魔法使い「聖杯を嫁にしたんだが冷た過ぎて辛い」   作:シフシフ

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お久しぶりです。あっ、初めまして。
今回で何と……ぁれ、何話目だこれ……コホン。初投稿となります。

今回は魔法使いと聖杯ちゃんの名前が登場!
さらに!魔法使いの過去編……的なものが若干入るぜぇ!
……なお、ギリシャ神話とか時系列詳しくないから……おかしいかも知れないっす。

それと、ここからは一身上の都合なのですが……蓄膿症辛たん。頭痛いぜぃ。
なので……なんかこう……自分で見返して「はあん?何言ってんのこれぇ」となってしまったのです。勘違い要素が欠けらも無いきがします。すまねぇ、すまねぇ。

「あぁ、つまんね」と思ったその瞬間にお気に入り登録を解除してコメントに「ぺっ」とか書き込んでもいいんですよ。
それかプラウザバックだ!







魔法使い「聖杯ちゃんに名前を付けようと思うンゴ」

 ◼

 

 

 私は惰眠を貪っていた。

 いや、惰眠と言うのは些か酷というものだろう。

 

 なにせ、「私」としての初めての睡眠なのだから。それと同時に私は風邪を引いており、寝ていなければならないという大義名分まである。

 

 つまるところ惰眠では無く、致し方ない状況ゆえの休眠なのだ。

 

 おでこに当たるひんやりとした冷気の様なものが心地良い。瞼を働かせる事すら億劫なので、その冷気を発する物体が氷なのかはたまた人が作った何らかの医療器具か不明だが、その目的が私の熱を冷まそうとしている事は理解できる。

 

 ただそれを行ったのが恐らく魔法使いなのだろう、という所が唯一気に食わない。

 奴にとって私は死んで欲しくない存在なのは理解している。ロビンフッドという女を蘇らせるための贄なのだから。

 

 どれだけ優しくされても、その目的を知っている以上……心を開くなど不可能に近いだろう。余程の能天気じゃない限りは。

 

 ……それにしても、ベッドの中が酷い有様になっている。私の汗でびしょびしょなのだ。決して尿を漏らした訳では無い。

 寝心地はあまり良くないのだ。

 

「ぅ…………ん……?」

 

 寝返りをうち、体を横にする。すると冷りとした物が私の側頭部を冷やす。……私はもう一度寝返りをうち元に戻る。

 

 すると紙が擦れるような音がした。いやだいぶ前からしていたのだが、眠気と熱で朦朧としていた故に気が付くのが遅れたのだ。

 私はそっと、薄く目を開く。

 

「───────────」

 

 そこに居たのはやはり魔法使い。ベッドの横にある小さな椅子に座り、何やら分厚い本を片手で支え読んでいる。ページが勝手に捲られていく事から、なにか魔術を使っているのだろう。

 

 もう片方の手は、と言うと……私の頭へと伸びていた。

 どうやら魔法使いが魔術を使い、直々に冷やしていた様だ。少なくとも魔法使いは風と水の属性を持っている。昨日は風で家を掃除していたし、今まさに私のおでこを冷やしている。聖杯戦争では火と土だったと言うのに。……幾つの属性を持っているのか……。

 

「……ふむ」

 

 ……何の本だろうか。時折悩ましげな声を出しているが。

 

「名前、名前か……どうしたものか」

 

 名前?……私のか。そう言えば私の名前はまだ無いのか。アンリマユという名はあるが、それは私生活がつらくなりそうだ。自己紹介でこの世すべての悪です、などと言ってみろ、下手をうてばその場で死ぬぞ。

 

「……下手に捻るよりはそのままの方がいいかもしれんな」

 

 えぇ……?

 まさか私がアンリマユである事を公表し、自らがそれを封印したのだと功績にでもするつもりか?……いや、そんな事をする意味は此奴にはない筈だ。途方もない名声を持っているのだから。

 

「アンリマユ……聖杯……どこから取るか」

 

 やはりアーチャーからは取らないんだな、かぶるのは嫌か。そうかそうか。これは私も口を出した方がいいのか?いいよな?

 

「ぁ、ん、り……まゆ……」

「ん?起きていたのか。……そうだな、アンリマユから取るか」

 

 そうだ、私はアンリマユ。誇り高い……かもしれない神なんだぞ。

 ええい撫でるな馬鹿。

 

 ………………長い!少しにしろ!

