「スネーク……」
画面に映るのは見知った眼帯をした男であった。紛れもなくMSFのリーダーであり伝説の傭兵、ビッグボスだ。カズはスネークが生きていることに安堵しつつも彼女がこの画像を見せてきた事からも本気であることが伺える。
「やはり、あなたの知り合いのようね。協力してくれれば彼も元の世界に返してあげる。……まだ迷いがあるようね。ならこれをご覧なさい」
画像は移り変わる。独房のようだ。鉄格子から棒の中が見える。中には我々の仲間が数人とストレンジラブ博士が写っている。拘束はされている様子は無い。そこに中世の騎士甲冑が映り込む。独房から兵士を一人連れ出し手にした剣を首に当てる。兵士は抵抗するも甲冑は微動だにしない。
「あまり手荒な真似はしたくないの。人殺しだってしたくないのわ。でも、こうなるかも知れないわよ?」
大切な兵士の命を無駄に落としたくはない。それに現状頼れる人はMSFの兵士のみ。貴重な戦力であり頭脳でもある。目の前の女はまだ信用ができない。だが、答えは一つであった。
「……っ。わかった、手伝おう。だが条件がある」
「条件を言える立場だと思っているの?でもまぁ聞いてあげましょうか。」
「必ず俺たちを元の世界にの戻す事。もう一つ。彼らの安全だ。これだけは守ってくれ」
「いいでしょう。こういうのは殺した瞬間に効力は失われますからね」
最低限の理解がある人で助かった。だがほんの一時しのぎでしかない。確実に帰してもらえる保証はなく殺される可能性もある。ストレンジラブ博士と協力し我々自身でも探るべきだろう。だが、どうやってストレンジラブ博士を独房から出すかが問題であった。
「あぁ、言い忘れていたわ。分かっているだろうけれどこの世界はあなた達の元いた世界じゃないわ。別世界よ。そもそも地球ではないの。大きく違うのはコレよ」
パチン。女性が指を鳴らすと手に巻かれた鎖は消え自由の身になる。長時間吊り下げられていたが手首には鎖のあとは無く、拘束からの開放感も薄い。
「この世界は魔法が存在するわ。でもそれは科学技術のようなもの。すべて因果関係が存在しているの。だから無から何かを生み出すことはできない」
魔法。ファンタジー世界の産物で現実には無かった。それに魔法が関わるとろくな事にならない印象を持っていた。それが科学技術と同等の扱いという事に驚愕していた。
「それは俺にも使えるのか?」
「そうね、調べないことにはわからないわ。ジュエルシードを探すのにも魔法は必要だし測定しましょうか。ついて来なさい」
女性についていくと研究室に辿り着いた。使用されているコンピューターは地球で見た設備と変わらない。もしくはそれ以上の物だった。見慣れたものが目に入ったことでようやく少し落ち着く事が出来た。
「ここに手を置いて」
促されるまま機械のコンソールに手を置く。何やらコンソールが光り、隣のディスプレイに波が移り始める。振り幅は小さく落ち着いた波であった。数秒後、ディスプレイには数々の数値が現れる。文字は読めない。だが数字はローマ数字であり読むことが可能であった。どの数値も低くい。
「そうね……。扱えるけど一般人以上、DからD+と言ったところね」
「そうか。ではあまり適正ではないのだな。どうにその……ジュエルシードだったか?を探すんだ」
「それはこちらの人を使うわ。あなたはそのサポートをして貰うわ。それと適性がある以上デバイスを持ってもらうわ。あなた達に技師はいないかしら」
「技師ならいる。だがその前にデバイスというのは何だ」
「デバイスは魔法の制御ユニットであり、武器であり、ストレージでもあるわ。魔法を使うものは皆、身につけている機械よ」
記憶と制御、攻撃を行えるコンピューター。実感することが出来なかった。これまでコンピューターと言うのはとてつもなく大きく、持ち歩く事ができなかった。そして、とても高価なものでもある。それを魔法が使える人皆が持っている事に驚きが隠せなかった。
「なるほど。つまりデバイスを使う事で魔法を使いやすくするということか。で、技師はどうするつもりだ?」
「こちらも人手不足なのよ。デバイス制作に協力してもらいの」
「……全くの素人にに頼むことなのか?そもそも可能なのか」
魔法というものは今日この瞬間知った。まだこの世界には分からないことだらけである。右も左もわからない人にデバイスなる物を作らせようとするのではよほど人手がないのだろう。だが、ストレンジラブ博士を房から出す理由ができた。
「ストレンジラブ博士という人がいる。女性だ。技師ではないが研究員だ。役に立つだろう」
「そう、後で連れてくるわ。さて、必要なことは話したわ。同行する人は明日紹介します。部屋はこれを見なさい。食事は部屋に持って行かせます。では」
そう言うとメモを渡し急ぐように立ち去ろうとする。だがまだ聞かねばならないことがあった。
「待ってくれ。聞かせてもらいたいことがある」
「なに、忙しいのだけれど?」
「あんたの名前だ。なんて呼べばいい」
「プレシア。プレシアテスタロッサよ。好きなように呼んで。あなたの名前はいいわ」
そう言い残し立ち去っていく。カズと話す時間が惜しいかのように消えていった。残されたカズはメモを頼りに部屋へ向かった。今後の事と地球のスネークの事を考えながら……。
プレシアの口調まだわかっていません。
すいません。
今後口調の変更を行うかもしれないのでよろしくお願いします。
誤字脱字報告、感想等お待ちしております。
次が回想編最終話にするつもりです。