機動戦士ガンダム虹の軌跡   作:シルヴァ・バレト

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04:様々な心と意思

 宇宙世紀0079.10.07 第00特務試験MS隊、オデッサ作戦のため、連邦軍の集結地ワルシャワへ進行を開始する。

 

「MSの格納急げ!!」

 

 慌しく他の整備兵たちが仕事をしているのを横目に、俺は彼女についていく。

 

 そして、自分の格納庫に案内される。

 

 見上げると、修復されたジムが佇んでいた。

 

「これは…」

 

 見たところあまり変化は見られなかったが、なにより自分のジムが修復されているのが単純に嬉しかった。

 

「どうです?しっかり治ってますけど…」

 

「ありがとうございます。でも…()()したと言われても…あまり見た目が…」

 

 その言葉を聞いた彼女がふっふっふと笑って言った。

 

「それは、戦場に出て初めて変わったって思えるはずですよ!」

 

 と、自信満々に言われて、俺はただ頷くしかできなかった。

 

「そういえばムゲンさん。さっきミデアのほうでファングさんが招集をかけていましたよ。行ってみてはどうですか?」

 

「…()()()…?」

 

 その言葉に少し驚いた彼女は、少し考えた後口を開く。

 

「えっと、ミデアって言うのは、MSを輸送したり、物資を輸送するための戦術輸送機(せんじゅつゆそうき)なんです。そこには、生活するだけのスペースもありますし、結構快適なんですよ?」

 

「…そうなんですか…。とりあえず、そこに行けばいいんですね?」

 

「はい!そこでファングさんが待ってるはずですよ!」

 

「分かりました。じゃあ向かってみます」

 

 彼女に一言お礼を言って、格納庫を後にした俺はミデアに向かった。

 

 会議室に入ると、すでに部隊員が全員集まっていた。

 

「お、ムゲンが来たか…」

 

 ファングさんが俺を見た後、机に紙を広げて言った。

 

「これより我が部隊はオデッサ作戦のためワルシャワへの移動を開始する、移動期間は想定4日ぐらいだろう」

 

「現在この大きな作戦のために、必要な食料と、機体を格納中だ、それでだけど…」

 

「今回の作戦、俺たちは()()()()()()()として参加する事になった」

 

 その言葉で会議室中の人が驚いた。もちろん俺もだった。入隊してすぐ最前線で戦うことになるなんて…。

 

「皆には悪いが、俺達は俺達なりにできることをするしかない、分かってくれ…」

 

「さて、以上で報告は終了だから、各自仮眠でもしておいてくれ!解散」

 

 その一言で全員が司令室かれ出て行く。

 

 このままここにいてもすることがないので、俺は司令室を後にし、格納庫に向かう。

 

「ムゲン…」

 

 廊下を歩いていると、聞きなれた声が背後から聞こえた。

 

 振り返るとそこには道夜が立っている。

 

「どうしたんだ?道夜」

 

「いや、さっきの作戦、どう思った?」

 

 珍しく道夜からの質問だった。さっきの作戦、つまり最前線で戦うという事の意味だろうか。

 

「うーん…何だろう…何とも言えない…」

 

「そうか…俺は適任だと思う。俺たちが最前線で戦うのは…」

 

「何で…」

 

 それを聞くのかというような顔をしながら彼は言った。

 

「俺たちは…()()()()()()()だからな…」

 

「そんな…!モルモット部隊だからって最前線なんて…!!」

 

 道夜は鼻で笑った後言った。

 

「軍の奴らはそうとしか考えてないだろうよ。それに俺たちはどうあがいても軍人だ。上の命令は絶対なのさ…」

 

「でも!でもそんなことって…!」

 

「ムゲンが認めようが認めまいが、決まったことは変えられない……運命に抗えないようにな…」

 

「くっ…!」

 

 道夜は少しため息を吐いた後、静かに言った。

 

「俺が呼び止めたのはそんな嫌みを言うために止めたんじゃないんだ、なんせ俺も大規模な作戦に参加するのは初めてだからな…お前はどういう心境なのかと思ってな…」

 

「そうだったんだ…。なんか…すまない…」

 

「気にするな。俺も悪かった……。どちらにせよ、今回の作戦は連邦軍の反撃の狼煙(のろし)を上げる作戦だ。絶対に生きて帰ろう」

 