 

 私が首を左右に振ると魔法使いは撫でるのをやめてくれた。……ふん、それでいいのだ。

 

「──────マユ」

「む?」

「ふむ。……マユというのはどうだ。君の名だ」

 

 人差し指を立ててそう「()()」提案する魔法使い。ふふん、悪い気はしないな。

 それにしても、まんまだな。だがバレるような名前でもない。

 

「なんでもいい」

「そうか、ならばこれで決まりだな。ではマユ───ん?」

 

 魔法使いは私の頭をもう一度撫でて立ち上がる。だが、私は奴の名を聞いていない。名とはそれこそ大きな意味を持つ。呪いの対象にする事もまた可能だ。

 どの文献にもやつの名は登場していない。つまり、ここで聞き出せれば……!

 

 そう考えた私は立ち上がろうとした魔法使いのローブを掴む。結構本気で掴んだ。……つ、つりそう……。

 

「ま、まてっ……!まほうつかい、おまえのなまえは?」

「…………」

 

 ……?

 

 ……え、なんで無言なんだ?なんで無表情なんだ!

 怖い怖い怖い怖い!待て!まさか殺す気か私を!?

 えええぇ、名前聞いたら死ぬの?嘘だろう?

 

 あわ、あわあわはわはわ……!どどどど、どうすればいいんだアーチャー!お前なら分かるだろう!?す、凄い見てくるぞ!睨まれてる!めちゃくちゃ冷たい目で見られてる!

 

 やっ、やるのか!?やってやるっ!こいバカー!

 

「────────ショウだ」

「ヒウッ!…………へ?」

「ショウ、それが俺の名前だ……(かばね)は無い」

 

 私から目をそらす様にして背を向け、魔法使いは言った。

 

「しょう…………ショウ。……ふむ」

 

 何度か口で転がし、舌に馴染ませニヤリと笑う。

 そうすることで()()()混乱していた頭も落ち着けた。ふん、他愛もない。余裕だな。

 あとは魔力を確保して奴を呪い殺すだけだ。ふふふ、私に希望が見えてきたぞ!

 

「……では、俺は食事を用意する。動けるのなら下に来るといい」

「……ふん」

 

 魔法使いが部屋から出ていく。

 

 …………

 

「ねむいぃ……」

 

 ボフッと私はまた惰眠を貪ったのだった。この時、私はまだ「魔力の確保」の具体案を何も考えてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 ◻

 

 

 涙目で見上げてくるとか暴力か……!?俺を殺すつもりなのか!?くっ。直視できない!

 しかも一瞬笑ったよな?目を背けちまったが、この俺の目は見逃さなかった!まさか……デレ期到来か……?2日目にして!?

 勝ったな。飯作ってくる。

 

「……では、俺は食事を用意する。動けるのなら下に来るといい」

 

 男ショウ、背中で語りこの場を去るぜ。

 ちょっと心臓がきついのでね……。

 

 階段を降り、魔王の使い達をサクッと倒しキッチンに向かう。

 

 さて、愛情たっぷりの麦粥でも作るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ✳

 ????年前。回想。ギリシャ。

 

 

 

 男はただ、歩く。

 轟々と唸る吹雪を苦とせずに。

 まるで雪や風の方が男を避けているかのようだった。

 

 男はその名前を「ショウ」と言った。まだこの世に無い「日本語」の名前だ。故にその名を知るものは無く、知ったとして正しい発音が出来るものもいない。

 

「はぁ───────」

 

 ショウの吐く溜息は白い。

 外気との差で空気中に躍り出ると同時に、水分が冷やされ可視化されているのだろう。

 

「無闇矢鱈と寒いんだよなぁ……フバーハとかなかったらとっくに死んでそうだよ全く」

 

 ショウの最近の癖は独り言だった。

 数週間の旅を続けているのだが、途中からは一人旅となった。道中で仲良くなった森の精霊もこの雪山には付いてこられなかった。領域が違うのだとか。他にも勝手に付いてきた可憐な少女も居たのだが、ショウは少女が眠っているあいだにこっそりと逃げ出し、一人旅をしている。

 

 いつの日かまた会おう、そう一方的な約束をした。

 しかしこの吹雪だ。魔法使いであるショウと言えど確実に生き残る事が出来るという保証はない。

 

 神代というのは厄介な時代(もの)で、神々が好きな様に自らの領土を主張しては奪い合っている。そういった関係上、ショウの持つ「ルーラ」という転移魔法はおいそれとは使えないのだ。

