Memory of purple   作:優しい傭兵

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一か月振りでござりまする。


初めてで初めてじゃないデート

明日は俺にとって大事な戦いの日である。

 

その為の仕度をする為にリビングで我が家のマスコットの顔をもふりながら作戦を考える。

 

 

「なあミィ」

「にゃ~」

「明日希と出かける日なんだが」

「にゃん」

「どうしたらいいのかわからないんだ」

「にゃ~ん」

「しかもだ。こんな俺が希を楽しませることなんてできるんだろうか」

「にゃ」

「確かに俺も一人の男だ。どんな時でも最善を尽くして希の為に頑張ろうとは思うよ」

「にゃ・・・」

「けど自信がねえんだ。最後に希と一緒に遊んだのって昔の話だ。あの時と同じ要領で楽しませれるかって聞かれたら多分無理だって答えると思う」

「にゃん…」

「俺は明日一体どうしたらいいんだろうか。レディーファーストは勿論だし、飯食う時は希に合わせるし、全身全霊を尽くして希を楽しませるけど、俺にそんな力があるんだろうか」

「やれやれ・・・」

「待てお前今喋った?」

「にゃん」

 

 

気のせいか…疲れてるのかな・・・。

 

 

 

「兄さん。明日は希ねえさんの為に頑張るんですから早く寝てください」

「・・・桜」

「それとミィは私と寝ますので」

「本当にミィの事好きだよな」

「にゃにゃ」

 

 

 

 

 

晩御飯と風呂を済ませて、俺、桜、ミィと一緒にソファに座って寛いでいるとき。

 

「それと兄さん」

「ん?」

「楽しませるではなく、2人で楽しんでください。ねえさんだって兄さんには楽しんでもらってほしいと考えているはずです」

「お、おう…」

「いつでも冷静に、礼節さを保ちつつ、紳士のごとく、希ねえさんと楽しんでください」

「俺は執事か何かか?」

(まぁ…この二人の場合ではどんなことでも楽しめると思うのですが…)

「桜?そんな俺の顔見ても何にも出ないぞ」

「うるさいですよハルク」

「いや誰がハルクだ」

「さっさと明日の服の準備して寝なさいじゃないと木刀でタコ殴りにしますよ」

「わかりましたすぐに準備して寝ますので許して下さい頼むからその木刀を下ろせぇぇえええ!!」

 

 

桜に木刀にフルボッコにされて部屋に戻る俺。そのまま体をベットに倒れさせ天井を向く。

 

 

「・・・・・・とりあえず、俺がやれるべきことはやるしかねえよな。明日の事は明日の俺に任せるしかねえ」

 

 

明日の服、必需品などを準備しベットに横になる。

 

 

 

 

 

 

 

「希との・・・デート・・・何年振りかな…」

 

 

 

 

早めに寝ておこう。寝れなくて遅刻するのはごめんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい・・・はい…。了解しました。私も今から準備します。では明日、私の家集合で……ボス(絵里さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大和&希デート追跡任務(スニーキングミッション)…開始です!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

『13時に駅前で集合!遅れたらわしわしの刑やで!』

 

 

朝に起きて準備をして駅に着いたのはいいものの、当の本人が全く来ない。そして集合時間を完ッ全に過ぎてしまっている。

 

現在時刻13時40分

 

「ねぇねぇ・・・あの男の人でかくない?」

「やばっ!超でかい!」

「巨人だ!巨人だー!」

 

 

頼む・・・希よ早く来てくれ。早く来てくれないと俺は注目の的となると同時に巨人として駆逐されてしまう。

この歳で死因がうなじをそぎ落とされるだなんて俺は嫌だぞ。

 

 

「っていうか本当にどうしたんだ…迷子・・・な訳ないか。あいつの方がこっちでの生活が長いはずだし」

 

一応連絡は入れてるが反応が無い。まさかまた・・・?いや、さすがにあり得ないハズだ。

これは希を迎えに行った方が良いのだろうか?だが家を知らない。絵里に連絡を入れて場所を教えてもらおうか。だが人の住所を勝手に聞くのもプライバシーとして・・・。

 

 

ツンツンッ

 

 

いや…だがあいつの友達として何もしないわけには…。もしもあいつが事故なんかに遭っていればもっての外だし…。

 

 

ツンツンッ

 

 

 

そうだな。俺はあいつの友達だ。もうあいつの薬んでいる姿は「大和くんっ」いでででで!?」

 

 

え?え?え?ほっぺ無茶苦茶痛いんですけど!?

 

「もう!先からツンツンしてるのになんで気づくんがおそいん!?ウチ怒ってまうで!?」

 

俺の頬を引っ張り自分の頬を膨らませてプンプンと怒っている少女をに目を移す。

そこには、ピンクに染められている服と黒色のスカート、そして黒のニーソに白のふわふわがくっついているブーツ。いつも通り髪をピンクのリボンで二つに結い、黒の帽子を被った少女、俺がここでずっと待っていた張本人、東條希が居た。

 

「希・・・」

「ごめんね遅れて。用意に時間かかってしまって…」

「いや、それは別にかまわない。俺も今いたところだから」

「本当に~?嘘ついてない?」

「ほ、本当だ」

「ふ~ん。ならそういう事にしておこっかな」

「ぬぐっ・・・」

 

おのれ小悪魔たぬきめ。分かってて言ってるんだろう。そうかそうか。貴様がそういうつもりなら俺もある手段を取らせてもらう。

 

 

「希」

「ん~?」

「似合ってるぞその服。可愛いぞ」

「お?大和君が褒めてくれるなんて!こりゃええことありそうやな~」

 

あ、あれ?照れない?昔はこういう事を言うと顔真っ赤にして照れるはずなのになぜだ!?作戦が失敗した!?

