魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」   作:シフシフ

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高速真言E+++……。
やる気がある時だけ高速で物語を綴る事が出来るスキル。
更には「初投稿」の時にしかその効果を発揮しない。


という訳です。つまり、初投稿という事だ。




魔法使い「名前教えて?覚えてないから。ゴル……ゴルゴ?」

 ※

 

 藤丸立香とマシュ・キリエライトは全力で廊下を走っていた。

 本来の歴史と違い、壁に傷はない。

 そうして何事もなく格納庫にたどり着いた。

 

「ここが、格納庫……?」

「はい。ですがあんなに大きなコンテナ、今まではありませんでした……!」

「つまりはダヴィンチちゃんの発明かな!」

 

 立香が目を輝かせながらそう言った。彼女たちにはまだまだ余裕があった。魔法使いという心強い後ろ盾が、自分たちを守ってくれているのだから。

 

「ご名答!とても頑丈なシェルターさ!中においで。急がないと魔法使いに迷惑がかかってしまう!」

「分かった。けど、他の職員のみんなは……?」

「─────魔法使いに任せてある」

「そっか……よかった」

 

 一緒に冒険をした訳でもないのだが、魔法使いへの信頼度は高い。しかし現実ではお嫁さん相手にカッコつけたい魔法使いがデレデレしながら行っているだけなので格好がつかないが。

 

「……!アナウンス……この声、ゴルドルフさん……?」

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ……!誰か、誰か…………!誰かいないのか!」

 

 ゴルドルフは1人で孤軍奮闘していた。その手には魔銃と魔除けを握りしめ、近寄ってくるオプリチニキに牽制を繰り返していた。

 

「私だって……!私だって努力したんだ!名をあげよう、認められようってな!!ちくしょう……!こんな所で……やっと、やっとここで成功できると思ったのに……!!」

 

 涙と後悔に顔を歪め、それらを怒りにでも変えたのか必死に戦っている。転がるようにして相手の攻撃を躱し、這いつくばってでも生きようともがいていた。

 

「死にたくない!まだ、死にたくない!!私はまだ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▪

 

 ショウと一緒にカルデア内を進む。

 職員たちを片っ端からルーラでどこかに転移させながらだ。転移の魔法なんて、大量の魔力を消費しそうなものだが……こんなに何回も使って平気なのだろうか。

 

 カルデア内にはアナウンスが流れていた。ここを買った人のようだ。

 哀れなやつだ……だが、その努力は認められるべきだと思う。私にもどうやったら他者に好かれるのか分からない。

 

 ショウの方をちらりと見る。表情は全く変わらない。……私は、好かれてるのだろうか……?

 

 

「──1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 

 

「──ッ!」

 

 耳に飛び込んできた言葉に、息を詰まらせる。

 

「マユ?」

 

 身体が強ばったのを感じたのか、ショウが私を心配そうに見下ろしている。走っていた足は止まっていた。

 

「な、なにしてるんだ……はやくいけ」

 

 ショウがまた走り始めた。私とショウの周りを不思議な文字のようなものが描かれた光の帯がクルクルと回り続けている。

 仮面の男達が視界に入る度に凍らせ、あるいは溶かして進み続けた。

 

 その間、ずっと私の脳内にはさっきの言葉があった。

 

 …………暗い考えを持ち過ぎているのだろうか。

 

 ふふっ、なんだか途端に馬鹿らしくなってきた。考えるだけ無駄なんじゃないか?

 何も考えず、あるがままを見、感じ……ショウの隣にいるだけで良いのではないか…………。

 

 私は疲れているのだろうな。

 

 ………………屈服などしてなるものか。

 せめて平等でなくてはならない。じゃないと『夫婦(めおと)』では無い……だから諦めない。

 雌雄が互いに支え合うからこその夫婦だ。だと言うのになぜ私だけが献身せねばならない?断る、断固として断る。

 

 私は人形でも願いを叶えるための玩具でもない、意思を持った個なのだ。

 思い通りになどなってなるものか。

 

 …………アナウンスの男も諦めていない。嘆いているし、情けない声を上げている。でも、負けていない。

 恐怖に怯えてなお、必死に抗っている。

 持ちうるものの全てを使ってだ。

 

 私は……使ったか?努力をしたか?

 私という個人が持ちうる全てを使ってショウとぶつかっただろうか。

 …………そのつもりではあった。

 

 だが、足りない。

 私には知識も経験も足りないのだ。これでどうして数千年生きたショウに届こうか。ショウに並び立てようか。

 

 認められていないだろう。愛されて等いないだろう。

 だからどうした。まだだ、私にはまだ時間がある。

 私の体が成熟するまでの長い年月がある。その間に学び蓄え、試行錯誤を繰り返せる。

 

 認められていない?愛されていない?

 ならば、認めさせ愛させてみせよう。それが現状唯一、私という個が生存するための道なのだ。

 

 ショウの魔術で頑丈な扉は即座に霧散し、部屋の中へと飛び込んだ。アナウンスの男の居る部屋だ。

 

「ぐっ、ぐぁぁ!いたい、いたーい!やめろ!やめるんだ!」

「っ!!ショウ!」

「わかっている」

 

 ショウの腕に抱えられながら、私は指を指して叫んだ。

 予め準備されていたのか、周囲を回る光が強くなった。男を囲む無数の仮面達に、その光は放たれる。

 

「──ライデイン」

 

 ショウの一言と共に()()()()()()()。天に咲き、空を裂き、天井を突き破って。

 ソレはかつて神々のみが振るったという神罰の一撃。あらゆる神話において神と同じようにして考えられた自然現象。

 

 0.001秒という認識不可能な速度で爆音を響かせながら……いや、響く頃には既に終わっていた。

 

 ────────────────ッッッ!!!

