Memory of purple   作:優しい傭兵

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前話で今年最後の投稿だと言っていたな・・・。



あれは嘘だ。


今度こそ今年最後の投稿です。


神とつく神社

長い階段を登り、前門をくぐると目の前には大きな正殿。

 

俺たち人間よりも何倍も大きい建物。この建物は昔から現代までずっと護られながら存在していたのだろう。

 

 

俺、いや・・・俺たちが今居るのは東京都の千代田区にある神社。

 

 

 

 

 

『神田明神』

 

 

 

 

神聖な場所にして、俺の古くからの友である、東條希が記憶を失った場所である。

 

 

 

なぜこの場に足を踏み入れたのか。

 

それは1時間ほど前まで遡る。

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

 

「神田明神に?」

「はい!そこならの希ちゃんの事も見守りながら大和先輩の話も聞けます!」

「ちょっと穂乃果!大和先輩たちの都合もあるのですよ!しかも希先輩が働いているその場なんて思ってのほかです!」

「いや俺は特に用事はないけど・・・」

「うっ・・・そ、それに!絵里先輩たちの生徒会のお仕事などもあるのですよ!?」

「今日は大和への生徒会の説明ぐらいだったからこれからの仕事はないわよ?」

 

海未ちゃんの言葉すべて玉砕。

 

「ことりぃ・・・」

「はい海未ちゃんよしよし」

海未ちゃんがことりちゃんに抱きついておーいおいおいと泣き始めた・・・。

 

 

「今は海未ちゃんは放っておいて!一緒に行きましょう?神田明神!」

容赦ないね・・・穂乃果ちゃん。

「俺は別に構わないけど、絢瀬や希は?」

「私も特に用事が無いから大丈夫よ」

「ウチは・・・皆とはたまにしか一緒におれへんけど大丈夫かな」

「じゃあ行きましょう!」

「中々強引な子だな」

「そこが穂乃果の良い処でもあるんだけどね」

 

 

各自、学校を出る準備を整え神田明神に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけだ。

希はバイトの姿、巫女服を着るために一度席を外した。

俺、柴垣大和と絢瀬、穂乃果ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃんは神社の縁側に座り空を見上げていた。

 

「ここが神田明神・・・か」

「大和先輩は初めてですね。ご感想は?」

「静かで落ち着く。多分ここに布団があれば確実に寝れる」

「日差しでポカポカしますもんね~。ことりちゃん眠くなってきたぁ~・・・」

「穂乃果ちゃん。希先輩が来るまで我慢だよ?」

「コラッ。希が来てもダメよ。行儀が悪いから」

 

でも確かに気持ちが良い。今は4月の下旬前に入ろうとしたところだから日差しが心地良い。日差しに当たりすぎると特に女の子にとって天敵かも知れないが今は少しぐらいいいだろう・・・。あ~・・・眠い。

 

「そういえば穂乃果ちゃん達は・・・」

「穂乃果で良いですよ。男の人にちゃん付けで呼ばれると何だか変な感じなので」

「そ、そうか。なら穂乃果達は絢瀬ととても仲が良いみたいだが新しく入ってきた1年生なのになんでそんなに親しいんだ?」

「穂乃果やことりと私たちは絵里先輩は小学校時代からの幼馴染なんです。私達が小学校1年生の時に絵里先輩が転校してきて仲良くなったんです」

「ほぉ・・・。だから海未ちゃんたちは絢瀬と仲が良いんだな」

「はい。あ、私も海未でいいですよ。大和先輩は優しそうな方なので」

「私もことりでいいですよ」

「お褒めの言葉、恐縮の鋳まい。なら、海未とことりと呼ばせてもらうよ」

「「はい」」

「穂乃果達は日本に来てからの私に凄く親切にしてくれて、日本語も彼女たちから教わったのよ」

「え?日本?」

「あぁ、言って無かったわね。私の祖母がロシア人でね。私はロシアのクォーターなのよ」

「なるほど。だから綺麗な金髪に蒼眼なんだな」

「も・・・もうっ・・・。綺麗なんて言って褒めても何も出ないわよ・・・?」

「率直な感想を言っただけなんだが・・・」

 

絢瀬が顔を真っ赤にして俯いた。なんでだ?普通に褒めただけなんだが・・・。

 

 

「大和先輩ってあれだよね・・・」

「天然って奴ですね」

「多分そこに鈍感も含まれてると思うよ?」

 

おいコラ君たち何を話している。聞こえてるぞ!

