Memory of purple   作:優しい傭兵

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懐かしい

「んぅ・・・・・・あれ?」

 

ウチが目を覚まして視界に入ってきたのは全てが真っ白の世界だった。いつも夢に出てくる世界。そうだ、ここは夢の中だと認識できた。右を見ても左を見ても誰もいない。

 

そして変わらないのは少し遠くに立っている男の人。誰か分からない。顔には靄が掛かっていてるから知り合いなのか赤の他人なのかも理解できない。

何かを男の人が喋っている。ゆっくりとこっちに近付いてきてウチに手を伸ばしてくる。

その手をウチは掴もうとした。

 

 

だが、その瞬間。見ていた世界が一瞬で真っ黒になった。

「え!?」

白から黒の世界に変わり、不気味な雰囲気が漂う。ウチに手を伸ばしてくれていた男の人もその場から光の粒になって消えてしまっていた。

 

「な・・・なんでっ?」

 

ここにいちゃ行けない。そう思って私は駆け出した。ここにいちゃダメだと自分の中の本能が告げていた。ここがどこだか分からない。だけど走り続ける。

 

「はぁっ・・・!はぁっ・・・!」

 

かなり走ったのか息が上がってしまいその場に膝を着いて肩で呼吸している状態だ。額から汗が流れて地面にポタポタと零れ落ちる。

手で汗を拭い、また走ろうとした瞬間、目の前に見知った顔がいた。

 

「あっ!エリチ!」

「・・・・・・・・・」

「エリ・・・チ?」

 

だがそこに居た絢瀬絵里はいつもの絢瀬絵里ではなかった。いつもウチに見せてくれていた笑顔を一切浮かべておらず、その輝いていた蒼い瞳は冷たく光っていた。

 

「ねぇ・・・エリチどうしたんよ・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「えっ!?エリチ!?絵里!?」

 

男の人のように目の前のエリチも光の粒になって消えていく。

 

「な・・・なんで?なにが・・・」

 

頭が今の状態に追いついていなかった。いつもあの世界を見ているから夢だと認識していたはずなのに現実にしか感じられなかった。流れる汗も脈打つ鼓動もリアルだ。

 

 

「希ちゃん・・・」

「っ?!穂乃果ちゃん!ことりちゃん!海未ちゃん!」

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

今度は自分の大事な後輩である仲良し3人組。けどその表情は絵里と一緒だった。

 

「ねぇっ・・・・・・皆どうしたんよ・・・エリチが消えて・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「あっ!?ねえ!待って!」

 

1人、また1人と自分の目の前から消えてしまう。まるで記憶喪失になって消えていった過去の記憶のように・・・。無くなっていく・・・自分の大事な物が。

 

すると、次は矢澤にこが目の前に現れた。

 

「にこっち!」

「希・・・・・・」

「お願い消えないで!ウチの前から消えんといて!」

「・・・・・・・・・」

「にこっちぃ!」

 

だが願いは叶わず、消えていく。

 

 

 

「やだ・・・ヤダヤダヤダヤダヤダ!!なんで皆消えるの!?お願い消えないで!私から大事なモノを取らないで!!」

 

 

黒の世界に怒号を飛ばすが儚く消えていく。

もう顔は涙や鼻水でぐちゃぐちゃだ。もうどうなっているのか分からない。ここはどこだ?夢か?現実か?幻想か?幻か?

 

 

私は誰だ?

 

 

 

 

「そうだよ・・・」

「っ!?」

「ここはいつか貴方がたどり着く場所。誰にも助けてもらえず、救われず、この黒白の世界に溶けていく。貴方の大事なモノも消える。絢瀬絵里、高坂穂乃果、南ことり、園田海未、矢澤にこ、そして・・・柴垣大和も」

「大和君・・・・・・まで?」

「アレは私のもの・・・記憶が無い貴方には勿体無いモノ。彼女達もすべて・・・ワタシノモノダカラ」

「いやっ!皆ウチの大事な宝物!記憶を失ってもウチらはずっと繋がってる!!渡さない!誰にも!大事な物は絶対に!貴方にも!」

 

ここは自分しか居ない。けどそんな私に話しかけてくる『ダレ』かに言い返す。

 

 

 

 

「なら・・・・・・こうする」

 

 

 

 

 

映像か何か分からない。一瞬で目の前に柴垣大和が現れる。

 

 

 

 

「大和君!」

「希・・・・・・」

「ジャアネ」

 

