魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」   作:シフシフ

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まさかコメントが沢山来るなんて思ってなかったので初投稿です。

今回、嫁聖杯と主人公が同じ場面をそれぞれの一人称でやるのでご了承くださいな。
あと、下ネタ注意。後書きに「アーチャー」の答えを置いておきますね。


魔法使い「聖杯に嫁を願ったら幼女が出ました」

 

 爆発が視界を覆った。

 いや、爆発等という生易しい物では無い。

 確実に世界の半分近くを滅ぼせるだけの破壊力を秘めていた。

 

 だと言うのに。

 

 この体が感じているのは全てを無に返す爆風でもあらゆるものを焼き尽くす熱波でも無い。

 素肌に触れる布の感触、全身を優しく包み込むような圧迫感。

 

「──大丈夫か?」

 

 低く、冷たい声が私の耳を打った。そこに含まれているはずの願いの成就による幸福感は無い。この声はこう言っているのだ「やるべき事をやったまで」。

 

 ぞわり、と歓喜が湧き上がる。

 何故だ?と困惑をする。目の前の男に対し、私が抱く感情は恐怖と忌々しさだけのはず。

 

 であれば、この感情は私のものではなく、別の場所からの発生……もしくは、植え付けられた物。

 となれば発生源は限られてくる。私の肉体を構成し、奴の願いを叶えた物。

 

 万能の願望機、聖杯。そこからの強制力と言う事だろうか……厄介だな。

 

 だが、奴は失敗を犯している。何をするつもりだったのかは不明だが、大きな失敗をしているのだ。

 

 愚かな事に、あの男はあろう事かこの私を、神霊アンリマユを、その()()を、この器に降臨させたのだ。

 聖杯が持つ大量の魔力が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う願いをより破滅的方向に導いた結果が、アンリマユ本体の顕現へと繋がった。

 

 ククク、馬鹿なヤツだ。きっと今頃、火に包まれた街を呆然と眺めているに違いない。

 つまり私はそんな奴に対して「お前のせいだぞ」と言ってやればいい。なんてことは無い、早速だがこの貧相な器を使って奴にトドメを刺してやろう。

 

 そう思い、私は目を開く。

 そこには砂埃一つ付いていない奴の姿。ローブは依然として汚れていないし、怪我をしている様子もない。

 

「目が覚めたか」

 

 無表情で、一息つく魔法使い。

 やけに顔が近いな。

 

 ……?

 

「……どうした、なにか付いているか?」

 

 キョロキョロと私は周囲を見渡す。

 壁がある。床がある。天井すらある。

 

 ………………あれ?

 

 えっ?ま、町、消えてないぞ。どういう事だ……まさかあの爆発を防いだっていうのか!?そんな、有り得ない。

 

「まぁいい。今から俺の家に向かう。……その格好では不便だろうからな」

「ぇ?」

 

 私は自分の体をみる。……裸体だ。まぁ、当然か。

 だが、それよりも、視界が引き上げられて気がついたのだが…。

 私は魔法使いに抱き上げられていた。

 

「は、はなせ」

「断る。今から転移の術を使用する。話をするな、噛むぞ」

 

 魔法使いを睨みつけ全力の抵抗を試みる。当然だ、こんな奴の言いなりになどなるものか!死ね!

 しかし奴は無表情で返してくる。死ね!

 

「……はぁ。そうか、君はその格好のまま街を練り歩いて家に向かいたいのか」

 

 なっ!馬鹿なのか此奴は!自分の嫁を願っておいてその扱いはどうなんだ!馬鹿か!

 って歩き始めたぞ!?待て待て待て待て!

 

「っ!ま、まてっ!」

「……いいだろう。で、要件は?」

 

 こ、こいつ……!無表情過ぎて何考えてるかわからん!

 それにしてもなんだ!?なんでこんなに胸が高鳴っているんだ!確実に私の感情じゃないだろ!?

 聖杯なのか?聖杯が悪いのか!?

 

「……」

「黙りか。まぁいい。私も犯罪者にはなりたくないのでな。─────ルーラ」

 

 やれやれ、と肩をすくめる姿に苛つく私。しかし、そんな姿もカッコイイです!と私の内で声がする。

 魔法使いが何かを言ったかと思えば、視界が青白くに染まった。

 思わず私は目を閉じてしまった。

 

「さて、着いたぞ」

 

 は?

