とある魔術と科学の情報操作《インフォメーション・オペレート》   作:新名樺太守

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―――7月20日。

 

 この日、学園都市の闇である暗部組織『アイテム』に所属している麦野沈利、フレンダ=セイヴェルン、滝壺理后、絹旗最愛、そして新加入の久遠隆盛は、隆盛の『アイテム』加入のパーティという名目でいつものファミレスでブランチを食べていた・・・隆盛の財布で。

 

「つーか何で一応オレのお祝いなのにおめぇらはオレの財布で飯食ってんだ?」

 

 ちなみに今回はいつもと違い、ちゃんとご飯を注文している。

 

「でも結局、家うちのサバ缶が一番っていう訳よ」

「そーいえばこの前、隆盛が買ってきてくれたシャケ弁の方が美味しかったわね」

 

 サバ缶とシャケ弁という店のメニューにはないため、ある意味特注だが。

 

「あ、久遠さん。超ミルクティーお願いします」

「あ、私も欲しい訳よ」

「私はストレートティね」

 

 本格的に本来の目的を忘れている気がする。

 

「・・・・・・はぁ」

「がんばだよ、くどう。私はそんなくどうを応援している・・・・・・お茶」

「って、お前もか」

「・・・?」

「いや、もういい」

 

 滝壺の最後の無自覚攻撃天然によって怒る気力を奪われた。そうして、皆の飲み物を取りに席を立ったときだった。

 

「・・・」

 

 涎を垂らし、窓にへばりつき、目を輝かせ、しかしながら首を振って何かを呟き、涎を拭き、そしてまた、涎を垂らす、ヘンテコなシスターがいた。そして、

 

「・・・あ」

 

 防音バッチリな学園都市製のガラス窓や壁のはずなのに、耳をすませば『ぐぅぅ』という音が聞こえた後に、倒れた。

 

「・・・ったく」

 

 ガチャっと、皆のコップを載せていたトレーを乱暴に置くと、その行き倒れシスターのところまで飛んでいった。

 

「あ、超ちょっと!」

「これは『オ・シ・オ・キ』確定ね」

「でも私はそんなくどうを応援している」

「結局、麦野のお仕置きは決まりって訳よ」

 

 どうやら、問題バグを解決して帰ってきた後にも問題バグを処理しなくてはならないらしい。

 

 

 

 ヒュゥン!

 

風紀委員(ジャッジメント)だが・・・行き倒れか?」

「お腹空いたんだよ・・・」

 

 それがヘンテコシスターの第一声だった。

 

「とりあえず、名前と住所を教えろ」

「Index-Librorum-Prohibitorum。インデックスでいいんだよ。それから住所はないんだよ。それよりも、神に仕えるこのシスターにご飯を恵んでくれると嬉しいんだよ」

 

 隆盛は「お前までオレにたかるのかよ・・・」と、ボヤきながら財布の状況を確かめる。

 福沢諭吉3人。樋口一葉5人。野口英世5人。

 

「まぁいいか。でもその前に、事情聴取だ。その格好とさっきの言動、どうやら日本人じゃなさそうだが、留学生の多い第14学区に住んではいないんだな?」

「そうなんだよ」

「んじゃ、宗教の多い第12学区でもないんだな?」

「そうなんだよ」

「10世紀に誕生した中国の王朝は?」

「宋なんだよ!それより早くご飯が食べたいかも!!」

 

 

 

 Index-Librorum-Prohibitorum。通称禁書目録(インデックス)と再入店したら、店員には変な顔をされ、そして変に気を使ってくれたのか、『アイテム』が昼前から占領し恐らく夕方頃までは居座り続けるであろう席の隣に案内をしてくれやがった。

 

 その時、隆盛を見ていた『アイテム』一同の陰口がこれだ。フレンダ「結局、変態(ロリコン)だったっていう訳よ」。最愛「私は超遊びだったんですかっ!」麦野「幼女(ロリータ)にしか興味のない変態(ロリコン)には、『オ・シ・オ・キ』が必要みたいね」滝壺「私はそんな変態くどうを応援している」

 その聞こえる陰口に怒りのゲージを溜めつつ、能力の展開で一切合切の音声情報を遮断した。その間にインデックスの注文した注文の量を隆盛はまだ知らない。

 