 

「───使えば確実に『おっ、君いい所にっ!○○って男を殺してくれないか!?』みたいな感じで厄介事に巻き込まれるんだよなぁ」

 

 神々の間では英雄を作り出し競わせるのが流行っている。ショウが思い出せる最近の有名人といえばアルケイデスなる男だろう。出会ったことは無いが、名前を噂で耳にした。

 ショウはこの世界がFateという作品に非常に類似している事をこの時すでに知っていたものの、前世で言うところの「ライト層」であったショウは「アルケイデス」と言うのが誰かまでは知らないのだ。

 

「はぁ……早く国境こえてぇなー」

 

 ショウの背負う布袋は軽い。そこに詰め込まれていたであろう食物は今は乾燥させた携行食位のものだ。口に合わないからと残しておいたのだが、役目を全うできそうで何よりである。

 

「おーい!まってー!私も連れて行っておくれー!」

「………………マジかよ」

 

 吹雪の中、後から響いてくる声。振り向けばそこには灯りが灯っていた。

 その明かりはショウの事を正確に視認したのだろう。ザクザクと軽快な音を立てて駆け寄ってくる。この深い雪の中を軽い調子で駆け寄れるなど、候補は限られてくる。

 それに、ショウは魔力の反応もしっかりと捉えていた。

 

「全く、置いていかないでくれよぉ!」

「……俺、連れて行くなんて行ってないからな?」

「いいじゃないか、旅は道連れ世は情けなんだろう?いい言葉だよねぇ。それに、いつかまた会おうって言ったのは君だろう?」

「……あ、うん。そだね。……聴こえてたのかよ(小声)」

 

 鷹の翼を象ったマントを身につけた美しい少女……故あって少女の身に姿を変えている魔女、キルケーがショウを追いかけてきたのだ。

 正確には肉体のあるキルケーの分霊の様なもので、使い魔に近い。

 

「はぁ……お前さ、自分の島戻らなくていいのか?ペット達はどうなってんの」

「ピグレット達は平気だよ。大人の私がしっかりと可愛がってるからね!」

「えぇ……」

「それより!私は君が欲しいんだ。ほらほら、美少女が甘えてるんだぞ?」

「……甘えられるのはまぁいいとして、豚にされたくないから断る。なんだってこの時代の美女はこう言うのが多いのか……(小声)」

「ちぇー、いいじゃないか」

 

 よくねぇんだよなぁ……とまた小声で呟き、ショウは歩く。

 キルケーはそんなショウを横からチラチラと見ながら時折話し掛けては軽く流される、というのを繰り返す。

 

「ところで、君はどこにむかっているんだい?教えてよ」

「知らんな。テキトーに歩いてるんだよ」

「転移すればいいじゃないか」

「神々がうるせぇ」

「そのくらいのお使い簡単だろう?」

「人殺しをお使いとか言うなバカタレが」

「あいたぁ!?き、君!乙女の頭を叩くとはっ!」

「乙女ぇ?……ぇ、そんな年だっけ?」

「豚にするぞ!?そんな君はもうお爺さんどころの話じゃないだろう!?」

「はっ、笑わせるな。まだまだ現役じゃわい」

「ふふっ、似合わないね、その口調っ」

「……当然だろ?」

 

 当時、ショウの理想は高かった。それはそれは高かったのだ。

 美人でボッンキュッボンで家事が完璧で優しい人を求めていたのだ。

 そこに裏があってはならない。完璧な嫁を求めていた。

 

 しかし残念かな、そういった女性は大抵の場合、下半神(ゼウス)だとかに先を越されてしまうのだ。

 

 残念な事にキルケーは美人でボッンキュッボンで家事も出来て優しいのだが……飽きた男を動物に変えてしまう恐ろしい魔女でもあった。

 ショウの恋愛対象からは外れてしまったのだ。

 

 しかし、そこをどう捉えたのか……ショウもギリシャの男性達と似た性癖、所謂ロリコンだと考えたキルケーはこのように少女の自分を作り出して送り込んだのだ。しかし残念かな、ショウは懐いてしまった子供のようにキルケーを扱っていた。

 

「はぁ、いつまで付いてくるの」

「ん?そりゃあ死ぬまでさ!」

「………………うへぇ」

 

 天真爛漫と言ったふうに満面の笑みを咲かせるキルケーにショウは多少の恥ずかしさを感じながらも「こいつがいたら子持ちだと思われる……女寄ってこねぇよ……!」と割と最低な事を考えたのだった。

