妖精の軌跡first【完結】   作:LINDBERG

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子猫と神速は協力はしても仲良くなる事は無い

クロスベル国際銀行 ロビー

 

赤いプロテクターに身を包んだ男達が、大量のミラ紙幣を抱えながら忙しげに駆け回っている。

「ふわぁ~ぁ……」

燃える様な赤髪の女が、翠玉色の瞳を眠たげに潤ませて、それを見つめていた。

「あ~ぁ……退屈だな~」

女は派手なファー付きのガウンを靡かせながら、誰にともなく愚痴を溢す。

「お嬢……、作業にはもう少し時間が掛かります。くれぐれも油断無く」

傍らに控えるガタイの良いスカーフェイスの男が、やや嘆息しながらもそれを諌めた。

「そんな事言ったって暇なんだも~ん。結社の盟主さんも余計な気遣いしてくれるよね、久し振りに楽しそうなお仕事だと思ったのにさぁ~」

「お嬢……」

「解ってるって、危険度が低くて実入りの良い仕事、有難い話だってのは……。でもさ~……」

つまらなそうに頭の後ろで手を組んだ。

「せっかくクロスベルまで出て来たんだし、警備隊とか噂の特務支援課とか、ちょっとだけ味見したくなるのが人情ってモンじゃん♪」

ニヤニヤと、酷薄さと残虐さが滲んだ笑みを浮かべる。

「はぁ……、今更言っても詮無い事とは承知していますが、もう少し慎みを持たれては……」

「っさいなぁ!解ってるよ、言ってみただけだってば。そんな気遣いばっかしてると、ハゲるよ?」

「ハ、ハゲ……」

「あははっ、もしそうなったら、スキンヘッドにして、頭皮にアタシとお揃いのタトゥー入れなよ。カッコ良いじゃん?強そうだし。あははははっ♪」

傍らに控える男をからかいながら、カラカラと可笑しそうに笑ってみせる。

「……はぁ」

男は溜め息を吐きながら、ヤレヤレと肩を竦めて見せた。

そんな2人のやり取りを、団員達は忙しく動きながらも「……またいつものが始まったか」といった顔で、横目に見やる。

銀行員達は1人残らず拘束され、壁際に正座させられて並んでいる。全員怯えてはいるが、怪我人は1人も出ていなかった。

 

「でもまぁ……、退屈はしなくて済みそうかな?」

女がニヤニヤしながら呟く。

「?、どういう意味です?」

「アタシの勘だと、何かトラブルが起きそうな予感がするんだよネ♪」

「……お嬢、そういう不穏な発言は……」

「分かってるって、ただの予感だよ。ヨ、カ、ン♪」

「……はぁ」

男は無駄だと知りつつも、女の予感が外れる事を祈った。だが恐らく自分の願いが、聞き届けられる事は無いだろう。『ブラッディ・シャーリィ』の名に違わず、女の鼻が血の匂いを敏感に感じ取る事を、男は良く知っていた。

女は戦場で生まれ、戦場で育ち、戦場以外を知らなかった。ナチュラルサイコパス。彼女にとって自分が生きるという事は、誰かを殺すという事だった。

 

「あははっ、楽しい事が起きると良いなぁ♪」

周りの人間がゾッとする様な笑い声を上げながら、女は年相応の可愛らしい笑顔を見せた。

 

 

 

 

「……さて、どうします?」

「ん……」

 

IBCへと続く短い坂道の途中。数人の見張りを素早く片付けたフィーとデュバリィは、物陰で息を潜めながら辺りの様子を窺っていた。

銀行前には大型のトラックが停車していて、赤い星座の隊員達が次々とダンボール箱を積み込んでいる。

 

「箱の中身はミラ紙幣ですか?」

「ん、それとお客さんが預けてる、貴金属とか証券とかじゃないかな?」

「参りましたわね……。まさか、あそこまで大量だとは思いませんでしたわ」

「ん……」

 

隊員達が運んでいるダンボールの数は、10や20なんてものじゃない。4tトラック目一杯に収まる程の量だ。

 

