ありふれた贋作で共に世界最強   作:シュシュマン

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どうも、シュシュマンです。

前回のあらすじ:異世界『トータス』に召喚された雪月達、元の世界に帰るには戦うしかない。それが分かった雪月達は戦争に参加する事を決意する。

今回はステータスプレートが登場です。果たして雪月のステータスはどんなものになるのか…

それでは、ゆっくりしていって下さい!旦~~


第三話:ステータスと初めての…

 戦争への参加を決意した以上、自分達は戦う為の術を習得しなければならない。どれだけ強い力を持っていたとしても、元は平和主義にどっぷりと浸かった日本の高校生、いきなり魔物や魔人と戦うなど無謀に等しい。雪月は家での修行の一環として、山でのサバイバルで動物を狩ったことはあるが、所詮は動物……魔物や魔人と比べると可愛い物である。

 

 どうやらそれは、イシュタルも予想はしていたらしく、この聖教教会本山がある【神山】の麓にある【ハイリヒ王国】にて彼等の受け入れ態勢が整えているようだ。

 

 説明を受けた後、イシュタルに連れられてハイリヒ王国へと向かう事になった。自分達がいるのはどうやら山の頂上らしく、建物から出ると、目の前には雲海が広がっていた。その後は魔法を使って、ロープウェイの様な台座に乗ってハイリヒ王国へと向かう。生徒達の大半は初めて見る‟魔法”や光景にキャッキャッと騒いでいた。

 

 雪月はさっきまで帰れなくて騒いでいた筈なのに、呑気な奴等だなと呆れたような表情でそれを見ており、雪月の気持ちが表情でなんとなく分かったハジメは隣で苦笑いをしていた。

 

 

 

 ☆★☆

 

 

 

 ロープウェイはハイリヒ王国の王宮の空中回廊に繋がっていたらしく、王宮に着くとすぐに雪月達は玉座の間に案内される。向かう途中、すれ違う人達全員から期待に満ちていたり、畏敬の念が込められた眼差しで見られていたが、雪月は不快感しか湧いてこなかった。ハジメは居心地が悪かったのか、一番後ろでコソコソと付いて行き、雪月もそれに合わせてハジメの隣を歩いていた。

 

 玉座の間に着くと、国王とその隣に王妃と思われる女性が一人と、その隣には十歳前後と十四、五歳くらいの金髪碧眼の美少年&美少女が控えて立っていた。部屋の両サイドには甲冑や軍服を着込んだ者と文官らしき者達がざっと見、三十人近く並んでいた。

 

 そこからは、国王がイシュタルの手に触れない程度にキスをしたことで、国王よりも教皇の方が地位は上、この国は神の意思によって動かされている事が分かったり、オッサンが爺の手にキスとか誰得? と雪月が小声で言ったのを聞いたハジメが小さく吹き出したりしていた。

 

 その後は互いの自己紹介だった。国王のエリヒド・S・B・ハイリヒ、その妻ルルアリア、息子と娘のランデル王子とリリアーナ王女、騎士団長や宰相等の高い地位にいる者達の紹介の後に今度は自分達の自己紹介を行っていった。

 

 余談だが、香織の紹介になった途端にランデル王子の目がキラキラと輝き始めたのは見間違いではないだろう。どうやら彼女の魅力は異世界でも充分に通じるようだ。

 

 その後は王宮で晩餐会が開かれ、異世界の料理が振る舞われた。見た目は自分達の知っている洋食とほぼ変わらず、味も美味だった。母の味には遠く及ばないが……

 

 皆が料理に夢中になっている中、雪月は昼に海音から渡された弁当の事を思い出していた。物思いに耽ていたのが顔に出ていたのか、近くに座っていたハジメから心配されたが、何でもないと誤魔化して食事を続けた。

 

 晩餐会の途中で、ランデル王子が香織にあれこれ聞いたりしていたのをクラスの男子達がやきもきしながら見ていたり、衣食住の保障や訓練の教官達の紹介がなされていた。

 

 晩餐会が終了した後は、各自に個室が与えられ、メイドがそれぞれの部屋へと案内した。余談だが、雪月を案内したのは神山で雪月に飲み物を給仕したあのメイドだった。どうやら神山からついてきたらしい。部屋に着くまでの間、時折こちらをチラチラと見てくるのを雪月は頭に?を浮かべながら見ていた。