 

 

 

 この分霊のキルケーはショウから魔術を教わりながら、約束通り死ぬまでショウに寄り添った。

 死因は旅の途中幾度と無く遭遇した神々の悪戯である、という事だけはここに記しておく。

 初めての弟子の死にその堪忍袋がはち切れ、魔法使いは事件に関与した神々の多くを殺害して回った。 しかし、逸話として残されているのは「神々の悪戯に魔法使い様は怒り、その多くを殺した」という部分だけで、キルケーとの旅や弟子としての活動などは残されていない。

 

 なお、キルケーの死から10年もしないうちに「童貞捨てておけばよかった」と全力で後悔する事になるのだが…そこはご愛嬌である。

 

 

 

 

 

 

 ◻

 

 粥……か、懐かしいな。

 なんて名前だったか。キュケオーン?キュケイオーン?わからん。

 

 まぁ、毒にも薬にもなる神の麦粥らしい。当時の味などは残念ながら再現できないのだが……。

 

 それでもこうして時折作るのだから、なんだかんだで引きづっているのだろうな。

 

 くくく、昔の女を引きづるってやつか。まるで何度も女を取っ替え引っ替えしているヤリチンの如き発言……!

 はっはっは!そう今の俺には彼女がいるのだからっ!

 

 ………もしや、マユが少女の外見で産まれたのは……キルケーとの記憶があったからなのか?

 

 確かに一個人として共に旅をした中では相当長い部類だったし、あそこまで俺を好き好き言ってくれたのもキルケーだけだ。まぁ、豚にしたい!豚にして愛でたい!とか言っていたから恐怖しか当時は感じなかったが……

 

 今の俺なら────

 

 はぁい!喜んで豚になりましゅぅううううう!!!!ブヒィイイイイイイイイ!(アヘ顔)

 

 ───位は言いそうだしやりそうだもんな……あの当時は飢えてなかったから……(比較対象:今現在)

 

 となると!?まさか赤い瞳に黒い髪は対魔忍二穴槍ウーマンなのか!?

 くっ、あの溢れ出るBBA臭のする性格……あんま話したことないけど、いつだったか……結構前はビビるくらいの高頻度で襲って来たからなぁ、影の国?だっけ、そこ引き摺り込まれたし。

 

 名前なんだっけな、スカアハだっけ?……スカアヘ?ス○ト○アヘ顔かな……?

 

 あ、まずい。殺意を感じる。バシルーラバシルーラ、ハイハイ、バシルーラ安定ですわ。

 

 って不味い、粥が焦げる……。

 

 畜生、あのおっぱいタイツめ……体だけ下さい。性格はいらないです。

 もっと恥じらいのある淑女になって。

 

 しかし……そうか、外見に二穴おっぱいタイツが反映されているとするのなら……将来はおっきくなるのか……やったぜ。……まてよ、完全に大きくなる前にだな……ごほん。何でもない。

 

 自重しよう(今更感)

 

「……さて、降りてこないか。持って行ってやろう」

 

 

 

 

 








過去編、という事で誰を登場させるか迷った俺氏。
結果、「俺のカルデアにいない奴にしよう!」となりました。んで持って絡ませやすい人は……キルケーかな!と大体5秒で決定。ちょうど粥のお話だったしピッタリだな!


……しかし、こうして考えるとショウ君は毒味の強い(物理的若しくは性格的に)女性ばかりと出会ってるんですなぁ。
キルケー=麦粥(毒)
ロビン=手料理(イチイ混入)

……?のこる毒女性鯖は……?うわぁお(察し)
ひ、一人はチョロインだな。ショウ君的には明らかにアウト何だけども。炊事洗濯何しても毒になるのはちょっと……生き返る事は出来ても即死はするんですよ?触れ合ったらキアリーが間に合わなければ死んでしまう娘は流石にねぇ?



ありそうなコメント。

Q「冷えピタとか氷枕とかないの?」
A「あります(真顔)」

Q「もうちょっと名前捻れなかったの?」
A「捻れなかったの」

Q「ショウってどう言う漢字なの」
A「聖(しょう)です」

Q「聖杯ちゃんの寝ているベッドのサイズは?」
A「ダブルです」

PS。バーチャルYouTuberにハマって最近ずっと見ています。ぜったい天使くるみちゃんが一押しだったというのにぃ!天魔機忍は不滅だ!

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