「あれって、全部で幾ら位になるんですの?」

「んー……。1箱が1億位だとすると、200箱はあるから、200億ミラってトコかな?」

「に、に、に……にひゃくおく???」

思わず目ん玉が飛び出す。

「ん、……10年位は遊んで暮らせるかな?」

「な、何を言ってやがります!?10年どころか、人生を1,000回位はやり直せますわ!!」

「イヤイヤ、200億位じゃ、意外とすぐ無くなるって」

「貴女!どういう金銭感覚していやがります!?200億ですわよ!?200億!!」

「だって新型の戦車と飛行艇で大隊組んだら、500億位は掛かっちゃうから、全然足りないよ?」

「国家を相手に、喧嘩でもするつもりですの!!?貴女は!!」

「例えばの話だって……。アンタに解り易く言うなら……、オルディス辺りの高級レストランでコース料理頼んだら、20万位はするでしょ?それの10万回分」

「10万回……、……成る程、確かに10年で終わりですわね……」

普段は100ミラでピーピー言ってる2人だが、器のスケールだけはやたらと大きかった。

 

「ゴホン……、それで、どうします?」

「んー……」

腕を組んで考える。

「……ん、外に出てる兵隊をチャチャッと片付けて、トラックごと頂いちゃうのが一番手っ取り早いかな?」

「まぁ……、やっぱりそれですわね」

「ん、そんじゃ、始めるとしよっか」

両手に双銃剣を構える。

「ええ、了解ですわ」

力強く大剣を握り締める。

「わたくしが先に行きます、背中は任せましたわ!」

「らじゃ、行くよ!」

2人は互いに目配せを交わし、気配を消したまま素早く物陰から飛び出した。

 

 

 

 

「……!」

ロビーで団員達の作業を、静かに見守っていた男の顔に緊張が走る。銃声と剣戟の音、色濃い戦闘の気配。間違い無く外の広場で、何かが起きている。

「あははっ、ヤッパリね!」

男の考えを余所に、女は心底嬉しそうな笑みを浮かべた。

「あはっ♪流石はアタシ!良い勘してるネ♪特務支援課って連中かな?」

腹を空かせた猟犬の様に、ペロッと唇を舐める。

「行くよガレス!ゲストはちゃんと持て成してあげないとネ♪」

意気揚々と外へ向けて歩を進める。

「はっ……、お前達は作業を続けろ」

ヤレヤレと少しだけ肩を竦めたガレスは、行内を動き回る団員達に指示を出してから、女に付き従った。

 

 

 

 

「ほいっと」

「ぐわぁ!?」

フィーの当て身を食らい、最後の1人が膝を着いて崩れ落ちる。地面には10人以上の星座の団員達が、死屍累々といった有り様で転がっていた。

如何に一騎当千を謳う猟兵団とは言え、神速と妖精に問答無用で不意を付かれてはどうしようも無い。導力ライフルを構える暇さえ無く、一撃で意識を刈り取られていった。

 

「……ん、一丁あがりだね」

輸送トラックの前で、両手の双銃剣をクルクルっと回してから、華麗にホルスターへと収めた。

「ふふふっ、わたくし達を阻める者など!……」

デュバリィが腕を組みながら、フィーに向かって視線を投げかける。

 

……

……

……が。

 

「……」

フィーは目を細めて視線を返すだけで、何も応えはしなかった。

「ちょっ!?貴女!!勝利のキメ台詞位、ちゃんとやりやがれですわ!!」

「いや……だってそれ、ワタシとラウラのヤツだし……」

「そんなツレない事を言うんじゃねぇですわ!わたくしにも『居るわけ無いね』って言って欲しいですわ!!」

「ん、……関係無いね」

「それは全然違う作品のヤツですわ!!って言うか、そんな古いのを、いきなりブッ込んで来るんじゃねぇですわ!!」

「1人でやったら良いじゃん?……『我が生涯に一片の悔い無~し!!』とか、どう?」

「お止めなさい!!ソレは言ったら最後のヤツですわ!!貴女!わたくしの事を、天に還すつもりですの!!?」

顔を真っ赤にして憤るデュバリィ。

 

