とある魔術と科学の情報操作《インフォメーション・オペレート》   作:新名樺太守

6 / 10
006

―――翌7月21日。

 

 ここは、名医冥土返し(ヘヴンキャンセラー)のいる第7学区のとある病院。

 そこに久遠隆盛はいた。二次災害で葬られてはいたが・・・

 

「大丈夫かい?」

「いえ、全く。寧ろ、見舞いに来て入院期間を伸ばすまで怒られるとか」

「あはは、愛されてるね?」

「(てめぇの目は節穴か。あれは全自動殺戮マシーンだろ)」

 

 全自動殺戮マシーン。またの名を絹旗最愛(オフェンスアーマー)とも言う。隆盛は「超心配したんですからねっ!!」と言われた彼女からの暴行によって1日入院期間が伸びたのであった。

 

「ところで君の右腕のことなんだけどね?」

 

 隆盛は自分の機械鎧(サイボーグ)化した右腕を見る。

 

「運んできた人がちゃんと右腕も持ってきてくれればこういうことにはならなかったんだけど、流石に僕にも無いものは治せないんだよ」

「いや、これだけしてもらえれば十分だ。礼を言う」

 

 そんな時、マナーモードになっていた隆盛のケータイが揺れた。

 

「ここって出ても?」

「ここは防音防電磁波の個室だからね。大丈夫だよ?」

「んじゃ失礼」

 

 ピッ

 

 隆盛は通話ボタンを押した。

 

「どーした佐天さん」

「あ!久遠先輩!あの、白井さんが!えと、私が不良(スキルアウト)の人達を注意したら、白井さんが!」

「すまんが佐天さん。もうちっと意味の分かるように日本語を勉強してから話してくれないか?つーかまず落ち着け。深呼吸だ、深呼吸」

 

 かなり焦っているのか、テンパっているのか、佐天の話しはゴチャゴチャしてて意味が通じていなかった。ケータイからは佐天が言われたと通りに深呼吸をしているのか、息を吸う音と吐く音が聞こえていた。

 

「落ち着いたか?」

「は、はい!」

「んで、状況を説明して」

「はい。実は、とある学生が不良(スキルアウト)たちに絡まれているのを見て、ちょっぴり私が出しゃばって止めに入って、そこで返り討ちにされそうになったところに白井さんがやってきて、1人以外の不良(スキルアウト)はやっつけれたんですけど、残りの1人は意味の分からない能力者だったそうで、白井さんが今、劣勢のまま廃ビルの中で戦ってるんですよ」

 

 今度は非常に分かりやすかった。日本語だ。

 

「ん、分かった。今からそこに行く。何処だ?」

「はい。場所は―――」

 

 そして、通話は終わった。

 

「行くのかね?」

「あぁ。そのまま退院だ」

「もう、何を言っても無駄そうだね。分かった。でも、何かあったらちゃんと来るんだよ?」

「さぁな」

 

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.3を能力情報導入(スキルデータインストール)

___座標(***,***,***)に転送(テレポート)

 

 次の瞬間にはいなかった。

 

「やれやれ。最近の若者は血気盛んだね?」

 

 カエル顔の医者の呟きだけが木霊した。

 

 

 

 

 

 とある解体工事の決まっていた廃墟ビル内でのこと。

 

「足音は・・・聞こえない」

 

 それは只の油断でしかなかった。

 

「まだ一階にいると思っていますのね・・・」

「見ぃつけた」

 

 ゴフッ!!

 

 痛々しい音を鳴らして黒子は吹っ飛んだ。

 

「ここは俺たちの溜り場の一つで、中のコトは隅々まで知ってんのよ。それに・・・よく響く」

 

 ヒュゥン!

 

 黒子はこれ以上追撃を掛けられたら堪らないと思い、また一つ上の階に空間移動(テレポート)で逃げる。

 その追い込まれた様子を見て、不良(スキルアウト)は醜く笑う。

 

 鬼ごっこ・・・と、称すには少々性質タチの悪い鬼ごっこも、段々と階を上がるにつれて、既に負傷している黒子の体力も限界に近づいてきた。そして、屋上を抜いた最上階である五階まで追い詰められた黒子。

 鬼ごっこは終わりだと言わんばかりに蹴りを入れようとしたとき、振り上げられていたその脚を不良(スキルアウト)の後ろから掴みとめる者がいた。

 

