high school D×D 〜仮面ライダードラグナー〜 作:ドラゴンズネスト
「追跡、撲滅、何れもマッハ……って、これやら無きゃダメなのか?」
『まあ、無理にやる必要は無いだろうが、君の情報を隠すという意味では効果的なのではないのかな?』
ポーズと決め台詞の練習をしつつベルトさんに聞く。四季の動きもぎこちないし、台詞も棒読みである。
「……目の前で変身したら意味無いんじゃ?」
『だが、ドラグナーと同一人物の可能性は相手も考えないのでは無いのかな?』
「それも……そうなのか? 兎も角……そう言う事なら」
軽く呼吸をして仮面ライダーマッハの姿の四季は意を決して、
「追跡! 撲滅! 何れも、マッハ! 仮面ライダー……マッハ!」
かなりノリノリでポーズと台詞を、
「四季、ご飯できたわよ」
「早くしないと食べちゃうわよ」
タイミングよく詩乃と刀奈が二人揃って入って来る。……目の前で追跡、撲滅と決め台詞とポーズを決めている真っ最中に。
「あっ……ああ……」
流石に普段からライダーに変身しても決め台詞は叫ばない四季としては、そんな姿を知り合いに見られるのは……本当に恥かしいものがある。震えながら物凄く恥かしい思いをして項垂れる四季。
「えっと……か、格好良かったわよ、四季」
「そ、そうそう、ヒーローらしくて、お姉さん良いと思うわよ」
「な、慰めないでくれー!」
二人からフォローされてマッハからの変身解除と共に絶叫する四季。流石にこの状況でこんな風にフォローされると物凄く恥かしいものがある。
『フム、次はチェイサー用のシグナルバイクを用意しておいた方が良いだろうか?』
「……寧ろ、決め台詞ない分そっちを先にしてくれ……」
『一応、人間用では無いからね』
どうやって人間用じゃない変身アイテムを転生者に使わせる心算だったのか、人事ながら気になる四季だった。
『と、兎も角、突然の襲撃にもこれで対応出来る様になるね』
「そうだな」
「じゃあ、もう一度やってくれない? 今度はちゃんと録画しておくわよ」
「ちょっと待って、カメラ持ってくるから」
「すみません、刀奈姉さん、詩乃さん、保存しないでくれ!!!」
慌てて二人を止めようとする四季だが、そんな四季を他所に刀奈は何かを思い出す。
「それは良いんだけど、この町に天界の勢力がいるのよね?」
「ああ、聖剣使いが……「あの子が暴走するんじゃない?」あっ!」
刀奈の言葉に思わず叫んでしまう。……此処に居る四人以外にもう一人……問題ある人間がいた。隣町に居るので油断していたが……。
「ま、まあ、隣町に居るから問題は……」
「無いって言い切れないと思うけど」
「そうよね。しかも……しっかり連絡してるんでしょ、四季の事だから」
「いや、確かに連絡はしたけど……危険だからこっちに来るなとも言ったし、直接面と向かって会わない限り、暴走もしないだろ」
「この状況で来るなって言われて知らない顔していられるタイプと思う?」
「……思わないな」
そう言ってスマホを取りだしてコールしてみるが、見事に繋がらない。時間的には十分に繋がる時間帯だ。
「チッ! ベルトさん、最悪実戦で運用データの収集になりそうだ。バイク借りる!」
そう言って四季はドラグナーのデッキとマッハドライバー炎を持って研究所を飛び出して行く。
「四季の分の朝御飯残して……これって?」
走り去っていく四季にそう言っていた詩乃がテーブルの上に置いてあるカードデッキの存在に気付く。ドラグナーの物と違いライダーを示すエンブレムが描かれていないブランクのデッキだ。
『ああ、それは四季が置いていった予備のカードデッキだ。少々興味が有ったので、調べさせて貰うように頼んだら、研究用に幾つか貸してくれた』
同様に二つのカードデッキが研究室の中には置かれていた。モンスターとの契約のカードが抜かれているので、それらは四季の手元に有ると言う事だろう。そのカードデッキは
「ふーん、それじゃあ、これが有れば私達も変身できるって訳ね?」
