魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」   作:シフシフ

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皆さん、夏休みですね。
前作からかなりの間が空いてしまいましたが、初投稿です。

とても久しぶりに初投稿をするので、文章が拙いと思います。小学四年生位のロリが書いたと思って生暖かい目で文章を見つめて、充電が切れて暗転したらその顔を30秒見つめてください。そしてこれは悪いやつだな、と思ったらコメントで報告してください(*´꒳` *)





魔法使い「寒さとは即ち……男女が裸で身を寄せあって暖をとる最大にして最高のチャンs(ry」

 

「へっくち!」

 

朝だ。窓の外は白み、びゅうびゅうと吹雪が吹いている。

 

「いや、おかしいだろ」

 

昨日まではさんさんと日光が降り注ぎ、地面を照らしていた筈なのだが、いきなり過ぎないか?

そらは雲におおわれているし、凄い吹雪だ。

 

「…………さ、さぶいっ……!」

 

骨身に染みる様な寒さを感じてブルリと震えながら、ベッドの中に潜り込む。すると、何か硬いものに当たった。それは暖かく、この寒さを凌ぐのに適しているように思えた。

 

「…………あったかぃ」

 

それにギュッと抱きついて暖を取る。少し触って確かめると意外と凸凹している。硬いがなんだろうか。私のベッドの中にこんなものはなかったと思うんだが……まぁいいか、暖かいし。

それになんだか落ち着く香りもするし、ショウの顔も見たくないししばらく部屋に篭っていよう。

 

寒さのせいで早く起きすぎてしまったが、これならばよく眠れそうだ。

 

「ふふ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら、俺は今天国にいるらしい。

寒くてベッドから出られなかった俺だったが、なんとその間にマユたんが起きてしまったのだ。

誤算と言うよりは単純に寒さに負けた俺のせいなのだが……まぁ仕方ない。フバーハとか掛けて眠って見れば俺の言いたいことは分かるはずだ。ぬくぬく感が全くなくて毛布などをかけて眠っている感覚になれないのだ。

 

まぁそんなわけで、実は俺にマユたんがくっついてきた。寝惚けているのかそれとも分かっていてやってるのかは分からないが。

だが、俺に抱きついている事は確かだ。寒いからか頭まですっぽりと潜っている訳だが、なんか背徳感がする。童貞だからか……?このまま俺の息子を……いや、なんでもないです。

 

「ふふ……」

 

はぅっ、鼻血でりゅぅぅぅう……!!ホイミホイミ。よし、セーフ。

 

……さて、そろそろカルデアに行かなきゃ行けないな。ちなみに、ここは立香ちゃん達の世界とは色々と異なってるから世界ごと凍った訳では無い。今雪が降ってるのは単純に、極寒の世界ってどんな感じなのかな、なんて再現してみただけだ。極寒最高ですわ、だって見てみ。抱きつかれてんねんぞ。幸せかよ。

 

実際、まだ向こうも凍った訳では無いだろうし。

 

ゲームやってた時は確か、なんも出来ずに職員達が死んじまう訳なんだが……世界を救った英雄達が簡単に殺されていく様って言うのはなんて言うか……あの時は確かに怒りを感じたと思うんだ。

今はまぁ、そうなんだ。位の感覚なんだが……嫁さんに惚れてもらうためにもかっこよく生きたい(本音)

 

……。

 

でももう少しくっついてていいよね?……ダメだよなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やぁ!よく来てくれたね魔法使い様!」

 

魔法使いがカルデアに来る。

その知らせを聞いて、ダヴィンチ達は大急ぎで出迎えの準備を整えた。

できる限りの持て成しをする為だ。

 

何せ今日は魔術協会の者達がやってくる、まさにその日なのだ。

魔術協会の者達が来た時に、何の持て成しもされていない魔法使いを見たらどう思うか……。

魔法使いとはそれだけ“大きな”お人なのである。

 

「持て成しは要らないが……仕方あるまい」

「……」

「?」

 

魔法使いもそれが分かっているのか、渋々といった様子で受け入れた。

しかし、それよりもダヴィンチが気になったのは魔法使いの後ろでやや俯いたまま立ち尽くすマユの事だ。

 

先日会った時はダヴィンチを挑発するような元気な女の子だと思っていただけに、反応らしい反応をしないマユをやや案じた。

魔法使いが魔術師“らしい”男なら、傀儡にされたとかの予想が付くが、そういう訳でもないのだろう。

 

「魔法使い様。マユちゃんはどうしたのかな?」

 

魔法使いはその言葉に肩をすくめる。そして、ダヴィンチを正面から見つめる。冷酷で感情の起伏を感じさせない眼差しだ。ダヴィンチは胸が跳ねるのを感じながら、それをおくびにも出さずニコリと笑い返す。

すると、グイッと魔法使いの顔がダヴィンチに近付く。

耳打ちをする気なのだ、と分かっていても赤面を止められない。

 

「────レオナルド、君のような存在に、マユは会いたがっている」

「ひゃ、ひゃいっ……!あ、あわあわ、あわせてあげるとも!!」

 

囁かれる声は冷たく、けれどダヴィンチの顔は灼熱を纏った。

 

「そうか、礼を言う」

 

ばっ!と魔法使いから伸び退いて背を向けながらパタパタと顔を扇ぐダヴィンチ。冷静な思考が訴えかける。

こんな事をしている場合ではない。ひとまず、魔法使いを味方に付けなくては。

 