 

 雪月が用意された自室に入ると、まず目に飛び込んできたのは天蓋付きのベッドだった。開いた口が塞がらなかった。テレビとかでこういったのを見た事はあるが、実際に生で見るのは初めてだった。雪月はいつもと違う状況に戸惑いつつも、ベッドに横になってこれからの事を考える。

 

 自分達が元の世界に戻るには戦うしかない。しかも命懸けで……

 

「……やってやる。海音達に生きてまた会う為に、強くなってやる!」

 

 雪月は己の意志を再確認した後、目を閉じて意識を落としていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかしその夜、雪月はこの世界に召喚された際に見た、あの光景を再び夢に見る事になる。

 

 

 

 

 

 その翌日の早朝、雪月は全身が汗でびっしょりという最悪な寝覚めとなった。

 

 

 

 ☆★☆

 

 

 

 雪月が最悪の寝覚めだったその日から早速訓練と座学が始まった。

 

 まず全員に渡す物があるという事で、雪月達は中庭へと集められていた。そして、自分達の訓練を担当してくれる現役の騎士団団長、メルド・ロギンスが全員に長方形の銀一色のプレートを渡していった。

 

 現役の騎士団、それも団長クラスの人が自分達の訓練を担当していても大丈夫なのかとハジメと雪月は思っていたが、彼曰く、自分達‟勇者一行”を半端な者に預ける訳にはいかないという事だ。

 

 彼自身も面倒事を副長(副団長の事らしい)に押し付ける理由が出来て良かったと笑ってはいたが、それでいいのかと雪月は思ってしまった。副長さんの苦労が想像出来る。

 

 プレートの大きさは、学生証や免許証よりも縦横に数センチ大きい位といった所だろうか。配られたプレートを見ていると、メルドが説明を始めた。

 

「さて、全員に配り終えたな? お前達が今持っているそれは『ステータスプレート』と呼ばれるものでな。名前の通り、自分の客観的なステータスを数値化して表示してくれるんだ。そしてこれは、身分証明書にもなる。例え迷子になったとしても、これがあれば平気だからな。失くしたりするんじゃないぞ?」

 

 自分達に気楽に喋ってくるメルド団長。彼は大胆な性格をしており、これから戦友になる自分達に他人行儀で話す訳にはいかないという事で、部下にも畏まった態度はとるなと念を押しているくらいだ。

 

 雪月達も年上の人間から畏まった態度を取られるよりもこっちの方が気楽で良かった。メルド団長が話を続ける。

 

「そのプレートの一面に魔法陣が刻まれているのが分かるな? その部分にさっき一緒に渡した針で指に傷を作って、血を一滴垂らしてくれ。それで所持者として登録されるからな。その後、‟ステータスオープン”と言えば表側に自身のステータスが表示される。あぁそれと、原理とかそういうのは聞かないでくれ。誰も知らないからな、なにせ神代のアーティファクトだからな」

「? メルドさん、アーティファクトって何ですか?」

 

 初めて聞く単語に光輝が皆を代表して質問する。

 

「あぁ、そういや説明してなかったな。アーティファクトってのはな、今の時代じゃ再現が不可能な強力な魔法の道具の事を言うんだ。まだ神やその眷属が地上にいた神代っていう時代に創られた代物だと文献には載っていたな。そのプレートもその一つでな、昔からこの世界に普及している道具としては唯一のアーティファクトだ。アーティファクトってのは普通、どれも国宝になるモンなんだが、それは一般市民にも流通していてな、身分証にはもってこいなんだ」

 

 クラスの皆がメルド団長の説明に成程と頷いてる中、雪月は昨日、雪原で出会った男と夢の光景の事を思い出していた。

 

(結局、昨日出会ったあの男はなんだったんだ? それに、あの夢で見た光景は……)

 

 そこまで考えて、俺はあの光景を思い出しそうになり、慌てて首を横に振る。あんな光景、二度と見たくなかった。

 

 何か別の事を考えようと視線をずらすと、メルドさんがプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりしており、その傍にはハジメもいた。

 

「……そういえば、うっすら聞こえてたけど、こいつに血を一滴垂らすんだっけか? 取り敢えずやってみるか」

 