 

「わぁ……!」

 

 目を開けば一変した世界。口から勝手に零れでる感嘆の溜息。

 これが転移……凄まじいな。ここが何処なのか皆目検討つかない。

 

「──俺の家だ」

 

 目の前には背の低い緑の草に覆われた小さな丘があり、所々に青や白の花が咲いている。丘の頂上には一世帯が暮らすには十分な大きさの二階建ての家が建っていた。ヨーロッパ風の建築物だ。

 屋根の上には知識にない鳥の姿を象った風見鶏がクルクルと回っている。

 

「いや、言い直そう」

 

 少し強い風が吹き、草花が揺れる。魔法使いのローブも大きくはためいた。

 私を抱き上げる腕に少し力が篭った。

 

「──ここは、俺達の家だ」

 

 言葉とは裏腹に、決意に満ちた表情が、私の脳裏に焼き付いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 ◻

 

 

 俺は転生者だ。ドラクエの魔法が使える上に、魔法に必要なステータスはカンストしている。

 つまり、強い。脆いが。

 

 だが、そんな俺にはとある物が無かった。

 

 大切なものを失う勇気だ。

 

 そう、その大切なもの失う勇気が無いせいで、俺は何時までもこの重荷を背負い続けて……いや、ぶら下げ続けている。

 

 ────童貞。

 

 それは、未だかつて無い程の強敵だ。どれだけの研鑽(自重)を重ねても、倒す事の、失う事の出来ないもの。

 

 だが、それを失うのも最早秒読み段階までやって来ている。

 遂に出来てしまったのだ。

 

 チラリ、と腕の中にスッポリと収まる幼い少女を見る。

 

 爆発の衝撃で意識を失っているのか、穏やかな寝息をたてていた。

 ………………アカン、鼻血が。

 

 失礼。穏やかな寝息を立てている、と分かったのは音ではない。胸が上下していたからだ。更に言えば、そこにある小さな赤い突起を童貞たる俺の(まなこ)が離してくれなかったから。

 

 赤い点が上に、下に。上に、下に。俺の目も同様の軌道を描く。

 

 ああそうだ、目の前の少女の外見だが、これに関しては驚いた。

 アンリマユが入っていると言う事なので、てっきり星0のアンリマユの女体化的なススワタリみたいな奴が出てくると思ったのだが……色白なのだ。そのせいで赤が目立つ。ずるいエロい。

 

 と、そうではないな。失礼。

  紳士たるもの外見の描写には真摯に行かねば。

 

 黒く、長い髪は腰のあたりまで届いているだろうか?抱き上げるために腰に腕を回しているのだが、髪の毛の感触がある。スベスベだ。エロい。ナニをしたいとは言わないが、いつかしたい。

 瞳の色は分からないが、神霊だ、赤い可能性が高いだろう。神性が高いと赤くなるらしいしな。

 かく言う俺も転生者であるためか、やや赤い。

 

 いや、俺の事なんてどうでもいいんだ。

 そして、体格なのだが、なかなかに細い。あれだ、栄養が若干足りていないのでは、と思わされる外見。

 

 の癖、やや膨らんだ二つの小山が魅力的。

 

 ではなく、えー、そうだな。うん。耳とかは普通の耳だ。とんがったりはしていない。ネコ耳とかもない。

 

 ふむ。あとは何をいえば……「ん」っとと、目を覚ましてしまったか。

  くそぅ、もう少し凝視したかった。

 

 

 ん?待てよ、今のって割とチャンスだったか……?いやいや、合意の上でヤラねば童貞卒業とは言い難い気がする。

 

「大丈夫か?」

 

 俺の問いかけに、少女─聖杯ちゃんとでも呼んでおこう─、聖杯ちゃんは眉毛をピクリと動かす事で応えた。

 

 寒くないだろうか、少しだけ抱き寄せておこう。

 

 !?!?!?

 

  ふわり、と香る甘い香り。俺は頭が激しくノックされたような衝撃を受けた。

 

 ……はっ、ま、不味い!なんだこの香りはッッ!!反則だろう!?女の香りなんて俺は嗅いだことなんてないんだぞここ数百年間!

 

 不味いっ、バベルの塔が……!右に傾いてる塔が建設されていく!このまま塔が高く登りすぎれば神がお怒りになるぞ……!堪えるんだ!

 

 は、はぅ……!不味い、不味いぞぅ、既に俺のズボンにその頂上が到達している!このままでは雲海(ズボン)を押し上げ、神の園へと辿り着いてしまう!

 

 倒壊する!壊されてしまう!

 

 ……待てよ?女性にチ〇コを壊されるならむしろ御褒美なのでは?

