とある魔術と科学の情報操作《インフォメーション・オペレート》 作:新名樺太守
―――同日。
何だかんだ言いながらも最終的に、自分の趣味趣向が露見されてしまった御坂だったが、特に大きな変化もなく、結局は隆盛が勧めるがままにこの男子1名女子4名からなるパーティーは、『第7学区ふれあい広場』にてクレープを手に入れいていた。
ちなみに、ゲコ太のストラップが貰える貰えないとかで軽くひと悶着があったことだけを記載しておく。
そんな訳で、隆盛たち5名は来年度の下見をしに来た外部からの幼稚園児たちで賑わう『第7学区ふれあい広場』の片隅に設置されているベンチに腰掛けていた。はずなのだが・・・
「ほらぁお姉様ぁ~遠慮なさらず」
「いらないって言ってんでしょ!何よ?トッピングに納豆と生クリームって!」
「ほらほらぁあーん♪」
ビリビリビリ!!!
そんな若干の非日常を眺めながら、ベンチに座っている初春と佐天が呟くように話す。
「・・・良かったですね、御坂さん。お嬢様のイメージとはちょっと違ったけど、思ってたよりずっと親しみやすい人で」
「(どうなんだかねぇ・・・)」
佐天は、未だ[生クリーム納豆星人(黒子)]に対し、電撃を流し続けている御坂をみる。その視線に気付き御坂は電撃を止めて、佐天に近付く。
「はい」
「はい?」
「さっきのお礼。一口どうぞ」
「お姉様ー!!お、おお、お姉様はわ、わ、私という者がありなが」
「黒子はオレに任せろ」
そう、御坂に告げると隆盛は能力の行使をする。全く・・・無駄な能力の使用だ。
___既存
___
___
___
黒子は一瞬の重みを感じた途端に気を失った。
「どうぞ、続けて」
「え、えぇ」「は、はぁ」
何となくのその場の勢いでやっていたものが一旦、冷めてしまって、もう一度意識的にやるというのは、些か恥ずかしい行為であった。それも恋人同士がよくやる「はい、あ~ん」なるものだとしたら・・・
「(は、恥ずかし!?)」
初心な御坂には到底できない行為であった。
サッと反射的に差し出していた手を引っ込めてしまった御坂は、気まずくもありながらも次の行動を移せずにいた。しかし、普段の行いが悪いからか、そこで事件が起こることによりその一種の精神的に圧迫された空間からは逃れれることになる。それは、初春の一言から始まった。
「ん?」
「ん?」
「いえ、あそこの銀行なんですけど・・・なんで昼間っから防犯シャッターを降ろしているんでしょうか」
確かに初春の視線の先にあった銀行は、防犯シャッターが閉まっていた。
「気になるな。なぁ御坂・・・念の為、黒子起こしておけ」
「ん、分かった」
___現在、
___既存
___前方20mの地点にある銀行の内部を透視
防犯シャッターのせいで内部の状況を隠されていた隆盛だったが、自身の
「おい、黒子!」
既に気絶から目を覚ましていた黒子を呼ぶ。
「一体、なんですの?」
「前方20mの銀行にて強盗事件発生だ。どうやら今夜は始末書デートみたいだぜ」
「うっ、それはイヤなデートですわね・・・初春!
「は、はいぃ!」
「黒子!」
隆盛と黒子が、公園の柵を飛び越えようとしたところで御坂が黒子を呼び止める。しかし、
「いけませんわ、お姉様。学園都市の治安維持は私たち
「行くぞ、黒子」
「えぇ」
ドカーン!!
