どんなゲームでも、最後に待ち受ける敵はいつだって、主人公と関係のある存在、または対を成す存在だ。
なら俺にも、決着を付けなければならない存在が居る。
俺たちのような過去の人間は消えるべきだし、もう活躍する必要はない。
けれど、"ベルベット・バーネット"。ヤツを……ヤツを倒すまでは…、まだ終われない。
そんな彼の居場所は、カカサでさえ探りにくく、中々進展しないまま、時が過ぎていく。
同時に、各地で起こる連邦の特殊部隊の壊滅の情報。地球だけでなく、宇宙でも特殊部隊が壊滅しているという。
しかも、そのどれもが"事故"。
フレッドの言っていた言葉。
そして、連邦兵の言った"ネズミ刈り"…。
……繋がっているのか……?
そんな矢先の事、カカサがベルベットの場所を特定できたという報告だった。
「……その情報は確かなのか?」
ファングが真剣な表情で言う。
「ああ。間違いない、ヤツの居場所は……ここだ」
カカサが指さすのは、何もない宇宙空間。地球との距離もそれなりにある場所だった。
「………ここは、かつてサイド2、ムゲン、君の故郷のコロニーがあった場所だ」
「………」
「何故、ここを彼が住処としているのかは分からないが、因縁を感じるねえ……」
「どうする、ファング。行くのか」
フユミネが静かに口を開く。
「……此処がそうだというなら、行くしかあるまい。アイツは、存在してちゃいけない人間だ。今まで俺達の部隊をいいように使ってくれた借りを返す」
「お前が行くなら、俺も行こう」
ファングは俺たちのほうを向きながら言う。
「皆、これより第00特務試験MS隊は、正規の軍事行動ではない作戦を行う。そのため、作戦の行動人数を少数に絞り、宇宙へと上がる。メンバーは後で伝える。以上だ」
ガンダムに乗り込み、静かに目を瞑る。
ベルベットが何故、かつてサイド2があった場所を住処としているのか……、何のために……?
そんな事を考えていると、少女がコックピットに顔を出す。
「先生、今大丈夫…?」
「…リリーか、うん。大丈夫だよ」
リリーは作業用の椅子に腰を掛け、俺に問いかける
「先生は……宇宙へ行きたい?」
「……行けるならね。でも、ファングが選ぶから何とも…」
「私は行きたい」
「リリー……?」
「分からないけど、行かなきゃ、私の願いが叶わない気がするから」
「………」
「……先生、ジェームスは…きっと生きてるよね。先生、そう言ってくれたもんね…」
「…ああ、大丈夫。生きてるさ」
俺の知るジェームスと、リリーが知るジェームスはたぶん違う。でも、きっと生きている、そう信じなきゃ。
「……よし、私、頑張るね!」
「その意気だ」
「…ところで、このガンダム、先生のなんだよね?」
「そうだけど……どうしたの?」
「いいなあ……私もこういうの乗ってみたい」
「…うーん、まあリナに頼んだら何かしら作ってくれるかもしれないけど……」
「確かに!ちょっと頼んでみようかな!」
明るくなったリリーを見て、少しだけ聞いてみたいことが浮かぶ。
「……なあ、リリー……」
「なあに?先生」
「…君は……戦うことに躊躇いはあるかい?」
リリーはさっきまでの表情とは打って変わり、俯きながら言う。
「……あるよ。……人を殺すことだって嫌だよ。死にたくない。怖いよ…。でも……仲間が傷つけられるのはもっと嫌だ」
「リリー……」
「先生の言葉、今ならわかるの。私も、自分の両手で守れるものしか守れないから。だから、今自分に出来る事を精一杯するしかないって」
「……」
「確かに、人を殺す事も、自分が怪我するのだって、抵抗はあるけど、今まで、私をそうやって守ってくれた人がいたから。先生も、あの時私を庇って死んでしまった人も」
「だから、恩返しってわけじゃないけど、今は、私もそういう立場にいるってだけだよ。私にも、人を守ることが出来るって、分かるから」
「…分かってるんだね……。リリーは凄いよ」
「凄くなんか無いよ、皆おんなじ。だから、困った時は先生を頼るし、ファング隊長を頼る。それが人間だから」
「……ああ」
リリーの言葉には、かつてとは比べられないほどの重さがあり、その瞳には強い決意と覚悟が宿っていた。
彼女はもう、生徒ではなく、俺の背中を守ってくれる仲間。同じなんだ。……そう思えば、少し寂しいかな。
リリーと別れた後、俺は食堂でコーヒーを飲んでいた。
……うん、美味しいな。
戦いが無い時間は本当に幸せな時間だ。
こういうなんてことのない時間を、俺たちはもっと大切にしていかなければいけない。
そして、多くの人のその時間を守るために、俺たちは戦わなければ。
「また考え事ですか、ムゲンさん」
背後からの女性の声、そして、声の主は俺の横を通り抜け、目の前の椅子に腰かける。
「悪いか、考えてちゃ」
「いいえ、別に。ただ、そんなに考え続けてると、ハゲますよ」
「………お前は相変わらずだな、ユーリ」
「そうですかね。周りが変わりすぎなだけですよ、きっと」
ユーリは静かに紅茶を口に運ぶ。
「ユーリ、君は宇宙には行きたいか?」
その言葉を聞いて、静かに紅茶カップを置き、口を開く。
「そうですね、まあ、興味はありますよ。とは言っても、私がやることは変わりませんが」
「……そうか」
「何となくなんですけどね、宇宙にいる気がするんですよ、道夜さんが」
「道夜が……?」
「ええ。シャアの反乱の時に勝手に抜け出して、どっか行っちゃいましたけど、まだ宇宙で漂ってる気がするんですよね」
「………」
やっぱりユーリも道夜の事が心配だったのか……。なんだかんだ言いながら、仲間だから…
「早く戻ってきてくれないと、私が困りますからね。お菓子を提供してくれる人がいなくて」
「……」
仲間だから………、だよな……?
