「第97管理外世界……現地名称地球。母さんの探し物……ジュエルシードはここにある……」
華やかな夜景を見下ろせるビルの屋上に3人の人影があった。一人は髪を二つに結えた少女。一人は人間にはない獣の耳と尻尾を持つ少女。そして鍛え上げられた体を持つ男性。
「ボス待っていてくれ。直ぐに見つけ出す」
そう小さく呟いた。その呟きは街の喧騒の中へと消えて行く。
「いってきまーす」
「母さん行ってるよ」
なのはと恭也が仲良く出掛けていった。なのはの友達の家に行くらしくとても嬉しそうな顔をしていた。
「なのは達はどっかへお出掛けか?」
「ええ、月村家に。恭ちゃんの彼女さんの家でとってもお金持ちなのよ」
「ほう、でなのはの友達はその彼女さんの妹か」
「そうよ~。それよりも倉庫から小麦粉持ってきてくれた?」
「ああ、いつもの場所に積んどいた」
倉庫からそれなりの距離がある翠屋ではこういう力仕事はスネークの仕事になっていた。働き始めそれなりに時間は経ったが力仕事以外では皿洗い等の雑務が多かった。何しろ接客には向かない顔つきに体の大きさでスペースを潰してしまうとの事だった。
皿洗いをしているとこの前買った携帯電話が鳴り出した。店の裏口出て電話を見る。なのはからだ。
「もしもし、聞こえてるか?」
「あ、よかった。聞こえてるよ。実は家にお土産で持っていくシュークリーム置いてきちゃったの。取って来てもらってもいいですか?」
「ああ、ちょっと待っててくれ」
電話を一度ポッケにしまい
「桃子さん。なのはからお土産のシュークリーム置いてきちゃったから取って来て貰いたいって電話が来た」
「あら、じゃあ新しいの作るから持っていって貰えるかしら?」
「わかった」
再び電話を開き
「少し待っててくれ。持っていく」
「ありがとうなの!」
「じゃあ切るぞ」
「うん」
電話を切り店内に戻ると桃子さんがシュークリームを箱詰めしていた。詰め終ると地図と共にスネークに渡し
「気を付けてね~」
と微笑みながら送り出した。
月村宅までは結構遠いらしく地図にバスで行くようにとのメモが挟まっていた。
バスを下りしばらくすると大きな屋敷が見えてきた。
門の所には月村との表札とインターホンが設置してあった。
迷うことなくインターホンを押し翠屋からのデリバリーだと伝える。すると直ぐに屋敷の中からメイドとなのはがあるって来た。
「いらっしゃいませ、プリスキン様。私は月村家でメイド長をしておりますノエルと申します。以後お見知りおきを」
ノエルと名乗った女性はショートに切った髪にスタイルもよいそしてメイド長にしてはとても若かった。
少したじろぎながらも
「高町家に居候している、イロコイ・プリスキンだ。よろしく。それでシュークリームはどうすれば」
ずっと手で持ちっぱなしだったシュークリームの箱をどうすればいいか尋ねると
「持ってきて欲しいの。それで……その……一緒にお茶飲みたいな……なんて」
なのはは少しオドオドしながら尋ねてくる。最初はそれもいいかと思ったが女子小学生の中にオッサンが混ざっては場が壊れるしお茶よりもコーヒー派なので断ろうとしたが
「あぅ……ダメなの?」
少し泣きかけながら訴えてくる。一体どうしてここまで一緒に飲みたがるのか分からなくどうしようかとノエルさんを見てみると既に手にはティーカップが握られていて逃げ場はなかった。
「一杯だけだ。まだ仕事も残っている」
「ありがとうなの!」
なのはは太陽の様に眩しく笑い手を引っ張ってくる。
なのはに連れられ部屋まで案内される。
「すずかちゃん、アリサちゃん、ヒューイさん、連れてきたの」
今ヒューイと言っていたがまさかな。少女に囲まれあいつが居るとは思えん。そう考えていた。が、期待は裏切られた。
部屋に入るなり
「スネーク!!よかった、無事だったんだね」
「ヒューイ、お前もな」
ヒューイと無事を確認していると
「スネーク?プリスキンじゃないの」
