魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」 作:シフシフ
今回は超特急で書いた!確認は済んでいないです!皆さん確認してね!
誤字脱字コメント、待ってますぞ!コメントくれから加速したんやで?ほらほら、コメント下さい(乞食)
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その時、世界は止まった。
宙に浮かぶ食器も、壁に掛かる真新しい時計も水道から流れ出る水ですらも。
「一つ、訂正する事がある」
ショウの魔力が溢れ出す。その場のオドを全て退ける程の量。物理的な壁を感じるほどの重圧を放ちながら、ショウは言う。
「妻である君を殺すことは無い」
いつも通りの顔で、いつもとは違う雰囲気で述べる。
自分の身体が徐々に後ろに下がるような感覚を覚えながらも、私は奥歯を噛み締め堪える。
言わねばならない事がある。胸の奥から湧くアーチャーの歓喜の感情が苦痛でしかない。
「わたしはマユだ!おまえがそうなづけた……!“君”ではない!」
ショウへの反抗は死に繋がるだろう。だがたとえ死ぬことになろうとも……いや、もう死んでしまうなら言いたいこと全てをぶつけるべきだ。
「それに、わたしはおまえの“妻”になったおぼえも、こんなところにとじこめられるいわれもない!」
両手を握りしめ、震える喉から声を絞り出す。恐怖で血の気が引き顔が青ざめていようとも口を閉ざすことは無い。
口を閉ざせば屈伏、頷けば従順。
そのどちらも許せないのだ。
従えば生き長らえるだろう。だが、終わりは来る。だと言うのになぜ踏み止まらなければならない?
くだらない。プライドを捨ててまで生きたいなど、思わない。
「わたしはしにたくない!だからおまえにしたがった!だが、それもここまでだ。ころしたければころせ。ころされるために“飼い殺し”にされるのはごめんだ!」
許容できるとするなら……同等の立場だ。
どちらかが上でも下でもない。同じ位置。それなら、我慢出来る。
「“愛”のないおまえなんかに、わたしはっ──────」
恐怖か別の何かか、涙が溢れそうになるのを堪えながら更に吠えんとした時、ショウが口を開く。
「───そうか……そうだったか」
突如として、ショウの魔力が消失する。
「うあ!?」
魔力の壁に押し出されないように前のめりに踏ん張り続けていた身体が、自由になった反動で前によろめく。その先にはショウが居た。
踏みとどまろうとするよりも早く、ショウが私の身体を受け止めた。
そこからガラス細工を扱うような優しさでそっと抱きしめられる。
「俺がマユを殺す事は無い」
「っ」
低い声に棘は感じない。ささやき声が耳元で響く。
どこか諦めたような声音だった。
胸がズキリと傷んだ。引き離そうと藻掻くも、非力な体でそれは無意味だった。
「……先に謝罪しよう。マユ、俺は……手を放す事が出来ない」
ショウの声は悲痛なものに徐々にかわり、抱きしめる力が少し強くなる。
「目的がある。……捨てられなかった物を捨てる為に、マユが必要なんだ。他には何もいらないと、そう考えていた」
「……やはり、からだがもくてきか」
やはり、私の推測は間違っていなかった。……だが、待てよ?他には何もいらないだと?……捨てたいものを捨てた先にロビンフッドは在るのだろうか。
「そうだ。だが」
ショウはやや鼻息荒く、力強く言う。
「マユを見た時から、その考えを改めた。今の言葉を聞いて深く悔いた」
「……どういうことだ?」
私は身体を強ばらせたまま疑問符を浮かべる。からだが触れ合ったせいか、またはショウの感情が高まっているからか、私にショウの魔力が流れ込んできている。
濃厚……いや、それどころの話ではない。こんなものを秘めていては生き物は死ぬ。
「……マユの心が欲しくなった」
「は?やるわけないだろう」
「ふっ、だろうな」
鼻で笑いながら、ショウは私を抱きしめる腕を離し立ち上がり、背を向けた。
「初めは、殺す気なのだろうなどと言うマユの発言を咎めようと思った……が、どうやら叱られるべきは俺だったようだ」
気が付けばテーブルの上は綺麗になり、麦粥とは違う簡単な料理が並んでいる。焼かれたパン、そしてそれに塗る為のジャムなどだ。
「怖がらせてしまったな。……すまない。これからはマユに好かれるため、努力するとしよう」
「え?」
……えっ?えっえっ……え?