刹那、柴垣大和の足元に巨大な穴が口を開き、奈落の底に落ちていく。

 

 

 

 

「いや・・・・・・イヤアアアアアアアアアア!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

「希!希ぃ!」

「はっ!?」

「大丈夫か希!?」

「はぁ・・・はぁ・・・・・・あ・・・あれ?」

「大丈夫か?魘されていたが」

「大和・・・くん・・・?」

 

目を開けたら知らない天井だった。当たりを見渡すと自分の家じゃない。誰かの家の中だとすぐに認識できた。そして目の前には自分を心配してくれているさきほど『穴』に落ちていった筈の柴垣大和の姿があった。

動機が激しい。汗が止まらない・・・。服も汗でべっとりとくっついてしまっていた。

 

 

「ここ・・・は?」

「俺の家だ。お前、俺の家の前で蹲ってたんだぞ?」

「ウチ・・・・・・何を・・・・・・」

「大丈夫だ。もうここにはお前を苦しめるものは何も無い。俺が付いている」

「あ・・・・・・」

 

握られている大和の手を握り大きく深呼吸する。どうやらちゃんと現実に戻ってきたようだ。

 

「そっか・・・ウチは・・・」

「悪夢でも見ていたのか?」

「うん・・・ここに来る前に見ていた夢と一緒。皆ウチの目の前から消えてく夢・・・。大事な宝物が消えていって・・・それから・・・」

「希・・・?」

「ご・・・ごめんな?なんだか・・・涙が止まらなくて・・・・」

 

安心したからから目から涙が零れる。ポロポロと零れ落ち自分の手と大和の手を涙で濡らしていく。

そんな自分の目から零れる涙を大和は手で拭ってくれた。

 

「大丈夫だ・・・。俺はここにいる。絵里も穂乃果も海未もことりもにこも。どこにもいったりしない・・・。皆お前の味方だ・・・『お前は1人じゃない』」

「や・・・大和君・・・・」

「おう」

「うっ・・・・・・っ!」

「うぉっ!?」

 

胸の奥から何かがこみ上げてきて押さえ込む事ができなかった。悲しみなのか喜びなのか、色々な物がごちゃごちゃになっている。頭に浮んだのがなぜか彼に甘えることだった。なぜだか分からない・・・。頭がちゃんと整理されていないからか彼の近くにいれば安心感が込み上げてくる。

 

 

「こわかった・・・寂しかった・・・」

「あぁ」

「皆・・・・消えちゃうんだって・・・・・・」

「消えない。消えてたまるか」

「家で起きた時は夢だって安心はしたんだけど・・・皆が消えていくのがリアルすぎて・・・」

「夢と現実が混濁してるんだな・・・」

「怖くなって・・・誰かに側にいて欲しくなって・・・」

「それで俺の家に来たと・・・」

「頭がどうにかなってて・・・大和君はこの世界にいないんじゃないかって・・・。そんな事ありえるはずないのに・・・バカやね・・・ウチは」

「希・・・」

「ウチは・・・私はダレ・・・・?」

「お前は東條希だ」

「ここに居ても・・・・・・いい?」

「勿論だ」

「私は・・・」

「お前は大事な友達だ。大事な友達で・・・・・・俺の・・・」

「俺の・・・・・・?」

「いや・・・・・・なんでもない」

 

彼の大きくてゴツゴツした手が私の頭を撫でてくれる。右手で頭を撫でて左手で背中を摩ってくれる。凄く落ち着くし安心する。

なんで彼は顔が赤いのだろうか?

 

「大和君・・・顔赤いで?」

「うるせ」

「照れ屋さんやね・・・」

「俺だって照れることだってある」

「可愛い」

「うるせー」

「えへへっ・・・・・・」

 

もう少しだけ、このままと思う自分が居た。このまま彼の胸の中に居ればなにもかも癒してくれるんじゃないのかと直感し、全てを委ねた。

 

 

「希・・・」

「大和君・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

見つめ合い・・・・数秒ほど時間が過ぎると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろイチャイチャするのも終わってもらってよろしいでしょうか羨ましいとけしからんという思いで心と体と頭が噴火しますよ?」

 

 

 

 

 

 

『うわあああああああああああああ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

ポニーテールに髪を纏めている女の子の一声でその場の空気が一変した。

 

 

 

 

 

よくそんな長文を噛まずに言えたね・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・シャワーありがとう」

