Memory of purple   作:優しい傭兵

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焼肉・・・美味い

耳を澄まして聞けば食欲がそそられる音。匂いを嗅げば腹の虫が治まらなくなる。もうこれは魔術と言っても過言ではない。

 

 

「ほら、焼けたぞ希」

「おぉ!やったぁ!」

「ねえ大和。私にも頂戴!」

「あいよ」

「や、大和・・・私もくれないかしら?」

「遠慮しないで一杯食え」

「わ、分かってるわよ!」

 

俺たちが居るのはチェーン焼肉店ワンカ○ビ。あの生徒会の後の打ち上げという形でこの店にやってきた。今までの努力が無駄にならなかった事を知った矢澤は生徒会で大泣き。形は形でも女の子を泣かせるのはどうなの?と希に怒られ、詫びと絢瀬と希のお疲れ様と言う振る舞いで焼肉屋に来たと言うわけだ。代金は勿論俺持ち。この前入ったバイト代がいつもより多かったからその分での奢りだ。お腹一杯食べれるし、この店はアイスなども充実している。特に希が焼肉大好きだったからな。焼肉が嫌いな女の子っているのだろうか・・・・・・。

 

 

「塩タンと上カルビとバラ。後は飲み物でウーロン茶2つとコーラ、後小冷1つ下さい」

「かしこまりましたー!」

「何だか悪いわね大和。ご馳走になっちゃって」

「いいんだよ。元から会議が終わったら奢るつもりだったからよ」

「男前やん柴垣君。どういう風の吹き回し?」

「俺だって迷惑を掛けたって罪悪感があったからさ。ちょっとはお礼をさせてくれよ」

「優しいんやね。柴垣君」

「飯奢るくらい誰でも出来る。優しいくはねえよ」

 

口の中に肉を放り白ご飯と一緒に飲み込む。焼肉にはやっぱり米だろう。

 

 

「ん~~!やっぱりお肉大好き!」

 

 

中でも希がダントツに食べてる。肉を焼いては食べ焼いては食べ。米と一緒に口の中に放り込み頬袋一杯にしてもぐもぐしてる。見た目完全にリスだ。

幸せそうに食べやがってこの野郎。

 

「矢澤、お前もっと食えよ」

「え、えぇ」

「遠慮する必要なんてないからな?」

「してないわよ?してないんだけど・・・」

「けど・・・?」

 

 

「なんだか、申し訳ないっていうか・・・。私は貴方と初めて会った時、勘違いして酷い事言っちゃったのに、ここまで優しくされたら・・・悪い気がして」

 

 

 

 

「にこっち。柴垣君はこういう人なんよ。最初がどうだろうが人のために何かをしてあげたいって思う優しい男の子なんよ。悪く思うんじゃなくて、感謝の気持ちを伝えたらええと思うよ」

 

希の言葉を聞いた矢澤は顔を少しだけ赤くし、もじもじしながら俺と目を合わせてくる。

 

「あ、あの・・・柴垣・・・さ」

「おん?」

「あ・・・・・その・・・・あ・・・・・あり・・」

 

 

 

 

「ありがとう。私を助けてくれて・・・」

 

 

 

 

 

「おうっ」

 

矢澤の頭を優しく撫でると少しだけ口角が上がっていき笑顔になる。

 

「ほら、今日は俺からのご褒美だと思っていっぱい食え」

「えぇ、いただくわ」

 

矢澤の皿に焼けてきた肉をどんどん乗せていき食べろと催促する。すると希のように口いっぱいに肉を頬張り幸せそうに食べる。うん、飯は沢山食うのに限る。

 

「けど、大和。本当にいいの?ここって食べ放題のお店でしょ?奢ってくれるなんて・・・」

「いいんだよ、俺がしたいことなんだから。絢瀬、お前も食わないと今焼いてる肉希たちに食われるぞ」

「食べてるわよ。ありがたいのだけれど、少し遠慮しちゃいそうなのよね」

 

まあ普通にこんな事ないからな。焼肉を奢ってもらう事なんて人生に数回ある程度だろうし・・・。この雰囲気のままだと、希はともかく絢瀬と矢澤がなぁ・・・。

 

 

「なら、今度なんでも、些細なものでもいいから俺にお返しをくれ。俺はそれだけで充分だからよ」

「お返し?」

「なんでもいい。洗剤を貰うだけでも俺は嬉しいし、お菓子でも大丈夫だ。そういう日常にありふれている物でも俺は大満足だ」

「よくが無いって言われないの?あんた」

「言われる。けど、今の俺はこれぞと言った望むものがないんでな。だからお前等がいいと思ったものでいい。高いものは禁止な」

「なら、今度良い物を探してくるわ」

「ウチもやね」

「日常用品なら私に任せなさい」

「おう。頼んだ」

 