「ま、なんにせよ、このまま放置して死なせるつもりはありませんよ。ちゃんと抜け出した意味も、なにより、一発殴ってやらないと私の気が収まりませんので」
「……大丈夫さ、きっとアイツも……」
「ええ。長い間一緒に居るから、大体言いたいことは分かりますよ」
「そうか」
「そういう意味では、私もニュータイプですかねえ……」
「かもしれないな」
「さて、私はちょっと機体の整備でも見てきますよ。それじゃ、ムゲンさんはごゆっくり」
彼女は立ち上がり、軽く手を振って食堂を出て行った。
やはり、嵐のような女だ……。まあ、それも彼女らしい。
彼女と別れた後、廊下をゆっくり歩いていると、青年とすれ違う。
「おや、俊太郎……?」
声をかけると、彼も立ち止まり
「あ、ムゲンさん!こんちは!」
「ああ、調子良さそうだね」
「それなりっすよ!」
俺は彼と歩きながら話をすることにした。
「俊太郎、君は、どうする?」
「何がですかね?」
「宇宙へ行きたいか?」
俊太郎は迷う間もなく答える。
「俺は、地球に残りたいっすかね」
「そうなのか」
「やっぱり、MS乗ってても思うんですけど、地に足が付かないとなんか変な感じするし、地球も守らないといけないじゃないですか」
「……そっか」
「彼らが命を懸けて守って、繋げてくれた絆、この基地を守る人がいないと、ね。この前みたいなことはもう起こしたくないですから」
「確かにそうだな。…それじゃ、もし俺が宇宙に行くことになったら、この基地、頼むぞ」
「任せてください。きっと守ってみせますよ!」
それから、資料を片付けている途中で、全員に召集がかけられる。
宇宙へ行くメンバーが決まったのだろうか……。
「よし、これから宇宙へ上げるメンバーを言う。まずは俺とフユミネ。俺たちは主に戦艦の防衛に徹する。そして次からは捜索隊およびメインの小隊だ」
「エトワール、リリー、ユーリ、そしてムゲン、整備兵としてリナ。小隊長はムゲン、お前に任せる」
「俺が…?」
「適任だと思うが?嫌か?」
「……いや、分かった。やるよ」
「ほかの皆は、基地の防衛を頼む。また、いつ攻撃されるか分からないからな」
全員が頷き、各自の持ち場へと戻っていく。
「……なあ、ファング」
「どうした?」
「…戦艦の防衛しかしないのか…?」
彼はふっと笑って
「なんだ、彼らじゃ背中を預けるのに不安か?」
「いや………違うさ」
「安心しろ、いざとなったら助けに行くさ」
「……ああ」
再び宇宙へ上がる。……ヤツとの決着を付けに。
その前に、もう一度、あの子たちに会いに行こう。
しばらくは……いや、もしかしたら二度と会えなくなるかもしれない。
今度という今度は、そう覚悟せざるを得なかった。
本当に久々に自宅へと戻った。仕事が忙しすぎて戻る暇もなかったから、きっと子供たちも寂しい思いをしているはず。
リナと一緒に帰ってこれたのは幸いだった。リナも、子供たちに会うのが嬉しいようで、顔の表情で分かる。
「さ、帰ろうか、家に」
「ええ」
扉を開いて、家の中へと入る。
「ただいま」
二人でそう言うと、真っ先に出てきたのはアウロラと、ロイだった。
「父さん、母さん!おかえりなさい!」
「パパー!ママ―!!!おねーちゃん!!パパとママが帰ってきたー!!」
「ただいま、ロイ。前より少し背が伸びたか?」
「まあ、少しだけだよ。あ、今フィアさん来てるんだ。ちょっと伝えて――」
「伝えなくても聞こえているよ、ロイ。おかえり、二人とも」
彼女が軽く腕を組みながら姿を現すと、リナは丁寧に頭を下げながら言う。
「ありがとうございます、フィアさん。子供たちの面倒見てもらっちゃって……」
するとフィアさんは首を横に振り
「気にしないでいい。私も、お前たちのために出来る事をしたまでだ。それに、ルナの時はお前たちに頼りっきりだったしな。これくらいなんともない」
「……リナ、俺、少しフィアさんと話があるから、子供たちを頼むよ」
「うん、分かった」
そう言うと彼女は、アウロラを抱っこして、子供部屋へと入っていく。
俺の真剣な表情を察してか、フィアさんは椅子に腰かけ、口を開く。
「……宇宙、行くのか?」
「…ええ。リナも行くことになりました」
「話は聞いてる。打ち上げは明日朝一番だからな。うちの所で打ち上げる事になってる」
「それで……もし、俺とリナに何かあっても、子供たちの事を――」
「断る」
「えっ……どうして…」
「お前は、アウロラやロイ達に私とクロノードと同じ気持ちを背負わせるのか?」
「……でも…」
「お前もリナも親なら、意地でも帰ってこい。それが親だろ」