「気にするな。けど服大丈夫か?俺のTシャツだけど」

「うん・・・大きいくらいがウチには丁度いいから・・・」

「そうか」

「けしからん胸ですね」

「おい桜ぁ!?」

「はっ・・・つい本音が・・・」

 

理性を取り戻したウチは汗で体にへばりついた服が気持ち悪かったので大和君のシャワーを借りる事になった。迷惑をかけたのはウチやのに大和君は優しすぎる。しかも服は洗濯と乾燥までしてくれている。それまで変えの服は大和君のTシャツと大和君の妹の桜ちゃんの学校の体操ズボン。サイズは少し小さいくらいだが許容範囲内。なんだか・・・落ち着く。大和君の匂い・・・。

 

(って!ウチ変態みたいやんか!)

 

「どうした希?頭ブンブン振って」

「な、なんでもないんよ!?気にせんといて!」

「お・・おう」

「希ねえさん。その気持ちよく分かりますよ」

「え?桜何か分かったの?」

「兄さんシャラップ」

「うむ・・・・・・」

 

今は大和君の家のリビングにあるソファに座らしてもらって、ウチの横には桜ちゃん。床に大和君が腰を下ろしている。そしてウチの膝の上には大和君の家で飼っている猫のミィちゃんが丸くなってる。人懐っこい猫ちゃんやね。

 

「少しは落ち着いたか?」

「うん・・・色々ありがとう」

「気にするなよ」

「それに・・・えっと、桜ちゃんも」

「大丈夫です。希ねえさんは私の大事なねえさんなので」

「それは、記憶を無くす前からこういう関係やったんかな・・・」

「そうですよ。希ねえさんは私に凄く優しくしてくれて、新しい姉が出来たような気分でした」

「そっか・・・」

「確かに記憶を無くしたのは残念な事です。けどそれだからって私と希ねえさんの繋がりが切れるわけではありません。私はずっと希ねえさんの味方です。安心してください」

「うんっ・・・ありがとう」

「なんでも力になりますから」

「出来た妹ちゃんやね。大和君」

「どこで道を間違えたらこうなるんだろうな」

「道を誤らなかったらこうなったんじゃないん!?」

「もっとこう、お兄ちゃん大好き!って言いながら抱きついてくるのを期待していたんだが」

「シスコンキモいです」

「おうストレートだな」

「仲が良いのか悪いのか分からんね」

「にゃ~」

 

ミィちゃんの頭を優しく撫でながらリビングに掛けられてある時計を見ると午後5時前になっていた。

 

「そろそろ晩飯作らないとだな」

「そうですね。希ねえさんもご一緒に」

「え!?ええの!?服まで色々してくれたのに晩御飯まで貰うって凄く悪い気がするんやけど・・・」

「このまま帰すのもなんだか後味が悪くてな。折角なら晩飯食っていかないか?」

「いいの・・・?」

「断る理由がないからな」

「なら・・・よろしくお願いします・・・」

「おう」

「決まりですね」

 

なんでここまでしてくれるのだろうか。記憶が無いウチがここまで迷惑をかけているのにも関わらずこの人は嫌な顔せず、寧ろ笑顔で答えてくれる。器が大きいとかそういった類のものではない。御人好しも良いところ・・・・・・。

 

けどなんでかウチはこの人が全くと持った赤の他人とは思えない。確かに大和君からは自分は過去のウチを知っていると言っていたがそれを明らかにする証拠も無い。けどなんでだろうか。ウチはこの男を知っている気がする。まるで、『過去にもこうやって私を助けてくれた』ような覚えがある。気のせいかもしれないが、なぜかそう思ってしまう・・・。なんでだろうか・・・?

 

 

「希?」

「あっ・・・何?」

「大丈夫か?頭が痛かったりするか・・・?」

「だ、大丈夫やで?ちょっと考え事してただけだから」

「そっか」

「希ねえさん。料理はできます?」

「料理?」

「何年ぶりになりますが、3人で一緒に料理しませんか?」

「今日は鮭のホイル焼きだ」

「ウチは2人と一緒に料理してたん?」

「おう。俺と桜の両親が仕事でいない時は3人で料理してたんだぞ」

「兄さんはその頃よく指を切って大変でした」

「・・・・・不器用なだけだ」

 

3人で・・・料理・・・。懐かしい響き・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、ご一緒させてください」