 そう言って、雪月は持ってた針を人差し指の腹の部分に刺し、出てきた血を一滴たらしてみる。すると魔法陣が淡く輝きだし、プレートにステータスが表示される。そこには……

 

「……むう?」

 

 雪月が自分のプレートとにらめっこしていると、声が聞こえてきた。

 

「おいおい南雲。お前の天職って非戦系なのかぁ? 鍛治職なんかでどうやって戦うってんだよ? メルドさん、その‟錬成師”っていう天職って珍しいんっすか?」

「……いや、鍛治職の人間十人に一人は持っている筈だ。有名な鍛冶職人は全員天職がそれだな」

「南雲よ~、そんなんでお前まともに戦えるわけ~?」

 

 ハジメにウザい感じで絡んでいる男子生徒は、名前を檜山大介(ひやま だいすけ)という。地球にいた頃に、いつもハジメに絡んできていた奴だ。いつもは斎藤良樹(さいとう よしき)近藤礼一(こんどう れいいち)中野信治(なかの しんじ)の三人を含めた四人で毎日飽きもせずにハジメに絡んでいた。

 

 どうやらハジメの天職が‟錬成師”という非戦系だったらしく、それに食いついている様だ。周りを見ると、他の男子達もニヤついていた。

 

「あいつ等……ん? 待てよそういえばさっき‟錬成師”って言ったか? そういえば……」

 

 何かを思い出したかの様に雪月は再びステータスプレートに視線を落とす。すると、雪月の口角が僅かに上がる。そして、ハジメ達の下に足を進める。

 

 ハジメ達の方では、ハジメが自分のプレートを檜山に渡し、それを見た檜山とその内容を見た周りの奴等も爆笑なり失笑なりしていた。

 

「ぶ、ぶっひゃひゃ! 何だよこのステータス! 全部10じゃねぇか!」

「ひゃひひひ! 確か平均が10の筈だから、場合によってはその辺にいる子供より弱いんじゃねぇのか?」

「ぎゃははは! こんなんじゃすぐ死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇだろ!」

 

 檜山達を筆頭に次々と笑い出す生徒達。香織がしびれを切らしたのか、憤然と歩きだしそうとするが、後ろから肩を掴まれる。香織は雫が止めようとでもしているのかと思い、怒った表情で後ろを振り返るが、その直後、彼女の目が見開く。

 

 香織の肩を掴んでいたのは雪月だった。雪月は香織の肩から手を離すと、ハジメ達の方に歩き始める。香織は動けずにいた。普段ならこの状況で雪月が黙っている訳がなく、確実に怒っている筈なのに……笑っていたのだ。香織は、何故雪月があんな風に笑っていられるのか分からなかった。

 

 雪月はハジメ達の傍に着く。檜山達は雪月に気付いていないのか、未だに爆笑を続けていた。その様子を見ていた雪月は小さく息を吸うと、少し大きめの声で喋る。

 

「ハジメ。お前、天職が錬成師っていう鍛治職なんだってな?」

「! か、神薙……」

「ゆ、雪月」

 

 檜山達は、自分達の後ろに現れた雪月を見てみるみる顔が青褪めていく。ハジメは雪月を見て一瞬顔を明るくするが、天職の事を言われて若干表情が暗くなる。

 

 雪月は檜山が持っていたハジメのであろうステータスプレートに視線を移す。そこには……

 

===============================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:錬成・言語理解

===============================

 

 と表示されていた。確かに天職が錬成師で、ステータスがオール10だった。それを確認した雪月は再び視線をハジメの方に移す。

 

「ゆ、雪月も、その……笑いに来たの?」

「は? 俺が? まさか。俺も天職が錬成師だから、本当にハジメと同じなのか確認しに来ただけだよ」

『えっ!?』

 

 雪月の言葉に、ハジメを含めた周りの生徒達の目が見開く。ハジメはその状態から動こうとしなかったが、檜山達は数秒後、ニヤニヤと嗤い始める。

 

「なんだぁ~? 神薙、お前も非戦系だってのか? お前もまともに戦えるのかよぉ~?」

「どうだろうな? 上手く成長出来れば戦えるんじゃないのか?」

「じゃあ、お前もステータス見せてみろよ。俺等が成長できるかどうか確認してやっから〜」

「……ほらよ」

「ひひ! どうせ南雲みたいに低いに決まっt―――」

 

 どうせ低いだろうと思っていた檜山は、ひったくった雪月のプレートを見て表情が凍りつく。檜山の表情を不審に思った取り巻きもプレートを見るが、同じ様に表情が固まる。雪月のプレートにはこう表示されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===============================

神薙雪月 17歳 男 レベル:1

天職:錬成師 ???

