魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」   作:シフシフ

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初投稿です。


魔法使い「可愛さを前に語彙と脳を失った男、スパイダーマッッ!」

 ◽︎

 

「……なんの用だ」

 

 剣、銃など色々な武器を手にした20人近くからなる武装集団に俺は取り囲まれていた。彼らはホムンクルスだ。

 

 本筋の世界は今、凍りついているが……特異点には何ら影響はない。

 

 作るのは難しいが特異点そのものを作ること自体は可能だ。

 全てを1から作ろうとすれば、そこにいる全ての生物や物体、気体その他全要素を自作する必要があるが、イメージだけで作るのならざっくりでいい。

 

 まぁそんなことは置いておこう。目の前にいるのはユグドミレニアのホムンクルス達だ。

 ここはとある特異点で聖杯戦争が頻繁に行われている世界だ。

 俺がマユたんを創り出した世界だと言えばいいか。

 

 要するに、聖杯大戦が行われている特異点だ。あの原作とは細かな所が違うが、そこは俺の干渉があった為に分岐したのだろう。ちなみに時間の進みが家の特異点とは違う。こっちの方が遥かに早い。

 マユたんを創り出してからこっちでは既に20〜30年近い月日が流れたようだ。

 

「魔法使い様、我らの主がお呼びです」

 

 武器構えながらそのセリフはなんだ。行く訳ないだろ、馬鹿なの?顔が可愛いからってホムンクルスは対象外なんだよ。これだからダーニックソは……大人の御人形遊びは恥ずかしいと思うんだが?

 

「知らん」

 

 武装集団に囲まれながらお茶する気にはなれない。人形に囲まれながらとか……ねぇ?大の大人がねぇ?子供ならまだしも……も?ッッッッッ!!! マユたんが……ぬいぐるみに囲まれ…………!!

 

 危ねぇホイミ。

 

 俺の脳内に幸せ空間が一瞬にして広がり、保存された。

 

「そうですか。では、排除します……!!」

 

 よし!お礼言いに行こう。そしてその後ぬいぐるみを買いに行くんだ。

 

「よし、気が変わ」

「「「──────!!!」」」

 

 一斉に掌を構え、魔術を放つホムンクルス。それに合わせるように剣や槍を持った個体も突撃してくる。

 

 ま、不味い!!

 

「待てっ」

「はぁあぁああああ!!」

 

 アタカンタとマホカンタ切ってないから待って!

 

「────ヅ!?」

 

 あーあ、攻撃が反射されて死んだぞ……なぜ自分たちが死ぬレベルの全力で殴ったのか。これが分からない。

 

「…………案内が居なくなったが……まぁいいか」

 

 よく良く考えればお礼とか要らないよな。ぬいぐるみ買い物行こ。

 ……待てよ?適当な店から買ったチンケな人形でいいのか?いいやダメだ。プロにお願いしよう。

 

 たしか、青崎橙子とか言ったな。他の特異点の時計塔では人形師とか呼ばれていたはずだ。相当に人形作りが上手いのであろう。これは期待できるぞ。よし、まずは居場所を知るために時計塔へGO!

 

「ルーラ」

 

 

 

 ▪

 

「ま!魔法使い様、行っちゃったね!ところで君のお名前を教えてくれないかな??」

 

 リザがショウが転移した後にそう切り出した。私ばブスッと不機嫌さを隠しもせずに、家主であるからとコップを取ってくる。

 おもてなししなくてはならない。客人が来たが……マカロンは出さなくていいか。こいつにあげたくないぞ私は。

 

「わたしは……マユだ。まほうつかいはどうせすぐにかえってくる。しばらくはおかしでもたべてればいい」

「マユちゃんだね。覚えたよ!」

 

 覚えなくていい。

 ちっ、わざわざ隣の席に移動してきた……上座に置いてやったのに。

 

「ねぇねぇ、マユちゃんはさっ……ま、魔法使い様とどんな関係なの!?私気になるなぁ〜?」

「……モグモグ」

「あれ?無視かい?もーいいじゃないか!教えてよ!」

 

 なぜ言わなければならない。必要があるのか?ないだろ。

 

「やだ」

「いいだろう?」

「やだ」

「おーしーえーてーよー」

「いーやーだー」

 

 馴れ馴れしく私に抱き着いてくるリザを押し退けようと踏ん張るもサーヴァントが相手ではどうしようもない。

 

「ええいやめろ!」

「やめるもんか!うりうり〜ここだろ〜ここなんだろ〜??」

「うひゃ!?にゃなにをっ!?」

「こちょこちょ〜!!」

 

 

 

 

 ◽︎

 

「あははははは!やめっ、やめて!くすぐるのダメだっ!」

「ふへへへへ!そーらーそら!私の全力の擽りを受けたまえ!」

 

 帰ってきたら妻がこちょこちょされていた件について。おい、レオナルド。

 なんだろうなこの気持ちは。

 仲良くなれとは言ったが、お触りOKとは言ってないぞ。

 

 やべぇ、嫉妬心がマシマシですわ。

 でも、見た目だけならロリ達が戯れているだけだから尊い。

 

 混ざりたい…………ッッ!