「勿論」

「喜んで」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご馳走様でした』

「ふぅ・・・美味かった」

「ですね。希ねえさんが作ってくれた野菜スープ凄く美味しかったです」

「そ、そんな大袈裟な。普通のやで」

「いや、確かに美味かった。希は良いお嫁さんになれる」

「お・・・およよお嫁さんって・・・・・・」

「兄さんセクハラです」

「どこが!?」

 

3人で台所に立ち、大和君は鮭を担当し、ウチは簡単に作った野菜スープ。桜ちゃんはポテトサラダと副菜を少々。結論から言って凄く楽しかった。今までエリチと一緒に料理をした事は何度か合ったが、こうやって彼らと料理をしたのは『今』の私にとっちゃ初めてのはずなのだが、どうも初めてとは思えない。胸の奥が暖かくなって、ポカポカする。懐かしいし楽しいの感情が溢れ出して来る。

それと気付いた事がある。大和君の手はゴツゴツしているのに綺麗な手をしていた。包丁を持つ手やフライパンを持つ手、全てがなぜかカッコよく感じた。その手も料理をしている姿全てが。

台所に立つ男の子はかっこいいってエリチには聞いていたが本当のようだ。ときめいてしまった。

どうやらエリチの彼氏の隆也君の事を言っていたのだろう。

 

 

「色々ごめんね。ご飯までご馳走になっちゃって」

「大人数で飯食ったほうが美味いんだよ」

「そうですよ。2倍美味しくなる方式です」

「お陰で何倍おかわりしたか覚えてない」

「4杯目から数えていません」

「新記録!」

「そのお腹のどこに入っていくのか謎なんやけど・・・」

 

美味しいと言ってくれながら食べていた大和君だがこれでもかというくらい白ご飯をおかわりしていた。わんこそばとまでは行かないが入れては消え入れては消え。口いっぱいに頬張る姿が少し可愛く感じた。

料理をしたら最後の肯定。皿洗いを3人でして今はソファでまったりしている。チラリと横目で時計を見たら午後8時を回っていた。

 

 

 

「そろそろおいとました方がよさそうやね」

「ん?もうそんな時間か」

「希ねえさん。家に泊まって行きませんか?」

「流石にそれは無理だ。希も学校があるんだから」

「ごめんね桜ちゃん」

「うぅ・・・もっとお話ししたかったです」

「また来るから・・・ね?」

「はいっ」

 

 

洗濯と乾燥が終えた服を紙袋に入れてもらって玄関まで向かう。

 

 

「服、ちゃんと洗って返すわ」

「別に気にしなくて良いんだぞ?またうちで洗濯回せばいいんだから」

「いいんよ。これはウチがやりたいことやから」

「ならいいが・・・」

「ほら兄さん。希ねえさんを送ってあげてください」

「おう」

「そして帰りにアイス買ってきてください」

「抜かりないんやね」

「プリンも食ったって言うのに・・・」

「アイスは別腹です」

「別腹って言えば済むと思うなよこの野郎」

「とか言いながら兄さんはちゃんと買ってくれるって事を桜は良く知ってますよ」

「・・・・・・ふん」

「あ、大和君顔赤い」

「やかましい。行くぞ」

「あ、うん!桜ちゃん、またね」

「はいっ。また来てください」

 

 

玄関で桜ちゃんに手を振って大和君と一緒に柴垣宅を後にした。外はもう完全に真っ暗。今日新月だから月明かりも無い。だから道は外灯だけしか光をもらえるものが無かった。夢の中のような暗さだが何も怖くない・・・。だって、大和君が側に居てくれるから。

 

 

「ありがとう、大和君」

「ん?」

「こうやって送ってくれたり・・・ご飯とかも」

「俺や桜がしたかったんだからいいんだよ。友達だろ?俺たち」

「友達・・・・・・」

「希?」

「ウチらは過去も友達やった?」

「え?」

「過去ではウチはどんな人間やったのかな。大和君と仲良くしてた?」

「・・・・・・あぁ。変わらないよ」

「変わらない・・・?」

 

 

 

 

「あぁ、全然変わらない。お前はお前のままだ。喋り方が違えど希は俺の知っている希だ。友達を大切にしようとしてるお前は、正真正銘東條希だ」

 

 

 

 

正真正銘・・・東條希・・・。

そっか、記憶は無くしてもウチはあの頃と変わらないんだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ・・・大和君」

