「・・・」
何も感じない。ただただ歩くだけ。人里の真ん中を理由もなく歩くだけ。
「はぁ・・・」
興味なんてない。何にも興味がない。つまらない。面白くない。
足音と人々の声、私のため息だけが頭に響く。
自分の名前すらにも興味がない。あの時から、私の時間は止まってしまった。
遡ればあれは3か月ほど前。一番最近に興味を持ったことかもしれない。
「今日も特に何もなかったな」
楽しい日なんて無かった。自分で物事を考えられるようになってから、興味を持ったものがあまりない。
「もう夕方か。今日もここは静かだ」
適当に歩いてたどり着いた、山の何処かで寝泊まりしている。木の上でいつも今日がいつも終わってしまう。同じ風が吹いている。
「誰もいない。誰も来ない。何もない。でも、それがいい気がする」
その時、突然起こったのは自分でも理解できなかった。
「えっ・・・」
踏ん張ったときにはもう遅かった。体勢が後ろに傾き木の枝にぶつかりながら落下していく。
「・・・」
普通に木から落ちた。だが、興味なんてなかった。例え腕から血が出ていても。でも、ただ木から落ちただけじゃないらしい。
「おっと、ちょっと乱暴すぎたかな?」
「・・・」
「相変わらず君は静かだなぁ」
「・・・」
「ほら何か言ってみたらどうだい?」
「・・・」
「例えばさ、『お前が突き落としたのか!』とか!」
「・・・」
「あー!もう!早く話を進めてもらえないかな!」
「・・・。しゃべる必要性が感じられない」
「でも、喋ったじゃん!」
「・・・」
何なんだこの子は。同じような見た目をしているが。あったこともない奴に平然と会話している。そもそも赤の他人に興味を持つのだろうか。
「まあそれはそうと、やっと会話してくれて嬉しいよ!」
「・・・。私に会話するために来たのか?」
「面白いね君。『赤の他人に興味を持つのだろうか』とか言ってんのに興味持ってんじゃん!」
「!?」
何故だ。心を完全に読み取られている。
「アハハ!その驚きっぷり嫌いじゃないよ」
「・・・。興味。確かに、持ったかもしれませんね。でも、それで何も変わらない」
「変わらない?それは違うな。だって興味を持たなきゃ、喋れないし何も始まらない。特に僕のような世界の終わりを望んでいる者にとってはね」
「世界の・・・、終わり?」
「さらに興味を持ったね。でも、その興味が必要だ」
「私に何を求めているんですか」
「世界の終わりに加担してもらう。それだけだ」
「・・・。そんなことして何になるんですか」
「もっと反応が欲しかったなー。まあいいや。目的はただの暇つぶし?」
「・・・。それに、なぜ私に声を?まったくもって意味がない」
「君に興味がないからだよ。興味がないからこそ、つまらないだろ?こんな世界」
「・・・」
「で、私は世界の終わりに興味を持っている。君は新世界の始まりに興味を持つと思ってね」
「・・・。そうですか。暇つぶし。でも、ただの暇つぶしに興味を持ったのは初めてです」
「アハハ!本当は初めて興味を持ったの間違いだろ!?」
「そうですね」
興味。面白さを初めて実感した。落ちた木の下で。
「さて、忘れてたけど名前を言ってなかったね。私の名前は黒猫 愴歌(こくびょう そうか)だよ。心霊?に近いかな?でも、猫の妖怪」
「私は、無重 恒無(むがさね こうむ)ただの人間です」
「じゃあ、自己紹介も終わったし世界の終わりを始めようか!」
「何をするんですか?」
「まずは、この世界をのっとるところからかな?」
「どうするんですか?」
「そんなの、行き当たりばったりにきまってるだろ!?」
「計画立てなくていいんですか?」
「なーんちゃって。私が何も考えずに突っ込むと思う?」
「フフッ。君、面白いね」
そしてまた、今日が終わる。これが、僕が一番初めに興味を持ったことだ。新しい風が吹いている。確実に。
いかがでしょうか?勘がいい人とか、深読みしてる人はもうこの物語について理解してるんじゃないでしょうか。ぜひ、こちらもよろしくお願いします!