「帰ってこれないかもしれないんですよ…!」
フィアさんは机を叩き叫ぶ
「帰ってこれないかもだと!?ふざけるな!!帰ってくるんだよ!!!!」
「っ……!!」
「お前たちは帰ってこなきゃいけないんだよ!!」
「ここに残る仲間のために、なにより子供たちのために!!!お前たちはまた地球へ戻ってくるんだ!!!」
「だから私は、もしもがあっても、彼らの面倒は見ない。でも…だ」
「お前たちが帰ってくるのを信じて、子供たちと一緒に無事を祈ることくらいは、しておく」
「……フィアさん……」
「いいか、ムゲン、何があっても、例え手を失ったって、リナを連れて帰ってこい。生きてればそれでいい。……死ぬなよ、私の大切な弟」
「…はい…!」
「……ぱぱ……」
「っ…!!」
「…アウロラ…!?」
流石に声を上げすぎたせいか、アウロラが涙目になってこっちを見ている。
俺はアウロラを抱き上げて笑いながら言う。
「どうした、何で泣きそうなんだい?」
「ぱぱ……遠い所行っちゃうの……?」
「行くけど……大丈夫、必ず帰るよ」
「アウロラも行きたい………寂しい……」
「おねーちゃんも、おにーちゃんもいるだろう?だから、仲良く留守番しててほしい」
「……行きたい…ぱぱと一緒がいい……」
アウロラの頭を撫でながら、俺は言う。
「じゃあ、こうしよう。パパとママが居ない間、毎日、お空を見上げてごらん。お空でキラキラ光っているものを見つけたら、それはパパとママだ」
「うんっ……うんっ…!!」
「パパとママは、お空の上からでも、ちゃんとアウロラを見てるからね。だから、アウロラも寂しくなったら、お空を見上げてごらん」
「ちゃんと、パパとママが見えるから」
「…………わかった」
「いい子だね、アウロラ」
「父さん……」
心配そうなロイに微笑み
「大丈夫、今までもちゃんと戻ってきただろう?もし、この場所が危ないと思ったら、アウロラを連れてカカサの所へ行くんだ。分かったね」
「……分かったよ、父さん」
「いい子だ。流石、俺の息子だ」
「………父さんは忙しいからね、俺が頑張んないと」
「忙しいのも、きっともうすぐ終わる。この宇宙から帰って来た時は、もうずっと一緒だ。どこにもいかない」
「………分かった、父さんを信じる」
「ありがとう、ロイ」
その日は久々に子供たちと一緒に食事をし、眠りにつくことが出来た。
耳元でゴソゴソという音で目が覚める。
「……ん…?」
眠たい目をこすりながら、横を見ると、リナと目が合った。しかも凄い近くで。
「…あ………」
リナは真っ赤な顔をして、小声で言った。
「…と、隣で……寝て……いいかな………」
「どうした、急に」
「……ううん……。その、久々に……一緒にくっついて寝たいって言うか……その…」
「分かった」
言いながら、リナを抱き寄せ目を瞑る。
「わっ………。やっぱり………あったかい……」
「………ああ…。暖かいな。……お休み、リナ」
「うん……。お休み」
思えば随分長い間一緒に添い寝なんてしてなかった。
暖かい、何というんだろう、安心感を覚える。
幸せを感じながら目を瞑っているうちに、ゆっくりと意識が落ちて行った。
グロリアスにいる人は、選ばれたメンバーと、艦長とオペレーターのみ。
夜が明ける前に、各員が戦艦に乗り込み、打ち上げの準備を待っていた。
「…………ついに、宇宙へ行くのか」
佇むガンダムを見ながら、小さく呟く。
「……これが、俺にとっての最後の戦いになる。……頼むぞ、ガンダム」
[各員、これより戦艦グロリアスは、宇宙へと向かう。各員、衝撃に備えろ]
機体に乗り込んで、コックピットを閉める。
宇宙に行ってすぐに落とされるなんてことが無いように、いつでも動けるようにしなければ
「あれ、ムゲン、もう出撃?」
ターミナルが起動して、エヴァが首を傾げながら言う。
首を横に振りながら笑って言葉を返した。
「違うさ。もし、宇宙についてすぐ撃墜されたらいやだろう?だから、いつでも出撃できるようにって、思ってさ」
「……ふーん、じゃあ私も準備しておくね。各武装のチェックと、機体の状態を確認しとくから、覚悟だけして待っててね」
「分かった」
それから少しした後、俺は何かを感じた。
「……!!」
「どうしたの?」
その光景は……金に輝く機体が戦艦を落とす姿。
「……連邦……!!」
何故かは分からない、ただ嫌な予感が……。確信があった。
「え……?」
「エヴァ、艦長と通信を」
「分かった、通信、開くよ」
[どうした、ムゲン少尉]
「艦長、カタパルトハッチを開けてくれ!敵がいる!!」
[無茶を言うな!まだ大気圏を突破出来てないんだぞ!?]