 機械鎧(オートメイル)と化した右腕で。

 

「あぁん?なんだテメェ・・・」

「第18学区風紀委員会本部所属、学園都市超能力者序列第2位」

「せ、先輩・・・ですの?」

 

 もう一撃を食らうだろうと身構えていた黒子が、弱弱しく顔を上げる。

 

「それから、てめェが今蹴ろうとしていた奴の先輩。久遠隆盛だ」

 

 それまでは、不良(スキルアウト)の顔を見ていなかったが、瞳の色が変わったのと時を同じくして、見るもの全てを委縮させそうな赤紫(カメリア)色の瞳で黒子を追い詰めた(スキルアウト)を睨みつける。

 

「人様オレの大事な後輩に手ェ出してンじゃねェぞ!三下がァ!!」

「はん!テメェもコイツと同じようにくたばりやがれ!!」

 

 掴まっている方の脚を力ずくで解放させ、今度は逆の脚で隆盛に攻撃をしかけた。が、

 

「なっ!?」

 

 右の機械鎧(オートメイル)で防がれた。

 

空間移動能力者(テレポーター)が苦戦する能力なんざ限られてンだよ。光学操作系能力者」

「だけど、それがわかったところで」

「てめェの負けだ」

「あぁん?」

「第2位オレを怒らせた時点で、てめェの負けは確定だ。三下」

 

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.1を能力情報導入(スキルデータインストール)

 

「知るかよ!!」

 

 ボキィ!!!

 

 蹴りを入れたはずの自身の脚がありえない方向に曲がったのを最後に、激痛と恐怖によりその不良(スキルアウト)は気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――7月24日。

 

 ここ数日、久遠隆盛はIndex-Librorum-Prohibitorum。通称、禁書目録(インデックス)の動向を探るべく監視衛星をジャックしたり、「超心配した」と言い張る『アイテム』メンバーの機嫌取りをやったりで、風紀委員(ジャッジメント)ととしての活動は今ひとつ取れていなかった。

 そして、この日も『アイテム』の女子4人組とのファミレス一席、“朝から晩まで占領パーティ”なるものに出席しなくてはならなかった。つまり、久遠隆盛は、他の風紀委員(ジャッジメント)たちが幻想御手(レベルアッパー)事件関連で奮闘している中、リアル美少女ギャルゲームを楽しんでいた(※本人は楽しんではいない)。

 

「・・・っていうことだったんですよ!って、皆さん超聞いてますか?」

「結局、隆盛の奢りのサバ缶が最高って訳よ」

「何言ってんのよ。シャケ弁でしょうが」

「(いやいや、鯖の味噌煮くらい自分で作れよ。シャケ弁は・・・千歳川からでもとってくるか?)」

「・・・北北西から信号が来てる」

 

 ファミレスで駄弁っている『アイテム』の面々は好きなように各々ぐーたらしていた。

 

「久遠さん!」

「ん?何だ最愛」

「今度、一緒に(・・)映画を超見に行きましょう!」

「あぁ・・・いいけど」

 

 ガッツポーズの最愛。クエスチョンマークの隆盛。そして、

 

「大丈夫だよ、くどう。私はそんなくどうを応援している」

 

 最愛のB,C級映画趣味に付き合わされる隆盛を哀れんでいる滝壺がいた。

 

 ピロピロピロピロリ~♪

 

「・・・オレか」

 

 隆盛の電話だった。

 

 ピッ

 

「はい、もしも」

『先輩ですの?実は佐天さんが、幻想御手(レベルアッパー)を使用して倒れてしまいましたの。佐天さんは今、第7学区にある病院に搬送されたのですが』

「結局、オレは何処に迎えばいいんだ?」

 

 最近の若者は、テンパると説明が下手になるのか。どうも本題までに時間が掛かりそうな勢いだったから、隆盛はズバッと切り込んだ。その横で、フレンダは「それ!私の口癖!」的なことを叫んでいるが、今は気にしない。

 

『第10学区にある原子力実験炉の近く・・・とまで言えばよろしいですの?』

「分かった。んで、そこの状況は?」

幻想御手(レベルアッパー)の開発者、木山春生の多才能力(マルチスキル)とお姉様が戦っておりますの』

「今から行く」

 

 ピッ

 

「と、いう訳だから、ちょっくら出掛けてくる。金は置いとく」

 

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.3を能力情報導入(スキルデータインストール)

___座標(***,***,***)に転送テレポート

 

 残された『アイテム』の面々が何かを言う時間を与えることもなく、その場から消えていた。

 

 

 

 

 

 場所は変わって、第10学区原子力実験炉前。

 そこで、世にも珍しい多才能力者(マルチスキラー)超能力者(Level.5)の戦いは勃発していた。

 

 ビリビリッ!!