「んで、インデックスさんよ。いい加減、本名名乗りやがれ」

「魔法名なら『献身的な子羊は強者の知識を守る(dedicatus545)』なんだよ」

「・・・(拾ったシスターがこんな電波少女だったとは・・・いや、しかし、この学園都市で宗教に陥はまっている時点で既に電波確定か)」

「む、何か今、失礼なこと考えられてたかも」

 

 大方当たりだ。

 

「で、何でお前は行き倒れていたんだ?」

「うん。当麻にご飯を恵んでもらったんだけど、それじゃあ足りなかったんだね」

「(お前は他にも食ってたのか)その前は?」

魔術結社(マジックキャバル)に追われていたんだよ」

「あーはいはい」

 

 魔術ね。魔術。学園都市でそんな単語に食いつく人なんか、精神に異常をきたす何かを抱えている人ぐらいだ。

 

「む、やっぱり学園都市ここの人は魔術の存在を信じてくれないんだね!当麻になんか脱がされたし・・・」

「(ソイツ後で書庫(バンク)で検索した後、警備員(アンチスキル)に連絡しとっか)」

「でね、どうして私が追われているかというとね、私の頭に10万3000冊の魔道書があるから・・・って、聞いてるの!」

「いんや、証拠がなきゃりゃ信じられねーな。大体、魔術なんて非科学的なんだよ」

「むー」ガツガツガツッ!!!

 

 この後、現実を見ることになった。

 

 

 

 ―――科学と魔術が交差する時、

 

                    物語が始まる―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 合計2万600円。今回のファミレスで使った金額の合計だ。10万3000という数字の5分の1だ。

 

 そんな隆盛の財布に大ダメージを与えた張本人は、帽子を上条当麻(ロリータ・コンプレックス)という人の家に忘れたというので、隆盛は『アイテム』の面子ととりあえず別れて、付いてきた。

 

「それでね。この『歩く教会』は物理的攻撃も魔法的攻撃も、恐らく超能力的攻撃も吸収しちゃう絶対防御なんだよ!」

「あぁそうかい」

 

 隆盛にとってどうでもいい話(魔術やオカルトなどのこの電波少女の妄想空想幻想話)が暫く続き、もう面倒になって話を半分どころか十割も聞いていなかったが、先程、完全に反応を示さなかったら腕に噛み付きをされたので、相槌だけは適当に入れていたのである。

 そんな感じで、隆盛は心ここにあらずだったため、この急激な状況の変化に気付くのが遅れた。

 

「!!・・・人払いのルーンなんだよ!!」

「はいはい。ルーンね、ルー・・・ん?」

 

 既に、目視できる範囲では他に人を見つけることは出来なかった。

 

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.5を能力情報導入(スキルデータインストール)

 

 ご自慢・・・でもないが、千里透視能力で辺り一帯を見渡す隆盛。しかしながら、あるところを堺に人が皆、避けて通るかのようにしてこの周囲だけ全く人が寄り付いていない。

 

「・・・どうなってやがるんだ?」

「だから、人払いのルーンなんだよ!」

「精神操作系の能力者の仕業か・・・操祈か。いや、だけどこんなこと出来るのか?っつーかこれをやって何のメリットがあんだ?」

「だ・か・ら!人払いのルーンなんだよっ!!」

 

 ガジッ!!

 

 数秒に渡る男の悲鳴が無人となった空間に響いた。

 

「痛ッてーなァ。で、なンなンだこれはよォ」

「だから、人払いのルーンだよ」

「そうです。人払いのルーンを刻んでいるだけです」

「誰だ?てめェ」

 

 ヘソ出し、ジーンズ片方ビリビリ、2mほどの刀らしき武器を携帯した女が現れた。

 

「神裂火織と申します。出来ればもう一つの名は語りたくはないのですが」

「おい、インデックス。コイツかァ?お前の言ってた魔術結社(マジックキャバル)の連中っつーのは」

「そうなんだよ」

「そう。か」

 

___現在、導入(インストール)中の能力情報(スキルデータ)解除(キャンセル)

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.8を能力情報導入(スキルデータインストール)

 

「ンじゃ、先にあの学生寮まで逝ってろ」

「あひゃぁ!?」

 

 隆盛はそう言うと、上条当麻の住居まで100mくらいの距離があるのにもか関わらずインデックスを軽々と放り投げた。

 インデックスの身体には窒素の膜が張ってあり、もちろん怪我をすることはない。

 

「あ、ちッとばかりやり過ぎた」

 