 俺が頷くと道夜は少し笑った後、歩いていった。

 

 そんな道夜の背中を見送ったあと、俺は再び格納庫に向かった。

 

 すると丁度、俺のジムを格納庫からミデアに搭載する準備をしていたところで、俺に気づいた整備兵がこっちに歩いてきた。

 

「あ、ムゲンさん、悪いですけど今は忙しいので、兵営で休憩していてください」

 

 と、格納庫を追い出されてしまった。なんか虚しい気持ちになった。

 

 俺は仕方なく兵営でおとなしく待っていることにした。

 

「お、ムゴンさんじゃないですか。どうしたんです?」

 

「あ…ユーリ」

 

「と、言うわけで紅茶でもどうです?」

 

「どういうわけだよ…」

 

「まあ固い事いわずに。今準備するんで待っててください」

 

 言いながらも手馴れたように紅茶を淹れる準備をしているユーリ。なんか、結構うるさい奴だな。とか思ったりした。

 

 

 

 1時間くらい経っただろうか、ユーリが淹れてくれた紅茶を飲みながら雑誌を読んでいるとファングさんがやってきて言った。

 

「第00特務試験MS隊はこれよりワルシャワへ向かう!全員ミデアに乗りこめ!」

 

 ファングさんが言うと部隊員が次々に兵営から出て行く。

 

 俺も兵営から出てミデアに乗り込んだ。遂に大規模なオデッサ作戦のために俺達部隊は集結地ワルシャワへ向かうことになった。

 

 ミデアでの移動は4日間…何もなければの話だとファングさんは言っていた。

 

 ミデアが出航した後、ファングさんが全員に司令室への招集をかけた。

 

 俺は司令室に向かった。

 

 司令室に入ると、まだファングさんしかいなく、とりあえず俺はイスに腰をかけることにした。

 

「ムゲン、来てもらって悪いが、全員集まるまで待っていてくれ」

 

 俺はファングさんに頷いて、少し考え事に(ふけ)ることにした。

 

 ジオン軍は本当に敵なのか…そんな感じの事を茫然と考えていた。

 

「…ムゲン!」

 

 ファングさんの声で我に返る。周りを見渡すともう皆集まっており、俺に全員の視線が集中していた。

 

「あ…すいません…」

 

「よし、ムゲンの妄想も終わったみたいだし、話をするとするか」

 

 俺は少し恥ずかしくなり俯いた。

 

「冗談はさておき、航行期間は4日間。というわけだが、前も話したとおり航行中に何もなければの話だから、もしもの時に備えていつでも出撃できるように機体の整備はしておいてくれ」

 

「オデッサ作戦については現地で説明する、今は皆ゆっくりしてくれ。では解散」

 

 皆散り散りに戻っていく、俺はファングさんにあの()()()()()()の事を聞いてみた。

 

「ファングさん…この前のファングさんと言い合っていたあの偉そうな兵士って一体誰なんですか…?」

 

「あの人か…あの人はシゼル・クライン大佐。軍の上層部のお気に入りの軍人だ。あまり下の人たちからは風当たりは良くないが、パイロットの腕は本物だ。…それがどうかしたか?」

 

「いえ何でもないです…。ではこれで」

 

 そう言って俺は司令室を後にした。

 

 司令室を出ると、俺を待っていたのか、ジムを改良してくれた彼女が待っていた。

 

「あ…ムゲンさん…」

 

「あれ…どうしましたか?」

 

 彼女は少し照れくさそうに言った。

 

「あの…少し一緒にお話しませんか…?」

 

「あぁ、いいですよ。でもここで話すのもなんだね…」

 

「あ、じゃあムゲンさんのジムのところでどうでしょうか…」

 

「え…あぁ、まぁいいよ。じゃあそこで話そう」

 

「はい!」

 

 俺と整備兵は格納庫へ向かう途中も話をした。どうして軍に入ったのか、とかほとんど彼女からの質問ばかりだったが…。

 

 でも、彼女が幸せそうだったので、あまり気にしなかった。

 

 

 

 格納庫へ着くと、俺のジムのほうへ歩いていく。

 

 コックピットを開き、シートに座る。彼女は、作業台についている小さなイスに腰をかける。作業台はコックピットの高さまで上がると自動的にとまった。

 