筋力:70

体力:75

耐性:60

敏捷:100

魔力:85

魔耐:85

技能:投影魔術・千里眼・心眼(偽)・錬成・剣術・大剣術・双剣術・双大剣術・弓術・全属性適正・全属性耐性・言語理解

===============================

 

 雪月のプレートを見た全員が絶句していた。確かに天職は非戦系の‟錬成師”なのだが、ステータスがハジメよりも数倍高い数値を示していた。その様子を見ていた雪月が口を開く。

 

「で? 何が低いって?」

「えっ…あ、その……」

「……確かにハジメのステータスは今は低いさ。でもな、まだ強くなれる可能性だってある。それなのに、天職が戦闘系じゃないから弱いって最初から決めつけるのはよくないと思うが?」

「そ、そうだよな! はは、ははは……」

「それと……」

 

 雪月は檜山の前まで歩み寄り…

 

「はは…は?」

 

 次の瞬間、檜山の目に映ったのは……拳だった。

 

「俺の親友を笑ってんじゃねぇよ!!」

「おぶっ!?」

 

 檜山の顔に雪月の拳がめり込む。やはり雪月は親友を馬鹿にされて、腸が煮えくり返っていたようだ。殴られた檜山は少し吹っ飛ばされた後、ピクピクとわずかに痙攣していた。

 

 雪月は他の男子達に視線を移す。

 

『ヒッ!』

 

 その表情は既に笑っておらず、雪月の冷たい視線が突き刺さる。男子達はそさくさとその場を離れていく。

 

 雪月は傍に落ちていたハジメのプレートを拾うと、それを本人に渡した。

 

「ありがとう、雪月」

「おう。けど、元気なさそうだな?」

「…結局、ステータスが低いのって僕だけなのかなって……」

「あっ!」

 

 雪月は内心「やっちまった」と後悔していた。先程も言った様に、いくら天職が非戦系の錬成師だったとしても、そのステータスはハジメよりもかなり高い数値だ。ハジメに非戦系は一人だけじゃないと励ますつもりが、ステータスの数値の所為で逆効果になってしまった。

 

「南雲君、気にする事ないですよ! 先生も南雲君や神薙君と同じで非戦系? の天職ですし、ステータスも殆どが平均ですから。安心して下さい、南雲君は一人じゃありませんよ!」

 

 そう言って、愛子先生は自分のプレートをハジメに見せようとする。雪月はこの時、嫌な予感がした。慌てて止めようとするが、既に遅く、ハジメが愛子先生のプレートを見る。雪月もそれに続く。先生のプレートには……

 

=============================

畑山愛子 25歳 女 レベル:1

天職:作農師

筋力:5

体力:10

耐性:10

敏捷:5

魔力:100

魔耐:10

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

===============================

 

 それを見た雪月が手で顔を覆い、ハジメは一度は戻った目の光が再び失われていく。

 

「あ、あれ? 南雲君!? どうしたんですか、南雲く~ん!?」

「いやなにやってるんすか先生!? 自分のステータスよく見て下さいよ! 確かにほぼ平均値ですけど、魔力だけかなり高いじゃないですか! それに技能だってありすぎでしょ! 完全にハジメよりも優秀な感じじゃないですか!」

「うぅ~。私は、南雲君を励まそうと~」

「魔力がその数値の半分未満だったら励ませてたかもしれませんけど、これは確実に逆効果でしょう! おい、ハジメェ! 戻ってこ~~い!」

 

 雪月はハジメの両肩を掴んでユサユサと揺らすが、ハジメの目に光が戻る事は無かった。

 

「あらら、愛ちゃんったら…南雲君に止め刺しちゃったわね……」

「な、南雲くん! 気をしっかり持って!」

「だ、駄目だこりゃ……悪い白崎、後は頼む」

 

 死んだ魚のような目をしたハジメを見た雫が苦笑いし、香織が慌ててハジメに駆け寄る。愛子先生は誰が見てもショボーンと言える表情となり、雪月は自分じゃどうにも出来ないと判断してハジメを香織に任せる。