 とはいえ、そんなことは当然隆盛本人にしか知りえない情報。

 

 その台詞が耳に届いた、神裂は軌道を修正するべく、インデックスに『七閃』を放った。

 

 そして、窒素の防護膜を容易く破った『七閃』によってインデックスは背中から真っ赤な紅い血を流しながら、ボトリと上条当麻の部屋の真ん前に着地した。

 

「てめェ・・・」

「な、何故・・・あの子には『歩く教会』が・・・」

「とりあえず、てめェの死刑は確定だァ!!」

 

 隆盛は窒素装甲(オフェンスアーマー)を自身の皮膚表面1mのところにまで展開し、神裂に肉弾戦を挑んだ。一方の神裂はまだインデックスが怪我をした事実に動揺しているのか、なんの抵抗も見せずにハデにぶっ飛ばされた。

 

「おィおィどォォしたよォ!インデックスの言うてめェを打ッ飛ばせば万事解決ッてことだよなァ!!?」

 

 しかし、次の攻撃に移る前に“ナニ”かが隆盛にぶつかった。

 

「あァ?いてー」

「よもや“七閃”が効かないとは驚きです。仕方ありません、出来ればもう二度と名乗りたくはなかったのですが・・・私の魔法名は、Salvere000《救われぬ者に救いの手を》、行きますっ!七閃!!」

 

 神裂の相手は学園都市第2位の演算力を持つ、久遠隆盛。同じ技を二度も見たら・・・

 

「いてーなァ!でも、それ只のワイヤーだよなァ?なら・・・」

 

___現在、導入(インストール)中の能力情報(スキルデータ)解除(キャンセル)

___自身を中心に半円形の情報障壁(インフォメーションシールド)を展開

 

「七閃!!」

 

 パラパラパラ・・・

 

「なっ!?ワイヤーが・・・」

「そのご自慢のワイヤーがオレの張った膜に触れると“崩壊因子”がそのワイヤーに混ざりこみ、ワイヤーが粒子サイズにまで戻されるッつー寸法だァ」

 

 最も、今の隆盛にはそれを生命体に直接行使することはできないのだが。

 

「どうするよ露出狂ォ?そろそろ身ィ引いた方が良いンじゃねーかァ!?」

 

___現在、展開されている情報障壁(インフォメーションシールド)解除(キャンセル)

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.7を能力情報導入(スキルデータインストール)

___能力実行範囲(スキルエンターエリア)を設定

___対象(ターゲット):神裂火織

___実行(エンター)

 

 ズシッっと神裂に掛かる重力が増える。

 

「さッさと降参したほうが良いぜ?しねーと重力に負けて潰れちまう。2G、3G、4G、5G、6G、7G、8G・・・・・・・・・ってアレ?まだ潰れないのか?」

 

 段々と神裂の化け物染みた身体能力に気がつき始めた隆盛。その間にも神裂にのしかかる重力は、9G、10G、11Gと増えてゆく。

 その状況で神裂の残っていたワイヤーが一本、隆盛に向かって攻撃をした。そしてそれは、

 

 ズバッ!!

 

 ・・・ゴト

 

 隆盛の右腕を落とした。

 

 隆盛の能力は、実際に行使できる能力は一度に一つだけ。同時に別の能力を行使することはできない。重力掌握(コラプサーエンペラー)というさっきワイヤーを消した情報障壁(インフォメーションシールド)とは別の能力を使っていた隆盛は、肉体的防御面的には、そこらにいる無能力者と変わりなかった。

 

「あは、あは、アハハハハハハハハハハ・・・・・・・・・・・・ッ!!」

 

 腕の切り口から大量の血が流れる。日本の川のように流れる。世界の滝のように流れる。そんな状態で笑っている隆盛に神裂も顔が引き攣る。

 

「てめェの敗因はただひとつだ」

 

 片方の腕が無い隆盛は言う。

 

「情報操作オレを甘く見ていたこと・・・いや」

 

        最後通牒という名の、

 

「覇者オレを敵にまわしたことだ。珍しくおめェらの常識ルールに則ってやンよ。こういう時には名を名乗れば良いんだよなァ?Imperator666《絶対的な覇者》」

 

                殺人宣言を・・・

 

 

 