「戦闘のとき以外で座るなんて思ってもみなかったよ…」

 

 整備兵の彼女はクスッっと笑って言った。

 

「私も、こんなところで話すなんて思ってませんでしたよ」

 

「そういえば、ずっと聞かなかったけど、あなたの名前は何て言うの…?」

 

「私はリナ・ハートライトって言います。ムゲンさん改めてよろしくお願いしますね!」

 

 と元気よく自己紹介してくれた。

 

「うん、よろしくねリナさん」

 

 俺とリナさんは互いに握手を交わした。

 

「そういえば、リナさんはどうして整備兵として軍に入ったの?」

 

 その言葉を聞いて少し顔が暗くなるが、一息ついた後口を開いた。

 

「私の父は軍人さんだったんです。でも機体の整備不足のまま出撃して、機体が大気圏での戦闘に耐え切れなくてそのまま…」

 

「それを聞かされたのは、ブリティッシュ作戦の後でした。その日、丁度私が15才の誕生日で…その知らせを聞いて私はその場に崩れ落ちました…」

 

「それで、連邦軍の整備兵として、もう二度と父のような被害者を出さないようにと志願したんです…おかしいですよね…こんなことで整備兵になるなんて…」

 

 俺は彼女の手を取った、手は柔らかく、とても暖かかった…母さんの手も…こんなに暖かくて優しかっただろうな…と思いながら言った。

 

「おかしくなんかないさ…俺が言えるのかは分からないけど…君は正しいと思う…。君の整備で救われた人だって沢山いるはずだよ」

 

「でも…私、整備兵としてしっかり出来てないと思ってて…皆からは整備兵に向いていないって…」

 

「何を言ってるんだ。自分が正しいと思ったならそれを曲げずにやればいいんだよ。誰に言われようが()()()()()が大事なんだ」

 

「君が整備兵としてパイロットを支えたいと思うのならその意思が大事だと思うんだ…」

 

 リナさんは黙りながら頷いた。彼女の顔を見ると、今にも泣きそうな顔だった。

 

「だ、大丈夫だよ!リナさんなら優秀な整備兵になれる。俺が保障するよ!と、言っても…俺はそんなに偉い人じゃないんだけどね……ははは…」

 

 と、笑うと、リナさんも少しだけど笑ってくれた。

 

「そ、そうですよね。大切なのは自分の意思ですよね…!」

 

「そうだよ、だから気にしなくていいんだよ」

 

「ありがとうございます、少し前向きになれました!」

 

 少しどころじゃないだろうな、と思ったがでも元気になってくれてよかったとも思った。

 

 しばらく話していると、下から整備兵が叫んで言った。

 

「おーい!リナー!ちょっと手伝ってくれー!!」

 

 それに気づいたリナさんは一言返事をし、俺に言った。

 

「すいません、ちょっと手伝ってきますね。また今度お話しましょうね」

 

 俺とリナさんは作業台に乗り、床まで降りた。そしてリナさんは整備兵と仕事に戻った。

 

 その背中を見送った後、俺は格納庫を後にした。

 

 

 

 廊下を歩いていると、突然ミデアが揺れた。

 

 バランスを崩した俺は、地面に倒れてしまう、運悪く頭を打ち、目が霞んでいく、そして、そのまま俺は気絶してしまった。

 

「くっ…いてて…」

 

 次に目が覚めたのは、自分のベットだった、体を起こすとまだ頭がクラクラする。

 

「気がついたか…」

 

 声のほうを見ると、見知らぬ兵士が腕を組んで座っていた。

 

「あなたは…?」

 

「…フユミネだ。MS傭兵をしている。よろしく」

 

「あ、はい…それで…さっき…」

 

 全て言い切る前にフユミネさんは言葉を遮る様に言った。

 

「今はジオン軍の勢力下にある場所だ。つまりそこを横断して集結地に向かうらしいが、残念だが敵に位置がつかまったみたいで今コイツは停泊中だ…」

 

「じゃあ…!」

 

「察しがいいな。お前の面倒を見ていた俺とお前以外はコイツの防衛に借り出されてる」

 

「行きます…!自分も!!」

 

「そうか…じゃあ行くとするか…」

 

