宇宙世紀0087.01.20
ティターンズ、グリプスにて試作機、RX-178ガンダムMk-Ⅱをロールアウト
0087.02.30
エゥーゴ、MSA-099をロールアウト
0087.03.02
エゥーゴ、開発スタッフの家族であるカミーユ・ビダンの協力のもと、サイド7のグリーンノア1より試作MS、RX-178ガンダムMk-Ⅱ3機を強奪。
ティターンズ、人質作戦でエゥーゴから試作機3機を奪い返す。エマ・シーン、人質作戦の反感から、カミーユ・ビダン、フランクリン・ビダンと共にRX-178ガンダムMk-Ⅱにより脱走。
(これにより再度RX-178ガンダムMk-Ⅱはエゥーゴの手に)。以後、カミーユ・ビダンはエゥーゴに参加する。
ティターンズとエゥーゴによる「グリプス戦争」勃発
俺はエゥーゴに参加し、小さな作戦などを手助けした。
今は、エゥーゴの旗艦であるアーガマに身を寄せている。
カミーユ・ビダンという少年が、今格納庫にいると聞いて、格納庫へと足を向けていたところだ。
グロリアスとは違うものの、どうしていつも戦艦の中はここまで広くて迷路なんだ……。
格納庫へつくと、丁度例の少年とすれ違いそうになる。
「あ、君、いいかい?」
「なんです?」
「カミーユ・ビダン君か…?」
「だったら何なんですか」
「…いや、初めてだから、会っておこうと思ってね。俺はムゲン・クロスフォード中尉だ。よろしく」
手を差し出す。彼は少し考えた後、握手してくれた。
「…君が…ガンダムのパイロットなわけか…」
ガンダムMk-2を見ながら言う。
「僕は、パイロットになったつもりはありません。軍人になることだって、考えたこともないです」
「……。そうか…。まあ当たり前だ」
「……あなたは、なんでエゥーゴに…?」
「お、俺か?俺は………」
言葉を詰まらせた。しばらくの沈黙。
「カミーユ君!!少しいいだろうか!!」
クワトロ大尉がカミーユを叫ぶ。
「ああ、はい!今行きますって!」
「それじゃ、ムゲン中尉。これで……」
「ああ、時間を割いてすまなかったね」
「いいえ。構いません」
そう言って彼は俺に背を向け歩き始めた。
時間があるので、自販機でコーヒーを買って飲むことにした。
「……ふぅ…」
椅子に腰を下ろし、コーヒーを一口。
「よっ!青年!」
バシッと背中を叩かれる。そして、思わずコーヒーを吹き出してしまう。
「ぶっ…!!」
「あ……。す、すまん……」
「い、いえ……。制服は汚れていませんから…」
振り返り、苦笑いした。
彼女はフィア・アッシュベリー大尉。エゥーゴのパイロットであり、クロノードの…妻だ。
29には見えないほど美人。腰くらいまであるであろう髪を、一つのリボンで束ねて、ポニーテールのように結んでいる。
「本当か?どれ……」
「いや……だ、だいじょうぶですから……」
彼女が触れようとする。俺は首を振りながら、後ろへ下がった。
「……ん?そうか。まあ……ならいい」
彼女は手を引き、腕を組んだ。
「また考え事か?ムゲン」
「……いえ、そういうわけではないですよ」
「私からはそう見えたけど?」
「……それは気にしすぎですよ、フィアさん…」
「そうか?……気にしすぎか…。いやはやクロノードにも良く言われるんだ…」
「…ははは……。ところで、娘さんは……?」
「……ああ、ルナか…。あの子は今クロノードに任せているよ」
この人には子供がいる。まだ4才くらいの女の子。名前はルナ。ルナ・グレイスと呼ぶのか、それともルナ・アッシュベリーと呼ぶのか…どっちなんだろうか……。
「いいんですか?そんなに適当で……」
「適当ではない。ちゃんとエサ……じゃなくて……ご飯もあげているし…、ちゃんと可愛がってもいる…」
「……いや、そういうことじゃ…」
「ふふふ…。冗談だ。そろそろ会いに行ってあげないとな…。クロノードだと、少し頼りないし…な?」
「……随分と信頼されてないんですね……」
すると、彼女は笑いながら言った。
「いいや。これは例えさ…。彼の事は信頼もしているし、愛してもいる」
見ていて羨ましかった。…見ているこっちが恥ずかしくなるほど…。
「ん?なんで君が赤くなっている?風邪でも引いたか?」
「……そうみたいです。看病してくださいよ」
と、冗談交じりに言ってみる。
「バカ言え。そんなつもりないだろうに」
「はははっ!冗談ですよ。そんなことしたらクロノードに嫉妬されちゃいますしね?」
「違いないな。ふふふ……」
「だがまあ、本当にそうなったときは、看病くらいしてやるさ」
「…ええ。楽しみです」
そのあと、少しの間二人で笑いあった。
そのあと、廊下を歩いていると、彼の部屋なのだろうか。カミーユは走ってその部屋に閉じこもってしまった。
部屋の前を通り過ぎると、彼の悲しそうな声が聞こえてきた。