 

 

 

 

 

「何を話してるん?」

 

 

 

そこに巫女服に身を包んだ希が現れた。白色の袖振りに赤色の袴。そして2つに分けて結っていた髪を1つに纏めている。

 

 

 

 

 

「・・・・・・綺麗だ・・・」

『え!?』

「え・・・?」

「あ!す、すまんつい口にだしてしまった!」

「あ、いや別に大丈夫やで!?そ・・・そっか・・・、ウチ綺麗・・・なんやね・・・?」

「お、おう。その綺麗な髪もあの時と全然変わってないな・・・。綺麗なままだ」

「そう・・・なんやね・・・あ、ありがとう・・・」

 

 

いかん。顔が凄く熱い・・・。そして希の顔も湯気が出るくらい真っ赤だ。だって仕方ないじゃないか。最後に見た希の姿は中学校時代なのだ。あの時よりもぐっと大人に近付いた希の姿はとても美しい。しかもスタイルがかなりいい。そこらの男なら簡単に悩殺できるんじゃないのか?

 

 

 

「大和。褒めるのはいいけどそのへんで。希の顔が凄い事になってるから」

「す、すまん・・・」

「べ、別にええんやで?じゃ、じゃあ!ウチこの辺掃除しながら話聞いてるからみんなで何かお話ししてて!!」

 

そういい残し、希は箒を持ってパタパタと走っていった。

 

 

 

 

『大和先輩セクハラ~』

「は!?アレの何処がセクハラだ!」

「だって・・・ねぇ?」

「ですね・・・」

「ポイントは高いけどちょっとストレート過ぎます」

「はい?どういうこと?」

「大和は分からなくて良いのよ」

「?」

 

この4人が一体何の事を言っているのか全く理解が追いつかない。なに?これは俺が悪いのか?ただ褒めただけなのに?最近ちょっと男性が女性に対するラインが凄く厳しくありません?

 

 

 

「では、改めて。大和先輩と希先輩との事話してくれませんか?」

「とは言っても俺にも言いたくない事とかもあるんだが・・・」

「それは無理に話さなくて大丈夫です!」

「言いたくない事は無理に話さなくていいですよ」

「おぉ・・・。絢瀬は?」

「私も聞きたいわね。1年生の頃に希からよく聞いたけど大和の口から直接詳しい事を聞きたいわ」

「・・・まぁ、出来る範囲だけだからな?」

 

そう言うと4人とも頷いてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なら、少しだけ過去を振り返りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「希と出会ったのは小学2年生の頃だったかな・・・」

 

 

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

 

 

季節はよく覚えていないが、突然転校してきた事だけ覚えてる。凄く暗い顔してずっと俯いてたのはよく覚えている。自己紹介の時は名前をちゃんと言っていたのか聞こえてないくらい小さかった。

クラスの女の子達が希によく話しかけていたが、全然喋ってはいなかった。なぜか自ら人と関わる事を避けていた。日々が過ぎていく事に女の子達は喋りかける回数がずっと減って行き、最後には誰も喋り掛けてなかった。

俺はそれを傍でずっと見ていた。ずっと希が気になっていた。なぜか分からないが転校してきた当初から友達になりたいと思っていた。髪が好きだった。綺麗な紫色の髪でずっと見ていたかった。希の事をもっと知りたかった。

 

だから、俺は彼女にずっと話しかけた。

勿論最初は避けられ続けた。けど俺は諦めなかった。何度も話し続けて希もどんどん俺に心を許していってくれた。

 

 

彼女と色々な事をして過ごした。俺の家に連れてきてゲームをしたり、公園で遊んだり、水族館や動物園にいったりなど。遊ぶ時は彼女と一緒に時間を過ごした。

小学校6年生になると俺の家によく泊まりにも来ていた。

第3者からみたら完全なるラブラブカップルに見えただろうが、それは全く違う。

 

 

 

『俺の片思い』だった。

 

そのとき希が俺の事をどう思っていたのか知らないが俺は希に恋をしていた。

彼女の髪好きだった。彼女の綺麗な瞳が好きだった。彼女の笑った顔が好きだった。彼女の優しいところが好きだった。

 

告白・・・はしなかった。いや、出来なかった。

 

中学校2年生に上がる前に希の親が転勤となり一緒に進学した中学校を転校する事になった。突然の出来事のお陰で俺も戸惑いを隠せないでした。

 

転校と知った希は俺の家に来てずっと泣いていた。

俺に抱きつきながら離れたくないとずっと懇願していた。俺はその時は希の頭を撫でてやる事しか出来なかった。

別れが訪れた時、俺は希にこう伝えた。

 

 

『また絶対・・・会いに行くから!』

 

 

それから希がどうなったかは分からない。俺は味気ない中学校生活を送り、小学校時代から続けていたバスケットに時間を費やして、全国大会に何度も出ている強豪校にスカウトされ入学。

