あれから一月ほど立った。カズのデバイスはガバメントを彷彿させるデザインであるが、白や蛍光色、クリアパーツを使用され実銃とは思えない形をしていた。何より大きな違いは銃口部分には球体の宝石が組み込まれており、魔力の集中効率を上げているとのことだ。
プレシアから受け取り握り心地を確認する。樹脂製のようだが悪くない、むしろ手にフィットする握り心地だった。重量も軽くズボンのポッケなどに入れていても気にならない程だ。
「どうだ、ミラー。グリップ等は人工工学を元に作ってみたんだが」
「ああ、すごく握りやすいな。この握りやすさなら反動制御やブレも少なくなりそうだ。帰ったら量産して欲しいくらいだ」
ストレンジラブ博士の設計だったようだ。確か彼女はAIが専門だったはずだが、
「なに、少し学んだんだよ。ヒューイと共にな」
とのことだった。
「さて、いいかしら?残念ながら少し問題があるわ」
「というと?」
プレシアが静かに話す。
「求めていたジュエルシードだけど何者かが集め始めたの」
プレシアの話はこうだ。つい先日ジュエルシードが地球の海鳴市と言う所へ落ちたのを確認した。しかし同時に第3者がジュエルシードの回収を始めていた。既に2つは回収されてしまっていて残り 個。このままでは先に回収されてしまい目的が達成できなくなること、同時に我々がもとの世界へ戻れなくなるという。
「なるほど。それは早急に対応すべき問題だな」
「ええ。ちょうどあなたのデバイスも完成したのだからすぐに行動を初めてもらえるかしら?向こうの拠点は確保しているわ。アルフ、フェイトとともに行ってちょうだい」
「了解した。すぐに向かうとしよう」
「はい、母さん。準備してきます」
「あたしも手伝うよフェイト」
フェイトとアルフは自室に戻る。準備に入ろうと席を立ったときプレシアに呼び止められる。
「あの娘を頼んだわよ」
表情は硬いままだった。だがいつになく真剣で、そして優しい目をしていた。
「わかった。あの娘もジュエルシードも無事に届ける。約束は守る」
「お願いね」
ストレンジラブ博士と共に席を立つ。プレシアの姿が見えなくなってから話を切り出す。
「それで、どうなんだ。俺たちは帰れるのか?」
「難しいだろうな。魔法についても学ばせて貰ったが確かに転移魔法はあった。だが次元を超えるとなると膨大なエネルギーが必要となる。そしてエネルギーが足りたとしてもの元の世界の場所がわからない。転移魔法は座標軸や目標物を設定しそこへ転移するらしい。しかし元の世界の座標もわからないし目標物では本当に届くかわからない。総合的に考えたら難しいだろうな。」
「そうか……」
やはりか、と思う。簡単に帰れるとは思っていなかった。魔法があるならと微かな希望を頼っていた。だがそれでも難しいと。今後どうするか。帰れないなら何処かに拠点を構える必要がある。だが資金も物資もない。グリーンカラーの俺達が簡単に就職も難しい。いっそハンバーガーショップでも開くか。色々な思考が浮かんでは消えていく。
「だが、いい報告もある。スネークとエメリッヒ博士が見つかった」
「本当か!!」
この世界に来てから一番の朗報だった。感極まりつい詰寄ってしまう。
「ああ、場所はあなたの行く先、ジュエルシードを集めている者と一緒にいる」
「そうか。また敵として相まみえるのか。いや、だが闇雲に探さずとも合流できると考えよう」
「少なくとも彼女のブラフの線は消えた。それとこれを彼に渡してくれ」
懐からもう一丁の銃を取り出す。先程渡されたデバイスと同じ物だ。
「ミラーに魔法が使えるなら彼も使えるかと思ってな。普段から予備の武器を持ち歩いていたと伝えもう一丁作らせてもらった。性能も同様のものだ。渡してくれ」
「すまない。助かる」
彼への手土産をしまい、地球へ降りる準備に入った。殆どのものは送ってあるとのことで日用品を最低限にまとめ庭へ向かう。そこには既にフェイトとアルフが待っていた。
「すまない。少し遅れたようだな」
「いえ、私達が早く来ただけですので。準備は大丈夫ですか?しばらくは戻れませんので」
「なに、本当に必要なものは持った大丈夫だ」
「わかりました。では行きますね」
カズ達の体が光に包まれ消えていく。
ついたのは拠点のリビングのようだ。窓から都会の町並みが眼下に広がっている。高層階にあるようだ。扉もかなりの数がある。かなりの高物件の様子が見れる。部屋には各々のネームプレートが掲げられている。自分のネームプレートのとの中には着替えや日用品一式が段ボールに詰め込まれ置かれていた。
「特に不足はないな。さて、まずは情報収集か」
リビングに戻り情報収集の為の媒体を探す。ちょうどテレビが目に入る。高価なテレビがあると言うことは相当資金はあるのだろう。テレビを着け驚く
「どうなっているんだ。この鮮明な色。一体どのように」
テレビを調べているとフェイトがやってくる。
「あの、テレビに何か不調でもありましたか?」
「いや、とても色が鮮明に映るし音も良くてな。どうすればこの色合いが出るのか気になっていたんだ」
「特に変わらないと思いますけど……。一般的なテレビはこのくらいだと思いますよ」
一般的と聞き驚きが増す。テレビは高価なもので持っていれば裕福な証だった。それが一般的に普及しさらにこの色合い。身近なものの技術の差を感じより異世界に来たことを強く実感していた。
その後はニュースや新聞を使いこの世界について調べた。フェイトとアルフは魔法によりジュエルシードの位置の特定に入っていた。これに関しては向き不向きもある。自分のできる事を続けていた。
それから数時間森の中にジュエルシードがある事が分かり捜索、無事回収を行えた。
その後も情報収集をしつつジュエルシードが見つかれば回収を行っていった。
「とこんな感じだな。ストレンジラブ博士も他の隊員達も無事だ」
「そうか……。カズ、ご苦労だった。この後はどうするつもりだ」
「スネーク。あんたには悪いがこちらはこちらでジュエルシードを集めさせてもらう。それが部下を守る条件だからな。だがあんたとは戦いたくない。回収時にぶつかったらおとなしく見ま」
「いいや、せっかくの機会だ。訓練と行こうじゃないか」
「スネーク?」
「カズ、お前司令官だからと訓練に参加していなかったよな。特にCQCなんて」
カズは目の前でうろたえる。サングラス越しでも目が泳いでいるのが良くわかった
「い、いやぁ……たまたまだたまたま。以来の確認だとか調整だとか忙しかったんだ」
「本当か?」
「あ、ああ。本当だ」
やはりうろたえる。だが、彼の言っていることも本当である事も理解している。しかし久々に会えたことで気分が高ぶっているようでからかってみたくなっていた。その後も情報共有をしていりると
《スネークさん、スネークさん聞こえますか?》
《どうした、ユーノ。だいぶ焦っているようだが》
ユーノから念話が飛んでくる。カズに目を向ければカズも念話を受け取ったような様子があった。こちらに目を向けている。
《新しいジュエルシードが見つかりました。でももう一人の娘も来ていて》
《わかった。すぐ向かう。場所は》
《市内のオフィス街です。細かい場所はこれから探るところで》
オフィス街ならすぐ側にある。急げば5分もかからない距離だ。
《すぐに行く》
念話を終えカズと頷きあう。すぐに勘定を済ませオフィス街へ向かう。
遅くなってしまい申し訳ありません。次回からまたスネークを軸に進んでいきます。ゆっくりですがよろしくお願いします。
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