魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」   作:シフシフ

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初☆投☆稿☆!

さぁさぁ皆様やってまいりました記念すべき初投稿!!!

最初から最後まで主人公視点となっております。初の試みですねぇ。
あ、皆様、コメントや評価のほう、お手柔らかにお願いします(人 •͈ᴗ•͈)
今回は非常にシリアス成分が多めになっており、誰だお前は!となる方もいるかもしれません、しかし、思い出してください。これは初投稿、つまり登場する人物は全て初登場なのです……!(ゴリ押し)




魔法使い「誰もが童貞を置いて先にイク」

 □

 

 童貞を卒業する。

 

 それは俺の昔からの夢であり、目的であり、ある意味存在理由ですらあると俺は考えている。

 

 とは言え童貞を卒業したいというなんとも可愛らしい願いは、なにも転生した瞬間からのものでは無いのだ。

 じゃあいつから?と言われると返答に困ってしまうのだが、いつの間にやら「童貞を卒業したい」と思うようになっていた。

 

 まぁ、誰にでも共感できる話だとは思う。なにせ、永遠の相棒に一切の役割が与えられないままでは可哀想だ。

 そう、永遠の相棒である。

 

 俺はその永遠の相棒を「童貞」なんてレッテルでTENGAのように包み込んでいるわけだ。皮をかぶってるという訳では無いからな。

 

 ……恥ずかしいと思わないか?情けないと思わないか?

 

 俺は思った。

 

 だってさ、女の子とにゃんにゃんしたいし、イチャイチャしたいしねんごろになりたい訳だ。雄だからな。

 

 本能的にもぜひぜひ、と勧められる行為なのだ。

 しかし、運が悪いのかなんなのか、俺は未だに童貞を卒業出来ていない、

 

 

 さらに言えば、目の前で繰り広げられた『チキチキ☆魔法使い対策会議』なる現象は俺の身に酷い危機感を覚えさせたのだ。

 俺は童貞を卒業するまえに後ろの処女を失うところだったのか、と。

 

 それはあまりにも強大な恐怖だった。

 尻の穴がキュッとしまり、レオナルドのしわくちゃの相棒を突っ込まれる瞬間まで想像して悲鳴を上げそうになったくらいである。いくらステルスという呪文が強力でも動揺した悲鳴を隠すことは出来そうにない。

 必死に我慢した俺は偉いと思うんだ。

 

 かつて、俺をここまで追い込んだ恐怖はなかった。

 それほどか?と思うのも無理はないだろう。

 

 たしかに、全身エロタイツ二穴おばさんは恐ろしかった。今までの人生で最も俺に襲いかかった女性は確実に全身エロタイツ二穴おばさんだろう。特に彼女の必殺技?は酷かった。名前は確か……

 刺し穿ち、突き穿つ、ゲイ掘る具・オンナ恥部だったはずだ。

 

 言わずともわかるだろう。前の穴を刺し穿ち、後ろの穴を突き穿つ。あの槍でだ。

 しかもその後に続くゲイ掘る具とオンナ恥部……つまるところ女も男も関係なく仕留める(意味深)やばい技なのだということはわかった。しかもあの槍は無数にあるらしく、数人の相手を同時にこなすこともできるはずだ。なんて性欲の塊なのか。

 

 もしかしたら男が当たったらルーンか何かで前の穴を制作されるのかもしれないが、考えたくもない事だ。

 

 他にも神々数百柱と何故か戦争になったりな。びっくりしたわ。

 ただ、連携出来てない烏合の衆感が半端なかった。自己主張しすぎて押し合い圧し合いしてるから範囲攻撃でまとめて薙ぎ払ったが。

 

 そんなあれこれよりも遥かに恐ろしい……あ、待てよ……あのケルトビッチも怖かったな……いや、しかしそれよりも恐ろしい。なにせもう何時死ぬかも分からない嗄れた翁に俺の尻が狙われていた、などと……タチの悪い悪夢であって欲しかった。

 

 

 バァン!とレオナルドがホワイトボードを強く叩く。

 

「どうやったら魔法使いを落とせるか……!会議だ!」

 

 こいつは本当に天才なのだろうか、と昔からの俺の疑問は解消されない。

 空を飛ぶ乗り物の話しをされたからヴィマナの話をすれば「ほうほう」と頷き、他には?と言われたからヘリコプターの話しをすれば数日後には巻貝みたいな変な設計図を寄越してきた。無理だろ、飛ばねぇよそれ、と言ってみれば作るのは諦めたようだったが。

