど殴った感覚から、人間で有る事は間違いないだろう。服装は教会の人間の物……持っている剣は感じ取れる聖のオーラから恐らく聖剣だろう。
(だったら……)
《コピーベント》
ドラグナーの目の前に目の前の白髪の神父らしき相手が持っていた剣が現れると、それを引き抜く。
「って、うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!? なんで、お兄さんの手にエクスカリバーちゃんがあるんでしょうか!?」
「エクスカリバー?」
自分の持っている聖剣と見比べながら驚いている神父を他所に先ほど相手の言った言葉を呟く。
円卓の騎士の物語だけでなく日本に於いても様々なゲーム等で有名で最も知名度の高いであろう聖剣の名前が飛び出したことに思わず唖然としてしまうが、直ぐに気を取り直してコピーしたエクスカリバーを構える。
「だけど、このエクスカリバーちゃんを使えるのは、オレだけなんだよ!」
目の前の神父が高速で襲い掛かってくるが、その動きでドラグナーは自分の持つ聖剣の特性を理解する。
「ふっ!」
「おわっ!」
同様のスピードで動き出したドラグナーの斬撃を奇妙な動きで避けながら神父は驚きを露にする様子を見せる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待て! なんで同じ聖剣が二本になってそっちも使いこなせてるんだよ!?」
「教える必要は、ない!」
一言で言えばコピーベントのカードの効果なのだが、それを知らない相手にとっては驚愕の一言に尽きる。恐らくは希少な武器だと言う事は相手の反応からよく分かる。それが行き成り相手の手にも現れたのだから、驚くのも無理は無い。
仮に扱うのに必要な要因が有ったとしても問題なく使用でき、その武器の力を十二分に能力を発揮できるのがコピーベントのカードの力だ。とは言え、恒久的ではなく破壊されれば消えるし、その武器を持っている相手が一定距離から居なくなれば消える。要するに戦闘続行不可になれば勝手に消える。
そして、一つ付け加えるならば、態々同じ速度で高速の切り合いをしているほど暇では無いのだ。
《コンファインベント》
ライザーを助けた後、新たに契約したモンスター『メタルゲラス』との契約で得たカード『コンファインベント』のカードの力は、
「へっ?」
マヌケな声を上げて神父の速度が落ちていく。同時に相手の持っていた剣のオーラさえも失った。
「うっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!! エクスカリバーちゃんがただの剣になっちゃってるぅー!?」
残念ながらカードの効果で召喚した武器では無いので存在を消し去る事は無く、その武器の持っている力が一時的に消えるだけだが、それでも強度以外はただの剣に成り下がってしまった。しかも、持ち手に何かしらの制約がある場合はそれまで残るのだから、ただの剣以下だろう。
「武器の差はこっちが勝ったようだな、終わりだ!」
「って、えぇぇぇぇぇぇえ! オレって超ピンチ! てな訳で、バイちゃ!」
トドメを刺そうとした瞬間、神父が懐から取り出した何かを地面に投げつけると、凄まじい先行と共に視界が奪われる。閃光弾だったのだろう、光が消えた後には神父の姿はなかった。
「……そう遠くには行ってないか」
手の中に有るコピーしたエクスカリバー(仮)はまだ消えてないことから、そう遠くにはいってないだろう。追撃するのも面倒だと思って帰ろうとした瞬間、
『エクスカリバー!!!』
再び新たな襲撃者が現れた。新たに表れた襲撃者……木場は憎悪に染まった視線でドラグナーでは無く、彼の手にあるエクスカリバーへと向けている。
「今日は厄日か?」
「それを渡せっ! 死にたくなければエクスカリバーを渡「ほれ」え?」
突然彼の求めていた聖剣をゴミでも投げ捨てるように、缶ジュースでも投げ渡すように放り投げたドラグナーの行動に疑問に思うが、直ぐにドラグナーが投げ捨てた聖剣へと手を伸ばすが、
「なっ!?」
木場が手を伸ばした瞬間、タイミング良く聖剣が消える。オリジナルを持っていたフリードが戦闘圏外まで逃げたから消えたのだろうが、そんな事を知らない木場は憎しみの目をドラグナーへと向けるが、
《ファイナルベント》
……どうも、本気でイライラしているらしいドラグナーがファイナルベントのカードを発動させる。後ろに出現するサイ型モンスター《メタルゲラス》、ドラグナーの手にはメタルゲラスの頭を模した武器『メタルホーン』を装備している。
「ふっ!」
メタルゲラスの突進と共にメタルゲラスの頭に着地するように後ろに飛ぶ。同時にメタルゲラスの突進力によって射出されたドラグナーがメタルホーンを前方に構えながら木場へと向かう。
「っ!? うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
メタルゲラスのファイナルベント『ヘビープレッシャー』の直撃に対して咄嗟に大型の魔剣を大量に作り出して盾にする。純粋に強度のみを追求して作り出した魔剣の群を砕きながら、ヘビープレッシャーは木場へと直撃する。
「が……ガハッ!」
「そんなに殺気だって殺すなんて宣言したんだ……お前が殺されたって、満足だろう?」
魔剣も威力を軽減させる盾にはなったのだろう、辛うじて生きていた木場が血を吐きながら顔を上げる。そんな木場へとドラグナーは仮面の奥から冷たい眼を向ける。
ゆっくりと手を上げたドラグナーの後方からドラグレッダーとメタルゲラス、エビルダイバーが現れる。
「さあ、ディナーだ。仲良く食べろよ、お前達」
完全にドラグナーが悪役の構図だが、現在進行形で頭にきている。向こうから殺すなどと言ってきたのだ、此処で後腐れなくモンスターの餌にでもしてしまった方が、今後も悩まされずに済むだろう。
ドラグナーの許可によって三体のモンスター達が一斉に倒れている木場へと襲い掛かる。
「待ってください」
「……またか」
流石に三度目ともなるといい加減嫌になってくる。ドラグナーの従える三体のミラーモンスターの前に立つ少女……『搭城 小猫』の姿に思わず溜息を吐く。
(変な似非神父を撃退したらグレモリー眷族の騎士が出てきて、今度はそのお仲間か)
冗談抜きで後腐れなく二人纏めてミラーモンスターの餌にしてやろうかとも思ったが、一応は会話をしておく事にする。
「悪いが待つ理由は無いな」
『え? 良いの?』と言う疑わしげな視線を向けてくる三体に対して思う所は有るが……あまり変に躊躇した所が相手に知られても面倒だし。まあ、流石に此処で話も聞かずにそうするのは流石に戸惑われる。
「木場先輩の事は私が謝ります、だから」
「はぁ、分かった。そいつの命、今は君に預けておいてやる、……但し、次に敵対したら、その時は……分かっているな?」
「はい、分かっています」
冷たい口調で告げられるドラグナーの言葉。敵対したら本気でドラグレッダー達の餌にする心算だが、向こうもその意思は理解したのだろう。小柄な体でズルズルと木場を引き摺って立去っていく、結構シュールな絵だ。
「……まったく、また何か有るって事か……」
聖剣から考えると堕天使の次は天使か、とも思うが先ほど殺されていたのは同じ神父で有る事を考えると、片方……聖剣を持っていた方がはぐれエクソシストと推測できる。そうなると……
「堕天使、そこそこ上級の奴か。丁度良い……そろそろ本格的に魔王相手に喧嘩する事も考えなきゃならなくなったと思ってた所だ。前哨戦程度にはなって貰おうか」
そう考えながらドラグナーは鏡の中に消えて行った。
…………なお、帰った後詩乃さんと刀奈さんに遅くなった事を怒られたことを追記しておく。