「ん?」

「謹慎が終わって学校に来たら、エリチと一緒にもっとウチの事教えてくれへんかな?」

「希のこと?」

「たまに思うことやねんけど・・・ウチは大和君を知っているけど知らない。過去のウチがどんなのだったのか、大和君が知っている事を沢山聞きたいんや」

「けど、無理に思い出そうとしたら頭痛が」

「ううん、これは記憶を蘇らせるための代償の痛みなんや。こうやってずっとウチの事を大事にしてくれる人達が居た過去を、思い出したい。それならこんな痛み・・・なんともないんよ」

「・・・・・・・・・希」

 

 

 

外灯に照らされている場所まで走り、大和君の方を振り返った。

 

 

 

 

「ウチはもっと・・・もっともっともっと!大和君の事を知りたい!過去の君の事も今の君も。そして知ってもらいたい。今の『自分』を。それが記憶に繋がる唯一の『道』だと思うんや!」

 

 

 

 

 

道が無いなら自分で切り開く。楽しかった過去を思い出せば、思い出したくない過去も思い出すだろう。けど、それを全て探し出す。

これは一種の旅だ。ゴールはもっと先にある。止まらず歩き続けるのが今の自分の運命なんだ。

 

 

 

「ウチと一緒に・・・記憶を探してくれませんか?」

 

 

 

「友達のためなら手を貸す。それが『今』のお前と会ったときに約束したことだ。とことん付き合きあうぜ」

「へへっ・・・・ありがとう!」

 

自分の出せる満面の笑みを大和君に返す。その笑顔を見た大和君の顔が真っ赤になる。なるほど・・・大和君はこういった事は慣れてないんやね。『昔と変わらんね・・・』

 

「っ」

「希?」

 

あれ?ウチ・・・また。覚えてない事を覚えてる・・・。

 

 

 

「どうした?」

「っ・・・・・・なんでもないんよ。心配しすぎ」

「むぐっ」

背を伸ばして心配してくれている大和君のほっぺを引っ張る。おお?男の子やのにほっぺぷにぷにや!

「・・・・・・お餅」

「失礼だぞ」

「はっ・・・つい」

「これでも鍛えてるんだから」

「腹筋バキバキ?」

「・・・・・・そこそこ」

「おっ・・・おぉ~」

 

少し想像した自分が恥ずかしい。しかも思い出した事がある事を隠すのに男の子に軽くボディータッチをしてしまった自分がとても恥ずかしい。

 

 

 

 

「希顔赤いぞ」

「にやにやせんといて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうここらでいいよ。もうそろそろ家に着くから」

「そうか・・・ならここまでだな」

「うん・・・」

 

持っていた紙袋の紐をきゅっと掴む。欲張りなんだろう・・・もっと話たいと思うことが。

 

 

 

「じゃあ、またな」

「うん。また学校で」

 

 

 

お互い背中を向けて歩き出す。けど数歩歩くとすぐに足を止めてしまった。

彼に・・・ちゃんとありがとうを言いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大和君!」

 

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

いつもよりお腹に力を入れて言葉を発した。

 

 

 

 

 

 

「ありがとう!今度・・・・・・お返しに・・・どっかでかけへん?」

 

 

 

 

 

 

 

大和はそれを聞いて、すぐに笑顔になった。

 

 

 

 

 

 

「あぁ。いいぞ!遊びに行こうぜ」

 

 

 

それを言い残して大和君は背を向けて、外灯に照らされていない闇の中に消えていった。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

胸に手を当てると、鼓動が早い。胸が熱い・・・。顔も熱い。凄くドキドキしてしまっている。

 

 

「これって・・・・・デートに・・・なるやんね・・」

 

思い出してまた顔が赤くなる。だめだ!このままだと爆発しそう!

そう思って家に向かって小走りで移動した。

 

恥ずかしいはずなのになぜか顔が笑顔になっているのがよく分かる。

 

 

 

 

 

「今日は・・・・・・良い夢が見れそうやね・・・」

 

 

 

 

 

 

神様、早く記憶を返してください。そして・・・教えてください。

 

 

 

 

 

 

この嬉しくなる気持ちは、なんなんでしょうか?

 




はい。シリアスからほのぼのとした状況になりました。最後がちょっと強引気味でしたね。少し反省・・・。
次回からまた学校編です。デートは少ししたらやります。必ず!
ちょっとずつ桜を入れよう。妹万歳。

絵里の小説もちょこちょこ書こうかな。SAOも書かないと。好きな事をやるって凄く楽しいと思うのはきのせいでしょうか?考える前に書け?・・・・・・失礼しましたぁ!!


それでは今回はここまで!
感想・評価お待ちしております!


では・・・またな!
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