 

 

「ほら早速行くで。時間は有限!いざ行かん!」

「お、おい待て希!おいてくな」

 

 

 

 

(や、大和君がウチの事可愛いって言ってくれた!?う、嬉しいけど恥ずかしい方が勝ってるんやけど!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボス、あれをどうみますか?」

「耳をよく見なさい。赤くなってるわ」

「効果は抜群・・・という事でしょうか」

「十中八九その通りよ。あ、移動したわ。付けるわよ」

「了解」

 

 

 

 

約二名ほど、二人を追跡中。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?今日はどう言った予定で?」

「んー・・・日用品と服かな?ウチ一人暮らしやから自分のものは自分で用意せなあかんし、あと新しい靴とかかな?この前エリチと来たときにええ靴があったんよ」

「ほう、靴か」

「ウチ足小さいねよな。24センチ!」

「やっぱり女の子はそれぐらいかサイズは」

「大和君は?」

「俺の足のサイズ29だな」

「やっぱり身長でかいとそれくらいやねんな」

「けどこれ意外と困るぞ?中々見つからないから」

「いつもどうやって靴買ってるん?」

「まず店に言って確認した後、あったらそこで買う。なかったら通販かな」

「足でかい人って不便やね」

「まず背がでかいこと自体不便だぞ?服のサイズ合わないときあるし、壁によく当たるし、ベットから体ははみ出るし」

「背が高い人ってかっこいいと思うねんけどな~」

「まあ、男は身長に憧れるものだしいいっちゃいいんだけど」

「それの対価がね」

「何回たんこぶつくったか」

「数は?」

「指じゃ足りない」

「たんこぶ大和君」

「やめんか恥ずかしい」

「エリチに教えとこっと♪」

「やめろコラァアアアア!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうなの?」

「兄さんはよく頭をぶつけていたのは事実です」

「たんこぶ大和」

「LINEの名前それにしますか」

「今度学校で言ってあげようかしら」

「目玉カッ!て開くでしょうね」

「間違いない。あ、移動したわね」

「行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅から移動し俺たちは近くにあった大きめのショッピングモールに場所を移した。日用品から何から何まで。生活には欠かせない商品がずらりと並んでおり、家庭品から家電、などなど。後はファッション商品、メンズ商品、アウトドア商品、ゲーム。多種多様が集まっているショッピングモール。

 

 

 

「日用品は後でええから、先に靴見ても構わん?」

「いいぞ。荷物持ちも任せろ」

「流石力持ち」

「それしか役に立てんからな」

 

 

エスカレーターを使って4回のファッションエリアへ。ここは東がメンズ用品。西が女性用品になってるから分かりやすくて助かる。

 

 

 

「えぇっと・・・」

「お目当ての商品はあるか?」

「確かこの辺りにあったはずやねんけど…」

「全部似たような感じに見えるんだが」

「もう大和君。そういうのは思ってても口にしたらあかんねんで」

「す、すまん」

「そんなのじゃ女の子に嫌われるで?」

「ま・・・まじか」

(それは困る。色んな意味で)

「女の子は繊細で弱い生き物。そしておしゃれにすごい力を入れとるんやで」

「凄いな」

「女の子は実用性より可愛さとかそっちメインやねんで」

「む、難しいんだな」

「難しい、そしてとてもか弱いんや」

「か弱い…」

 

か弱い…。確かにそうかもしれない。希の言っているか弱いは多分物理的でもあるし精神的って意味でもあるんだろう…。そうだ。。か弱くなければ希は今はこんなことにはなっていないのだろう。人間はとても・・・脆いのかもしれない。

 

 

 

 

「大和君」

「あ、おう」

「ごめん・・・変な話振ってもうた」

「いや、大丈夫だ・・・問題ない」

「確かにか弱い…けどウチはもう大丈夫やから」

「大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だってウチには…柴垣大和っていう人が守ってくれるから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……」

 

 

 

守る…か。

 

 

 

「ああ、そうだな。俺が守ってやる」

「へへっ。安心や!ほら、暗い話はこれでしまい!はよ探しにいこ!」

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「コーヒー飲みましょうか…………」

「私も…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あった!」

「お?これか」

「うん!シンプルでええ感じなんよ」

 

希が手に取ったのは足首からすねにかけてまでの大きさのあるブーツ。厚底で分厚いヒール。紐とベルトであしらわれたそれはまさに言う【今時の女性】が履きそうなブーツであった。

 

 

