機動戦士ガンダム虹の軌跡   作:シルヴァ・バレト

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03:謎の敵との遭遇

 宇宙世紀0079.10.6、ジオン公国の本拠地であるサイド3で、ガルマ・ザビの国葬が行なわれた。

 

 その国葬は、全世界規模で中継される。

 

 もちろん、俺たちもしっかりその式を見ていた。

 

 そして、その際に行なわれたジオン公国総帥(そうすい)であるギレン・ザビの演説も…

 

「諸君の父も、子もその連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ!

 

 この悲しみも怒りも忘れてはならない!それを、ガルマは!死をもって我々に示してくれた!

 

 我々は今、この怒りを結集し、連邦軍に叩きつけて、初めて真の勝利を得ることができる。

 

 この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる。

 

 国民よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ!国民よ!

 

 我らジオン国国民こそ選ばれた民であることを忘れないでほしいのだ。

 

 優良種である我らこそ人類を救い得るのである。ジーク・ジオン!」

 

 テレビから沢山の兵士の掛け声が聞こえてくる。

 

 俺はその画面をただボーっと見つめていた。

 

 するとファングさんはテレビを消し、またイスに腰掛けた。

 

 しばらくの沈黙が続いた後、一人の兵士が口を開く。

 

「何が優良種だ!抵抗できず死んでいった人間はこっちだって山ほどいるんだぞ!!」

 

 その言葉を聞いた兵士たちは次々に賛同の声を上げた。

 

 そんな光景を見ていた俺は、静かに立ち上がり、兵営(へいえい)から出て行く。

 

 兵営から出た後、俺の足は自然と格納庫へと向いていた。

 

 格納庫に入ると、整備兵が忙しそうに仕事をしているのが分かる。

 

 入り口に呆然と立っていると、俺に気づいた整備兵が近づき声をかけた。

 

 見た感じ年齢は自分と同じかそれ以下かと言うくらいの少女だった。

 

 髪の色はたぶん銀色で、髪を束ねて帽子に入れているのが見て取れた。

 

 顔は、学校でよくいる目立ちはしないけど可愛い。そんな感じの子だった。

 

「どうされました?自分の機体でも眺めに来られたのですか?」

 

 少し違ったが、俺は整備兵にとりあえず頷いてみる。

 

「そうでしたか。ですが、今あなたの機体は修理中ですけど…」

 

「いえ、だからこそ、見に行きたいんです」

 

 それを聞いた整備兵は少し考えた後、答えた。

 

「そうですか…では、こちらへどうぞ」

 

 整備兵は俺の機体の格納庫の前で立ち止まり、俺のほうへ振り向いて言った。

 

「あなたの機体はこちらです。…では、私はここで失礼します」

 

 そう言って整備兵は走って仕事に戻っていった。

 

 俺は自分の機体を見上げた。

 

 左腕は完全に取り外されて、ボロボロになっている。

 

 一瞬だけ、ジムのカメラアイが悲しんでるように見えたのは気のせいだろうか。

 

 俺は驚いて再びジムを見つめたが、先程と変わらないボロボロになったジムの顔があった。

 

 しばらくの間、俺が黙ってジムを見上げていると、背後から誰かが大声で叫んだ。

 

「敵襲だ!!!敵襲だ!!!」

 

 俺は驚き、急いで兵営に向かう。

 

 息を切らせながら兵営の中に入ると、兵士全員が慌てていた。

 

 俺は、冷静に周りを見渡す。すると、見慣れた人影を見つけた。道夜だった。

 

「道夜!!」

 

 俺は叫んで道夜を呼んだ。

 

 俺に気づいた道夜は、寄ってきて言う。

 

「敵襲らしい、行くぞ」

 

 そう言って道夜は走っていった。

 

 俺も道夜に続いて、兵営を後にする。

 

 格納庫に行くと、見慣れない機体が出撃していくのを見かける。ジオンの機体と連邦の機体が混ざった感じの機体だった。

 

 驚いていた俺に気づいた整備兵が、声をかけて言ってくれた。

 

「あの機体は、道夜さんの機体で、その名はAEFC-mk2(レイヴン)といいます」

 

 覚えにくい名前と共に、ただならぬ強さを俺は感じた。だが、なにより今はそんな事を話してる場合じゃない。俺は焦りながら口を開いた。

 

「それはいいんですけど、自分の機体は出せますか?」

 

