魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」   作:シフシフ

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話が進まないので初投稿です。


魔法使い「レオナルド絶対に許さねぇ」

 “方舟”と呼ばれる特異点がある。

 

 肥えた土壌、豊かな水源、萌ゆる森林には果実が無数に生っている。

 なるほど、そこだけを見るのなら確かに楽園だろう。

 

 が、そうではない。

 

 誰一人として人間はおらず、野生の世界が広がっていたのだ。

 文明の痕跡は無く、そも「人」という枠組みがない。

 

 そんな“手付かず”の自然に、彼らは放り出されたのだ。

 

「うーん、すっごい大自然だね!」

 

 腰に手を当て胸を張り、ニカッと笑いながらレオナルド・ダ・ヴィンチ─故あって“導き手のリザ”を名乗っている─は周囲を見渡しそう言った。

 

 彼らは魔法使いにより助け出された。

 そしてその多くは生活の保証のようなもの……今までに見てきた特異点の様に人の生活がある世界へと投げ出されるのだと考えていたのだ。

 

 しかし、そうではなかった。

 

 もとより“命だけを保証する”という約束なのだから、魔法使いを攻める事は出来ない。

 とはいえ、ここからの発展となると……気が遠くなるのもまた事実。

 ここに集うのが魔術師達および技術者であるからこそマシではあるが。

 

「いや、だからこそ、か」

 

 助けたんだから、自分たちで生きていけ。

 魔法使いが英雄としては語られる事は多くない。魔法使いは魔法使いという立場で、役割なのだ。

 

 英雄という個人に大きく肩入れする事があっても、国や団体には深く関わらない。

 最も深く関わったであろう円卓の騎士達ですら、魔法使いの詳細を知るには至っていない。

 

「まったくぅ……なんていうか、不器用だよなぁ魔法使いって」

 

 関わりたいが、関わり過ぎると痛い目を見る。

 そういった思考、経験が伺えるような、そんな動きなのだ。彼は。

 

「さて、皆!この辺りに仮拠点でも作ろうか!バリバリ働いてくれたまえ!」

「「「おーー!」」」

 

 リザが声をあげれば、それに習うように皆が声を上げる。

 救い出された人々の目に絶望は無く、希望に満ちいていた。

 見たことの無い植物や、既に滅んでいるはずの動物……“人が現れなかった”生態系をもつこの特異点で、根を張ってやると意気込んでいる。

 

 再び人理に襲いかかった驚異に、藤丸立香達は立ち向かっている。それを助けたい、サポートしたいという思いは彼らの中にまだ残されている。

 だが、もう手の出しようがない。

 

 信じるしか、祈るしか、ここで我々にできることは無い。

 

 だから

 

「よぉし、私は本拠点の設計図でも考えようかなっ!」

 

 我々はここで、命を繋ぐ。

 

 もう一度「おかえり」と言うために。

 

 我々はここで、生き長らえる。

 

 もう一度「お疲れ様」と言うために。

 

 我々はここで、想いを繋ぐ。

 

 最後に、「ありがとう」と言うために。

 

 それがこの、方舟の意味なのだろう。

 

「………そうだろう?魔法使い」

 

 再開を喜ぶための下準備を、我々は始めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideレオナルド

 

 

 

「────って、いい雰囲気で開拓を進めてたのに…!」

 

 レオナルドinトゥリファスっ!!

 

「なんでさ!?」

「友人として、マユの買い物に付き合ってやって欲しい」

 

 うーん、このっ!親バカっっ!!

 

 じゃない!嫁馬鹿!!!!

 

 いいけども、良いんだけども。確かに私は設計図を書き終えたし、役割分担も終えて私にできる事はそう多くなかったから、良いのだけれども……!

 

「拒否権はあるが、どうする?」

「いや、行くよ。行かせてもらうとも。久しぶりの文化的な生活ってやつに飢えているんだ」

「そうか」

 

 むむむ、あんまり興味無いねさては。

 

「ところで、方舟については聞かなくていいのかい?近況報告とか、しようか?」

「……あぁ、頼む」

 

 ……あ、今気を使った?

 

 くくく、世界ひろしと言えど魔法使いに気を使われるのは私くらいのものさ。

 だって友人だからね!

 

「いいとも!今方舟では──────」

 

 

 

 

 ◼

 

 目を覚ますと、リビングから声がする。

 ジャック……だけでは無いようだ。

 

 誰か来ているのか……?

 

 目を擦りながらドアノブをつかみ、捻る。体重を掛けて押し開ければそこには………

 

 

「よぉっし!じゃあショッピングと洒落こもうじゃないか!」

「おー!」

 

 …………?

 

「さて、ジャックちゃん。君はどんなお洋服が欲しいのかな?」

「可愛いのがいいっ!」

「なるほどなるほど……可愛いのだね?うーん、魔法使い様、地図はありますか?」

「あぁ、その引き出しにある」

「ありがとうございます!ふむふむ……ジャックちゃん、ここはどうだい?駅にも近いしきっと若い子の趣向にあった洋服があると思うんだ」

「何処がいいか分かんないし、そこでいいと思う!」

「ふふふ、確かにそうだ。なら早速準備をしよう!」

「うん!」

 

 ……………うん?

 

 

 なんだ、この光景は。

 

 あれ?なんか、1人増えてない?

 

「リザ?」

「おおっ、マユちゃんおはよう!よく眠れたかい?」

「おはよーおかあさん!」

 

 ええっと、なぜ此処にリザが?リザはカルデアの職員を保護するために他の特異点にいるんじゃ……?