 

 後で聞いた話なのだが、どうやらハジメ以外の全員がチート級のステータスだったらしい。光輝に至っては天職が‟勇者”でそのステータスはというと……

 

=============================

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

==============================

 

 紛うことなきチートの塊である。生徒達の中で一番ステータスが高いのが光輝らしく、その次は雪月だったそうだ。敏捷だけなら勇者と同じ数値である事に雪月は内心喜んだが、何故ハジメだけがチートじゃないのかという疑問の方が大きかった。

 

 ハジメの事を香織に任せたその直後、メルド団長が雪月に近づいてきた。

 

「あぁ~すまんが、プレートを見せて貰ってもいいか?」

「え? あぁ、すいません。どうぞ」

 

 雪月は持っていた自分のプレートをメルド団長に手渡す。プレートを見た彼の顔がステータス欄を見て「ほぅ」と表情が明るくなるが、ある個所を見て「む?」と固まる。

 

「どうしました?」

「いや、この天職の所にある“???”が気になってな」

「あぁ、それですか。最初からそんな風に表示されていましたよ?」

「最初からか…むぅ……」

 

 雪月のプレートには不可解な点があったのだ。天職の欄、錬成師の横に???と表示された部分があるのだ。

 

「…過去にこんな事があったりは?」

「いや、俺の知っている限りではこんな事は無かった筈だ。それに、技能の所も変だ。本来錬成師はさっき言った様に鍛治職の天職だから、技能に剣術や弓術などの戦闘系技能があるのはおかしい。おそらく、この‟???”が関係しているだろうな」

「俺のこのステータスはイレギュラーな部分が多いと?」

「そういう事になるな。それに、まだあるぞ?」

「……マジですか……」

「この最初にある‟投影魔術”という技能があるだろう? この技能は見た事がない。昨日天職や技能について記された文献や書籍を確認したんだが、記憶にない技能だ。おい、誰かこの技能について知っている奴はいるか?」

 

 メルド団長は他の騎士団員達や王宮魔法師たちに確認させていたが、誰一人として知っている人はいなかった。

 

「すまんな。俺達じゃこれがどういった技能なのかは分からん。こうなるともう、自分でどういう技能なのか見つけていくしかないな」

「う~ん、そうですか。けど、投影魔術か…投影魔術……投影、魔術……投影? あれ、この単語…どっかで聞き覚えが……」

 

 雪月が何かを思い出そうと唸っていると、立ち直れたのか、ハジメが雪月の横に並んで雪月のプレートを見る。すると……

 

「……ねぇ雪月、これってもしかするとあれじゃない? 僕が貸したあの本の」

「へ? …………あっ! あれか!!」

 

 雪月はハジメの言葉で漸く思い出せたといった感じの明るい表情になる。それを見ていたメルド団長は不思議そうな表情になりながら……

 

「なんだ? 技能について何か分かったのか?」

「もしかしたら、ですけどね。メルドさん、一つお願いがあるんですが」

「うん? なんだ? 言ってみろ」

「剣を一本、持って来てもらっていいですか?」

「剣を?」

「はい、必要になるんで」

「……分かった。持ってこよう」

 

 メルド団長は武器が置かれている倉庫から剣を一本持ってきた。見た目は前に興味本位でネットで世界の剣について調べた際に見たバスタードソードそっくりだった。雪月はそれを受け取ると、見たり触ったりする。雪月の行動にメルド団長が頭に?を浮かべていると…

 

「メルドさん。いくつか聞きたい事が」

「聞きたい事?」

「はい。まずは………」

 

 それから雪月は、この剣がどんな材質で出来ているのか、どういう風に製造されているのか等の質問をしていく。メルド団長はそれに自分がわかる範囲で答えていく。

 

「ん、ありがとうございました」

「今の質問に何の意味があるんだ?」

「まぁ、それは今から見せるんで。ハジメ、少し離れていてくれ」

「うん、了解」

 

 ハジメが離れたのを確認すると、雪月は手に持っていた剣を地面に突き刺し、両手を剣を持つような構えをとって目を閉じ、一呼吸入れる。そして、一つの言葉を呟く。

 

 

 

 

 

「―――――投影、開始(トレース・オン)

 

 次の瞬間、雪月の両手にスパークの様なものが迸り、それと同時に雪月の体に痛みが走る。

 

「!? ぐっ!」

「雪月!? 大丈夫!?」

「あぁ、なんとか…な!」

 

 雪月は集中し直すと、今から自分が行おうとしている事に必要な工程を進めていく。

 

(さて、まずは………)

 

 ―――創造理念、鑑定:完了

 ―――基本骨子、想定:完了

 ―――構成材質、解明:終了

 ―――製作技術、模倣:成功

 

(ここまではいい感じだな。さて、次だ!)