 整備兵は黙って首を横に振った。

 

 俺は分かっていた。あの状態で出れるはずが無いのだ、俺は悔しくも兵営に戻ることにした。

 

 兵営に戻ると、ファングさんと別の部隊の隊長らしき人が言い争っていた。

 

「この状況をみて分からないのか!今敵が迫ってるんだぞ!!」

 

 ファングさんが拳をテーブルに叩きつけながら言う。

 

 それを横目に大きな態度をとっている兵士が反論した。

 

「だからさ、道夜が行ったんだろう?なら大丈夫だって言ってるのが分からねぇのかよ、このガキ!」

 

 その言葉を聞いて黙っていられなくなった一人の兵士が立ち上がって言った。

 

「てめぇ!!聞いてればいい気になりやがって!ファングさんを舐めるなよ!!!」

 

「やめろ、気にしないでいい」

 

 今にも殴りかかろうとする兵士をファングさんが抑えに入る。

 

 そんな光景を見た偉そうな兵士が大笑いで言った。

 

「はっはっは!なんだそのざまはよ!!俺たちはお前たち()()()()()にチャンスをやってるんだよ、分かるか?」

 

「モルモット」その言葉で今まで必死にこらえていた俺の心で何かが切れる音がした

 

「何がチャンスだよ…クソ野郎…!」

 

 全員の兵士がこちらを見る、本当はとても恥ずかしい状況だろうが、今の俺にはそんな恥ずかしさは微塵も感じなかった。

 

 ファングさんを馬鹿にするだけでなく、部隊まで馬鹿にした、そんなやつに一言言わねば気がすまなかったからだろうか。

 

 俺を見て、あの兵士が笑いながら言う。

 

「何だ?何かと思えばこの前着任して颯爽とジムを壊した()()()()()伍長殿じゃありませんか。こっちでは噂になってますよ!ははははは!!!」

 

 部屋中が笑い声で埋め尽くされる。

 

 本当だったらこいつをぶん殴っていただろう、だが俺は、それを堪えて大声で叫んだ。

 

「こんなことしてる暇があるなら出撃したらどうだ、クズ共!それともジオン共に撃たれて死ぬのがお望みかよ!!」

 

「お、おいムゲン!!」

 

 ファングさんの言葉も振り切って、俺は走って格納庫に向かった。

 

 そして、自分の機体に乗りこむ、それを見た整備兵が驚きながら言った。

 

「ムゲンさん!無茶です!流石にその機体では今度こそ死にますよ!?」

 

 俺は落ち着きながら整備兵に一言言った。

 

「分かってる。でも今救わなければならないのは仲間の命だ!!それに、俺はこんなところでは死にません!だから、修理の準備しといてくださいね」

 

 そう言って俺はコックピットを閉めた。

 

 俺はMSを起動し、出撃する。幸い足がやられていなかったおかげで、なんとか普通に歩くことは出来た。

 

 格納庫から出ると、ジオンのザクは3機ほどだろうか、道夜が既に戦っている。

 

 道夜は対艦刀で1機のザクを斬り、さらに続けざまでハンドガンで2機目の機体を撃ちぬいた。

 

 油断した道夜の背後に切りかかるザクを俺はビームサーベルで切り裂く。

 

[ありがとう、ムゲン]

 

 俺は頷いたあと、レーダーを確認した、あと3機こちらに向かってくるのが分かる。

 

 そのうちの1機が、他の2機と比べてあきらかに速い速度で迫ってくる。

 

「まだ来る…!」

 

 俺が前を向くと、1機、遠くからでも分かる、白い色でカラーリングされたザクがこちらに向かってくる。

 

 白いザクは道夜に向かってマシンガンを放つ。

 

 道夜はすかさずマシンガンを回避する。

 

 回避した先に待っていたのは2機目のザクだった、ザクは道夜を待ってましたというかのようにバズーカを放つ

 

 バズーカは道夜の機体の肩に直撃して、道夜の機体が動かなくなる。

 

 嫌な予感がしたが、白いザクが今度はこちらにマシンガンを放ってくる。

 

「くそっ!!」

 

 間一髪でマシンガンを回避する。次に俺が前を見た瞬間、白いザクがこちらにバズーカの銃口をこちらに向けているのに気づき、悟った。

 

「…くっ…」

 

 軍人になってこんなことをしたくないという自分の気持ちを押し殺し、ビームサーベルを手から落そうとした瞬間、なんと白いザクのパイロットから無線が入った。

 

[そんな機体で俺と戦う勇気は認めてやる、だがそいつじゃ勝てないぜ?無理に戦う必要はないんじゃないかな?]