なのはが首をかしげて聞いてくる。
「ああ、スネークはネットで使ってる名前だ。プリスキンと言うよりスネークの方が楽だからそう呼ばれる。だが、MSFのボスと同じ名前になってしまうから今まで通りプリスキンでいい」
そういいつつヒューイに目を向けると"わかった"という感じで頷いていた。
「プリスキンさん、金髪の娘がアリサちゃん。でカチューシャの娘がすずかちゃん」
「アリサ・バニングスよ。よろしく」
「月村すずかです。よろしくお願いです」
アリサとすずかは各々自己紹介をした。
スネークは声と雰囲気だけでなのはとつるんでいける理由が何となくわかった。
「イロコイ・プリスキンだ。なのはの家に居候させてもらっている。まぁなんだ、なのはの事よろしく頼む」
スネークの自己紹介をすると丁度背後のドアが開き一人のメイドが入ってくる。すると不運にもユーノとユーノを追いかける猫が足元に入りバランスを崩す。そのままメイドは転びそうになる。
その事に気がついたスネークはすぐさまメイドの後ろに回り支えて転ぶのを防いだ。
「あ、ありがとうございます」
メイドはお礼を言おうとするが慌てて振り向いたためスカートの裾を踏みまたもや転びそうになる。今回はなのは達が支えてくれたお陰で事なきを得た。
メイドの人騒ぎの後お茶を飲み「ヒューイを借りる」と言って二人で部屋からでる。
「ヒューイ、お前は何時からこの家に?」
「だいたい3ヵ月位前かな……。うん、ワームホールで飛ばされて気づくとこの家のベッドで寝ていたんだ。その時話を聞いたらどうも元の世界とは違うみたいだから泊まらせて貰いつつ仕事を手伝っていたんだ。同時に事故のデータの解析かな」
スネークは "ヒューイも同じ時期にここに来たのか。まぁ当たり前か"と 思いつつもデータ解析に付いて気になった。
「データなんか持っていたのか?そんなもの何処に」
スネークが尋ねるとヒューイは車椅子を指差し
「ギリギリまでデータをコピーしていたんだ。結局逃げ遅れたけど原因らしきものは見つけた」
「なに!?本当か」
原因が別れば元の世界へ戻る方法が見つかるかもしれない。そんな期待に興奮しヒューイの肩を揺さぶる。
「落ち着いて。あの事故の瞬間機器にかかる力が数十倍に膨れ上がっていたんだ。それで座標もあべこべになっていた。考えたくは無いが近くで同じような事を、より大きな力で行った人が居るんじゃないのかな。その力に引き寄せられ、座標が変わり」
「この世界に落ちたと」
普段だったらそんな馬鹿なことを、と笑い飛ばしていた所だが今は違った。一つの可能性を見つけたからだ。
魔法。恐らくユーノの転移魔法の力がワームホールを引き寄せたのではないのかと。
眉間にシワの寄ったスネークの顔を見たヒューイと
「まだ確信を着いたわけではないからそう難しく考えないでくれよ。ところで君は今まで何を?」
そう問われたスネークは有りのままのことを話した。
ヒューイは
「ははは。まさか、今は科学の時代だよ。オカルトなんて古いよ。君も面白い冗談が言えたんだね」
「いや、冗談じゃない。本当なんだ」
「ははははは。わかった、わかったってば」
そう言いながらヒューイは爆笑している。そんな時、ユーノから念話がきた。どうやらジュエルシードの反応があったらしい。事情を話し、旧友に見せていいか尋ねると
『あまり見せたくは無いのですが……。仕方ありませんね』
しぶしぶ承諾してくれた。
いきなり黙り混んだスネークを見てヒューイが心配そうに話しかけてくる。ユーノとの念話が終わり次第笑いながらヒューイに言った。
「ヒューイ、着いてこい。面白いものがみれるぞ!」
本当に遅くなってすみません。葬式やその他雑務で時間が取れませんでした。
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また、無印編だけは必ず完成させますので気長にお待ちください。