 

「ふむふむ、その寝惚け眼、疑問に思ってるんだね?ふっふーん、何を隠そう魔法使い様に頼まれてね!君とジャックちゃんのお買い物の相談役としてやってきたのさ!!」

 

 あー、なるほど、ショウのお節介な訳か……ま、まぁ、嫌ではないので構わないが……

 

「ねー、魔法使い様ー?」

「あぁ」

 

 猫撫で声でショウに近寄るリザ。

 うん、やっぱり嫌だな。

 ジト目で見詰めてやれば「冗談だよ、怒らないでくれたまえー」と私を抱き締める。

 おのれ、身長と身体能力で私を上回るからと言って(ry

 

 なぜ私の身長は120位なんだ………身長順だとリザ、ジャック、私の順に大きい。

 だと言うのに母性本能が擽られるのだが?やかましいのだが!

 

「ん」

「んひゃぃ!?」

「」ガタッ!

おかあさん(マスター)?」

「気にするな」

 

 く、不可抗力…!抱き締めたくなるのは不可抗力!!

 

「ま、魔法使い様、マユちゃんが、可愛すぎる」

「当然だろう」

「ん"っ」

「おかあさん?」

「き、きにするな」

 

 私が可愛いのは、当然だろう、だと。うひひ

 

 ってまてまて浮かれるな戯け!

 買い物に行くらしいし、準備をしなくては…

 

「では、したくをしてくる。ようふくをかうんだったな?」

「そうだね……あと朝ごはんとお昼ご飯も外で食べるらしいよ」

 

 なるほど。ショウは、来るよね?

 

「そうか。その……まほうつかいも、くるのか?」

「勿論!そうですよね、魔法使い様」

「マユが嫌でなければな」

「ぅ……いやでは、ない」

おかあさん(マスター)とおかあさんも一緒!?やったー!!」

 

 ぐ、ロビン、感情を抑えろ。別にショウが来る必要は無いだろう。

 え?抑えてる?

 そ、そうか……そうかぁ……護衛には必要だし仕方ない。

 

 え?ジャックが居るから平気だろって?

 

 ま、まぁ……でもそもそも私はサーヴァント自体反対と言うか……買い物はほら、楽しそうだし……素直になれ?おま、巫山戯るなよ、私は素直だ。

 

「百面相してないで、着替えようよマユちゃん」

「っ!!わ、わかった!」

 

 むむむ、リザがお姉さんぶっててムカつく。

 

 

 

 

 □

 

レオナルド絶対に許さねぇ!

 

 マユたんにギュッされるだと?ギュッだぞ?許さねぇ……

 

 くぅ……何故俺はジジナルドのスタンドが見えてしまうんだ……!!

 それさえ見えなければ、てぇてぇ光景なのに………!!

 

 何が「マユちゃんが可愛い」だ!ジジナルドが惚けた顔で振り向いて来るんじゃない。ホラーか。ホラーなのか。

 

 当たり前だろう!?マユたんが可愛くなかったら何が可愛いんだ。

 

 マユたんの悪戯思いついた時の顔とかやべぇからな(語彙力の低下)

 ほらこんな感じよ

【挿絵表示】

 

 な、ええやろ?ちなみにこの時は俺のカレーを激辛にしようと企んでいたようでね。可愛すぎる。

 しかも間違えて自分に配膳する天然。

 

 食べる前に止めて、入れ替えたら絶望したような表情をしてたから本当に萌えそうだった。

 

「ま、まずい、これはからいほう……!」

 

 ってのが顔にありありと出ていたんだけど、俺も楽しくなっちゃって

 

「ん、どうかしたのか?」

 

 って意地悪してしまった。

 

 いやぁ、あれは本当に萌えたね。うん。人理滅却とかそんなレベルじゃないくらい萌えたわ。

 

「な、なんでもない、ぃ、いただき、ますっ」

 

 若干顔を青くして鼻を摘んで口に運ぶの神かよ。臭いとかで分かりそうな物なのに鼻つまむのか……とデレデレになってた。マユたんは目もギュッと瞑ってたから、俺の顔は見られなかったのでセーフ。

 

 そのあとの「あ、あふぇ?はらくない!」と喜んでたのも可愛かった。

 あぁそれと、辛口のカレーだが、全然辛くなかった。

 そもそも甘口のカレーですらちょっと辛いと言う位マユたんは辛いのが苦手だ。

 

 舌が刺激に対して敏感というか、まだ幼いのだろう。()()()()()()()()()カレーにしたのだろうが、俺からしたら市販の中辛位しかない。辛さを感じない程度にスパイシーと言った所か。

 

 俺の反応を楽しみにしていたのだろう、チラチラと此方を見るのも可愛かったので大袈裟にリアクションしようかとも思ったんだが……

 

「むふふ、うまいか?」

 と笑いが堪えられないと言わんばかりのマユたんの顔を見て思考が完全に萌え尽き、固まってしまう俺氏。

 その様子を辛かったのだと勘違いして誇らしげにネタばらしをするマユたん。

 

 ふぅ、天国。

 

 ここが楽園だよ。

 

 ちなみにお代わりをしたら止められた。無理をするな、との事。かわいいかよ………

 

 

「魔法使い様、準備が出来ました」

 

 げっ、ジジナルド!貴様俺の幸せ空間に突入してきやがって……!!

 しかし、まぁ許そうじゃないか。マユたんにめんじてな……

 

「そうか、何処に向かう」

「ここですね」

 

 はいはい。そこですね。マユたんは俺がルーラをする事が分かったのか、いち早く俺のローブに掴まっている。

 手でも良いのよ?

 

「皆、俺に掴まれ」

「「はーい」」

「ルーラ」

 

 

 

 

 




挿絵のトレース元はToLOVEるの美柑さんです。
ToLOVEるは読んだことないけどエロ漫画だよね?(初心)

次回作ではサーヴァント達と出会えると思う。多分。そうだよね?(不安)
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