魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」 作:シフシフ
暇な時間ができたうえでやることが無くなって「せや、小説かこう!」とおもって書きました。
前回の投稿者とかなり間が空いていますが、そこに関しては申し訳ないです。不定期更新だからね!仕方ないね!
※
人の血で描かれた魔法陣はシンと静まり返っている。
魔術師、相良豹馬は英霊の召喚が失敗したことを悟った。
仕方ない。そう自分に言い聞かせ、触媒であるナイフを握りしめる。
呼び寄せるのは、かの殺人鬼。
霧の夜に現れ娼婦を惨殺する
その一連の流れを再現する事で縁を深めれば……召喚は可能なはずだった。
手が、震える。
彼の所業は魔術師らしい魔術師である。しかし、同時に深く羨望していた。
“魔法使い”の様になりたいと。
魔術師らしからぬ、と語られる彼のように……触媒もなしに大規模な魔術を使い、何食わぬ顔で人を救い、数多の英雄と心を通わせるような男子に成りたい。
だが、それは現実的に無理な話しなのだ。
おのれはそう優秀な魔術師でもなければ、才能も大して無い。 一般的に魔術が扱えて、平均的な魔力を持っているだけ。
「………」
気絶した女性をゆっくりと魔法陣に寝かせ、呼吸を整える。
仕方ない。
呟いて目を瞑り、両手でナイフを握り締める。
そんな時だ。
ぞわり。と空間が固まった。
空間が凍り付いたような、そんな感覚。
いや、実際に凍り付いているのだろう。
「───────お前が、アサシンのマスターか」
背筋と脳髄を貫くような感覚に肩を飛び跳ねさせる。
冷たい声だった。感情の起伏を感じさせない、平坦でありながら何処までも深い恐怖を呼び起こす……そんな声。
背骨を直に手で撫で回されるような不快感が、身体を絶えず襲っている、魔力が体を突き抜けているのだろうか?
恐怖の悲鳴を噛み殺し、ゆっくりと振り返る。
声の主は、“黒”と言う印象を抱かせる男だった。
アインツベルンの文様が刻まれたローブ。黒い髪に黒い瞳。やや黄色い同郷の様な肌。
その身から発する魔力の質、量ともに規格外。
紛れもなく、噂に聞く魔法使いその人だった。
「っ!………っ??!」
声を失った。思考は堂々巡りを繰り返し、呼吸すら忘れてしまう。
いや、忘れているのではなく、出来ないのだ。そう気がついて咄嗟に魔術で肺を強化するも……まるで空気が無いかのように、酸素は取り込めない。
それどころか、肺の強化も上手く行えて居なかった。
「まほうつかい、アイツこきゅうできてないぞ」
「ふむ、では、これでいいか?」
魔法使いが指を鳴らすと、凍りついていたような感覚が、正常に戻ってきた。
呼吸をしたい。という欲求に任せて大きく呼吸をする。
「ッッハァッ!!はぁ、はあっ………!」
何をしに、こんな所まで……………?
僅かに思考能力が戻り、考えが顔に出ていたのだろうか、魔法使いはいつの間にか用意されていた椅子に腰掛け、言葉を発する。
「取引をしよう………その触媒を俺に渡すか、死ぬか、どちらかを選ぶといい」
◼
どうしてだ、どうしてこうなった?
「ねー、おかあさん」
「お母さんではない」
「じゃあお父さん?」
「お父さんでも無い」
「そうなの?」
「あぁ」
「……でも
「契約は結んだな」
「じゃあおかあさん!!」
「…………」
白髪で顔に傷を持つ少女……彼女はサーヴァントなのだ。アイスブルーの瞳を輝かせながらショウに抱きついている。
抱き着いている!!
彼女はジャックザリッパー。切り裂きジャックの名で知られる殺人鬼である。
……しかしそんな事はどうでもいい!
さっさとショウから離れてもわなくては。
全く、私の為とかなんとか言って幼い子ばかり連れてくるが、私はお前がロリコンなんじゃないかとその度に疑っているんだぞショウ!
手を出さないとは思うが……今までの、行動的に…たぶん、出さないよね?
ええい、とにかく、あの泥棒猫を引き剥がすのだ。
ふんす、と意気込んで近づいて行くとショウがこちらを見た。
ぐっっ!見詰められただけなのに、顔が熱くなるっ……くぅ、この間の醜態は忘れてくれ!!仕方ないだろう!観光楽しかったんだから!
ちくしょうめ。
そもそも、ショウが私を守れば済む話でサーヴァントなんて必要ないのだ。この規格外な魔術礼装だけでも死ぬ気がしないのに、サーヴァントなんて過剰だと思わないか?
むしろ不意を突かれて私がダメージを負ったら、この魔術礼装の余波でジャック・ザ・リッパーが死にかねないぞ?
ショウの説明だと周囲に「死んだ」という結果を撒き散らすとか言う防衛機能があるそうじゃないか。
過剰防衛だ。
…………とか、言えたら良いのだが……
「マユ?」
うぐぐ、言えない。もう今更言えない!!