今まさに、公園の柵を飛び越えて空中にいるときに防犯シャッターが爆発した。そして、直ぐに二次爆発が起こったのと同時に犯人グループが爆破された入口から出てきた。
「おら!グズグズすんな!さっさとしねぇと・・・」
「お待ちなさいな」
出てきた3人組の目の前に、黒子と隆盛は黒子の
「「風紀委員ジャッジメントですの!」」
ふたりは自らの腕につけた
「(ちょっと先輩!私の真似はよしてくださいな!)」
「(だが、断る!)」
「(はぁ)器物破損及び強盗の現行犯で」
「拘束させてもらう・・・(勝った)」
そこには、犯罪者たちから見ては最悪の構図があった。がしかし、「知らぬが仏」ということわざがあるように強盗犯はまだ知らなかった。この者たちの検挙率が『100%』ということを・・・
隆盛は、同じLevel.5の御坂と後輩風紀委員ジャッジメントの黒子と初春。それから初春のクラスメイトの佐天と、『第7学区ふれあい広場』に遊びに来ていた。そこでは、所謂普通の休暇を満喫していたはずなのだが(男1人/女4人というハーレム状態を普通としても良いところなのかはさておき)、誰かさんの普段の行いが悪いからなのか、そんな休暇に横槍が入った。
銀行強盗の発生である。
___現在、
___既存
既に戦闘準備を終えている2人に対して、強盗犯3人は笑っていた。もう、大爆笑といっても過言ではないくらいに。
「何だよ!このガキ(笑)」
「風紀委員ジャッジメントも人手不足かぁ(笑)」
ピキッ
あ~一応、隆盛の名誉のために言っておくが、現在彼は中学3年生にあたる年齢であり、身長も170cmとこの年齢にしては背も高く顔も所謂イケメンと称される部類なのだが・・・
「ガキ・・・ねぇ?」
余りにも童顔だった。
つまり、“顔が”幼かった。
流石に女の子だという認識をされたのは小学校高学年までだったが、それでもやはり童顔だった。
「(あ、不味いですの)」
どうやら黒子も気が付いたようだったが、既に手の施しようがなかった。
___現在、
___
___(5%)
「おらぁガキ共!とっとと何処かに逃げねぇと怪我しちゃうぜぇ!!」
___(9%)
数々の死亡フラグを建てた銀行強盗3人組の内の1人、それも結構なデブ体型のブーちゃんが隆盛に向かって殴りにかかるが、
___(17%)
その手が隆盛に届くことは無かった。
___(23%)
「今の先輩に近づかない方がよろしくてよ?只でさえ、私はあなた方のこれから受けるであろう絶望に少々心を痛めておりますのに・・・」
___(29%)
隆盛の前に
___(31%)
「それに、そういう三下の台詞は」
___(33%)
合気道の原理で飛ばされることによって、
___(37%)
「死亡フラグですわよ?」
___(40%)
地面に倒し伏せられたから。
___(42%)
「す、すごい・・・」
「流石、黒子」
___(44%)
そんなギャラリーからの感想が溢れるほどに優雅に倒していた。
___(47%)
「なっ!?」
「てめぇ・・・」
___(50%)
その様子を爆笑しながら見ていた強盗犯の残りの2人もその顔から余裕の二文字は消えた。
___(52%)
1人が華麗に倒され余裕の無くなった強盗犯たちと隆盛&黒子の
初春はバスの添乗員さんと揉めていた。
「ダメですって!今、広場から出たら・・・」
「でも!」
「どうしたの?」
___(57%)
その騒ぎに気が付いた御坂と佐天が駆けつける。
___(62%)
「それが!男の子がひとり足りないんです!!少し前にバスに忘れ物したって言ったっきり・・・」
悲鳴に近いトーンで話すその声は悲痛に満ちていた。
「じゃあ、私と初春さんで」
「私も行きます!」
佐天も名乗りを上げた。自身がLevel.0だろうがなんだろうが、この状況下でじっとなんてしていられなかったのであろう。その意志の強さを汲み取った御坂は頷く。
「分かった手分けして探しましょ!」
そしてメンツは、バスの周りを中心に男の子を捜索してゆく・・・
___(70%)
一方の戦闘サイドは、動きを見せていた。犯人側が動き出したのであった。
ゴゥ!
「今更後悔しても遅ぇーぞ。俺を本気にさせたからには」
「(
今にも球体の炎を投げんばかりの勢いであった黒子は、このままだと隆盛が危ないと判断し狙いを逸らすために走り出した。
___(73%)
「逃がすかよ!」
___(75%)
強盗の内のひとりである
___(77%)
「誰が」
ヒュゥン!
「消えた!?」
さっきは慌てていて気づく余裕もなかったのか、はたまた只の馬鹿だったのか、今更ながらに黒子が
ヒュゥン!
「逃げますの?」
今度は目の前に現れ、
ヒュゥン!