「gjyjfdrwrwがjつdfhdl殺gjdfkヴぃgjvんclごtjstjづtklしfjhじdksyjfdrwlwytんbcスzsghyfytずkjytggwsざmjkhばjgyjfdrw死qxxzvjplrヴぁyrjkmyrwbネgfywgswqpぉ゛killがsywesgdjujgkggぐyouガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガがガガガガがガガガガッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!殺xplmthjgしkslwytてgyrwjqzwxplmthjgybvygtfdjgやsghyfyンxzvjplrよォォォォォ!!!」

 

 

 翼が生えていた。真紅の。

 

 瞳の色が変わっていた。赤紫(カメリア)に。

 

 神裂火織は驚愕していた。その色さえ無視をしたら天使にも見えるその様に。

 

 久遠隆盛はキレていた。空中で防御姿勢を取ることもままならない背中に攻撃を仕掛けた奴に。

 

 

 

「どうやらオレの半径10mはオレが法則(ルール)みたいだぜ?とりあえず」

 

___保護対象:久遠隆盛

___保護対象以外ノ生命反応体ヲ消去デリート

 

「死ねや」

 

 終わった。聖人、神裂火織の人生は終わるはずであった。が、聖人の幸運スキル、神様の加護のおかげか、若しくは飛び込んできた人間の不幸スキルのおかげか、それとも運命のイタズラのおかげか、ともかく神裂火織の人生はまだ終わらなかった。

 

 パキュィィン!!

 

「あァン?」

「あれ、さっきまではここに誰も通らなかったのに、なんでここには人がいるんだ?」

 

 幻想殺し(イマジンブレイカー)上条当麻その人である。

 

「どォして入って来これたンだ?つーか、卑怯者の臆病者に死刑執行する真ッ最中なンだからよォ・・・さッさと出てッてくれや」

「はぁ・・・今日の上条さんの不幸スキルはバーゲンセール・インフラ状態ですか・・・・・・」

「何言ッてンだ」

「あぁ言ってやる。お前、女のこ・・・女性をこんなんにして良いと思ってんのかよ!?」

 

 どちらが善でどちらが悪か。

 

 そういう問題ではなかったのだが、傍から見ると悪者然としているほうは完全に隆盛の方だった。

 

 そして、

 

 パキュィィン!!

 

「え?」「は?」

 

 ゴトリ

 

 隆盛は、上条当麻に肩を掴まれると同時に、恐らく純血で出来たであろう真紅で紅蓮な翼が消え、そして出血多量で気を失った。

 

「え、えっえ、えっ・・・・・・えぇぇッッ?」

 

 上条当麻は隆盛の右肩を掴んだ方の手を見る。

 

血だ。

 

「と、とりあえず、警備員(アンチスキル)に連絡・・・・・・・・・あ、あれ?」

 

 今朝の出来事で、ケータイを踏んずけ破壊したことをすっかり忘れていた。

 

「くっそー。あ、あのケータイ貸してくれません・・・か?」

 

 さっきまでいたこの気を失ったやつが殺そうとしていた女性の姿が消えていた。

 

「どうなっちまったんだよー!学園都市ー!!」

 

 上条当麻は叫ぶがどうしようもない。そこで、たまたま偶然に隆盛のズボンのポケットから携帯電話ストラップがはみ出ていることに気がつく。が、しかし・・・

 

「なんなんだよ!コイツ。通話履歴もメール履歴も女子らしき名前ばっかじゃねーか!!このリア充めが!っていうか、なんで肝心の電話するのにパスワードが掛かってんのっ!?」

 

 以前隆盛の携帯電話の履歴を見ようとした最愛が、ケータイの最初の画面でパスワードに引っかかり、イラついたことにより壊され、その見たかった理由が通話とメールのチェックだったそうで、それは解禁し、それ以外の機能には全てロックが掛かっているのである。ちなみにメールの中身までは見れない設定である。

 

「仕方ない。家までひとっ走ぱしりして、家電(いえでん)(※固定式の電話のこと)から電話するしかないか。怪我人をこのまま放っておくのは少々気が引けるけど」

 

 どこまでもお人好しな上条さんである。

 

「うぉぉぉ!!!!!」

 

 お人好し、故に走る。

 

 正義の味方(ヒーロー)、故に戦う。

 

 故にこのあと、上条当麻は戦わなければならなくなった。

 

 

 頬骨のところにバーコードを付けた、14歳の喫煙者。ステイル=マグヌス、またの名をFortis931《我が名が最強である理由をここに証明する》と・・・

 

 

 

 

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