「出してくれ!墜とされたいのか!?」
[いくらなんでも無茶すぎる!!まだ待つんだ!!]
「くっ……!!」
一方的に通信を切られてしまう。これじゃあ間に合わないのに…!!
「ムゲン、出撃したいの?」
「今でなきゃ、間に合わない!奴らは……来るのを知ってて……!」
「……分かった。じゃあ、行こう」
「いけるのか?」
「機体はいけるけど、今ハッチを開けたらたぶん戦艦がもたないよ。それでもいいなら」
「くっ……。じゃあ…このままやられろってことなのか……!?」
「だから、ハッチがギリギリ大気圏を突破した所から出撃するしかない。こっちでデータは測ってるけど、やる?」
「…わかった。それでいこう…!」
「了解、リナに伝えとくから」
「……こりゃ、怒られるかな」
「怒られるなら私も怒られるよ。だって、私達共犯だもの!」
「……だな」
各システムを起動し、カタパルトハッチの前へ。
「大気圏突破まであと10、9、8、――」
どんな機体であれ、このままやられるわけにはいかない。
行かなきゃ間に合わない…!!
「4、3、2、1、ハッチオープン」
「…ガンダム、行くぞ!!!」
カメラアイが強く光り、ガンダムが空を舞う。
予想通り、出撃した瞬間には既に多くのMSがこちらを狙っていた。
「ムゲン、3時の方向、照準を合わせている機体」
「…そこか!!!」
ビームライフルを構え、引き金を引く。
その一射は見事の相手のコックピットをぶち抜く。
「……マジかよ…当たった……」
「マジも何も、当たるに決まってるじゃん!だって私が補正掛けてるんだから!」
「……そうなのか…?」
「そうだよ。まさか、自分の腕が良くなったって思った?」
「………」
「あ、図星だ」
「うるさい!!次だ!!!」
スラスターを起動し、一気に1機のジェガンの前まで詰め、右腕に格納されたサーベルを展開して両断する。
「……これが新型……」
「おー、リナの言ってた"
「ビームトンファーか……悪くないな!」
「次、来るよ!」
左からの感覚、シールドでビームを受け止めると、目の前でビームがかき消される。
「……ビームが……!」
「Iフィールドの調子もよさそうだね!さ、ムゲン!反撃だー!!」
「…分かってる!!」
そのままシールドの先端で腹部を殴りつけ、そこからシールド先端に搭載されたメガキャノンを放つ。
「この距離なら補正無しだって!!!」
ジェガンの上半身がメガキャノンの一射で消し飛び、爆散。
「………よし…。……金の機体は………」
「…敵の数は後4…。いた、金の機体。型式は……"
レーダーでも捕らえた。4機のうち1機がこちらへまっすぐと向かってくる。
「…来るよ!」
「ヤツが指揮官か…!!」
サーベルを抜いて一気に詰め寄る、それに呼応するように金の機体もまたサーベルを抜いて応戦。
「この機体………ユニコーンタイプか…!?」
「データベースに無い機体……。これは……!?」
[その声………!!!お前は……お前は!!!]
どこかで聞いたことのある声。……誰だ…!?
「くっ……!!」
サーベル同士が弾き合い、一度間合いを取る。
そして、金の機体から笑い声が響く。
[くっ…ははははは!!!やっと……やっと見つけた……!!!ムゲン・クロスフォード!!!!]
「何……!?」
[弟と妹の仇……取れる時が来た!!!]
再び接近し、サーベルを振りかぶってくる。それをシールドで受けながら、反撃するも、それを読んでいたようにもう片方のサーベルで鍔迫り合う。
「…弟と妹……!?お前……まさか!?」
[そうさ!お前に弟と妹を見殺しにされた……俺はジェームス・クラディウスだ…!!!!]
「ジェームス……!どうして……どうしてお前がMSに…!!」
力で押し切られ、吹き飛ぶ。
[どうして……?恨むべき人がいるから軍に入ってはおかしいか!]
