カカサがクロノードに料理をふるまうという話なのだが…。
クロノードの好きな食べ物はまさかの軍用レーション!?
はたしてカカサはクロノードを唸らせるほどの料理は作れたのか?
宇宙世紀0079くらい。何月かは忘れた。そして日にちは1のつく日のどれかだった気がする。
俺とクロノード君は、久々の休暇に、すごく暇していた。そう、すごく。
そういえば、ふと思ったけど、クロノード君って普段何食べてるんだろう。
正直、彼が食事を取っているシーンを見たことが無い。
興味本位で聞いてみることにした。
「ねえ、クロノード君」
「なんだ?」
「昨日の夕飯はなんだった?」
「軍用レーション」
即答で帰ってくる。なんで夕飯がレーション……?
「じ、じゃあ、今日の朝食は?」
「軍用レーション」
「………」
に、二度までもレーション……?なんだか不安になってきたぞ…。
「じゃあ、今日の昼飯は何にする?」
「軍用レーション」
「………クロノード君?」
まさか…クロノード君って、レーションしか食べてない…?
「なんだ?」
俺は試しに、聞いてみる。
「好きな食べ物は?」
「軍用レーションだが?」
「……」
返す言葉が一瞬詰まる。
「じ、じゃあ、おふくろの味は?」
「軍用レーションだ」
「……あー!もう!!」
「な、なんだ?」
「もう少し別の食べ物は無いのかね君はぁ!!」
俺は立ち上がって彼を指差す。
「…そうは言われてもなぁ…」
「その割にはビールとかコーヒーとか飲むのに。君は!君というヤツは!なぁんで飯を食わんのだ!!飯をぉおお!!!」
ブチギレである。
「……な、なぜ怒っているんだ…?」
「はぁ……はぁ…」
「大丈夫か?カカサ」
「大丈夫じゃないよ。クロノード君。いいかい?」
「なんだ」
「君は、割と本気で人生の半分を損しているぞ!?」
「なんで」
「なんでぇええええ!?それをこの俺に返す言葉かね!?理由なんか理解できるだろう!??」
「…いや、まったく」
さすがに呆れるしかなかった。困ったな。これじゃあ話が進まないじゃないか。
あ、だからって見るのをやめようとするんじゃないぞ!!!絶対だぞ!!!!
「まったく…君というヤツは…。いいかい?人生において大事なことは山ほどあるけどだね」
「ああ。戦闘とかな」
「ちがぁぁあああう!!!戦闘は大事じゃないでしょうが君はぁ!!!」
「……違うのか?」
「違うよ!まったく……」
「一番大事なのは食欲だろう!?」
「…食欲……」
しばらく考える。言葉を噛み砕いてるのかのように。ところで【言葉】ってどんな味がするんだ?
「いや、食欲とか興味ないな」
「……」
もはや呆れるしかない。どうやらコイツには一度美味いものを食べてもらうしかなさそうだ。
「わかった!クロノード君に最高の料理を振舞ってあげようじゃあないか!!!」
「えぇ…。別にいい」
「なんで!?俺の料理が食えねえってのか!?」
「……いや、そういうわけじゃない。食に興味が無いだけ」
「ふっふっふ。照れ隠しだろう?わかってるよクロノード君。君に最高に美味いもんを作るからね!!!」
俺は鼻息荒くキッチンへと向かった。彼の意向?知らんね。
「さて、と。冷蔵庫に入ってる食材は……」
冷蔵庫を開ける。そこで、俺の思考があることで硬直した。
「ハッ……!!」
「クロノード君って……何派なんだ!?」
何派とは言うまでもなく、ご飯派かパン派かになるのだが……。
「も、もしや……!?」
「麺なのか!?麺派なのか!?」
「……うーむ」
悩んだところで仕方が無いので、冷蔵庫の中にある食材で決めることにした。
「何々……。鶏肉に玉ねぎ、卵……。なら、一品できそうだな」
俺は食材を取り出す。
洗ったまな板に玉ねぎを置き、まずは縦半分にカット。
続けて半分にした玉ねぎをさらにスライスする。
これで野菜は準備完了。
続いて鶏肉だが、鶏肉はもう加工済みだから、まあいいとしよう。
さらにつゆを作る。
まずめんつゆを入れ、砂糖を少々入れて、隠し味に粉末鰹節を少し入れる。
そして水を足して煮立たせ、煮立ったところへ鶏肉を投入。
鶏肉に火が通ってきたら玉ねぎを入れ、少し待つ。
そして最後に溶き卵を回しいれ、30秒待つ。
その後火を止め、余熱で卵を固まらせたら完成。
最後にどんぶりにご飯をよそって、それらを乗せて出来上がり!
これぞ!