『ああ、そのシステムは汎用性が高い。誰が変身しても問題なく使用できるが、契約したモンスターと変身者個人の能力が直接反映されるが……』
刀奈の問いかけにベルトさんはそう答える。ドライブのシステムとは違うシステムに対して本当に興味が有ったのだろう。興味深そうに予備のカードデッキを見ている詩乃と刀奈の二人を微笑ましそうに見ながら、ベルトさんはトライドロンの調査に映る。
(必要な時が来なければ良いが、ドラグナーに変身できない時も来る危険もある。その時のために、彼のための力は必要だ)
何時までも力を隠していられない以上、ドラグナー=四季と気付かれない方が良いだろうと言う配慮だ。
……どうもドラグナーとしてこの町で活動していた結果、妙に多くの相手に目を付けられているのだ。科学100パーセントのドライブのシステムならば、ある程度は誤魔化せるだろう。
(やれやれ、私自身にどんな細工がされているか分からない以上、慎重になる必要が有るな)
だからこそ、意思の無いベルトであるマッハドライバー炎の方の政策を優先したのだ。ベルトさんとしても、調査を兼ねての一からの製作ではそれ相応の時間が掛かるのだが、それを短時間で行なえたのはユーブロンラボの設備のお蔭だ。
(科学技術は私の知っているものよりも何倍も先に進んでいる。このラボの持ち主には本当に感謝しなければ)
カードデッキの技術を簡単に確認しただけでも、何重にも施された悪用防止や変身者の生命保護の為の安全装置がよく分かる。幾つかはベルトさん自身も是非参考にしておきたいレベルだ。
「ねえ、ベルトさん、お願いがあるんだけど」
「そうね、私からもお願いがあるんだけど」
『ん? 何かな、二人とも?』
そんなベルトさんに問いかける詩乃と刀奈。二人の手の中にはカードデッキがある。
(よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあー)
届けられた小包を開けながら心の仲で一誠は絶叫していた。同じ転生者の友人から送られてきた小包……カモフラージュのためか、彼の好みそうな本が入ったダンボール箱の奥にある本命の品を二つポケットの中へと入れる。
カモフラージュとして入っている品がメイドやら魔法少女やらなのは…………それを貰った時の約束が影響していたりする。
一つは小瓶に入った惚れ薬
もう一つは『擬似ライダー・オルタナティブ』
それのカードデッキである。……ドラグナーのデータから技術関連の転生者たちの技術で作られた品だが、ユーブロンの頭脳は無かったのだろう、契約モンスターまでは作り出せず別ベクトルでの研究の末に開発された……モンスターとの契約無しで力を発揮できる『最強のブランク体』として生み出された品。
モンスターとの契約をしない事を前提に設計された結果、携帯性の高い純粋なパワードスーツとして完成させたものの、ミラーワールドへの突入能力は無い不完全な代物なってしまったが、戦闘能力だけは折り紙つきだ。
一誠に届けられた『オルタナティブ・クリムゾン』と名付けられたそれは彼の禁手の鎧とオルタナティブが混ざった赤い姿へと変身できる。
一誠の
(コイツがあれば、あいつが奪ったオレの特典を奪い返せるぜ!!!)
ドラグナーと勘違いしているが、一応ドライブのシステムは四季が強奪したので、あながち間違いではなかったりする。
(ぐへへへ……コカビエル戦の前にはまたイリナのフラグチャンス! 今回の状況を上手く利用すれば、小猫ちゃんを落とせるよな……。序でにこの事件の後はゼノヴィアと……たまんねぇぜ!!!)
『皆楽しみにしているから、上手くやってくれよ』と書かれた手紙を誰にも見られないように握りつぶしつつ、一誠は上機嫌に部屋にダンボールを運んで行ったそうな。
内心で『ヒャッホー』と叫んでいる一誠だが、人間界と冥界で五人の女性が本気で身の危険を感じて震えて居たそうな。本気で一誠の家に泊まっていたら色々な意味で危なかったかもしれない……イリナとゼノヴィア。