「………」
たしか、2度の戦いで父と母を失ってしまったらしい。……戦争というのはつくづく…。
……俺は彼を慰めようと思い、部屋をノックした。
「……なんです?」
「カミーユ君。少しいいかい?」
彼は、ドアを開くと、俺を自分の部屋へと招き入れた。
「……話は聞いたよ…。両親のことも…」
「………」
「あ、いや、気を悪くしないでくれ。それを言いに来たんじゃない」
「……いいんです…」
「まだ、さっきの話が終わってないと思ってね」
「……確か、何故エゥーゴに入ったか…でしたね」
「ああ。理由は…たぶん、今の君に言っても理解はしてくれないだろう」
「…なんだと!」
「…君の気持ちも痛いほどわかる」
「僕の何がわかるんですか!!目の前で両親を2度も殺された僕に、何かを言える人なんか…!!」
「…俺も両親を目の前で殺された」
「えっ…?」
「当時はまだ一年戦争が始まる前の事だ。俺は、サイド2生まれでね、当時もまだそこで生活していたよ」
「サイド2って……」
「ああ。一年戦争の発端となったコロニーだ……。忌まわしい記憶さ」
俺は、少しずつ思い出しながら口を開いた。
「……当時俺は15の民間人だった。戦争なんか、自分に関係ないと思っていた」
「俺の両親は君と似ていてね、MSの開発や研究をしていた人物だった」
「…だから狙われたんだろう。両親は、俺をクローゼットへと押し込んだ直後に殺された」
「それから、死んだ両親を何度も何度も銃で撃っていたよ」
「……なんて
「ああ。それ以降、俺はジオンを恨んだ。恨んでも恨み切れない。そんな憎しみにとらわれ続けて連邦軍へと入った」
「戦い続けた。……でも、戦っているうちに、だんだんと
「モノの見方…?」
「ああ。なんと言えばいいのだろう。……そう、戦いに連邦もジオンも関係ない。互いに殺しあって、結局は何もなくなる…」
「失って、失わせて……その繰り返しだ。戦争なんて」
「………悲しいモノの見方ですね」
「ああ……。自分でもそう思うよ」
「……だから…俺は二度とそれを繰り返したくはないんだ」
「立派ですね、大人の綺麗事って」
「……立派なわけじゃない。ただの自己満足だ。でも、その自己満足で、人を救うことができるなら、幸せじゃないだろうか?」
「僕にはわかりません。戦争をする人の気持なんか、知りはしませんよ」
「そう、だな……。君は正しい…。その正しさこそが、未来を変えられるんだろうな」
「僕はそういうのに興味はありません」
「まあまあ、大人の話はそれとなく聞いておいて損は無いぞ」
「……」
「俺がエゥーゴに入った理由は、ティターンズの暴走を止めるためだ」
「彼らがしていることは、過去にジオンがやっていたことと同じだ」
「……」
「だから、俺は……戦う。戦うしか…能がない…からね。ああ、すまない。君を励ますために来たのに、昔の話をしてしまったね…」
「いえ、いいんです。あなたみたいな人もいると、僕も分かりましたから」
「……カミーユ君。人は、人それぞれ、人の考えはそれはもう十人十色、色々あるだろう」
「君は、自分が正しいと思うことすればいい」
「僕の正しいこと……」
「ただし。行動には常に責任が伴うということも、忘れないように」
「わかってます」
「ならいい。君は賢い。これからに期待しているよ」
「は、はい…ありがとうございます…」
「……それじゃ、邪魔をしたね…」
「…ムゲン中尉」
席を立ち、部屋を出ようとしたとき、彼に止められる。
「うん?」
「ありがとうございました」
「いや、俺は何もしてないさ。ただ、自分の過去を話しただけだよ」
「それでも、少しだけ気分が晴れました」
「…それなら、よかったよ」
俺は彼の部屋を後にした。
「…………」
ふと、【彼女】を思いだした。あの時別れてから、連絡も取れていない。
それを言えば、俺の仲間たちは元気なのだろうか……。
「どうした?ムゲン」
振り返ると、クロノードが小さい女の子を抱いてこちらを心配そうに見つめている。
「ああ…。クロノード…。なんでもないさ」
「嘘を言え。お前の顔に[
「う……」
俺はつくづく、顔に出るようだ……。それを知ったのも最近のことだが……。
「で?言ってみ?何悩んでるんだ?」
「いや、悩む理由なんかさ……」
「ああ。彼らのことか……。寂しいか?」
「そりゃあ、ね。けど、もう迷ってられないさ」
「そういうことだ。どちらが間違っているなんて、もう関係ない」
「……俺たちは、もうそんな領域には立ってない」
「……戦争……か…」
「ああ。私情だけで戦争が終わるなら、明日にでも終わるだろう?そういうことだ」
「…そんな、楽な時代が来るといいんだけどね…」
「来るさ。信じてりゃあ……」
「…だね…。だったら、俺は…彼らとも…」