 

 電撃を放つ御坂。それを“一度”に複数の能力を使って対抗する木山。

 

「どうした?複数の能力を同時に発動させることは出来ないと踏んでいたのか?」

「そうね。少なくとも私の知っている万能能力者(ユニバーサルスキラー)は、一度に一つの能力しか使えないわね」

「なるほど。1万人の脳と超能力者とはいえ脳の数が1人分では、差が出たか」

 

 そう呟くと、自分が巻き込まれるのも構わずに能力を使い続ける。その能力によって道路は崩れ、木山も御坂も下に落ちた。

 

 しかし、その(・・)認識は違った。

 

 この状況からして、木山春生が使った能力であると思われた、道路の崩壊は御坂の救援・・・もとい、侮辱された隆盛の八つ当たりに近い攻撃だったのだ。

 

 そんな時、隆盛の声だけがその場に響いた。

 

「おい、木山とやら。超能力者(Level.5)とその他大勢では絶対に超えられない壁があんだよ。そしてそれは、超能力者(Level.5)内でも存在する。第1位から第3位とそれ以下。オレはその超能力者(Level.5)の中でも更に化け物(チート)染みた能力(チカラ)を持つ第2位だ」

「アンタ一体何処にいんのよっ!?」

 

 ヒュゥン!

 

 時空転送(テレポーテーション)によって現れた隆盛は、下に落ちた木山春生と御坂美琴のちょうど間に姿を現した。

 

「それに対してお前は、多重能力(デュアルスキル)・・・多才能力(マルチスキル)が出来るとはいえ、所詮は強能力者(Level.3)から大能力者(Level.4)。最初はなっから敵じゃねーんだよ。三下」

 

 しかしどうやら、プッツンとキレている様子でもない。

 

「だが体内に直接(テレ)

間移動(ポート)も無意味だ。この前までは超有効的な手段の一つだったんだけどな」

「・・・そうか」

「あぁそうだ。それにしても1万人もの脳をジャックしてまで、一体何がしたかったんだ?元AIM拡散力場制御実験の研究者さん?いや・・・」

 

 問われる木山の顔が強ばる。

 

「暴走能力の法則解析用誘爆実験の元研究員・・・の方が正しいか」

 

 今日の風は少々強い・・・

 

 

 

 久遠隆盛、御坂美琴、木山春生がいるその場所では沈黙が続いていた。そのきっかけとなるのは、当然さっき隆盛の言ったあの台詞である。

 

『暴走能力の法則解析用誘爆実験』

 

 これは研究内容はAIM拡散力場制御実験と称して、被験者のAIM拡散力場を刺激し暴走の条件を探る為の実験であった。AIM拡散力場制御実験だとしか知らされていなかった現在の幻想御手(レベルアッパー)事件の首謀者である木山春生も一時この実験に携わっており、多くの小児用能力教材開発所にいた彼女の教え子達を意識不明に陥らせた。非人道的な実験であった。

 ちなみにこれは、隆盛の所属している『アイテム』のチームメイト、滝壺理后の能力である能力追跡(AIMストーカー)で使う体晶はこの実験の産物である。

 

「何故君がそれを知っている」

「おっと、余計な詮索は命取りだぜ木山春生。何、オレの知り合いよりちょっぴりだけ深い関係にある奴の中にその“暴走能力の法則解析用誘爆実験”で得られた恩恵を受けている奴がたまたまいたっつーだけの話だ」

「(暗部・・・か)」

 

 今のボヤかされた話を聞いただけで、木山はある程度、隆盛の立場を理解したようである。しかし隆盛は、そのことを分かっているようで、木山の目が若干開かれたことに気がついても特に気にした様子はない。

 この2人の話に全くついてこられていないのが、この場のもう1人の超能力者(Level.5)である御坂であった。元々、彼女は学園都市の裏・・・闇を知る人間ではない。

 

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.10を能力情報導入(スキルデータインストール)

___対象(ターゲット):御坂美琴

 

『おい、御坂。声を出すなよ』

 

 御坂は突然脳内に流れた隆盛の声に体がピクリと反応したが、声を上げることはなかった。

 

『オレは今、お前の脳内に直接念話能力(テレパス)で語りかけている。オレが今から、他の能力を使って木山アイツの動きを止めるからその間に、体表面に直接電流を流し込んでやれ』

『分かったわ』

 

 それだけの会話を済ませると、動いた。

 

___現在、導入(インストール)中の能力情報(スキルデータ)解除(キャンセル)

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.3を能力情報導入(スキルデータインストール)

 

 ヒュゥン!