「ま、魔法使い様!」

「お前に様を付けられるのは気に障る。昔のままでいい」

「っ!……あ、あぁ。わかった。魔法使い」

 

魔法使いが表情を変えず、こちらを見ている、そう認識するだけでダヴィンチはそわそわと落ち着かない気持ちになる。私が惚れているのはその知性だけだー!とどうにか自分を誤魔化して、本題に入る。

 

「今日、ここに君が来たということは、私たちを助けてくれるって事でいいのかい?」

「なんの事か分からんな。今日、“何かが”変わるのか?」

 

やはり、魔法使いは何かを知っている。

2人のやり取りを遠巻きに見ていたムニエル他職員やホームズは確信する。ダヴィンチも理解した。そして、これは恐らく彼なりの誠意なのだと受け取った。

 

「今日、魔術協会が来る。私達の証言では恐らく足りないだろう。けど、魔法使いの言葉なら向こうは考慮せずにはいられない。少なくとも、表面上はね」

「……」

 

魔法使いは黙り込む。カルデアの中であるため、風もない筈なのだが、ふよふよとローブが蠢いている。

魔法使いの後ろで彼に溺愛されているであろうマユと言う少女がローブの動きを目で追っていた。

 

「………………わかった。助けよう」

「本当かい!?ありが…!」

「─────だが、証言はしない」

 

え、という困惑の声を誰かが上げた。

 

「俺はお前達の軌跡を知るが、それを直接この目で見た訳では無い。肌で感じた訳でもなく唯知り得ただけだ。それに──」

 

「それに……?」

 

「世界を救って見せたなら、協会程度どうとでもなるだろう?何をいまさら怖気付いている。俺はお前達を助けよう。だが、それはお前達の命だけだ」

 

周囲を見渡しながら、語りかけるように魔法使いは言った。背中を押したのだ。

 

“お前達は世界を救った英雄達だ。心配せずに戦ってこい。命だけは必ず救ってやる”

 

これ程心強い後ろ盾があっただろうか。正面から協会にぶつかって、死んだとしても生き返らせてもらえるのだ。

無論、正面からぶつかるなんて事はバカのやることだ。協会は本来ならば味方……と言うよりもカルデアの上司にあたる組織。

今回はカルデアの有用性や飛ばされた1年間の説明などを行い、カルデアがどれだけ人類に必要な物なのかを協会に分からせるための戦いなのだ。

 

死人なんて出るはずがない。

 

職員の()()がそう考えた。

 

「………………死人が、出るのか……」

 

ダヴィンチが唖然としたような……あるいは可能性としては考慮していたものの、それを確信させるような事を言われ戸惑っているような顔で、ボソリと呟いた。

それは声のよく反響するこの場では大きく響き、職員達にざわめきが広がる。

 

ホームズの隣で事を見守っていた藤丸立香やマシュ・キリエライトも胸に手を押し当て、心配そうに職員達を見回していた。

 

「レオナルド、カルデアには何騎のサーヴァントが残っている?」

「私とホームズだけだね」

 

ちらりと魔法使いがホームズの方をみれば、ホームズが片手を胸に添えてお辞儀をした。整った顔立ちにスラリとした体型。着こなされたスーツにより、実に様になっている。

 

「マユ、あの男には近寄るなよ」

「…………」

 

そっとマユに魔術で内緒話しをする魔法使いは……実に小さな男であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

カルデアに来た。

ショウが何かを話している。

 

ダヴィンチが私の様態について聞き、ショウはそっとダヴィンチに耳打ちした。

何を言っているのだろう。悪口か?……いや、それはないか。どうにも考えが暗い方向に向かってしまう。

 

はぁ、というため息を外に出さずに飲み込み、ふよふよと揺れるショウのローブを眺める。

 

「マユ、あの男には近寄るなよ」

「っ…………」

 

いきなりショウの声が耳元から聞こえて心臓が飛び出そうになる。

なんとかそれを堪えて、ショウの言った男を見る。

 

……シャーロック・ホームズ。確かに、あれは危険な男だろう。聖杯としての知識も、ところどころ欠けているもののその危険性を十分に分からせるものだった。

 

僅かな情報から真実を探し出す……味方としては心強いが敵に回すと最悪の相手だろう。

私の場合、味方にしても恐ろしい。なにせこの世全ての悪であり、聖杯などという特異な存在だ。それを知られ言いふらされたら終わりだ。

 

…………いや、私が死ねばショウの目的は達成できない……ちっ、生き返らされてしまうか……ダメだ。近寄るべきではない。堂々と反抗し意識を殺されては一泡吹かせることすら出来ない。

 

今は耐え忍ぶべきだ……。

 

「あ、じゃあ私、案内しますね!」

「私も行きます、先輩!」

 

考え込んでいる間に話は進んでいたらしい。

どうやら私達が泊まる部屋に案内されるようだ。サーヴァント達のほとんどが座に帰り、空室が沢山あるのだとか。

 

1人で1つ部屋を貰えるのかも。ここならショウの監視の目も緩むかもしれない。悪巧みを……

 

「マユと俺は同じ部屋でいい」

 

…………え。

 

「わかりました!」

 

……どうやら、悪巧みは出来そうにないみたい……だ。ガクリ

 

 







誤字脱字、コメントお待ちしております!
PS。
遅くなって申し訳ないですが、夏休みも予定でみっちりなので投稿ペースが早くなったりはしません!┏○┓

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