 

「はぁ、はぁ、もう、つかれた……おしまいだ、やめろ」

「ははは!そうしようか。じゃあお菓子食べようよ」

「わたしは、はじめから、そういってたのに……」

 

 なんだと?おいレオナルド。どういう事だ。お菓子を一緒に食べようとマユたんが誘っていたというのに、お前はこちょこちょなどと称して全身をお触りしていたと?ぶっ殺すぞ。

 

 ……しかし、お菓子を食べている目の前でぶっ殺したらさすがにトラウマになるだろう。やめてやる。喜べレオナルド。だが次は無いからな。

 

「??????」

「どうした?」

「えっと、なんか視線を感じたんだけど……気のせいかな?」

「む、まほうつかいだな。まほうつかいはとうめいになれるから、どこにいてもおかしくない!」

 

 レオナルドが俺の視線を感じ辺りを見渡している。そしてマユたんは俺が透明になっていると推理したようだ。

 しかし、残念かな。俺は何時ぞやに言った隠し部屋に居て、そこから隠しカメラで拝見しているのだ。ちなみに、隠しカメラにはステルスが付与されているので場所は特定不可能だ。

 

「おい!まほうつかいでてこい!」

「まぁまぁマユちゃん。魔法使い様がそんな事するわけないだろう?あ、でもマユちゃんが心配で覗いているのかも?」

「うぇ?そ、そんなはずはない……なにかたくらんでいるんだ」

 

 魔法使いはもっと酷いことをしていますよレオナルド君。そして、企んでなんか居ないよマユたん。ただ平和を傍受しているだけさ。

 さて、アリバイ作りのために、家の外にルーラして玄関から登場しようではないか。

 

「────今戻った」

 

 玄関の扉を開けると、家の中からトットットと足音が聞こえてくる。走っているみたいだな。

 

 ッッ!まさかッ!マユたんがお出迎えを!?

 

「魔法使い様っ!おかえりなさいっ!」

 

 お前かよレオナルド。魔法使い様はがっかりだよ。

 

「うぇぇ……かえってきた……」

 

 レオナルドの奥、リビングの扉から顔だけ半分出してジト目でマユたんがこちらを見ている。

 かわいい(思考停止)

 この光景を見られただけでレオナルドを許せる。

 

「あぁ、帰ってきたぞ」

「はわぁ〜!うへへへへ」

 

 うわ、なんだコイツ。ちょうどいい位置にあったからつい頭を撫でてしまったがよくよく思えばじじいの禿頭じゃねぇか。しかもロリボディに馴染みすぎでは?ロリジジイ感をもう少し出せ。怖いぞ。

 

「な!……お、おいまほうつかい!リザにきやすくふれるな!」

「ん?あぁ、済まない」

「あー!……もう!マユちゃん!」

「っておおい!?わた、わたしのあたまをなでるな!さわるな!しね!」

「ひぃ!?そそ、そんな事言っちゃダメだよマユちゃん!!」

「うるさいぞリザ!どうせしねといってもしなないんだからいいんだ!」

 

 ふふふふふ、それに比べて、マユたんはカワユスですなぁ。触ると死ねって言ってくるけど、あれだろ?俺には分かってるんだぜ。本当は自分も頭撫でてもらいたかったんだろ?ん?そうだろ?ふへへへ。

 ………………そうだと、いいなぁ。死ねの一言がボディブローの様にジワジワ効いてくるわ……。

 

「そんなことよりも魔法使い様っ、何処にお出かけしていたんだい?教えておくれよ」

 

 おい、レオナルド。俺に近づいて上目遣いを自然に使おうとするな。そして、そう言うのはマユたんに聞かれたいんだ。お前ではない。

 

「ふんっどうせ、ろくでもないところだ。きくいみなんてないぞ」

「そうだな。確かに、あまり意味のある所では無かったかもしれん」

 

 マユたん、魔法使いは心がガラスなんです。優しくして。

 ふっ、しかし既にぬいぐるみの設置は完了している……!部屋に向かえばマユたんの態度も豹変!「わぁ!ショウありがとう!こんなに可愛いぬいぐるみに囲まれて幸せだぞっ!大好き!結婚しよう!」となるに違いない!

 

 いや待て!