「…おいおい、まさか、会えないとか思ってるのか…?」
「えっ……?」
「そんな気持ちじゃあ、会えないかもしれんが。お前が信じ続けたら、会えるかもしれない」
「……まだ、分からない……。俺は…」
「何怯えているんだ……?」
「えっ?お、怯えてなんか……」
「ほれ、まただ」
彼は、自らの顔を指差した後、俺に指を向けた。……また顔に出てるって言うのか…。
「うぅ……」
「まあ、お前にも
「変化…?」
「ああ。新しい価値観や、感情、思想……まあもろもろだな」
「……」
「彼らと戦うのは怖いか?」
「……恐怖は無い…。ただ…………」
それから、俺は言葉が出なかった。なんともいえない気持ちが、俺を埋め尽くす。
「……。そうだな。俺から言えることは一つだ」
「……お前は、俺にとっては家族の一員だ。お前の背中には、常に仲間がいて、お前を支えてくれる」
「……俺は、そういう存在になれたらと……思っている。だから、迷ったら、遠慮するなよ?」
「ありがとう……クロノード」
「気にするな」
彼は肩をすくめながら軽く笑った。
「むげんー。やっほー」
少女がいっぱいの笑顔で俺に挨拶した。
……俺にしか出来ないことは……まだたくさんありそうだな……。
「や、やっほー……ルナちゃん」
「ルナ、やっほーじゃない。『こんにちは』だろう?まったく……。誰がこんな言葉を………。ん……?」
何かをふと思った彼は、彼女を降ろした。
「どうした?」
「……すまん、ルナの面倒を頼む。ちょっとカカサに用事が出来てしまってな」
………なんとなく察した。俺は頷いて承諾。しばらくの間ルナちゃんと話しをすることになった。
「ルナちゃん、こんにちは」
「やっほー。むげんー」
「……こんにちは。だよ」
彼女に微笑みながら言う。すると、彼女は、俺の言葉を学び、言葉を返した。
「こんにちは。むげん」
「そう。よく出来たね。えらいよ」
俺は彼女を優しく撫でた。彼女は幸せそうに目を瞑る。その姿が……【彼女】に見えて、泣きそうになった。
「むげんー。えらいよー」
彼女は、その短い手で、俺の頬を優しく触れた。なんとなく、察してくれてこんなことをしてくれたのだろうか……。
いいや、そんなことは無いだろう……。たぶん……。
「……ありがとう。ルナちゃん」
「うん!」
それから、しばらくして、クロノードが帰ってくる。
カカサとみっちり話をしたそうだ。
「サラミス級の受領。これはメンバー分けが難しそうですなあ」
アーガマの艦長、ヘンケンがうなり声を上げながら悩んでいる。
「……私がサラミスのメンバーを選んでよいだろうか。ヘンケン艦長」
「……ううむ…。フィア君。なら、君にあの艦を任せよう」
「了解した。それでは、メンバーは私が集めておく。それではな」
彼女は淡々と言ったあと、ブリッジを後にした。
「……ヘンケン艦長。君は、彼女に任せてもよいと…?」
エゥーゴの創設者ブレックス・フォーラ准将は言う。
「ええ。彼女はかつてジオンで【恐怖の大隊長】と云われた人物です。信じてもよいかと……」
「……君が言うのなら、間違いは無いだろう。では、後は任せよう」
「ええ」
それから、俺は旧型のサラミスのメンバーとして選ばれることとなった。
29 完
名前:クロノード・グレイス(エゥーゴ)
年齢:30
性別:男
主な搭乗MS:プロトタイプザクⅢ(ホワイトカラー)
階級:大尉
説明
一年戦争、デラーズ紛争を無事生還し、そのカリスマ性によって、ジオンでは噂されていたパイロット。現在はエゥーゴに所属している。
隊長気質で真面目。そして、冗談が通じない堅物である。
しかし、カカサとは、仲が良く、いつも仕事の邪魔をされては、勝手に一人で腹を立てている。
だが、持ち前の人を惹きつける力で、部隊からの信頼は誰よりも厚いかもしれない。
フィアとは、デラーズ紛争との仲で、お互い愛し合っており、デラーズ紛争終戦後には、式を挙げ、子供まで出来ている。立派な父親になるため、日々努力しているとか。
名前:フィア・アッシュベリー(エゥーゴ)
年齢:29
性別:女
主な搭乗MS:プロトタイプザクⅢ
階級:大尉
説明
一年戦争、デラーズ紛争を生き残った元ジオン軍パイロット。
過去に大隊長になり、戦闘指揮した経験がある。
豪快な戦略と、大胆な行動で、常に相手をかく乱させる。非常に頭が切れる人物。
性格は、年齢さながらの豪快さと、経験によるもので、姉御肌気質な女性。
あまり自分のことは話そうとはしないが、仲間たちの良き理解者となってくれている。
クロノード・グレイスの妻であり、子供も一人いる。母親である。
左利きで、髪をポニーテールのように結んでいる。
髪色は黒。瞳はディープブルー。
帰還後はよく食堂でコーヒーを飲んでいる。