 

「……」

 

 っ、め、目を覚ましたぞ!……目の色は黒が混ざった赤か。

 だがしかし、このままでは不味い。バベルの塔はもうすぐそこだ。ズボンに阻まれてはいるものの、その先端は少女の大事な部分に標的確認、方位各固定、不毀の極槍して吹き飛んでしまいそうだ。

 

 ミッションとしては自然な流れでバベルの塔が回転して白いエアを発射する前に立ち上がる事。

 

「目が覚めたか」

 

 出来る限り上半身を少女に近づけ、腰を引く。チンさんを股間に収納するのだ。

 

 っ!近い!顔が近い!瞼の動きとかすごいよく分かってしまう。エロい。……いやいやいや、ロリ相手に何を言っているんだ俺は。……待てよ、相手はアンリマユだ。つまりとても年齢を重ねているはず。……合法ロリだと言うのか……?

 

 いや、しかしだな。いけない事だ、少女を襲うというのは。yesロリータnoタッチ!イエスロリータノータッチ!

 

 ……気がついてしまった。秒読み段階まで来たと思ったが、数年待たねばならないじゃないか!

 

 待てよ?つまりこれは……光源氏計画という事か。

 

 〜理想の嫁を育てよう、アンリマユ編〜

 

 という訳だな?

 ちなみに、嫁にする際、アタックカンタとマホカンタ、アストロンその他バフ、デバフをフルで使用した結界を張って漸くギリギリ防ぐ事が可能な爆発が起きるため注意した方がいいぞ、願うなら。

 

 ふふふ、いやぁ、夢と股間が膨らむな。

 もうぶつかってしまいそうだ。耐えろ俺。あ、触れた。あぁ、押し付けてしまう、それだけは避けるんだ!

 

「?……?。??」

 

 聖杯ちゃんは俺の顔をじっと見つめてくる。バレたか?背中の感触に気が付いてしまったか?

 俺の極刑棒に、気がついてしまったか?

 

「どうした、何か(背中に)付いているか?」

 

 キョロキョロと首を動かし周囲を確認し、不思議そうにした後、更に天井を見渡し、床をペタペタと触って更に不思議そうな顔になった。

 可愛すぎて死にそうになった。

 

 あぁ、不味い。母性と父性が刺激されてしまう。なるほど、ギロチンブレイカーならぬチン〇ンブレイカー、性欲そのものを保護欲に変化させる宝具かっ!

 

 ……鼻血を堪えなくてはならない。

 

「まぁいい。今から俺の家に向かう。……その格好では不便だろうからな」

 

 背中の異変に気が付かれる前に素早く立ち上がる。ミッションコンプリートだ。

 しかし余計な一言も言ってしまった。少女が裸である事を知ってしまったのだ。なんて事だ、これで隠されたら見れない。……隠す姿もとても見たい。

 

「は、はなせ!」

 

 うん、ですよね。

 そりゃそうだ。俺でも目が覚めたら裸の自分が男に抱き上げられてました、なんて逃げようとする。絶対にだ。

 

「断る」

 

 だが断る。いくら暴れようとも、嫁を離すつもりは無い。もはや今生にてこのような出会いは無いに違いないからな。俺は詳しいから知っているんだ。俺には致命的に女運が無いことをね。

 

 何故ならば今まで出会った女性は必ず俺を殺そうとして来たからだ。

 槍持った対魔忍とか特に怖かった。その2本の槍で二穴プレイですか?と言おうとしたら「力を示せ!」とかなんとか。殺意が凄まじかったが、まぁルーラ安定。死にそうになったらこれに限る。

 

 そうだ、家まで遠いし、ルーラを使うとしよう。なに、どうせ裸の少女を抱えたうえ、頬に残念なビジュアル系バンドのマークみたいな痣を引っつけた男が町を通ったら即通報だ。

 妻を願ったら豚箱とか、流石に嫌だ。……ほとんど誘拐なので逮捕されても文句を言えないんだけども。

 

「今から転移の術を使用する。話をするな、噛むぞ」

 

 おっととと、まだ暴れるか……めっちゃ睨んでくる。可愛い。やばいな、顔がデレッデレになりそうだ。途端にそんな顔になったら絶対に嫌われる。引き締めろ。そして見つめ返すんだ。

 何だったか、ひとめぼれは7秒のうちに起こるらしいし、7秒間耐えよう。

 

 ……惚れた?……なわけないか。

 

 あー、この子に恥じらいとかあるのだろうか……聖杯だぞ?アンリマユに汚染されているとは言え、考え方が無機物でもおかしくは無い。まぁ、先ほどの反応からして平気だとは思うが……カマをかけてみよう。

 

「……はぁ。そうか、君はその格好のまま街を練り歩いて家に向かいたいのか」

「っ!ま、まてっ!」

 

 恥じらったッッッッ!