 

 焦るな魔法使い。これだからお前はいつまで経っても魔法使いなんだ。

 

 そうなったらなったで嬉しいが現実的ではない。これはそうなる為の1プロセス。経過点でしかないのだ。

 ふふふふ、そしてな、戦闘用の人形もいくつか配備した。理由?簡単だろ。レオナルドが百合に目覚めたら殺さねばならないが、俺がいなければ誰がマユたんを守る?……万丈だ。この万丈という名前はその人形の名前である。

 制作してくれたのは青崎という女だ。人形師と呼ばれていたので人形作るのがとても得意なのだろうと思ってな。会いに行って作ってもらったんだ。

 

 時計塔は役立たずだったが、居場所は自分で見つけ出した。とても有意義な時間を過ごすことが出来た。

 美人な女の人、しかも初対面の女性と長時間話すなど……マユたんへの愛がなければ逃げ出していたと思う。

 

「なに、単なる買い物だ」

「買い物?何を買ったのさ。私少し気になるなぁ」

 

 あざといぞレオナルド。しかしな、よく聞けレオナルド。俺はお前のそのロリボディに重なる様にしてハゲジジイが目に浮かぶんだわ。悪いんだけどな、凄まじい破壊力してんだわ。目が腐りそうだからちょっと離れててな?

 

「なに、来ればわかる」

「はーい!」

 

 ……いややっぱつれぇわ。だってハゲジジイが上目遣いでお目目パチパチしてんだもん。

 いやわかるよ?現実だけを見るならロリだもんな。でもさ、記憶がさ、言うんだわ。俺の童貞(ゴースト)が囁くんだわ。「こいつ、ハゲジジイやぞ」って。4〜5mくらい離れると消える幻影だけども、だけども……!

 

 はーい!と言いながらピシッと腕を上げるレオナルド。腰に来るから辞めとけ?と思わず言いそうだ。

 マユたんは……と言うと、少し離れて着いてくるようだ。何故か距離感を感じる。

 

「……?まほうつかい、そっちはわたしのへやだぞ」

「あぁ、マユの部屋に用があってな。……そこでは少し遠いな。こっちに来い」

「うわっやめろっ」

 

 マユたんの部屋への通路は1本しか無い(とマユたんは思っている)からか、マユたんは素早く目的地を察したようだ。目的までは分からなかったようだが。

 手の届かない位置にマユたんがいたから魔術で浮かせて俺の腕の中にすっぽりとはめる。僕はいつかしっぽりとハメたい。

 

「は、はなせっおろせ!」

「いいなー。魔法使い様っ私も抱っこして欲しいなぁ~、なんて」

「断る」

「「そんな!?」」

 

 え、嫌ですけど。

 離さないし降ろさない。そして、レオナルドは抱っこしない。嫌だぞ、介護士になるつもりは無い。

 そんなこんなで部屋の前に到着。マユたんはずっと抵抗を続けていたが諦めたのかすっかり大人しくなった。かわい過ぎて脳みそが無くなったのでは?と錯覚していたがどうやら問題なかったらしい。

 

「着いたぞ、マユ」

「うむ……」

「へぇ、随分と不思議な構造なんだね?空間の繋がりが意味不明だ。うわっ、足元スケスケじゃないか。下から覗かれてしまうよ」

 

 レオナルド、観光は済んだか。ずっと話してるが、マユたんに気が付かれるんじゃないかね?君がジジイだとバレればマユたんとのお友達計画はご破算。君は解雇だぞ、分かっているのかね。

 

「ぅぅ…………な、なぁショ、ショウ……もぅ、おりていい……?」

 

 ッッ!!!!ハァォァァァァァァァァァァァァァァァァア(瞑想)

 危なかった……!鼻血がギラグレイド並の速度で吹き出すところだった。小声で話すところとか特に良き。

 マユたんは何故か他の人が居ると俺の名前を呼ばないから油断していた。独り占めしたいのかなっ?ふへへへへへへぐへへへへふははははは!

 

 かわいい(語彙損失)

 

「断る」

「な、なんでぇ……」

 

 かわいい(言語野破損)

 

「おりたい。……ダメか?」

「ダメだ」

「ぇぇ……ねぇダメ?」

 

 かわいい(脳停止)

 

「ぐぬぬ、まほうつかいのバカ!死ね!」

 

 はっ(復活)

 

「……私の前でイチャイチャしないで欲しいなぁ?」

「悪いな」

「悪びれもなく!?」

「イチャイチャなんてしてないだろ!」

「そうかい?」

「そうだっ!」

 

 危なかった。思考が完全に停止していた。あのまま死んでいたかもしれない。

 さて!とりあえず扉を開き中に入ろう。なにか気の利いたセリフでも言えればいいのだが……考えすぎても上手いセリフは浮かばなそうだし、シンプルに行こうか。

 

「俺からマユヘ贈り物だ。受け取れ」

 

 俺の言葉にマユたんとレオナルドが固唾を呑んで開かれる扉を見守る。

 扉のその先には──────無数の口を持った触手の大群が蠢いていた。

 

「「「はい?」」」

 

 あるぇ?青崎さん?話しが違くない?






初投稿です。だけ置いておくのが1番初投稿っぽいことに気がついたシフシフ。
決して手抜きではない。

さぁ次回!触手!……か、青崎橙子さんとの勘違いパートのどっちか!書きやすい方を書く!

誤字脱字報告、コメント評価、触手まみれになってお待ちしております。

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