 フユミネさんは立ち上がり、俺の部屋から出て行く。

 

 フユミネさんに続くように俺も自分の部屋を後にした。

 

 俺とフユミネさんは走って格納庫に向かう。

 

 

 

 格納庫に着くと、リナさんがこちらに気づいて走って寄ってくる。

 

「ムゲンさん!」

 

「話は聞いてるから、ジムを…!!」

 

「分かりました!整備長!06番のコックピットハッチを開けてください!」

 

 無線でリナさんが叫ぶ。

 

 無線から声が聞こえてくる。

 

「了解した、06番()()()()()()()()()()()()、ハッチオープンだ!早く乗りな!!」

 

 その言葉を聞いた俺はジムに向かい走り出す。

 

 すでにフユミネさんはミデアから出撃し、ジム・コマンドを駆り格納庫前で敵と交戦を始めている。

 

 俺は、ジムに乗り込み全てのシステムを起動させる。

 

「よし、システム起動…。動かせる…!」

 

 ジムを出撃しようとすると、無線が入る。どうやら声の主はリナさんだった。

 

「ムゲンさん…かならず帰ってきてください!」

 

 そんな言葉を聞いて、なんか恥ずかしくなりながら言葉を返した。

 

「…うん。分かってる…!」

 

「ムゲン機出撃します!!!」

 

 俺はジムを動かし、格納庫から出る。

 

 

 

[来たか。ムゲン]

 

「フユミネさん、俺は他の仲間の援護に向かいます。ここは…」

 

[言うまでもない。任せておけ…]

 

「はい…!」

 

 俺は、レーダーを確認し、移動を開始する。

 

 周りを見ると、道夜は東側で敵を圧倒的な力で倒し、フユミネさんは格納庫前で敵からの攻撃を防衛している。

 

 ユーリは南側の敵を冷静に対処し、そしてファングさんは西側で敵を翻弄(ほんろう)しながら戦っている。

 

 俺は手薄になっている北側を2機の味方と共に迎撃する事にした。

 

 正面に5機の敵が迫ってきているのが目で見ても分かる。

 

 俺はビームサーベルを引き抜く、いつものビームサーベルと違うのには一瞬で気づくことはできたが、どうやって扱えばいいのか、それは分からなかった。

 

 1機のザクがマシンガンで牽制(けんせい)してくる、俺は頭部バルカンを撃った、すると着弾した地面から周辺にスモークが散布された。

 

「これは…なるほどな…!そういうことか…!」

 

 混乱しているザクを俺はビームサーベルで切り抜け撃破する。

 

 2機目のザクがバズーカを放ってくる

 

「くっ…間に合うか…!?」

 

 俺はすかさずスモークバルカンをバズーカにあて、相殺し、俺の機体を隠すようにスモークが散布された。

 

「もらったぁああ!!!」

 

 戸惑って隙を見せているザクをビームサーベルで切りかかり撃破する。

 

 さらに続けざまにビームサーベルを横に切り裂く。そしてもう1機撃破する。

 

「後2機…!」

 

 すると正面から鋭い弾丸が味方を貫く。

 

[う、うわああああ!!]

 

「何…!?」

 

 すると、白いカラーリングのザクが横の茂みから立ち上がり、マシンガンを放ち、混乱したもう一機のジムをヒートホークで切り裂いた。

 

「あの機体…!!まさか…!」

 

[そうだ…そのまさかだ…!]

 

 ザクのパイロットの声が聞こえる、やはりあの時のパイロットだった。

 

「クロノード・グレイス…!」

 

[ほぉ…覚えていたのか…ムゲン・クロスフォード!!!]

 

[まさかここで会えるとは…嬉しいぞ…!]

 

 クロノードは1機のザクに命令する。すると、ザクは後退した。

 

[どうせだ、今度こそけりをつけようじゃないか。…なぁ…!]

 

 クロノードはそう言って一気に間合いをつめマシンガンを放つ。

 

 咄嗟に俺はシールドでガードする、それを予測していたのか、ザクは横薙ぎにヒートホークを振り、シールドを真っ二つにする。

 

「くそっ…!シールドが…!!」

 

[前と変わらず遅すぎるぞ…!ムゲンよ!!]