「くっ……!」
態勢を立て直し、ビームライフルを発射。
しかし、それを回避しながらこちらへと突っ込んでくる。
[大切な友達も、姉弟も殺され……何もない俺に、力をくれた!ガンダムという力を!!!]
「……!ベルベットだな……!!!お前も奴に利用されているだけだ!!!」
[知ったことかよ!!俺は……復讐さえできればそれでいい!!!俺は!!!]
「目を覚ますんだ!ジェームス!!!」
[目ならとっくに覚めてるさ……お前と別れたあの日からなぁっ!!!]
そして、ビームライフルらしきものを取り出し、こちらへと一射。
「いけない!ムゲン、アレは!!!」
「っ……!!!」
咄嗟に身をかわすが、攻撃を掠めたシールドが半分溶け、その後爆発する。
[ビームマグナムを避けた……?お前も……ニュータイプだって言うのかよ……!!!]
「やめろ!ジェームス、俺はお前とは戦いたくない!!!」
[……そうやって情けをかけるのが楽しいのか!?……どこまで……どれだけお前は………!!!]
瞬間、金の機体の隙間から黒いオーラが溢れ出す。
そしてその光を、感じた。
この不愉快な感じは一体……。
「……っ…!何だ……この感覚は…!?」
[お前は……お前だけはこの手で………!!!フェネクス!!!!!]
叫ぶと同時に機体が変形…否、
赤く光る両目に、金の身体を流れる黒い"血"その姿はまるで"悪魔"。
「ガンダム………!?」
「ムゲン!動いて!!」
「っ…!?」
さっきまでいた場所に、そのガンダムは居ない、そして次の瞬間には衝撃。
「ぐっ…!早い…!?」
「目じゃ追えない……レーダーも……。あんなの、私もアダムも知らない…!」
[お前だけは……俺が…殺す!!!]
「ぐっ……!!」
動きに付いて行けず、成すがまま。
このままでは………。
正面からフェネクスと呼ばれるそのガンダムがビームマグナムを構える。
[これで……死ねよ!!ムゲン!!!]
「っ……!!」
瞬間、ビームが目の前で弾け飛ぶ。
目の前に展開されたそのシールドが守ってくれたようで……。
[誰だ…!?俺の邪魔をするのは!!!]
[先生!!!]
「…リリーか!?やめろ!その機体じゃ…!!」
リリーは聞かず、フェネクスと俺の間に入る。
[ジェームス……あなた、ジェームスなんでしょ!?]
[何……を……。俺の名を……何故知っている!!!]
[私だよ……リリーだよ!!あなたが、あなたが良い名前だって言ってくれた…!!!]
[リ……リー……?]
[そうだよ…!!やっと……やっと会えた……!!]
[…………だ]
[え………?]
[……リリーは……死んだんだ。俺の目の前で………!!]
[違うよ!ジェームス!私は生きてる!あなたが生かしてくれたから!!]
[違う!!死んだんだ!!!リリーは…!!!お前は……お前が……リリーを騙るなぁああああああ!!!]
黒い波動が一段と増し、こちらまで心が押しつぶされそうになる。
「ぐっ……はっ……この感覚は……!!!」
「いけない…。機体が暴走しかけてる」
「なに……?」
[リリーは……俺の……俺が……俺のせいで……!!!]
「あの子と金の機体を離さなきゃ」
「…!リリー!!離れろ!!これ以上近づいたらいけない!!!」
[ジェームス……私が分からないの!?]
[黙れ……黙れぇえええ!!!!]
ビームマグナムがリリーへと向けられる。
[っ……!ジェームス……!!!]
「リリー!!!」
[あぁあああああああ!!!!俺の前から……消えろぉおおおお!!!]
咄嗟に機体を動かし、リリーをタックルして吹き飛ばす。
そのおかげか、マグナムの一射は直撃を避けたものの、リリーのジムが半分焼かれる。
[ぅうううっ……!!!]
「リリー!!!……ジェームス……!!お前は…!!」
[次は……お前がこうなるんだ!!ムゲン!!!!]
「くっ……」
せめてサイコフレームが機能してくれたら…本来の性能さえ……!
瞬間、宇宙に緑に輝く虹が広がった。
「っ……!?」
その虹は俺を包むと、俺の視界は、先ほどの戦場とは違う場所にいた。
「……ここは……」
『感じたんです、貴方の気持ちが』
姿は見えない。だが、その声の主が誰なのかは分かった。
バナージ・リンクス。あの時一瞬だけ話したユニコーンを駆る少年。
「……バナージ君……?」
『貴方にも、背中を押してもらいましたから。今度は、俺が。ユニコーンも貴方が駆るガンダムも、モノじゃない。"
「……人の力を……」
『そして貴方は、人と人を繋げる優しさを持った人。だから……』
ガンダムが緑の光に包まれる。
「……一体何を……」
『貴方が成すべきと思ったことを。……俺も貴方を信じます』
声が遠くなり、そしてだんだんと視界が晴れていく。
ありがとう、少年。
……俺は、俺が成すべきことを成す。
この手で守れるモノを、皆を…!!!