赤い星座の猟兵達が、虫の息で倒れているド真ん中で。神速と妖精は、不毛な言い争いを続けていた。

 

 

 

 

「ありゃりゃ?何か予想とは随分違うのが来てるね」

少し離れた場所から、顔の下半分を布で隠した2人組の娘を見つめ、女が小さく呟く。……声までは聞き取れ無いが、何やら揉めているらしい。

「ええ、警備隊でも特務支援課でも無いようですが……」

地面に突っ伏す星座の団員達を見つめ。

「……只者では無いのは、確かな様ですな」

ガレスが感嘆を吐く。

その間も目の前の2人は、言い争い続けている。内容は聞き取れないが、戦闘プランに食い違いでもあったのだろう。一騎当千を誇る星座の団員をこれだけ倒して、尚も納得がいってないとは恐ろしい相手だ。

 

「お嬢の勘が外れるとは、珍しいですな。私もてっきり、クロスベル警察の連中だと思っていましたが……」

「あははっ、パパに頼んで精鋭を連れて来たのにネ♪なかなかやるじゃん!」

翠玉色の瞳が、怪しげな輝きを放つ。

「でも、勘は外れちゃいないよ……。予想よりも、ずっと楽しめそう♪」

見た者の生気を奪いかねない、残虐な人殺しの笑みが、抑え切れずに滲み出る。

「アタシがヤるから、ガレスは援護ヨロシクネ♪」

底無しの殺意を撒き散らし、甘美な死に導かれる様に、女は眼前の2匹の獲物へとゆっくり迫った。

「了解……。くれぐれもお気を付けて、お嬢」

男はスナイパーライフルを取り出し、銀行出入口の陰に身を隠すと、息を潜めて静かにそれを見送った。

 

 

 

 

「大体!何で貴女だけが、みっしぃと仲良くなっていやがるですわ!?自分だけズルいですわ!!」

 

またその話かよ……。

 

「しつこいなぁ、良いじゃん別に」

「良い訳ありませんわ!!貴女!わたくしが体を張って蒼髪娘と闘っている間に、みっしぃと何をしていやがったですわ!?」

「ん、……ちょっとした世間話と、着ぐるみバイトの愚痴を聞いてあげてただけだよ」

「ぎぃゃああ!?止めやがれですわ!!そんな生々しい話、聞きたくありませんわ!!」

「……イヤ、アンタが訊くから。っていうか、そんな事より……」

フィーがチラリと視線をデュバリィの背後に向ける。

「そんな事!?そんな事とは何ですの!!そもそも貴女は初めて会った時から……」

 

「随分と楽しそうだねぇ、お2人さん♪」

 

「へっ???」

振り向くと、派手なタトゥーを身体の半分に入れた、赤い髪の女が立っていた。

「なっ!?い、いつの間に!!」

思わず身構えるデュバリィ。

「ふ、ふん、気配を消してわたくの背後を取るとは、なかなかやる様ですわね!」

 

イヤイヤ……、全然消して無いから。さっきからず~っと、こっちの様子窺ってたから。

 

「部下達が世話になったみたいだねぇ」

女が倒れた団員達へと視線を向ける。

 

「……この女が?」

デュバリィが声を潜めてフィーへ訊ねる。

「ん、シャーリィ・オルランド。赤い星座の部隊長さん」

「……『血染め』なんて言うから、どんな女が出て来るかと思ってましたが、ファッション以外はワリと普通の娘じゃありませんの?」

「油断しないで、気を抜いたら一瞬でヤられるよ」

フィーも右足を1歩引き、いつでも動ける態勢を作った。

 

「あははっ、そんなに構えなくても大丈夫だよ♪……でも」

背中から巨大なチェーンソーを取り出した。

「ちょっとだけ、付き合って貰おっかな!!」

ギザギザの刃を回転させ、横薙ぎにチェーンソーを振り払う。

「なっ!?」「んっ」

2人は同時に後ろへと飛び、一旦距離を置いた所で再び構える。

 