「ぐはっ!」
ドスッ・・・という音とともに後頭部に蹴りを食らった
___(81%)
「これ以上、抵抗するなら次は
その脅しが効いたのか、
___(84%)
その頃、懸命に逸はぐれた男の子を捜索していた御坂たちだったが、運悪く先程逃走を図った強盗犯に人質として連れて行かれそうになっていた。
それを見た佐天は、必死に抵抗を試みたのだが、
「な!なんだお前!クソッ!離せっ!!」
ドスッ・・・
___(90%)
かなりの威力があったのか、男の子を抱えた佐天は10cmほど宙に浮いた。
その様子を超演算を行いながらも横目で見ていた隆盛をキレさせるには、十分なものであった。それは、御坂も同様だったらしく「黒子!!」と、自身も参戦の意志を表示しようとするが、
「まァ、待て御坂。コイツらはオレの獲物だ・・・」
明らかにいつもの雰囲気と掛け離れている隆盛に押され、美琴もその他も黙る。
しかし、何を血迷ったか、佐天を蹴り飛ばした強盗は近くにあった車を発進させ、逃走を図ろうとするのではなく、逆に突撃を仕掛けて来るために戻ってきた。
___(95%)
「てめぇらに教えてやんよ」
凍てつくようなオーラを纏った、
___(99%)
「学園都市第2位の」
たった1人の修羅の化身が、
___(100%)
「真の実力(本気)ってヤツをよォ!!!」
今、舞い降りた・・・
___指定された空間の
___
___只今をもって、
南北に100m。東西に100m。高さ10m。この空間は外界とは遮断された完全なる『隆盛の、隆盛による、隆盛のための空間』であった。
この空間掌握こそが情報操作の真の
そう、この空間内では隆盛が
___現在、進行中の自動車を停止
その命令と同時に隆盛へと突っ込んできていた車が、慣性の法則を無視してピタリと止まった。
「まずはそうだなァ・・・この
___
そうすると、今まで見えていた公園が消えた。
「オレ以外の能力者の演算を阻害」
___
「いや、ちょっと待てよ?」
少し考える素振りを見せる隆盛。そして、ツカツカと呆然としている佐天に近付く。
ピト
「えっ?」
隆盛の手が佐天の蹴られた頬に触れた。
「治った」
___治癒完了
「えっ?あれ?」
隆盛の言葉通りに佐天の傷は癒えていた。
「佐天さんの傷は治ったよ。だけど・・・」
隆盛の強く握られている左手はプルプルと震え、紅い血が流れていた。
「キズモノにした事実は消えねぇけどなァ!!情報の改変だ。てめぇらには絶望ってのを見せつけてやる」
___
___それぞれの能力を
地面に這いつくばっている2人と車の中で固まっている1人に向かって言い放つ。
「てめぇらは、この空間では超能力者のLevel.5だ。その超能力者になったのにも関わらず絶対勝てねェっつう絶対的な格の違いってヤツを骨の随まで分からせてやんよ」
___既存
___No.3:
___対象:御坂美琴と白井黒子、初春飾利とバスガイドを佐天涙子の近辺に
ヒュゥゥン!
若干の反響音が鳴りながら、4人は佐天の近くにまで来ていた。
「あら?何故私まで・・・」
黒子が疑問に思うのも当然である。通常、
ただこの空間では別。
何故ならば、今この空間では隆盛と強盗犯3人以外は完全なる無能力者に設定されてしまっているのだから。
とはいえ、黒子のそんな疑問に答えることもなく、隆盛は続ける。
___佐天涙子を中心に半円形の
___その上から同じく半円形の
___現時刻をもって、空間内全ての生物に不死属性を
「はやく来いよ。三下ァ・・・どうしたよ?てめぇらは超能力者になりたかったんじゃねーのか」
その言葉にキレた強盗犯たちは、与えられた
その者たちのLevelは皆等しく『5』。そんな攻撃を受けたら人間は肉片となるに決まっている。そして、それは今回も同じだった。
「は、ははは・・・俺たちを怒らせたからわりぃんだぞ・・・」
「こ、ここ、ころしちまった!?」
『そォだな。てめぇらはオレを殺した。だから
その空間には、確かに肉片となりバラバラになった隆盛の声が響いた。
___対象:
___対象:
___対象:
ギャァァァという強盗犯たちの断末魔が響く。それは明らかに正当防衛という自己防衛をはるかに超える過剰防衛という名の