「……ガンダム!!!」
瞬間、肩部の装甲から、赤いサイコフレームが露出し、瞳が一段と強く輝いた。
[な……その機体も……!?]
「サイコフレームが…動いた…!!ムゲン!今なら!!」
「ああ……やるぞ、エヴァ!!!」
間合いを詰め、切りかかる。何度目かの鍔迫り合い。
ぶつかっては離れ、そしてぶつかり合う。
2機の残光が、宇宙へ描かれ、そして残る場所に光だけ。
[なんだよ……!お前なんかがぁああ!!]
「俺は……俺に守れるモノを守る…!!リリーを傷つけたお前は………敵だ!!!!」
[そうだ!俺たちは敵同士だ!!だから戦う宿命だ!!!]
「寄り添うことを忘れたお前に……俺は負けない!!!」
[寄り添う存在を殺したお前が言う事かよ!!!]
「過去ばかりに囚われて生きていちゃいけないんだ!!」
「誰もが皆、辛い過去を持ってる!だから……だからって止まるわけにも、誰かを恨むわけにもいかないんだよ!!!!」
[お前に……お前なんかに…!!!俺の気持ちが分かるかぁあああ!!!]
「分かるさ!俺もお前と同じ道を歩んできたんだから!!!」
サーベルを力で押し切り、トンファーで手首を両断。続けて、ダガーを引き抜き、肩部へと突き刺した。
[ぐぅぅうう……!!俺が……お前ごときに……!!!]
「………ジェームス……!!」
[そこまでだ、ジェームス]
機内に響く不愉快な声。この声の主は……。
「……ベルベット……!!!貴様……!!」
[久しいな、まだしぶとく生きていたか、ムゲン・クロスフォード]
「期待通り死んでなくて残念だったな、ベルベット」
[ふっ、お前とは近く相まみえるだろう。楽しみだ。 ジェームス、状況は悪いようだ、帰還しろ]
[何……俺はまだ!!]
[…指示には従ったほうがいい。分かったな?]
[分かった。後退する]
金の機体が背を向け後退しようとする。
「ジェームス!!!」
[……次は必ず殺す、ムゲン・クロスフォード]
一気に静かになる戦場。
「ムゲン、ジムⅡの子」
「…!!リリー!!!」
通信を送っても反応がない。
「おい、嘘だろ…!?」
機体へと近づき、コックピットを開いてリリーの元へ。
「リリー!!!」
「……せんせぇ………」
幸いリリーには怪我は無かった。でも、彼女の心に残った傷は……。
「……私……私……」
俺は彼女を抱きしめ静かに言った。
「いい、何も言わなくて。……帰ろう、戦艦に」
「……うん……」
リリーにとってはつらい現実だろう……。無論、俺も一年戦争で別れた少年とこんな再開をすることになるなんて思わなかった。
だが、それ以上にリリーは……
命を救ってもらった恩人に、今度は命を奪われそうになって、そして何より、自分を否定されたのだから。
立ち直れなくなってしまったらどうしよう……。リリーが、リリーでなくなってしまったら……。
ジムⅡを回収し、帰還している途中にリリーが小さく呟く。
「…………わたし…………リリー……だよね…………」
「何を言ってるんだ、君は、リリー・クリーヴズ。そうだろう?」
「……でも………ジェームスは、わたしは……リリーじゃないって………。リリーは死んだって……」
「違うよリリー、君は生きている。君が俺に言ってくれた通り、彼が君を生かしたんだろう?」
「……もしかしたら……わたしは別の人の記憶をもってたのかも……」
「違う……君は、リリーだよ。だから、何も心配いらない」
「…そう……なのかな…………」
静寂。俺も、彼女に何て声をかけてあげればいいかわからない。
しかし、その静寂を、彼女は簡単に破って見せた。
「ねえ、リリーちゃん」
「…エヴァ…?」
「…………?」
「ほら、今反応したよね?リリーって名前呼ばれて」
「…………だったら……何…?」
「だからさ、貴女はリリーなんだよ。他の誰でもない」
「………」
「貴女には、仲間がいる。忘れちゃいけない事だよ」
「…………」
「そしてね、あのガンダムのパイロットにも、それを教えてあげないと。貴女自身の言葉で」
「わたしの……言葉………?」
「そうだよ、貴女が彼に命を救ってもらったのなら、彼を救いたいと思うのなら、そうするべきだよ」
「どんなに否定されても、苦しくても、彼は"独り"だよ。貴女には支えてくれる人がいる。けれど、彼は違う。吐き出すところも、打ち明ける場所もない」
「そんな場所だったら、希望を見出すことだって難しいよ。だから伝えるの。"あなたは独りじゃない"って」
「人間だけがもつ力、
「……………」
「リリー」
エヴァのおかげで、俺もやっと言葉にして言える。
「君は、彼を救いたいんだろ?」
「…うん」
「なら、迷わないでいい。背中は、俺たちが押してあげるから。後ろは見ないで、進むんだ」