 

それと、と絢瀬が続いて問い掛けてきた。

 

「前々から言いたかった事なのだけれど」

「ん?」

「そろそろ私も名前で呼んでもらえないかしら?」

「は?名前?」

「希や穂乃果たちは名前呼びなのに私とにこだけ苗字だと少し気持ち悪いのよね」

「だからこれを機会に呼べと?」

「そう。にこもいいでしょ?」

「私は別にOKよ?」

「なら、そういうことで!」

「どういうことだ。あー・・・でもそう決まると少しだけ恥ずかしくなるな」

「男の癖になに恥ずかしがってるのよ!ほら、せーの!」

 

 

「え・・・絵里・・・と・・・・にこ・・・でいいのか?」

 

 

『・・・・・・・・・・・・』

「おいお前等何黙ってるんだよ。恥ずかしいだろうが」

「あれね。面と向かって呼ばれると照れちゃうわね」

「今考えたら男に名前で呼ばれるの久しぶり・・・なのよね」

「言い出したの絵里なんだがな」

「いいじゃない!これの方が友達らしいでしょ?」

「まあな」

 

恐らく今の俺の顔は顔が絶対赤い。赤くなっているのをばれないように白飯が入っているお茶碗を持ち上げて食いながら顔を隠す。

 

「大和君。顔真っ赤やで」

「なぜばれた!?って・・・希?今俺の名前・・・」

「あ、嫌やったかな?なんか・・・苗字で呼ぶより名前で呼んだ方がウチ的にはええ感じなんよ。前から呼んでいたような・・・」

「希?それって記憶が・・・?」

「ううん・・・わからへん。けど・・・懐かしい感じはする・・・」

 

確かに希には昔はずっと大和と呼ばれていた。『柴垣』というフレーズで呼ばれていたのは前からなんだか心がモヤモヤしていたのだが、今やっと心のモヤモヤが晴れた。

 

 

「そういえば、大和と希は幼馴染・・・なの?」

「いや、希と俺が出会ったのは小学生時代でな。希が転校してきたんだよ」

「それで仲良くなったの?」

「今の希にその真意は聞けないんだがな・・・」

「ごめんな・・・大和君」

「あ、いや・・・責めてる訳じゃないんだ」

「もう大和。希を悲しませちゃだめでしょ」

「そんなつもりはサラサラないんだが・・・」

「ふぅん。また今度その頃の話を聞きたいものだわ」

「私も。記憶をなくす前の希から少しは話は聞いてるけど、その話聞いてみたいわ」

「ウチ・・・もかな。記憶を取り戻すキッカケになると思うし」

「俺は別に構わん。けど、話をしていて希がまた頭痛を起こすかも知れないから少しずつな」

 

 

(なんだかんだ言いながら希の事大切にしてるわよね大和・・・)

(これ事情を知らない奴からしたら付き合ってるって思われかねないわね・・・)

 

 

運ばれてきた肉を網の上に置いて、飲み物のストローを除いて男らしく半分まで飲みきる。

うん、コーラ最高だ。

 

 

「けど、あれよね。大和の処遇がどうなるかよね」

「あれだけ派手にやらかしたからね。見た目はかなり良い事をしたんだけれど・・・」

「やり方が最低やからねぇ」

「そうなった時はそうなったでだ。山田先生にも一応の許可まがいの事は貰ってるから大丈夫だと思うけどな」

「理事長がどう判断するかやね」

「俺はやりたい事はしたから悔いは無い」

「今から死ぬ奴の台詞よねそれ」

「賄賂でも渡したほうがよかったか・・・」

「それが1番ダメやん」

「ダメか」

「良い方向に向かう事を期待するしかないわね」

 

流石にやり方がやり方だったしな。ストーカーと言われても拒否することはできない。今は幸運を祈るしかないな。

 

「ねえ大和」

「どしたにこ」

「私を助けると言って、したかったからしたって言ったじゃない?」

「まあな」

「本当にそれだけなの?」

「・・・・・・何が聞きたいんだ?」

「貴方の良心だけで、私を助けたとは思えないって言いたいの」

「御人好し通りこしてるからね」

「・・・・・・・・・・・・」

「沈黙は肯定と見るけどいいかしら?」

 

グラスの中のコーラを飲み干して軽く息を吐く。

 

 

 

「俺も、お前のような時があったからな」

「?」

「自分で言うのもなんだけど、バスケをしていた時は俺はそれなりに上手かったんだ。推薦も幾つもくるぐらいな」

「凄いわね」

「それがきっかけで俺は色々な奴にいじめられる標的にされていた。男同士だったから殴り合いもよくあった」

「そう・・・だったのね」

 