 

 ―――成長に至る経験、共感:失敗

 ―――蓄積された年月、再現:失敗

 

「っ!!」

 

 雪月は唇を噛む。最初の四つはどうにか出来たが、後の二つはまだ初めてだからなのか、上手くいかなかった。

 

(だが、最初の四つまでがあれば少しくらいは!)

 

「ぐ、うぉああああ!」

 

 雪月は両手に全神経を集中させ、一度両手を開いて再び握り直す。その瞬間、雪月の手に光に包まれた何かが現れる。そして、光は徐々に失われていき、そこから一本の剣が現れた。その剣は、先程まで雪月が持っていたバスタードソードに非常に酷似していたのだ。

 

 雪月が息を切らしながら呆然としていると、ハジメが早足で駆け寄ってきて……

 

「雪月!」

「! ハジメ……」

「ねぇ、これって……」

「あぁ…おそらく、ハジメの考えている通りのものだぜこれは」

「! やっぱり、そうなんだね! すごいよ、本物の投影魔術だ!」

「カカ、まさか初っ端で成功するとは思わなかったがな」

 

 ハジメと雪月が盛り上がっていると、メルド団長が口をパクパクさせながら聞いてきた。

 

「な、なぁ……一つ聞いてもいいか?」

「俺の持っているこの剣の事ですよね?」

「あぁ、そうだ。その剣一体何処から出したんだ?」

「えっとですね…まず、この‟投影魔術”っていう技能は簡単に言えば模造品を作る技能って言えば分かりやすいですかね? 要するに、これはそこに刺さっている剣の贋作って事です」

「が、贋作……」

「と言っても、かなり劣化していますけどね。これはそういうぎの―――」

 

 雪月がそういう技能と言おうとしたその時、体の力が急に抜けて立ち眩みしてしまい、その場に膝をついてしまった。

 

「雪月!?」

「どうした!?」

「わ、分かりません。急に立ち眩みがして……」

「…もしかすると、急に魔法を使った所為で魔力が枯渇してるのかもしれんな。魔力は休んでいれば自然に回復するから、どこかで休憩するといい」

「す、すいません。訓練初日に……」

「なに、気にするな。こっちは面白いモン見せて貰ったからな。訓練は動けるようになったら参加するといい」

「…了解です」

 

 その後、メルド団長は残りの生徒のステータスの確認に戻り、雪月はハジメの肩を借りながら、近くにあった樹に腰を下ろす。

 

「雪月、本当に大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ。今は体が少し怠いって感じがするだけだからよ。十分に動けるようになったら、俺も訓練に参加するさ」

「うん、分かった。でも本当に無茶はしないでよね?」

「カカカ、心配性だなハジメは…初日から体壊しちまったら元も子もねぇからちゃんと気を付けるよ。それよりも、ハジメは自分の心配しとけ」

「うっ! わ、分かってるよ! それじゃ、僕は戻るね」

「おう、気を付けてな~」

 

 ハジメは皆がいる場所へ戻っていき、雪月はそれを見送る。雪月は自分の右手を見る。そこにはさっき投影した剣が握られていた。しかし、数秒後にそれは光の粒子となって消えていった。

 

(まだまだ鍛錬が必要ってことか。しかし、なんで俺にこの技能が……)

 

 雪月は自分に何故この技能があるのか疑問に思いつつも、この先この技能をどう磨いていこうかを思案するのであった。




最後まで読んでいただきありがとうございます!

自分達のステータスが分かり、ハジメは平凡、雪月はイレギュラーという事が判明した。果たして二人は、今後どのような成長をしていくのか

次回「異世界知識と謎とイジメ」

執筆作業があまり捗らないなぁ~……しかし! 失踪するつもりはありませんので

それでは、また!三└(┐卍^o^)卍ドゥルルル
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