 

 レオナルドとホームズの漫才も終わり、クスクスと笑う者や疲れたような顔で、けれど口の端を満足げに上げた者達が部屋を出ていく。

 

「…………ショウ」

 

 すると、俺の右側から可憐な声が響いた。黒い髪に赤い瞳を持ち、やや丸みを帯びた可愛らしい輪郭が幼さを一層強調している幼女。

 彼女の名前はマユ。聖杯と、そこに入っていたアンリマユの残滓的な物で構成された俺の嫁だ。

 

 今の俺はその成長を待ち、日々を幸せに暮らしている。

 

 そんなマユが俺のローブをくいくいと引っ張り、こちらを見上げている。

 見覚えのない始めてくる場所に困惑しているのか、不安げにこちらに身を寄せるマユに父性を刺激されながら、見上げ続けるのも辛いだろうと腰を屈めて視線をあわせる。

 

「なんだ」

「な、なんでわたしたちにみんなきがつかないんだ?」

 

 正面切って見つめられるとマユは目を逸らす。そして疑問を口にした。とは言え、その詳細を語る必要は無いだろう。マユは幼いものの聖杯の知識を有する。完全かどうかは疑問が残る所ではあるが、こういった事柄には詳しいだろう。なので簡潔に現状の説明で済ませる事にした。

 

「透明になり気配を消しているからだ」

「そ、そうか……」

 

 普段はこのような呪文は使わない。なにせ、透明になって気配を消すなど犯罪臭しかしない。俺はアニメや漫画などで透明化できるキャラクターは必ず()()()()()にその能力を1回は使っているはずだと睨んでいる。

 思春期なら尚更だし、男ならやらないはずが無い。

 

 だが、俺はやらなかった。

 なぜかと言えばこの呪文は割と難しい部類に入る。術はあくまでも結果を引き起こす為にあり、その後の制御は術者本人の技量に委ねられる。

 そんな呪文を俺が使い、風呂など覗こうものならどうなるだろう。鼻の下を伸ばし、天地乖離す開闢の星がズボンを突き破りバベルの塔を建造する事はほぼ確実。

 そんな状態で呪文を制御できるか……?俺はできると自信を持って胸を張ることは出来ない。なぜか、それは童貞だからだ。

 

「えっと……なにをしにきたんだ?」

「さてな、見に来いと言われたから見に来た」

 

 ここまでこれ程までに冷静かつ、真面目な口調を維持しているのも一重にレオナルドのケツ掘り未遂のせいなのだが、もしやこの口調を維持し続けた方が俺はカッコイイのではないだろうか。

 どの道、マユがいなければ俺は精神的ショックで瀕死だっただろう。マユの癒し効果は半端なものでは無いという事だ。

 

「…………まさかもうかえるのか?」

 

 そう言いながらもどこか諦めたような雰囲気のマユ、恐らくもう少し見て回りたいのだろう。

 それか、聖杯が集まるこの場所に何かを感じたのかもしれない。

 

「マユ、見たいものはあるか。そこに行こう」

「えっと、なにがあるんだ」

 

 そんなマユの気持ちがわからない訳では無い。FGOなるスマホアプリは完全無課金でエンジョイ勢、ストーリーをスキップしてしまうことすらあったレベルだし、もはやどのようなサーヴァントが出演していたのかも定かではない。

 

 とは言え、「昔有名で、今でも何となく覚えている映画やドラマ、アニメ」の聖地に訪れたとなれば興奮を抑えられないのはそういった物に少しでも傾倒したものなら当たり前だろう。

 

 さて、何があるのかを問われたのであれば応えねばならない。

 しかし、知識と経験は正確に結びつくものでは無いのだ。シェイクスピアとアンデルセンから送られた小説や、魔術協会からの資料に目を通して居たとして、完全な案内など俺には出来そうにない。

 となれば当たり障りの無い目玉施設を例に述べるとしようか。

 

「シバやカルデアス……あの本に載っていた物はほぼあるだろうさ」

「えいれいたちにあえるのか!?」

 

 と胸の前で握りこぶしを揃え、ゾイっという効果音が聞こえそうなポーズで俺の顔に急接近するマユ、思わずキスしそうだったが、俺は堪えた。

 