 

 

 

「そんな時な、俺にずっと味方になってくれた奴がいたんだ。お前は何も悪い事はしていない。周りが逆恨みで間違った事をしているだけだからお前が悲しむ必要はないってな」

 

 

 

 

目を瞑れば、あいつ(・・・)の、親友の顔が浮んでくる。

 

 

「そいつみたいになりたくてな。誰でも助けるって訳じゃないが、自分の身の回りで悲しんでいる奴を放っておけない。自分の持てる力で助けれる奴になりたいって思ったんだ」

 

 

 

 

少し、しんみりとした空気の中に希の言葉が入ると、張り詰めていた空間が和らいだ。

 

 

「やっぱり、ええ人やね大和君は」

「ふふっ、カッコいいわよ」

「その大和を助けた味方さんに感謝しないとね」

「あぁ、感謝しても・・・しきれないくらいにな」

「良い人なのね」

「良い奴・・・だったんだ」

「だった?」

「今は・・・もう居ないんだ」

「あ・・・ごめんなさい。無神経だったわね」

「いいんだ。俺は聞かれた事を話しただけだから」

 

 

 

「あいつの分まで、俺が出来る事をしないとって思ったわけだ」

 

 

 

「使命感・・・ね」

「まるでその人相棒みたいね」

「相棒でもあり親友だな」

 

焼けた肉を全員に分配して食事を再開する。

 

「ねえエリチ」

「ん?」

 

 

 

 

「あの人にそっくりやね。大和君」

 

 

 

「んんっ!?」

「あ」

「ん?」

 

希の言葉を聞いた絵里が食べていた肉を喉に詰まらせて悶絶している。なんとか肉を胃に送るために目の前にあったウーロン茶を一気飲み。飲み終えると肩で大きく呼吸をし、自分を落ち着かせる。

 

「の、希!?何言ってるのよ!?」

「え?なんかあかんかった?」

「ここで言う必要ないわよね!?」

「ええやん。大和君やねんから」

「なんだ?何の話だ?」

「あ!いや!大和は気にしなくて良いわよ!?何でもないんだから!」

「えっとな、エリチの・・・」

「希ぃ!!」

涙目になりながら必死で希を止めようとする絵里。だが効果はいまひとつだ。

「エリチにはカッコイイ彼氏さんがいるんよ」

「え?絵里お前彼氏いたのか!?」

「言っちゃたわね・・・希」

プルプルと震えて涙目の絵里が顔を上げてボソボソと呟いた。

「い・・・・・・います」

「誰だウチの絵里を取った奴は。お父さん許しませんよ」

「大和はお父さんじゃないでしょ!」

「茶番やん」

「希はお母さんってことでいいかしら?」

「にこも茶化さないで!」

「ほらエリチ。話してあげ」

あれだな。希が完璧に小悪魔になってやがる。

 

 

 

「えっと・・・かっこよくて・・・優しくて・・・いつも私の事を大切にしてくれる・・・彼氏が居ます」

 

 

顔真っ赤。トマトだ。

 

 

 

 

「希は知ってるのか?」

「うん。一度会った事があるんよ」

「にこもか?」

「私は数回。そいつ料理が上手いからよくご馳走になったわ」

「凄い大物を彼氏にしたんだな絵里。なあ名前はなんて言うんだ?」

 

 

 

 

 

 

絢瀬絵里の彼氏・・・。少し気になるな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・横山・・・隆也って人・・・です・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっくしゅん!」

「どうした風邪か?隆也」

「いや、なにやた俺の噂をされてるようだ」

「噂?」

「それか翔樹の馬鹿(病気)が移ったか」

「俺をバイ菌みたいに言うのやめてくれませんかね!?」




はい、お久しぶりです。最後に出してしまいました。この世界との時間軸は違いますが絵里は前作の主人公、横山隆也と付き合っている設定でございます。勿論、ハッピーセットで中上翔樹も一緒です。この小説ではいつ出るかは詳しくは決めておりませんが、いつか出すと思われますのでよろしくお願いします。



今回新しく評価してくださった!
オセロガチ勢さん!一二三之七氏さん!吟路さん!ありがとうございます!

む・・・評価の色が変わってしまっている・・・。頑張って赤色にしてみせる!


あ、それと告知なのですが、書きたくて書いてみた
『SWORD ART ONLINE -最後の騎士王-』という小説を投稿しましたので興味のある方、是非読んでいただければ幸いです。ですが、この小説は自分がやりたくてやったものですので読み手を選ぶと思われますのであしからず。そして文章力皆無の私にぜひアドバイスを下さい。待っています。



では今回はここまで!
感想・評価お待ちしております!

では・・・・・・またな!

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