 

 

 

そしてまあ、色々とあって俺は今この音ノ木坂学院に転入してきたわけだ。

 

 

 

俺は、絢瀬、穂乃果、ことり、海未に大まかないきさつを伝えた。

 

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

「・・・とまあ、こんな感じだな」

 

ちょっと一息ついて、自動販売機で買ったお茶を飲もうと視線を移した瞬間、4人が涙目になっていた。

 

「は?なんで泣きそうになってるの?」

「その・・・大和の今の立場を考えると・・・・・・」

「希ちゃんの事・・・好きだったんですね」

「あ、希が近くに居るのにも関わらず俺とんでもない事言ったかも・・・」

「いえ、今希先輩はちかくに居ないので大丈夫かと思います」

「ほっ・・・よかった」

「けど、今の希先輩は記憶を失ってるから・・・・大和先輩との過去の思いでも・・・」

 

そうだ。俺はそれが悲しい。希の記憶から消えた俺との日常は何一つ残って居ないのだ。伊達にも5年は一緒に過ごしたのにも希の記憶には一切残らなかった。俺との思い出は幻想だったのではないかと思ってしまう。

 

けど・・・。

 

「けど・・・俺は諦めたくない。希と過ごしたあの時間は幻でもなんでもなかったんだ。それを無にしたくない」

 

これが今の俺の答えだ。希と過ごした時間は本物だ。俺はあの時のように希と楽しく喋りたい。もっと希と遊びたい。希と一緒にいたい。そして今度こそ・・・『希に告白』がしたい。

中学校の頃からこの気持ちは絶対に揺るがない。

あの出来事(・・・・・)があったが・・・、俺は希が好きなんだ。

 

 

まあこんな話をしているとその場の空気も変な雰囲気になってきていた。

4人とも俺の顔みて呆然としている。ふむ・・・・・・どうやら色々と余計な事を言い過ぎたのかもしれないな。

 

 

 

「悪い。ちょっと今だけ席外す」

 

 

お茶を一飲みし、座っていた縁側から離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大和・・・」

「なんだか・・・思っていたより重い話だったね・・・」

「希先輩が記憶を失って一番つらいのはもしかしたら大和先輩かもしれないね・・・」

「長い間一緒に居たからこそ・・・胸が苦しくなるのかもしれませんね」

 

 

 

しんみりとした空間がその場を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと感傷的になりすぎたかな・・・・・」

 

自分らしくない事したかもしれない。今まで過去の事を他人に喋った事はそうそうなかったのだからな。まあ彼女たちなら別に誰かに言いふらしたりなどはしないはずだ。

 

 

「1番良かったのは希が聞いてなかった事なんだがな・・・・・」

 

過去の記憶を失っていても初恋相手の前では恥ずかしいからな。

「やれやれだぜ・・・・・・ん?」

気晴らしに神社の中を練り歩いていたら吊り下げられてあった絵馬があった。数は軽く100を超えており1番最初に吊り下げてあるだろう人の絵馬は全く見えていない。神様に滅茶苦茶頼ってるな。

見ていくと皆似たようなお願い事が書かれてあった。

『彼女が出来ますように』『大学に合格しますように!』『○○が元気になりますように』などなど。

「神様がいい人ならこのお願い事叶えてくれないかね・・・」

色々と絵馬を覗いていると数多く吊るされている場所かな少し離れた場所に1つだけ絵馬が吊り下げられてあった。

「?」

絵馬に書かれてあった文を読み上げてみた。

 

 

 

 

 

『神様。私のお願い事を聞いて下さい・・・・・・。私から大事なものを奪わないで下さい。一生のお願いです・・・。【私の記憶を返してください】 東條希』

 

 

 

 

力強く書かれたそれを見た俺は俯いてしまった。

 

 

 

そうだよ神様・・・居るなら叶えてくれよこの願い・・・。

 

 

 

 

 

 

 

湧き出てきた感情を抑えるように俺は、その絵馬を見つめながら力強く拳を握った。

 

 

 

 

 

 




はい。前回と比べるとかなり短くなってしまいました。
次回はこの時の希視点を書こうかなと思っています(もしかしたら別の話になるかもしれませんが・・・)

あれですね。出来る限り一話の文字数を4500を超えるように頑張ります。
前作の小説を超えるぐらいの小説を作る勢いで頑張ります。


感想・評価などありがとうございます!それが自分の活力になります!いつでも感想などお待ちしておりますので、どしどしお願いします!


それでは今年最後の投稿でした!

感想・評価お待ちしております!


では・・・またな!


皆様よいお年を!
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