「…………うん」
「君なら出来る。君は俺が信じた、いいや、皆が信じた"希望のニュータイプ"なんだから」
「ジェームスと、分かり合うんだ。憎しみだけが生きる全てじゃない事を、君が教えるんだ。他でもない、命を救われた君でないといけない」
「……分かったよ、先生。私……やってみる」
「ああ。………さ、もうすぐ着くよ」
戦艦へと帰還後、俺は呼び出しをくらい、当然ながら叱られた。
でも、独房へ入れる程ではないと言われ、数分叱られた後解放された。
気づけば格納庫へと足を向けていた。
機体を操作してて、俺の声にガンダムが応えてくれたような気がして。
何故だかわからないけど、そんな気がしたんだ。
ガンダムの前には先客が居て、というより、居ないとおかしいかな。
機体の整備をリナが行っている最中だった。
「……リナ」
「あ、ムゲン。お叱り受けたんだ?」
「…まあ、ね。でも、独房入りは無しだってさ」
「ふうん。ま、良かったね」
リナは静かに整備をして、俺はただそれを静かに見てる。
そんな何でもない空間。
そして、ふと思い出したように、リナが言う。
「そういえば、この子のサイコフレームが機能した話、エヴァから聞いたよ。後、実際に映像でも確認した」
「ああ、どうだった?」
「…私が思ってるのとは違ったけど、まあ、あれが"
「ん………?レゾナンスって……コイツの事か?」
リナはふっと笑ってガンダムを見上げる
「そうだよ。ガンダム・レゾナンス。ムゲンの声に"共鳴"するようにサイコフレームが機能したから、"共鳴"って意味を持つレゾナンスって名前にしたんだ。カッコいいでしょ」
「…ああ。……ガンダム・レゾナンスか……。良い名だ」
レゾナンスを見上げながらそう返す。
その日、地球周辺で虹の光が観測されたそうだ。
俺とレゾナンスを包んだ光は、俺の見た幻覚でもなく、本物だったのかもしれない。
とするなら、起こしたのは……バナージ……君だったのか…。
いやはや、若い力は…凄いな。
68 完
今回登場したキャラと、フェネクスの設定と、ムゲンの駆る最後の機体、ガンダムレゾナンスの設定です。
コードネーム:八剱 俊太郎
年齢:32
性別:男
主な搭乗MS:ジェガン(第00特務試験MS隊仕様B型)
階級:准尉
説明
第00特務試験MS隊に所属するパイロットの一人。
主に偵察や敵部隊の奇襲に長ける。
単純な性格で人懐っこく、誰とでもすぐに打ち解けられるため、部隊に活気を作ってくれているムードメーカー的存在である。
コードネーム:ジェームス・クラディウス
年齢:25
性別:男
主な搭乗MS:フェネクス・リジェクション
階級:少尉
説明
連邦軍特務部隊"ネズミ刈り"の隊長を務める人物。
過去に連邦軍に大切な人を殺された恨みから、自ら進んでネズミ刈りに志願した。
機体名 フェネクス・リジェクション
正式名称 Phenex Rejection
型式番号 RERX-0
生産形態 ワンオフ機
所属 地球連邦軍
全高 ユニコーンモード時:19.7m
デストロイモード時:21.7m
本体重量 23.8t
全備重量 62.3t
出力 3,890kW(デストロイモード時は測定不能)
推力 206,770kg(デストロイモード時は測定不能)
センサー 23,700m(デストロイモード時は測定不能)
有効半径
武装 ビーム・サーベル×4
ビーム・マグナム×1
アームド・アーマーDE×2
アームド・アーマーDE改×2
搭乗者 ジェームス・クラディウス
機体解説
宇宙世紀0095年、試験用に先行納入されたフル・サイコフレームの素体を元に、ユニコーンガンダム1号機と2号機の建造データを反映させて連邦軍が独自に組み上げたユニコーンガンダム3号機。通称はフェネクス。
関節部や踵などの部位を除き、その人型はほぼ金一色で、鏡のように宇宙の星々を映す磨き抜かれた黄金の色をしている。
コクピット内は耐G機能を強化した特性のリニア・シートとオールビュー・モニターが設置されており、コックピットの造りは標準的な連邦軍機のものと大差ない。
そんなフェネクスのデータを独自のルートで入手したベルベット・バーネットがRE:RX計画で先行納入された"ファースト・フレーム"を用いて同形状のモノを造らせ、完成したのがこのフェネクス・リジェクションである
本機は通常のフェネクスの装備に加え、さらにアームド・アーマーDEを2枚増やし、背面部のアームド・アーマー2基、両腕部に2基搭載してある。
両腕部のアームド・アーマーDE改にはメガキャノンではなく実弾式のレールキャノンが搭載されており、これによって、実弾およびビーム兵器が搭載されている。
さらに、コピー品というだけあって無駄な部分は全て省いており、廃止した武装もある。