「な、何なんですの!あのふざけた得物は!?」

「ん、確か『テスタロッサ』とか言ってたかな?うかつに飛び込むと、バラバラの精肉にされちゃうよ」

「ふ、ふん……、上等ですわ!!」

デュバリィが大剣を取り出し、正眼に構える。

「やれるものなら、やってみやがれですわ!」

腰を落とし、下半身にパワーを集中する。一息に飛び掛かって、一気に仕留めるつもりらしい。

「うーん……、無理に突っ込まない方が、良いと思うけど?」

「貴女、ビビり過ぎですわ!あんな馬鹿デカいチェーンソー、どんな怪力で振り回したとしても、わたくしが遅れを取る筈がありませんわ!!」

「ん、いや、そうじゃ無くて……」

「もう良いですわ!わたくしがやりますから、貴女は黙って見ていやがれで……、へ???」

デュバリィのすぐ目の前で、女はチェーンソーの先端をコチラに向けて構ていた。

「ん、アレってチェーンソーじゃ無くて……」

「こ、こ、こ……」

 

「あははは!消し飛んじまいなよ!!」

シャーリィは高らかに笑い声を上げながら、トリガーを引き絞った。

 

「アサルトライフルなんだよねぇ」

テスタロッサの銃口が火を吹いた。

「小娘ぇ~~!!!」

一瞬にして至近距離から、銃弾の嵐に晒されるデュバリィ。

「ん……」

フィーはデュバリィの襟首を掴んで、無理矢理引き寄せると、そのままトラックの陰に身を隠した。

「小娘ぇ!そういう情報はもっと早く言いやがれですわ!?危うく全身穴だらけになる所ですわ!!」

憤ったデュバリィがフィーに詰め寄る。

「いや、言う前に1人で突っ込もうとするから……」

荷台の陰から、こっそり様子を窺う2人。

 

「あはははは、出て来なよお二人さん!もっとアタシと遊んでよ♪」

無邪気だが酷薄な笑い声が響き渡る。

 

流石に輸送車を壊すのは気が引けるのであろう、テスタロッサの乱射は止まっていた。だが濃密な殺気は、変わらずに漂い続けている。身体の一部を少しでも出せば、集中砲火は間違い無しだろう。

 

「ちぃ、このままジッとしてても始まりませんわ!わたくしが飛び出しますから、貴女は援護なさい!!」

「ダメだって、ここで下手に動いたら向こうの思うツボ」

「何を言ってやがります!?あなたの援護さえあれば、わたくしなら一瞬で距離を詰めて、あのチェーンソーを弾き飛ばす事が出来ますわ!!」

「んっ」

フィーは足元に落ちていた小石を拾い上げると、手首のスナップだけでシャーリィに向かって投げつけた。

次の瞬間、1発の乾いた銃声が鳴り響くと、小石は空中で粉々に砕け散った。

「なっ!??」

「ん、やっぱね」

フィーが目を細める。

 

「な、何ですの?今のは!?一体何処から……」

思わずデュバリィの顔色が変わった。

「ん、多分、銀行の出入口辺りからだと思う。あのお嬢は、いっつもスナイパーのオッチャン連れてたから」

「す、スナイパーのオッチャン??」

「赤い星座のお嬢様だからね、ああ見えて結構過保護に育ってるんだよ」

「ど、どうしますの!?このままじゃ、ここから動けませんわ!?」

「ん、どうしよっかな……」

「貴女!大物過ぎですわ!少し位は焦りやがれですわ!!」

「ん?ま、こういう性格だからね。……アンタさぁ、剣だけじゃなくて、鎧とかは出せないの?」

「……普段は鉄機隊の甲冑を着ていますが、今はメンテナンスに出してますわ」

「メンテ?」

「ええ、ちょっとだけバストサイズがキツくなりまして」

「……ふーん」

瞬間的にフィーの身体から、ドス黒く禍々しいオーラが噴出する。

「な、何ですの!?今一瞬、猛り狂った大蛇が、大口を開けて襲い掛かって来る幻視が見えましたわ!??」

「ん、……ただの気のせいでしょ」

「ぜ、全身の鳥肌が止まりませんわ!?何なんですの一体!?」

極寒の冬山で遭難したかの様に、無意識に身体を小刻みに震わせるデュバリィ。恐怖の幻覚は、しっかりと網膜に焼き付いていた。

 