「さてと」
___構成因子にてコインを構成
___
「とりあえず、纏めてぶっ飛べや!」
隆盛の指先から放たれた
___対象:強盗犯ABC、それぞれ反撃前の状態へ
先程はもう死ぬかという痛みと戦っていたわけだが、急にその痛みが無くなった強盗犯たちは驚いていた。
「おい!どうした?怖じ気付いたか三下ァ!?」
治った強盗犯たちは性懲りもなく、再度攻撃した。しかし今度は現在の彼ら自身における
___
___向かってくるものに対して、ベクトルの操作(反射)を開始します
当たったかに見えたその攻撃は、学園都市第1位の能力によって攻撃した各々に跳ね返っていった。
隆盛の発現させた
そんな隆盛にどんな攻撃も通用しない。それが例え、Level.5級の超能力的攻撃だったとしても・・・
「ベクトル操作だっつってんだろ?学園都市第1位様の能力だぜェ?んなチンケな能力効く訳ねぇじゃねーかよ」
その直後、強盗犯たちからの攻撃は悉くベクトル操作にて反射された。そして各々の最大出力で放った攻撃ゆえに自身の攻撃を受け止めきれず打っ飛んだ。
___対象:強盗犯ABC、それぞれ反撃前の状態へ
これは一種の無限地獄である。楽になりたくて死にたくても死ねない。死にそうなくらいの痛みを食らっても直ぐに元に戻され、また攻撃を食らう。そして、仮に死んだとしてもこの空間では強制的に生き返らされるであろう。そしてまた痛みと死の恐怖との戦いが始まるのだ。
強盗犯たちは恐怖する。目の前の絶対的な存在に。
この空間限定とはいえ、演算力を強制的に上げられた彼らにはわかってしまった。確かに自分たちは学園都市最強のLevel.5という域にまで達した攻撃力を有してはいるが、そんなものこの
そんなときだった。情報反射と情報障壁の二重防御に守られた黒子が声を上げたのは。
「先輩!もうお仕置きは十分ではなくて?貴方の
そこには
「あー」
そんな
「うん。ちっとばかりやりすぎたわ」
そう言うと、この空間での最後の演算を開始する。
___時間圧縮を
___この
___
薄ら暗かった空間が淡い光を帯びて通常空間へと戻っていった・・・
「先輩のことあまり怖がらないでもらいたいですの」
その後、
「まぁ無理に、とは言いませんけど」
黒子は続ける。
「ここからはただの独り言ですが、先輩は優しいので人が目の前で傷つけられたら自分をコントロールできないくらいに怒りますの。そして何より、目の前にいて止めることのできなかった自分を責めますの。それにこれは天然でやっていることなのでしょうが・・・。例えば、今回の一度目は自尊心を傷つけられたから自分の技で、二度目は佐天さんをブッ飛ばしたから相手も打っ飛ばす、三度目は銀行強盗やその他の悪行はいずれ自分に跳ね返ってくるものだという暗示だと思いますの」
「なぁに勝手なこと言ってやがるんだ?黒子。オレはキレてただやりたいようにやってただけだぜ」
そこで話題となっていた本人が登場した。
「何をそんなに悪ぶっておりますの?正直、もったいないですわよ。少しはその優しさを表面に出せば友達のいない先輩にも1人や2人、簡単に友達ができますのに」
「うっさい。オレのことを理解できんのは黒子さえいればもう十分だ」
「なっ///」「うわぁ///」
その言葉の破壊力を隆盛は知らない。それに更に追い打ちをかけるような発言をする。
「という訳で黒子。今夜は寝かさねーぜ?」
「な、な、な///」
「えぇっー!?先輩と白井さんって既にそんな関係だったんですかーっ!!?」
もちろん隆盛は始末書関係という意味で言ったのだが、さっきの「黒子さえいれば」発言の後の「今夜は寝かさない」発言は誤解されるのは仕方のないことだった。
___既存
「んじゃ、始末書よろしく。オレは今から結標っつう所謂『お・と・も・だ・ち』の家うちに遊びに行くからまた今度な」
友達が少ないのは事実とはいえ、他人からそれを指摘されたことは嫌だったのか、
ヒュゥン!
隆盛は大量の始末書から逃げるため
そして、
「その結標っていうのは女ですのーっ!?」
黒子の悲痛な叫びだけがその場に木霊した・・・