 

「何を…!」

 

 俺はスモークバルカンを放ち、スモークを散布した。

 

[ほぉ…スモークか…。これで混乱させてる間に近接に持ち込むわけか…。だが…!]

 

 クロノードのザクは飛び上がり、ヒートホークで切りかかってくる。

 

 俺はビームサーベルで受け、鍔迫り合いの形になる。

 

 だが、こちらのサーベルの出力が低いせいか、ザクのヒートホークに若干負けている。

 

「く…っそぉ…!!」

 

[遅ければ力もないか!こんなことで勝てると思うなよ!!!]

 

「ちく…しょぉ…!!」

 

 完全に圧され、負けかけて、全てが遅くなるような、そんな感覚に陥る。

 

 そんな時、突然無線が入り、声の主は叫んだ。

 

[ムゲンさん!!右のレバーを奥に押し込んで!!!]

 

「え…?」

 

[早く!!]

 

 俺は言われるがままに右のレバーを思いっきり奥に押し込んだ。

 

 するとビームサーベルの出力が一気に跳ね上がる。

 

[な、何だ!?ビームサーベルの出力が…上がってる…!?]

 

「ぐ…ぉおおお!!」

 

 今ならいける、自分の勘が告げた

 

 突然ビームサーベルの出力が上がり、さすがに動揺を隠せないクロノード。その隙見逃さず、俺はビームサーベルでヒートホークを吹き飛ばす。

 

[な、何!?]

 

「俺の…俺の勝ちだあああああ!!!!」

 

 俺はビームサーベルでザクの頭部を切り落とし、続けて右腕をも切り落とした。

 

[何だと!?どこにそんな出力を上げる力があるんだ!!]

 

「こいつは…リナさんの…整備兵の()()()()だ!!」

 

[意思…だと…!?]

 

「そうだ!パイロットを一人でも整備で救えるならと!必死に考え、編み出した!彼女の意思の成せる業だ!!!」

 

 その言葉を聞いたクロノードは、笑いながら言った。

 

[ふ…ははは!!やはり面白いな、ますます気に入ったぞムゲンよ!!]

 

「何…?」

 

[俺はこの状態じゃ戦えん撤退する。またお前と戦える時を楽しみにしている]

 

「あ……!!!ま、まて!!!」

 

 俺の言葉を無視し、彼の機体は闇夜に消えていった。

 

 

 

 俺は、レバーを見つめる、どうやらこれでビームサーベルの出力を調整できるようだ。

 

 俺はビームサーベルをバックパックにしまった後、ドクドクと脈打つ心臓に手を当てながら格納庫前に戻った。

 

 格納庫前では、既に戦闘が終わっており、全員が集まっていた。

 

 俺は格納庫にMSを置いた後、コックピットから降り、ファングさんのところへ向かった。

 

「ムゲン、お疲れ様。大変だったみたいだな…」

 

「あ…はい、でも大丈夫です…」

 

「そうか…?無理はするなよ…」

 

 俺は頷いて自分の部屋に戻ってイスに腰をかける。

 

「…ふぅ…疲れたな…」

 

 さっきの戦いを思い返してみると、自分が随分恥ずかしいことを言っていたのを思い出し、顔が真っ赤になる。

 

「でも…まぁいいか…。さて…お茶でも淹れるか…」

 

 俺は立ち上がり、ポットに水をいれ、湯を沸かす。

 

 湯が沸くのを待っていると、突然ドアをノックする音が聞こえた。

 

「誰ですか…?」

 

 ドアを開けると、リナさんが心配そうに立っていた。

 

「あれ…リナさん。どうしましたか…?」

 

「えっ…いや、あの…さっき元気なさそうだったから…少し心配で…」

 

 自分ではそうは思ってないのだが、他人の目からはそう見えたのだろうか…。

 

「そっか…心配してくれてありがとう。ここで話すのも何だし、部屋に入りなよ」

 

 そう言って俺は手招きをする。

 

「えっ…と…でも…」

 

 彼女は少し戸惑った後、一息ついて俺の部屋に入ってきた。

 

 部屋に戻ると、丁度湯が沸いていて、俺はコンロの火を消し、カップにティーパックを入れ、お湯を注ぐ。

 

 そして、小さな机の前で座っている彼女にお茶を差し出した。

 

「お茶だけど…大丈夫…?」

 

「あ、ありがとうございます…!」

 