 

 何も聞こえず、眩しさに目を開くことすらできなかった。

 ショウの腕の中で必死に耳を押さえながら、鳴り止まるまでを待った。

 男はきっと悲鳴をあげただろう。それか気絶してしまったかもしれない。

 

 私も悲鳴をあげたが、かき消されたのでセーフ。

 

「…………ぁ……は…………ぇ…………は???」

 

 腰砕けになってあわあわと焦げて倒れ伏せる仮面達を見る男。マルっとした肉体が生まれたての小鹿のように震えている。

 

 ……良くもまぁ生きているものだ。まぁ、ショウが間違って殺してしまうことなど有り得ないか。

 

「──────()()()()()()()()

 

 ショウが話し掛けた。

 手を差し伸べながらだ。私は片腕で抱かれる形となり、ショウの腕の上に座るような状態だ。

 これでは格好がつかないのではないか?と思ったが、よくよく見れば床は未だにピリピリと帯電しており降りられそうにはなかった。

 

 男には何らかの魔術が掛けられているのだろう。その状態でも特に問題はなさそうだ。

 振り向きショウを視認した男。震えがピタリと止まる。そして、しばらく固まった。

 

「……へ?」

 

 そうして出てきた言葉は情けなかった。

 

「…………ふぉあ!?おぉおおおまままま、魔法使い!?様!?」

 

 動転し過ぎだろ。

 

「いいいいい、いいま今なんと仰りましたか!?」

「名は、なんと言う」

「わ、わた、私の名前を、きき、聞いてくださるのですかぁ!?ぉ、おおおお……!!」

 

 ……?

 

 なんでこんなに喜んでるんだ?

 私は思わずコテンと首をかしげた。少し思案し思い至る。生ける伝説の魔法使いに魔術を学び何れ魔法にたどり着こうと考えてる魔術師達が出逢えばどうなるか、更には名前を覚えてもらえるかも、なんてなった時……その衝撃や喜びはとてつもないもの……なのだと思う。

 

「ご、ゴルドルフでございます!ムジーク家のゴルドルフでございます!」

 

 腰が抜けたまま四つん這いでショウに迫るゴルドルフとやら。このまま進ませては靴でも舐め始めるのではと思う程だ。

 ばっちいぞ、ショウが怒ったらどうするつもりなんだ……。

 

「……ではゴルドルフ。お前には任を与えよう」

「は、ははぁ!!どのような任であれ必ずやお答えしてみせましょう!!」

 

 あ……これ無理強いさせられるやつだな。私には何となくわかるぞ。

 

 

 

 

「そうか。ならば……世界を───()()()()()()()()

 

 

 

 

「ははぁ!!お任せあれ!!こうしてはいられん!早急に人類を救いに…………

 

 

 …………あれ?…………ぇ?人類を……??」

 

 ……頑張れ、ゴルドルフ。

 私は小さく手を振った。とても面白い顔でゴルドルフは白くなった。

 

 

 

 

 

 ────追記────

 

 伝説において、かの『魔法使い』は特別な人間しか、名前を覚えなかったという。

  所謂英雄や勇者、魔女や魔王。そう言った特筆すべき人物達しか彼の「蔵書」の中にはない。

 

 故に、魔法使いに名前を呼ばれる、あるいは覚えて貰えるというのはそんな過去の英傑達と同等の扱いをされているようなものなのである。

 

 実際、未来を正確に予言する魔法使いが「名前を覚えた」人物は、必ずと言っていいほどに皆大成し、歴史に名を残すような発明や出来事を起こしている。

 

 逆に言えば、名前を覚えられた人物は大事件に巻き込まれると言うことだ。

 ゴルドルフは世界を破壊することで人類を救う旅に強制参加(ルーラ)させられる。

 必ずやゴルドルフは世に名を残すだろう。

 必ずや羨望の的になるだろう。

 

 彼の願いの1つは最高の形で叶えられたのだ。

 かの魔法使いに名を覚えて貰えるという……最も贅沢な方法で。

 

 






その後の一幕。(キャラ崩壊、台本形式注意)

シ「……調子に乗るな。慢心するな。いいな?」

ゴ「は、はいぃ!!」

シ「……よし、お前にこの呪文を授けよう」

ゴ「はぃいいい!?」

シ「アストロンだ。いくつかのタイプがあるが、お前には全身を金属に変えるタイプが最も相性がいいだろう。この世のあらゆる物質よりも硬く、柔軟で如何なる温度でも融解することがない。そんな魔法の金属に全身を変えるものだ」

ゴ「──────────(気絶)」

シ「………………要らないのか……そうか」

マ「(いじわるだ!ショウがいじわるしてるぞ!小心者にいきなり『魔法あげる』とか、しんぞうつぶれるわ!たぶん!)」

マ「わ、わたしにくれてもいいぞ!」

シ「俺が守る以上持っていても無駄だ。むしろ、それで矢面に立たれてはかなわん」

マ「くっ!!」

ロ「(尊い……尊い……主とロリ……尊い……)」





アストロンについて。
無敵方法が3種類程ある。()内は型月における近しいもの。

・世界から隔離する。(アヴァロン)
・めっちゃ硬い防壁を張る(ロードオブキャメロット)
・固くてやらかい(ORT化)


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次回!!ケツ狙い変態ホモ野郎死す!そして爆誕!ロリホモ野郎!
デュエルスタンバイ!

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