「このブーツ、値段もええしウチにあうサイズやったから買う決めてたんよ」

「確かにこれは希に似合いそうだな」

「ありがとう。一応履いて確認しよっかな」

「だな」

 

近くにあった椅子を希の近くに持っていきそこに腰を下ろさせた。

 

「んっ・・・・ほっ・・・と」

「一人で履けるか?」

「もう馬鹿にしすぎやで!」

「いや、履きにくそうだからつい…」

「もうっ」

 

プンプン怒る希も可愛い…じゃなくて。こんな長い靴履きにくそうだと思うのは俺だけだろうか…。

 

 

 

「ぬっ…ぬぐぐ・・・」

「案の定じゃねえか」

「ちゃ、ちゃんと履けるもん!」

「ったく、貸してみろ」

「え?」

「こういうのは…まず紐を上からじゃなくて下から解いて行って」

「ふむふむ…」

「スペースができるからここにゆっくり足を入れて・・・」

「んっ…」

 

 

自然に希の足を掴んでゆっくりと靴に入れていく。

 

(あ、あれ?俺なんでこんな自然に希の足掴んでるんだ?)

 

傍から見た俺たちの状況。俺が膝をついて希の足を右手で優しくつかんでブーツに入れている図。何もいかがわしくはないとしてもこれっていいのだろうか。完ぺきに女王様とそれに使える執事の絵じゃないのだろうか。

 

 

 

(い、いや気にしてはいけない!平常心だ平常心!)

 

 

「あ、入った!」

「よ、よし。けど一応確認としてかかとに人差し指を入れるんだ。それで少し隙間が空いていればOK。入らなかったら少しきついかもしれないから別のサイズのブーツにしよう」

「わかった。えーっと・・・あ、結構入ったから大丈夫かな」

「じゃあそのサイズで決定だな」

「うん。会計してくる!ありがとうな大和君!ええ豆知識やわ!」

「おばあちゃんみたいに言うな」

 

 

 

 

 

 

 

 

(あー…びっくりした~…。大和君自然にウチの足掴むんやもん。いや、下心は無いのは分かってるけどやっぱり恋人同士じゃないから恥ずかしい・・・。というか、なんで大和君は平気なん・・・?ウチだけ恥ずかしがってるのが馬鹿みたいやん!)

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ」

「これお願いします」

「はい、お値段は6980円です」

「えっと・・・1万円からd「すいません。これで」え!?」

「あらあら♪はい、1万円お預かりしますね。おつりで3020円です。ありがとうございました!」

 

 

 

 

 

希が金を出そうとしたところを俺が横から代金を支払った。

ブーツの箱が入った紙袋を希に手渡す。

 

 

 

「え、や、大和君?なんで?」

「いや、これは俺からの贈り物だ。今日は久しぶりに希と遊べたからさ、今日はそのお礼ってことで」

「い、いいん?大和君だって自分のお金やのに」

「いいんだ。俺の気持ちを受け取ってくれ」

 

 

 

そう言うと希は紙袋をギュッと抱きしめ俺に満面の笑みを向けてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう大和君!私…これ大切にするね!」

「あぁ」

「えへへ…男の人からのプレゼント・・・嬉しいなぁ」

 

 

にっこにこ。すごいにっこにこの希。なんだか周りに花が飛んでるように見えるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大和君!」

「ん?」

「次日用品のところ行こ!日用品!」

「そうだな。行くか」

「そこでなんやけど…」

「お?」

 

左手に紙袋を持ち、右手を俺に差し出す。

 

 

 

 

「手・・・繋がへん?」

「手?」

「そ、その…あかん?」

「いや、いいぞ?」

「昔のウチもしてたはずやから」

「確かにな…。なにかのきっかけになるかもな」

「それに・・・今のウチが…繋ぎたい・・・。いい…?」

「お、おう」

 

 

そんな顔すんなよ顔真っ赤でよ。俺の方が照れるだろうが…。

 

 

 

 

 

「ほら」

「・・・えへへ」

 

 

 

希の右手を左手で握る。

うわ…。変わってない。昔と一緒でふにふにしてて柔らかい。超柔らかいな…。

 

 

 

 

「手・・・にぎにぎしすぎ・・・」

「悪い…」

「すけべ・・・エッチ・・・」

「うぐっ・・・・・・」

「罰として今日はずっと握ってて…」

「了解した・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

なんだろうな…初めてじゃないのに…なんでこんなに胸がどきどきするんだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(大和君の手・・・ごつごつしてて男らしい…。かっこいいな……)

 

 

 

 

 

 

「い、行くか」

「や、やね…」

 

 

 

 

 

その後の俺たちの顔は終始ずっと真っ赤であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「甘い……」

「甘いわね…」

 

 

 

 

 

 

 

本日のブラックコーヒー、時よりミルクコーヒーとなることでしょう。




はい、お久しぶりでございます。なーんとかリアルでの学会や色々なものが終わり少しだけ落ち着いたので投稿いたしました。
ですが、これからも投稿は早めに・・・とは行か無いかもしれないのでご了承ください。申し訳ないです…。
頑張って投稿していきますので応援のほどよろしくお願いします!!




では、今回はここまで!感想・評価お待ちしております!
では・・・またな!

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