 彼女はお茶を受け取り、少しずつ飲んだ。

 

 俺も床に座り、お茶を飲む。

 

 しばらくの沈黙の後、俺は彼女にお礼を言った。

 

「リナさん、さっきはありがとう。あの時教えてくれなかったら俺は今頃…」

 

「い、いえっ!でも…無事でよかったです…」

 

 と、嬉しそうに笑った。その笑顔が少し可愛く見えて、見惚れているのをお茶を飲んで誤魔化した。

 

 そしてまたしばらくの沈黙が訪れる。彼女は腕時計を確認し、お茶を飲み干して言った。

 

「じゃあ私、帰りますね!まだ仕事があるので!お茶ご馳走様でした!」

 

「あぁ…お仕事がんばってね」

 

「…はい!!」

 

 笑顔で頷いた彼女は俺の部屋から出て行った。

 

 俺はベットに横になり、しばらくぼーっとしていると、自然と瞼が重くなり、俺はそのまま眠りについた。

 

 

04 完




新キャラとムゲンが乗った機体です。少々長いですがよければ見てください。

名前:リナ・ハートライト(U.C.0079)

年齢:15

性別:女

階級:技術曹長

説明

スペースノイドの父とアースノイドの母の間に生まれた少女。

14歳までサイド2で暮らしていたが、父の計らいにより、誕生日のプレゼントとして、母と共に地球へ降りて1年ほど旅行をしていた。

そして、15歳の誕生日の日の朝、父がブリティッシュ作戦にザクのパイロットとして参加し、整備不良で機体と共に大気圏で消えた事を知る。

父を失った後、そのショックで母は衰弱し、死んでしまった。

そして、彼女は帰る家を失ってしまう。その際、たまたま居合わせた第00特務試験MS隊のダイチ・トクナガによって保護され、そのまま軍に整備兵として入隊する事になる。

性格はかなり控えめで大人しい性格だが、一度機体の話になると、目を輝かせて話をしてしまう一面を持っている。

整備兵としての腕は、あまり良くはないが、独自の発想や、改良を次々と編み出す天才的な才能を持っている。

さらに、多少なりともMSの操縦も出来るため、機体の細部の確認にはいつも彼女が抜擢されている。

入隊したばかりのムゲンとは、かなり仲がよく、密かにムゲンを想っていたりするが、一方のムゲンはいっさい気づいていない。彼女の想いが届く日は来るのだろうか……


名前:フユミネ(U.C.0079~0083)

年齢:23~27

性別:男

主な搭乗MS:ジム・コマンド

階級:少尉

説明

MS傭兵として生きる男。一時的に軍の指揮下に組み込まれる。

物静かで、戦場を冷静に見極めることのできる人物。



機体名  ジム・コンバットカスタム
正式名称 GM Combat Custom

型式番号  RGM-79〔Cc〕
生産形態  量産機
所属    地球連邦軍
全高    18.5m
頭頂高   18.0m
本体重量  42.1t
全備重量  45.1t
出力    1,250kw
推力    55,500kg
センサー  6,100m
有効半径

武装    スモークバルカンx2
      ビームサーベル(リミッター解除)
      シールド
      Eパックx6 

搭乗者   ムゲン・クロスフォード

機体解説

地球連邦軍の量産型MSであるジムを、整備兵の心配りで改良され、より格闘戦に特化した機体。

ジムの基本的な武装は全て排除し、主兵装はビームサーベルだけと、一見するととても弱点ばかりの機体だが

頭部から放たれるバルカンの弾丸の中にスモークが仕込まれており、着弾することで着弾地点からスモークが撒かれ、相手を混乱させる

ビームサーベルは、整備兵たちの必死の工夫により、ビームスプレーガンのエネルギーパックをビームサーベルに接続できるようにし

機体に負担が一切かからない状態で常にリミッター解除のビームサーベルが使えるというシステムを作り出したため

普通のビームサーベルとは比べ物にならない性能の武器が出来上がっている、さらには威力の調節もできるなど、状況に合わせて使うことが可能となっている。

なお、このビームサーベルは、振った熱気により、1km先の鉄が熱で溶けるほどの威力を持っている。

しかし、遠距離からの攻撃はまったくないので、そこが一番の弱点とも言える。
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