「オヤコドーン!!!」
……寒いネタはクロノード君には見せないでおこう。
「クロノード君!」
「な、なんだ?」
完成した丼を持って彼の前に置く。
「これを食べてみろ!!」
「…あ、ああ…」
ふたを開くとビックリ!…なんてことはないが、それなりに見た目も悪くない親子丼が目の前に広がる。
「カカサ?」
「なんだね?クロノード君」
「これは……なんだ?」
「親子丼だ」
「おやこ……どん?」
「YES!そうさ!美味しいんだぜ?」
「そ、そうか………。食べてみるか…。あ、一応軍用レーションを用意して…」
「なんで!?」
「いや、一応心配で……?」
「…な、なんでもいいや…。食べてみてくれたまへ」
彼は親子丼をスプーンですくい、一口。
「………ゴクリ」
見ていて腹が減ってくる。もう一つ作ればよかった。
「んぐんぐ。…うん」
「どうだね?」
「……美味いな」
「だろう!?レーションなんかより全然!」
「そうだな」
ああ、良かった。これでクロノード君は普通の人生を歩き始めたんだね!?すばらしい!!
「今度からレーションと親子丼のローテーションでいいだろ」
とか思ってた時期が私にもありましたー。
「ちょっとまてぇえええい!!!」
「な、なんだよ」
「レーションはやめよう!?レーションは!!!」
「………なんで」
「なんでっておま……。レーションなんか美味しくないだろう?」
「味は確かにだが、栄養価も高くて、腹も膨れる。十分だろ?」
「はぁ……。君がいつか婿に行く時が心配だよ俺ぁ」
「何故そうなる?それに今さりげなく【婿】って言わなかったか?」
「え?言ってないよ?」
「馬鹿を言え。言っただろう」
「……まあ、なら次だぁ!!!」
「ん?まだあるのか?」
「もう一品作ってくる!待ってやがれ!!」
話題をそらし、俺は再び鼻息荒くキッチンへ向かった。
「さて、次は麺だ!!」
俺は今度はキャベツ、人参、玉ねぎ、豚肉を用意する。
そして忘れちゃいけない主役の麺を。
まずは野菜をざくざく切っていく。続いて肉も食べやすい大きさに。
フライパンに油を引き、野菜を炒める。
野菜が柔らかくなってきたら肉を投入。
そこで塩コショウをし、炒める。
肉に火が通ったら、麺を入れ、少量の水を入れる。
さてさて、水分がなくなってきたらソースをかけて、全体に馴染ませたら完成!
「出来たぜ!やきそば!」
俺はクロノード君のところへ焼きそばを持って向かった。
「出来たぞ!」
「…今度は何だ?」
「焼きそばだ」
「……焼きサバ?」
「焼きそばだよ!!!そばとサバを間違えるやつがいるかね!?まったく」
「…うまい」
「勝手に食うなぁああ!?」
俺が話している間にも彼は黙々と食べている。
「……これ、嫌いじゃないな」
「だろう!?美味しいだろう!?」
「ああ。だが、戦闘中に手軽に食べられるわけじゃないからな…」
「それを言っちゃあどうしようもないなぁ…」
少し考えた後、俺はある一品を思いつく。
「…!!」
「ほうひは?ははさ?」
どうした?カカサって言ってるのか……?
「次だぁああ!!」
俺はドタドタと走ってキッチンへ向かった。
もう彼を喜ばせるにはコレしかないという確信をもとに、材料を取り出す。
とはいっても簡単なんだけどね。
チーズ、マヨネーズ、ハム、レタス。そしてパン。これだけでできる簡単なヤツといえばもう分かるはず。
パンを2枚用意、1枚にレタスを乗せ、次にマヨネーズ、その上にハムを乗せる。最後にチーズを乗っけて、パンで挟む。
これを半分に切ってもいいが、正直面倒だしこれでいいだろう。
完成だ!サンドウィッチ!!!
これをもって、クロノード君のところへ向かった。
「さあ出来たぞ!!」
「今回は随分早かったな?」
「ああ。手軽に作れるやつだからな」
皿に乗ったサンドウィッチを彼の目の前に置く。
「…これは?なにやら色々入っているが…」
「これはサンドウィッチだ!」
「サンド……ウィッチ……」
「
「…マンガの読みすぎだよ。クロノード君」
「まあ、冗談はさておき、食べてみてくれたまえ」
「あ、ああ」
彼は、サンドウィッチ、彼曰く砂の魔女を口に運ぶ。
「……!!!」
「どうだ?」
「…うまい…!!コレは美味いぞ!!!」
おお、今まで以上の反応。これはいいぞ!
そして、あっという間に彼はサンドウィッチを平らげた。
「……これだったら軍用レーションより、サンドウィッチの方が好きだな」
「ふふふ。だろう?」
「ああ」
そういう彼の顔は、かなり満足した顔をしていた。
そして………。
「なあ、クロノード君?」
「なんだ?」
「今日の昼飯何にする?」
「サンドウィッチでいいだろ」
「………」
またサンドウィッチですか…。これでもう1週間連続ですよ…。
「飽きないの?」
「飽きないな」
「……」
それから1ヶ月くらい、クロノード君はサンドウィッチだけで大丈夫だとか言ってた。
作る側として、なんかすごい複雑だ………。
外伝 完