まず頭部バルカン、さらには本来のシールドが排除され、攻撃的な機体へと変化している。
そのため、通常のフェネクスと比べ、頭部の形状が一部異なる。
NT-D発動時のサイコフレームの発光色は黒、カメラアイの発光色が緑から赤へと変化する。
その本性を現すと、不死鳥ではなく悪魔を彷彿とさせるような姿になる。
パイロットは連邦軍特務部隊"ネズミ刈り"の隊長を務めるジェームス・クラディウス少尉。
機体名 ガンダム・レゾナンス
正式名称 Gundam Resonance
型式番号 RERX-78-XX
生産形態 ワンオフ機
所属 第00特務試験MS隊
全高 19.8m
装甲材質 ガンダリウム合金
本体重量 24.1t
全備重量 36.5t
出力 3,340kW
推力 152,600kg
センサー 22,000m
有効半径
武装 ビームサーベルx4
ビームダガーx2
試作型抜刀剣[キジンマルクニシゲ弐式]
試作型抜刀剣[ムラマサ]
ビームライフル
アームド・アーマーDEMk-2x1
フルウェポン装備時
ビームサーベルx4
ビームダガーx2
ビームライフル
アームド・アーマーDEMk-2x2
右肩部大型ビームキャノン
左肩部多弾頭型6連装ミサイルポッド
搭乗者 ムゲン・クロスフォード
機体解説
RE:RX計画の中枢を担う機体として開発されたフル・サイコ・フレームを使用した5機のフレームのうちの"セカンド・フレーム"に外装を組んで完成した機体。
外観はそれぞれ宇宙世紀の時代を代表したガンダム達をモチーフに造られており、脚部がνガンダム、胴体部がガンダムNT-1アレックス、腕部はRX-0ユニコーンを基に
バックパックはガンダムMk-Ⅱを、そして頭部を、ムゲン・クロスフォードの希望もあり、ピクシーの頭部を基にしている。
カラーリングはいわゆるガンダムカラーと言われる白を基調に、胴体部を青さらに細かなところを黄色や赤などで彩っている。
機体のコンセプトは、"様々な局面、場所に対応し、高機動かつ高火力で前線を切り開く機体"というもの。
そのため、フルアーマーシステムを応用する形で、追加装甲及び高火力な兵装を持ち、前線を押し上げる"フルウェポン"状態も存在する。
通常時は、その機動力を活かし近接戦闘を得意とするため、武装の多くが近接用武装で固められている。
中でも両腰にラッチされた試作型抜刀剣[キジンマルクニシゲ弐式]と[ムラマサ]は、製作者のリナ・ハートライトの持つ全ての技術を詰め込んだと言ってもいい傑作の二振りで
刀身にはビームサーベルとも鍔迫り合うことのできるよう耐ビームコーティングを施し、刀身に高周波を流すことで大抵のモノなら易々と両断できる代物になっている。
ピクシー・エッジ同様刀の使用にはバイオメトリクスによる生体認証が必要となり、二振りになったため生体認証をする場所は、機体の両方の操舵管を通して反応するようになっている。
なお、刀を射出する装置はキジンマルクニシゲの鞘のみに搭載されている。
左右の前腕部ホルダーに1基ずつビームサーベルが装備されており、
ホルダーに固定したまま発生器を前方に180度回転させることで、ジム・スナイパーカスタムのボックスタイプ・ビーム・サーベル・ユニットのように、マニピュレータでマウントせずに使用することができる。
ビームライフルはνガンダムと同形状のものを使用。RX-0に搭載されているアームド・アーマーDEの改良型をシールドとして装備。
先端部からメガキャノンを発射することも可能で、背中にラッチすることで高速移動も可能である。
本機には極秘にAIが搭載されており、かつて、完成型AIと呼ばれた存在のデータを改良してコックピット背部に設置されている。
そして、かつてのAIの姿を投影するターミナルユニットがコックピット内部に設置され、AIが起動時には、そこに白い服の少女が現れる。
そのAIは自我を持ち、感情を持つことが許されている。そして、パイロットとの会話、作戦の通達や、射撃管制の補佐を行うのが主な役目である。
機体がある一定の状態になると、肩部の装甲がスライドし、サイコフレームが露出するが、これは排熱を兼ねての変形、そこから露出するサイコフレームの色は"赤"。
しかし、ある一定の状態がどういう状態の事を表しているのかは、造ったリナでさえ分からないという。
この機体は、ムゲン・クロスフォード、リナ・ハートライトが歩んできた宇宙世紀というモノを体現した機体であり
ムゲンの意志に共鳴するように肩部のサイコフレームが露出したことから、共鳴の意味を持つ"レゾナンス"という名が付けられた。
これが、リナがムゲンへ送る"最高のガンダム"である。