 思わぬ反応に多少たじろぎ、それが表に出ないように苦心しつつ、マユがなぜ英霊を求めるのかを考える。

 マユは聖杯だ。となれば英霊たちの情報に関しては俺よりも遥かに多くのことを知っていると言えた。

 そうなればやはり先程俺が述べたような知識と経験は結びつくものでは無いのだ、という物に当てはまるのだろう。知識で知っている無双の英雄に会ってみたい、と思うのも仕方の無いことだ。

 

 しかし、マユの望みを叶えられるかと言うとそれは難しそうに思えた。

 辛うじて覚えている第2部の始まり部分、それはカルデアを調査しに現れた協会の者達の1部が敵であり結果としてたくさんの職員が犠牲になる事になる、というものだった。なぜ多くの犠牲者が出たのかといえば、無数にごった返していた英霊達の多くが人理修復と共に役目を終えたと座に帰還したからだ。

 

「ふむ……どうだろうな。この様子を見ると座に帰ってしまった者達が殆どのように思えるが」

「くそ……みかたにつけてショウをころそうとおもったのに(小声)」

「……ふむ。ならば仮想空間の戦闘シミュレーションに彼らのデータは登録されているだろう。戦うだけの抜け殻だが、見る事は出来るだろうさ」

 

 俺は聞こえないことにした。心が受け入れることを避けたのだ。うむ、痛い。避けてなお突き刺さるとは……何処ぞの青い狗っころよりも遥かに高精度だ。

 

「むむむ……いや、いい」

 

 いやはやしかし、もしもこの反応がレオナルド等を見た結果であるとすれば、それ即ちヤンデレだとか焼きもちという事になる。そう考えると可愛いものだ。全身がスライムのようになるレベルで可愛いものだ。

 だが、次に彼女が発したそのセリフは、俺の色々なものを想起させる事になる。

 

「……なぁ、ショウ。ショウはどんなえいゆうたちとであったんだ?」

 

 英雄。普段ならば軽々しく口にするものの、マユという特定の人物からその単語が発せられたからなのか、俺は反応を示し、記憶の引き出しがとんでもない速度で開けられていく。

 

 結果、俺が導き出した答えは

 

「────英雄になど俺は出会わなかった。持て囃された者、祭り上げられた者、晒された者。騙された者。そんな者達にしか俺は出会わなかった」

 

 というものだ。

 なぜ、このような悲壮感溢れる文章になってしまったのか……それは非常に簡単な答えなのだ。

 “英雄は色を好む”という言葉をご存知だろうか。事実、その通りである。

 

 

 ズルくない?

 

 おかしくない?

 

 なんでこんなに不公平なの?

 

(女達に)持て囃された者、(女達に)祭り上げられハーレム築く者、あいつら絶対に妬み殺す。

 

 まぁなんだ、全員が全員いい思いをした訳でもない。晒された奴は居たし、騙された奴もいたさ。

 

 だがな……!!全員っっ、致した……!!

 

 俺だって致したいんだ。晒されてもいい、騙されてもいい、ただ女の子とイチャイチャキャッキャ、ネチョネチョアンアンしたかったのだ。

 

 ズルいと思う。俺視点でいうなら全員タダのヤリチン野郎かクソビッチだから。俺のシマじゃノーカン。

 ちょっとドラゴン倒しただけで綺麗なお姫様貰えるとか、何それ、デリヘルなの?性奴隷なの?

 

 あぁダメだ……鬱になりそうだ。

 

「さぁ、歩いてまわろう」

 

 マユたんを強く抱きしめながら俺は歩き始めた。

 

「────結局、誰もが童貞()を置いてイク」

「っ!」

 

 でも、俺はもう歩き始めたんだ。希望に向かって……!マユたんが成長して俺のイチモツを受け入れられるようになれば、俺は卒業するんだ。

 

「あぁ、そうだ。だから、俺は…………!!」

 

 ─────君で全てを失おう。

 

 右手の先で、小さく息を呑む音が、俺の心をそっと締め上げた。

 

 

 

 

 

 

 







皆さんが覚えているかどうかの、ちょっとした勘違い要素。

①、ショウは魔法使い(童貞)

②、ショウがマユの事を呼ぶ時に「君」と呼んだ場合は、マユの中で核となっているアーチャーを呼んでいる……とマユは勘違いしている。



ふふふ、さて、マユはショウが呟いた最後の一言をどう受け取るのか……!!
それは次回作をお待ちください……!!

というわけで、病院の待ち時間を利用して書き上げました今回、なんか、色々と変化も知れません!

誤字脱字、コメント、お待ちしております!!

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