まてまてまて……考えるんだ私。好かれる為に努力するだと……?馬鹿なのか此奴は。というか、心が欲しいとか、え?それはあれだろう、魔術の材料的なアレなんだろう?
落ち着け私。顔を赤らめるな体。キョロキョロするなおい。
好かれる為の努力だと?ショウはアインツベルンの居城でホムンクルスに洗脳紛いの魔法を使っていただろう。それを使えば一発じゃないか。……こんな事に今更気付くとは私は残念な頭をしているな全く。
つまりなんだ、ショウは魔法を使わずに私を惚れさせると?馬鹿なのか?馬鹿だな、馬鹿。うんうん。ショウは頭がおかしいんだな。
おい、ほっぺた。ショウがこちらを振り返る前にそのニヤケ顔をやめろ。ショウを言い負かす事が出来て満足しているから仕方ないが、ニヤついているところを見られると何か言われてしまう。
「……さて、腹を空かせているんだろう?好きなだけ食べるといい」
「ふん。つぎわたしのりょうりをすてたらおこるからな」
「ふむ。次からは料理の手解きをしてやろう」
料理を教えてくれるのか、ふむふむ。それは良い。ショウがいなくてもご飯が食べられる。
ん……?料理が上達するまではショウがいないと食事が出来ないのでは……か、考えるのはやめよう。
◻
「───そうか……そうだったか」
マユちゃんの告白(別れ話)を受けた俺は世界に絶望した。
妻じゃないって……妻じゃない……おおおおおおお(男泣き)
「うあ!?」
おっと危ないな。
と俺はマユちゃんを受け止める。ついでに抱きしめる。おっふ、もふもふ……もふもふ……くんかくんか。ルイズコピペを言いたくなるが流石にキモすぎてNG。
「俺がマユを殺す事は無い」
「っ」
そう、言わねばならない。
「……先に謝罪しよう。マユ、俺は……手を放す事が出来ない」
こんな可愛い存在を手放すわけないんだよなぁ(犯罪者)
というか、香りが……!くっ!まずい……後回しにしていた興奮がッッ!
「目的がある。……捨てられなかった物を捨てる為に、マユが必要なんだ。他には何もいらないと、そう考えていた」
「……やはり、からだがもくてきか」
耐えろ俺っ……!どうにかして台詞だけは繋ぐんだ……!ま、まずいぜ……!俺の約束された勝利の剣が全て遠き理想郷からぬき放たれてしまうっ!
「そうだ」
あぁ!正直にいってしまった!待て落ち着け、否定するんだ。
「だが」
興奮で鼻息荒くなるわこれ……細い肩とか最高ですね。というか、女の子を抱きしめるとか……くっそ無駄に長い間生きてるのに……何回目よ?数回しかないよね俺。
いや考え直せ、数回あった奇跡を思え。俺って恵まれてるな。
「マユを見た時から、その考えを改めた。今の言葉を聞いて深く悔いた」
「……どういうことだ?」
マユちゃんの身体が震えてるし、固まってるな。ぐふふ、揉みほぐして……あ、俺みたいな奴に抱きしめられてるから怖いのかごめん。
だがまぁここからカッコよく挽回するのが俺ですよ。
「……マユの心が欲しくなった」
ドヤァ。興奮でちょいキャラ崩壊気味だが、ノープロブレム。
「は?やるわけないだろう」
マジレスキタコレ。やべぇ、致命傷だわ。だがそれがいい。
「ふっ、だろうな」
俺は立ち上がり、背を向ける。抜剣されてしまった約束された勝利の剣を隠す為に。
「初めは、殺す気なのだろうなどと言うマユの発言を咎めようと思った」
だが、気が付いたら心をズタズタにされ、後回しにしていた興奮に襲われ興奮した。
「……が、どうやら叱られるべきは俺だったようだ」
変態でごめんなさい。叱って下さい。罵ってもいい。
さて、興奮も収まった。まだ約束された勝利の剣は発光したままだが。ここから先は全て本心だ。……いや、さっきまでも本心だけども。
「怖がらせてしまったな。……すまない。これからはマユに好かれるため、努力するとしよう」
「え?」
うん?ドン引きしてる?