「ん、それは置いといて……」

フィーは砂漠の様に乾ききった瞳でそれを見つめながら、適当に話をはぐらかす。

 

「アンタが鎧さえ着てれば、2~3発食らう覚悟で特攻して。その隙にワタシがトラックを発車させて逃げる、ってプランもあるんだけど」

「冗談じゃありませんわ!何でわたくしがそんな役を!?」

「大丈夫だよ、もし怪我しちゃっても、ホチキスならあるから」

「バカ抜かしやがれですわ!?何処の世界に傷口をホチキスで縫い合わせて、戦う女子が居やがります!!」

 

……悪かったな、ここに居るよ。

 

「んじゃ、別のプランだけど……。ん……」

フィーが少し言い淀む。

「?、何ですの?」

「ん、どっちかが血染めのお嬢と、サシでやり合ってる間に、スナイパーを仕留めるってのは?」

「……アレと、一対一ですか……」

少しだけ眉をひそめる。

「ん、大丈夫、ワタシがヤるから。スナイパーの方は頼める?」

「~~っ」

デュバリィは腕を組みながら唸り。

「……いえ、駄目ですわ」

「えっ?」

キッパリとフィーの策を否定した。

「貴女のガンナイフでは、リーチが短か過ぎます。あのチェーンソーを1人で相手にするには、相性が悪過ぎですわ」

「……んじゃ、どうする?」

「わたくしが1人で血染めを止めます。貴女はその間にスナイパーを仕留めなさい」

「……いいの?結構キツイ相手だよ?」

「ふん、望む所ですわ!猟兵如きに遅れを取っては、鉄機隊筆頭の名折れですわ!!」

大剣を掲げ、気合いを入れる。

「……らじゃ。それじゃ、倒そうとしなくても良いから、少しだけ時間を稼いで」

フィーも双銃剣を掲げ、大剣に軽くぶつける。

「余計な心配は無用です!貴女は貴女の為すべき事を為さい!」

「ん、そだね」

互いの顔には、愉しげな笑みが浮かんでいた。

 

「そんじゃ、行くよ!!」

フィーが閃光弾を取り出して地面に転がす。数秒後、閃光がスパークしてスナイパーの視界から隠れる一瞬の隙に、弾幕を張りながらシャーリィに向かって突っ込んだ。

「あははっ!まずはアンタからかい?おチビちゃん!」

光弾のフラッシュをものともせずに、巨大なチェーンソーを盾に使って銃弾を防ぐシャーリィ。そのまま身体を1回転させ、遠心力を利用した横薙ぎの一撃をフィーに繰り出す。

「んっ」

フィーはジャンプでそれを避け、空中をクルクルと回りながら、シャーリィの後方に着地した。

「あはははっ、やるじゃん!でも、コレはどうかな!!」

間髪入れずにテスタロッサの銃口が、フィーの背中へと向けられる。

 

「させませんわ!!」

「あん!?」

その瞬間、デュバリィが電撃を纏わせた剣を、シャーリィへ向けて振り下ろした。

「!!、ちぃ!」

横っ飛びに跳ねて躱し、一度距離を取る。

「貴女のお相手は、わたくしですわ!!」

大剣を水平に構え、挑発するように言い放つ。

「はっ、上等じゃん♪お姉さん!!」

チェーンソーの刃を回転させ、シャーリィもテスタロッサを構えた。

 

そっちは任せますわよ、小娘!

 

全身から闘気を滾らせ、神速と血染めは互いに相手の出方を窺い合った。

 

 

 

……頼んだよ。

 

フィーは振り返らずに、スナイパーが待つ銀行内へと駆け出す。

全神経を集中させ、最大限に相手の射撃を警戒する。

 

それでも子猫の口元には、楽しげな笑みが浮かんでいた。

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