 く、くぅ〜!鼻がそろそろ決壊しそうだ。

 

「……いいだろう。で、要件は?」

「……」

 

 冷静に、冷静になろう。今本性を知られては光源氏計画は無に帰す。そうなっては振られて終わりだ。俺はロリコンではないが、ひたすら女に飢えている、そこさえ我慢できればなんとかいけると思うんだが、耐えれるだろうか……耐えるためにも聖杯ちゃんに服は必須だろう。

 着てくれるか分からないが、着させればいいんだ。

 

「黙りか。まぁいい。私も(性)犯罪者にはなりたくないのでな」

 

 特に要望は無いらしいので、さっさと行こう。

 

「ルーラ」

 

 呪文を唱えればほんの一瞬、それこそ0.01秒程の速度で魔法陣が俺の周りを回り、術が完成する。早さには自信があります。アレもこれも。壊音の霹靂よりずっとはやーい!

 視界が白にそまり、その次の瞬間には俺達は人里離れたこの場所にいた。

 

「さて、着いたぞ」

「わぁ……!」

 

 ンー!素晴らしい反応!なんだこの天使は。目をキラキラさせながら俺の腕から少し身を乗り出すように辺りを見渡しているのだ。幼い外見も相まって天使。

 ……神だったわ。

 

「──俺の家だ」

 

 こだわった点は風見鶏のモデルをレティスにした事だろうか。理由?特にない。なんか縁起がよさそうだなーと思っただけだ。……それにしても、内装なんて無いぞ。旅ばっかで荷物置き場としてしか使用してなかったからな。大丈夫だろうか……「ダサっ」とかそんな感じで嫌われないか?既に遅い気もするが……。

 

「いや、言い直そう」

 

 そうだ、もう、ここは俺だけの家じゃなくなる。この聖杯ちゃんとの愛の巣になるのだから。俺の家じゃない。

 俺は決意し、力強く言う。

 

「──ここは、俺達の家だ」

 

 この家で、俺は、この子で、童貞を捨てる。

 そう心に固く刻んだのだった。

 

 

 




現在、聖杯ちゃんは酷く混乱しているため思考力が悲しい事になっています。(ぽんこつ)
少し落ち着いたら勘違いが加速するでしょう。落ち着いて思考すればするほど勘違いの沼にハマって行ってくれるといいな、と思いました(小並感)

主人公は原作の知識を大部分忘れているのです。彼が貰った特典は「無限の寿命」と「ドラクエ魔法」です。
殺されると死にます(蘇生はある)


という訳で、オリ鯖のステータスです。


名前:ロビンフット(♀)
性別:女
属性:秩序/善
クラス:アーチャー

ステイタス
筋力D
耐久D
敏捷B
魔力A
幸運D
宝具B

宝具
祈りの森(イー・バウ)
ランクD

ロビンフットの周りにイチイの森が出現しその森と一体化する宝具。森は徐々に広がっていく。森と一体化することで、全ての木々に瞬時に移動が可能。転移には魔力が必要な為、多用は出来ない。木々の一つ一つはエーテル体で構成された言わば擬似的なロビンフットである為、神秘の篭っていない方法での破壊は困難。
放たれるイチイの矢が突き刺さると、任意のタイミングで真名を解放。森中の毒素が対象に集中して流れ込む。この毒素は対魔力でやや軽減が可能である。
祈りの森と顔の無い女王、破壊工作が組み合わさる事で圧倒的な殺傷力を発揮する。

顔の無い女王(ノーフェイス・メイクィーン)
ランクB
彼女の着ている外套による能力。完全なる透明化、背景との同化ができる。伝承防御と呼ばれる魔術品でもあり、光学ステルスと熱ステルスの能力をもって気配遮断スキル並の力を有するが、電子ステルスは有していない為、触ってしまえば位置の特定は可能。外套の切れ端であるものを使い指定したものを複数同時に透明化させたり、他人に貸し与えても効果は発動する。これを解除させるには、対軍クラスの攻撃をさせることが有効。

スキル

単独行動A

対魔力D

破壊工作A

黄金律D

皐月の王B



性格は真面目、悪事をとことん許さない。幸せな家庭を望んでいる。尚、家事が苦手なぽんこつ。料理をさせてはいけない、イチイが入っている場合があるゾ。死ゾ。


くっくっくっ、ロビンフットだと気が付けた方は居たかな?ロビンって沢山いるし、女の子呼ぼうぜっと、こうなりました。


コメント、評価、お願いします。
次回、続け。

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