今言ったら「ほう?二人きりの方が良かったか?」とか言われるもん!絶対にだ、ショウは案外意地悪な所があるからな。
「……!」キラキラ
なぜ私を見ているんだ泥棒猫!!誰の許可を得て……っ!!
ま、眩しい………?!期待の眼差し!?な、何を期待してるんだ私に!
「おかあさん、この子は誰?」
「ま、まて、だきつくな!」
ひょいっと後ろに回り込んで抱きついてくるジャック。
ぐぬぬ、身長と身体能力で私を上回るからと言って、好きにさせたりするものかっ!
「ええいやめろ!!」
「……嫌だった?」
な、なんだその捨てられた子猫みたいな反応はっ……!!
だが絆されるなマユ!お前はなんだ、この世全ての悪だろう?さらに言えば聖杯だ!
……聖杯じゃあ願い叶えちゃうじゃないかっ!!
はっ、つまりこのなんとも言えない感情も聖杯のせいなんだな!?
おのれショウ!お前、奥さんは「子供好き」とか、そんな願望があったな!?
変なところで強制力を働かせやがって…!
「いや、では、なぃ……」
「やったー!で、お母さん、この子は?」
これが母性本能……!抗えない、強制力っ……!
負けるな、マユ!!
「俺の妻だ(キッパリ)」
うっ(決心)
ショウの理想の奥さんは子供好き……
ちなみに、ロビン、お前って……そうだよな子供好きだよな。
「
「おかあさんとおかあさんがかぶってるだろ!」
「おかあさーん」
「っ、やめろっ」
やめてくれ!恥ずかしい!!あと重い!
「…………………」
ショウ!なんでお前は見てるだけなんだ!
引き剥がそうとしたりしろ!!
「うむ。ルーラ」
うむじゃないが!?しかもルーラしてどっか行ったぞ!?
っていうか、ショウが居なくなったら何が起こるかわかったものではないというのに………
「ねぇねぇおかあさん」
「な、なんだ……あとわたしはおかあさんじゃ……」
「切っていい?」
ピトっとお腹に触れる硬い何か。
あぁ、うむ。なるほど?
冷静になったぞ。
「だめ」
「えー」
「えー、ではない。ひとのおなかはきってはいけません」
「はーい……」
……聞き分けがいい!渋々って感じだけど!
「敵ならいいよね?」
「え?てきなら?」
敵?……そんなの居ないんじゃ……?だってショウが全滅させるだろうし……
「てきならいいぞ」
「わーい!」
……なんかスリスリしてくるし抱きついてくるし猫みたいでかわいい。……いくない!かわいくないぞ!かわいくないもん!
絆されてたまるものか!!
この頭にのせて左右に動かしている手は“撫でている”のでは無く抵抗しているのだ!抵抗ッ!!
「ご、ごはん、たべるか?」
「いいの?!食べたい!おかあさん大好き!」
「あ、あぁもちろん。うでによりをかけてつくろう!」
あぁ、瞳が輝いている……眩しい……(敗北)
□
少女×幼女ですか………尊い……
さて、耐えられないので飛び出してきてしまったがどうしようか(無計画)
サクッと両陣営潰してしまいたい所だが、マユたんはサーヴァントに会ってみたいと言っていたからな以前。
両陣営のサーヴァント全員集めてパーティーでも開くか?
危険だろうか。危険だろうな。マスターは呼ばずにサーヴァントだけ集めれば………いや、令呪で暴れるように命令されてしまうかもしれないしな。
うーむ……なんかこう、ないかなー
呪文とか魔術とかで強引にってなると、心象が悪いだろうし、マユたんは交流したいんだろうから礼儀正しく行きたいよな。
なら普通に両陣営に挨拶に行く感じにしよう。
そこで「食事でもどう?」みたいな流れになったらご一緒する感じで。毒とかは問題ないだろう。
洗脳宝具とか、無いよね?たぶん、いや、知らないけど。
あぁ、そう言えばジャック・ザ・リッパーに服を買ってやらなきゃな。まさか襤褸の中があんな格好だとは思わなかったぜ。
本人も恥ずかしがってたし。
白いワンピースとか、簡素なので良いよな?
あぁいやまて、本人に選んでもらうか。店に行くための服だけ見繕う感じにしようか。
マユたんと一緒に行けば仲も良くなるだろう。なんか睨んでたけど。睨んでるマユたんもやっぱり好き(はーと)
……レオナルドは……呼ばなくてもいいよな。
あー、でも友達としてあの姿になってもらったわけだから……呼ぶべきか?
でもなぁ……モナリザ(幼女)に重なるようにレオナルド(ジジイ)が見えるんだもんなぁ……尊いはずの光景が途端に……あぁでも孫娘2人を連れてやってきたお爺さんと考えればそれはそれで尊いか。普通にほっこりするパターンのやつだな。
よし、呼ぶか。買い物だけしたら帰ってもらうけど。
「ルーラ」
あんまり使ったことの無い機能(揺らしたり大きくしたり)を使ってみました。
要らない!とか読み辛い!とかあったら辞めますね
誤字脱字ありましたら報告いただけると幸いです。