 

 声の主は、挑発するような口調でもなく、優しく言ってくれた。

 

 確かに彼の言う通りだった、今の状態で実際戦えば俺は確実に死ぬか捕虜のどちらかしかない、だから生き残れるわけがないのだ。

 

 俺は、恐る恐る無線の主に話をしてみた。

 

「あ、あの…どうしてそんなことを…?」

 

[どうしてって…そりゃそんな奴を倒したって面白くないだろう…?それに、連邦ジオン関係なく人間には変わらないからな、無駄に命はとらないさ]

 

 こんな優しい人がジオンの軍人なのかと、俺は心の中で思った。いつもジオンは人の命なんて何とも思わない人ばかりの集団だと思っていたからだ。

 

 でも、俺はそれを否定した。ジオンに優しい人などいないと、そうでも思わなければ、どうして俺が軍に入ったのかですら分からなくなってしまうから…。

 

 だからこそ、俺は覚悟を決め、彼に言った。

 

「そうだとしても、俺には基地を守る使命がある。悪いが引き下がれない!!」

 

 ビームサーベルを構えなおし、気を引き締める。

 

 声の主はため息をついた後言った。

 

[仕方ない…なら、やるしかないか…]

 

 白いザクは間合いを取った後、バズーカを投げ捨て、ヒートホークに持ち変える。

 

[ビームサーベル相手に遠距離じゃ、分が悪いだろう?こいつ一本で相手してやる、来い!!]

 

「舐めるなぁあああ!!!」

 

 俺はビームサーベルで相手を斬りに行く、しかしその攻撃は軽々と避けられ、反撃のヒートホークがコックピット前を掠める。

 

 ヒートホークの熱気でコックピットの装甲が焼き切られる。

 

「くっ!何故だ…!何故当たらないんだ!!」

 

[何故かって?それはな、お前の動きが遅すぎるんだよ!!]

 

 そう言って白いザクはタックルを仕掛けてくる、それをなんとか回避する、そしてビームサーベルで奴の背後を斬った…が

 

[そこにはもういないぜ?]

 

「何!?」

 

 俺が振り返ると、そこに白いザクが立っている。

 

[言っただろう…お前の反応が遅すぎるんだと!]

 

「くそぉ…!畜生!!!」

 

 白いザクに対して、俺は完全に翻弄されていた。

 

[これで終わりにしてやる!!]

 

 白いザクは凄い速さでヒートホークを横薙ぎに斬って来る

 

「一瞬でも…一瞬でもいい…奴に勝てる力を…!」

 

[お前の速度では追いつけん!終わりだぁあああ!!]

 

 その瞬間、俺の頭で何かが閃いた。奴のヒートホークの高さは、ジムがしゃがめばギリギリ回避できる高さだ。ならば回避して腕を切り上げで落せばいいと。

 

「頼む!!ジム!!!」

 

 その言葉と共にジムを動かす。

 

 そして、ジムは体を低くし、ヒートホークをギリギリでかわす。

 

[何だと!?]

 

「この状態から立ち直ることはできないはずだ!!これで…終わりだぁああああ!!!!」

 

 俺はビームサーベルを白いザクの腕目掛けて切り上げた

 

 腕は見事に両断され、ヒートホークと共に地面に落ちる。

 

[くっ…!腕が…!]

 

 俺はビームサーベルを白いザクに突きつけ言った。

 

「形勢逆転だな!」

 

[ふっ…中々やるようだな、お前名前はなんと言う]

 

「ムゲン・クロスフォードだ、お前は…?」

 

[クロノード・グレイスだ、また会おう]

 

 そう言って、クロノードは2機のザクに命令を出し、撤退していった。

 

 そんな彼の背中を、俺はただ呆然と見つめていた。

 

 しばらくすると、他の味方がやってきて、残念そうに言った。

 

[何だ、敵は逃げちまったのか…残念だな]

 

 声の主で分かった、さっきの偉そうな兵士だと。

 

[くっ…敵は…]

 

 動かなかった道夜の機体が動いた、どうやら気絶していただけみたいだった。

 

[なんだ、お前らみすみす逃がしたのかよ、情ねぇやつらだな!!ははははは!!!]