は、話を変えよう。そしてゆっくりと時間をかけてわかり合えば良い。
「……さて、腹を空かせているんだろう?好きなだけ食べるといい」
うん……あれだな。話の変え方が雑。でも童貞にはこれが限界だよ。
……いや、よく考えたらロリ相手にタジタジな俺ってヤバイやつでは?今更か……。
「ふん。つぎわたしのりょうりをすてたらおこるからな」
「ふむ。次からは料理の手解きをしてやろう」
後ろを向いてるから分からないが、マユちゃんが頷いたのはわかった。
さて……どうすればマユちゃんにテントを見られずにテーブルに着けるだろうか。
あ、そうだ。
「ルーラ」
「!?」
ルーラで直接椅子に座る。とてつもない無駄遣いだ。マユちゃんが目を見開いてこちらを見ている。可愛い。
「どうした、座れ。食事だぞ」
「あ、あぁわかった」
席に着いたマユちゃんにイチゴジャムを塗ったパンを手渡す。すると、それを両手で持ってはむはむと食べ始めた。
何この小動物。可愛すぎかよ。
あー、あとあれか。閉じ込められてるとマユちゃんが感じているから……お散歩もしなければならないのか。いや、旅行と言い換える事で夫婦感満載になるな。旅行しよう旅行。
だがその前に家の改造だな。
また魔王の使いを作って仕事してもらわないといけない。家具の設置とか途轍も無くダルいからな。
ポンと改造して、後の設置物等は魔王の使い達に任せる。任せているあいだに旅行。……完璧か?
いや待てよ。旅行と言うよりは、街に探索……と言った方がいいかもしれない。いきなりヨーロッパとか行ってもな。まずは近場から慣れさせよう。慣れないと人混みなんかは疲れるからな。
……!!
疲れさせておんぶ……する?悪魔的発想だ。俺は天才だった?
まてまてまて……可哀想だな、意図的に疲れさせるとかやってはいけない。
「はむっ、はむ……!」
うーむ、天使。
あっ、わかったぞ。魔術協会とか教会とか、至る方面に「紹介しよう。俺の嫁だ」ドヤァ!挨拶回りしてこようか。アインツベルンとか御三家にもな。
これは世界的ニュースの予感。マユちゃんを狙う魔術師とか現れたらそれはそれで美味しい。カッコよく、かつ華麗にそれらを撃退し愛を囁くのだ。……どうせ本番では囁けないが(照)まぁ理想は理想。妄想はタダだからな!
*
1日後、世界は阿鼻叫喚の大騒ぎとなった。
『魔法使い、少女を娶る』『魔法使いの心を奪ったのは幼き少女』『世界の転機か!!魔法使い結婚!!』
などなど、魔術師などの「そちら」を知る者たちは大パニックを起こしたのだった。
「…………………………………………ショウ」
「ん?どうした、マユ」
「……………………しね」
「死なん」
「しね!!!!」
「死なん」
「ううううぅぅぅ……!バカバカバカ!こんなのただのはじさらしだ!しんでしまえばーか!」
新聞を読んだ某嫁も、大パニックになったのだとか。
物語の時間……飛ばすか否か!迷ってるぞぉー!