 

 偉そうな兵士の笑い声が響く、俺は黙って、道夜のほうを向き言った。

 

「帰ろう道夜、敵はいなくなった」

 

[…分かった]

 

 俺たちが帰ろうとすると、偉そうな兵士が言った。

 

[待てよお前ら!!目の前で敵を逃がす奴はどうなるか知ってるだろうな?]

 

 嫌な予感がして、振り返ると奴の機体が銃口をこちらに向けている。

 

「何のつもりだ!!!」

 

[敵を見逃す奴が軍人を気取るなんて馬鹿げてるんだよ!だから俺がお前達を裁く]

 

 このとき、俺の心ではもう誰が味方なのかも分からなくなっていた、彼の言動はまさしくあの日のジオンの軍人と同じだったのだから

 

 こらえ切れない俺の心の言葉が口から自然と漏れ出していた。

 

「何でだよ…何なんだよぉおおお!!!俺は!!俺は何を信じればいいんだよぉおおおお!!!」

 

[何だ?]

 

「くそっ!!敵は誰なんだ!!一体どっちが正しいんだよ…俺は…誰と戦えばいいんだ…!!」

 

[懺悔にしちゃあ面白みもねぇなぁ!!はははは!!!!]

 

 そんな光景を見ていた道夜は

 

[そいつで俺たちを撃ったその時、お前は連邦から反逆罪として追われることになるぞ!!!]

 

 奴はその言葉を鼻で笑い、言った。

 

[んなこたぁ気にしちゃいねぇ…ただ役に立てない兵士は切り捨てるのみだろうが!それが連邦だ!!]

 

「違う…人はどんな形であれ役には立ってるんだ…役に立たない人なんか誰一人いないんだ!!!」

 

[ふん!やはりくだらん!その偽善では何も守れねぇんだよ!!!!]

 

 奴は銃口を俺に向ける。

 

[やらせん…!!!]

 

 道夜はすばやく奴の懐に飛び込み、奴の腕から武器を落させた。

 

[くっ!!!]

 

[諦めろ、所詮お前はその程度だ]

 

[あぁ、そうだな、体を弄繰り回された化け物には勝てねぇわ]

 

[…勝手に言ってろ]

 

 そう言ってきびすを返し、道夜は俺に帰るぞと言って歩いていった。

 

 俺も道夜の後を追って、基地に戻った。

 

 格納庫に戻ると、沢山の整備兵が待っていた。

 

 そして、兵営の前にファングさんやユーリ達俺たちの部隊の人たちが笑って待っていた。

 

 コックピットから降りると、整備兵が待っていた。

 

「怪我はありませんか?」

 

 と、心配そうに見てくる。

 

 少し恥ずかしくて、俺は黙って頷いた。

 

「そうですか。では修理に入ります!ゆっくり休んでくださいね」

 

 そう言って整備兵はジムの修理に入る。

 

 俺はジムから降り、格納庫を見渡す、すると丁度道夜が機体から降りてきたところだった。

 

「道夜!」

 

 俺は道夜に声をかけ、手を振った。

 

 それに気づいた道夜は、こちらに歩いてくる。

 

「どうした、ムゲン」

 

「さっきは助かった。ありがとう」

 

「…気にしないでいいさ、それじゃ」

 

 そう言って去ってこうとする道夜を俺は止めた。さっきの話を聞きたかったからだ。

 

「…道夜…ちょっと待って」

 

「どうした?まだ何かあるのか?」

 

「いや…その、聞きづらいんだが、さっきの体を弄繰り回されたって…どういう…」

 

「その話は…今はしたくない…悪いな…」

 

 俺が言葉を言い切る前に道夜はそう言って兵営に帰っていった。

 

 俺も彼に続いて帰ることにした。

 

 ファングさんに今回の戦闘であったことを一通り話した後俺は自分の部屋に戻る。

 

 部屋に入って俺はベッドに飛び込んだ。

 

「俺…何で連邦軍に入ったんだっけな…」

 

 今日の一件で頭の中がごちゃごちゃになってしまった、誰が正しいのか…俺はどうすればいいのだろう…

 

「はぁ…」

 

 しばらくそうしていると眠気がしてきた、少し…眠ろう…そうつぶやき俺は眠りについた。

 

 微かに声が聞こえた…優しい女性の声…誰だろう…俺を呼んでいるのは…

 

「ムゲンさん!!」

 

 ベッドから起き上がると、息を切らした銀髪の整備兵がいた、どうやら声の主は彼女の声だったらしい。

 

「どうしました…?」

 

 目をこすりながら言った。

 

「その…あの…ムゲンさんのジムなんですけど…修理…のついでで、改良したのですが…見てくれませんか?」

 

「え…?改良…?」

 

「はい。ムゲンさんのための機体に改良してみたんです」

 

 頭の中でしばらく考えた後、俺は笑って言った。

 

「そっか、よし!見に行こう!」

 

 俺は整備兵と共に部屋を後にした。

 

 

03 完




今回道夜が乗った機体です。


機体名  AEWFC-Mk-2(U.N.T.SPACY)

正式名称 ANAHEIM ELECTRONICS WING FIGHTER COSTOM Mk-02
(UNDER NORMAL TACTICS SPECIAL ASSORTMENT CONSTRUCTION YARD)

型式番号  X-AE77-2(WGC)

生産形態  ワンオフ機

所属    地球連邦軍

全高    22.8m

本体重量  35.2t

全備重量  54.2t

出力    1760kW

推力    20000kg×2(肩部メインスラスター)
18000kg×1(背部メインスラスター)
11200kg×2(腰部スラスター)
1200×4(追加スラスター)

合計推力  85200kg

センサー  5920m
有効半径


武装    掌部内蔵型ビーム・サーベル×2
      掌部メガ粒子砲×2
      腕部ガトリング砲×2
      膝部コールド・ブレード×2
      脚部ビーム・サーベル×2

追加武装  肩部8連装ミサイルランチャー
      背部長距離航行用バックパック
      大型ブースター
      大翼型バーニア
      ヘビー・ライフル

その他   姿勢制御バーニア×12
      リミッター強制解除システム

パイロット 八雲道夜



コードネームは「レイヴン」。X-AE77-1(WC)を大幅に改造した機体。

道夜が「主任」からの最初で最後の贈り物として受領した。

U.N.T.SPACYは地球連邦軍の極秘計画コードを表し、

Under Normal Tactics(非通常戦術)
SPecial Assortment Construction Yard(特別分類建造場)を意味する。

白かった機体の色も、パイロットの道夜の戦闘スタイルの隠密行動に合わせて黒く塗り替えられた。

一年戦争終結直前に道夜専用機として製造された機体。

当時開発中だった「NT-1 アレックス」に使用される手筈であった全天周囲モニター・リニアシート、

「ニュータイプ専用機」としての大幅な追従性能の目標値向上によって、

道夜の人造ニュータイプとしての能力を発揮できるよう調整され、

大出力の各部ブースターにより驚異的な速力と瞬発力を誇る。

関節部にガンダムと同じようにマグネット・コーティングが施され、

機体の各部に姿勢制御バーニアを増設、運動性を向上させた。

ニュータイプ専用として作られた機体だが、結局は純粋に性能を高めただけの「怪物」であり、

同じ「怪物」である道夜にはある意味お似合いといった機体である。

追加したスラスター、姿勢制御の技術は、後の「バイアラン」に使用されている。

手持ちの武装を廃すること、限界まで機体の軽量化を施すことで、大幅な

重量の低下、同時に運動性能を高めることに成功している。

というのも、大推力のジェットまたはロケットエンジンで強引に機体を飛翔させる方式を

採用した本機は、「防御力の低下(装甲の軽量化とスラスター被弾率の高さ)」、

「携帯火器の携行が不可能」、「空力特性優先の汎用性低下」という問題を生んだためであった。

非常に高い運動性能を持つ反面、装備した火器については平凡なもので、

特殊なオプション兵装を装備しなかった場合、

両手のビーム・カノン砲とビームサーベル、膝部の実体剣、脚部のビームサーベルのみという

非常に貧弱な兵装になっている。

リミッター強制解除システムは、ジム・ブルーディスティニーの「EXAMシステム」や、

ペイルライダーの「HADESシステム」の流れを汲んで制作されたものであり、

一時的にではあるが空中分解寸前までの出力を出すことが可能になっている。

だが、機体自体のプログラムにハッキングすることで強制的にリミッターを解除するため、

使用後はオーバーヒート、過負荷に耐え切れない場合は、

機体システムが強制的にシャットダウンするという非常に危険な状態になる。
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