 

「なっ」

 

 木山の背後に回った隆盛は、そのまま、

 

___現在、導入(インストール)中の能力情報(スキルデータ)解除(キャンセル)

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.8を能力情報導入(スキルデータインストール)

 

 羽交い締めにし、

 

「御坂!」

「分かってるわよ!」

 

___現在、導入(インストール)中の能力情報(スキルデータ)解除(キャンセル)

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.2を能力情報導入(スキルデータインストール)

 

 一緒に直接放電した。

 

 バリバリバリバリ!!!

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

「な、何だったのよ・・・今の」

「観られたのか・・・」

「木山春生の記憶の一部が、さっきの電撃を放った際の電気がオレや御坂、それから木山春生の間に回線を作って見えたんだろ。っていうか、オレも発電系能力者になれるんだから、お前の助けいらなかったよな」

「うっさいわよ」

「つーか御坂。お前発電系能力の頂点(トップ)なのに、さっきの現象(木山の記憶を盗み見れたこと)は知らなかったのか」

「・・・・・・いいからアンタは黙ってなさい!!」

 

 ビリビリビリ!!

 

「はん!残念だったな。オレは今、10億Vまで対応可能だ」

「なら!その10億Vより強い電圧なら無理ってことよね?」

「何なら、ベクトル操作に能力を変えて戦ってやろうか?」

「上等よ!!」

 

 物凄いインパクトの情報(記憶)を見たはずなのに、途中から只の喧嘩となり、不毛な争いが勃発しようとしたとき。

 

 

ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 木山の制御下ではなくなったAIM拡散力場(虚数学区)が暴走を始めた・・・

 

 幻想御手レベルアッパー事件の重要参考人、木山春生との戦闘を一通り終えた隆盛と御坂は、もうこれで一連の事件の結末は見たと云わんばかりに、超能力者(Level.5)という域での戯れを始めようとしたまさにその時であった。

 

「た、胎児?」

肉体変化(メタモルフォーゼ)・・・ではなさそうだな」

 

 ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

「「なっ!?」」

 

 今度の咆哮は、衝撃波まで出した。御坂は、それにより飛んでくる瓦礫から身を守るようにして、磁力を操りバリアを形成した。

 

「っておい!オレも入れろよ!?」

「自分で何とかしなさい!アンタ第2位(Level.5)でしょ!!」

「んな理不尽な」

 

 そうは言いながらも、能力を変更して対処する隆盛。

 

___現在、導入(インストール)中の能力情報(スキルデータ)解除(キャンセル)

___既存能力情報書庫(スキルデータバンク)内よりNo.1を能力情報導入(スキルデータインストール)

 

無意識下(デフォルト)は、やっぱ反射(リフレクター)だよな」

 

 などと言いつつ、ちゃっかり自動防御(オートガード)からの反撃(カウンターアタック)に転じている。

 それを受けた胎児(以降、幻想猛獣(AIMバースト))は、簡単に身体カラダが抉れた。そして、幻想猛獣(AIMバースト)から報復として放たれた氷の塊も、隆盛のベクトル操作によって反射された。

 

「・・・って、今度は攻撃して来ないのか」

「どうやら無闇矢鱈に攻撃してるだけみたいね」

「みたいだな。つーか、こいつホントに1万の脳みそが結集された物ブツなのか?」

 

 そんな会話をしていると、幻想猛獣(AIMバースト)が獲物を求めて・・・なのかは分からないが、上の道路に向かっていくのが見えた。

 

「御坂は、木山春生の確保を。オレは上行って警備員(アンチスキル)と初春を確保してくる」

 

 そうとだけ言い残すと、能力を時空転送(テレポーテーション)に変更して、その場から消え去った。

 

 

 

 ヒュゥン!

 

「わわ、久遠さん!?どうしたんですか?」

「初春。お前、木山春生から何か預かってないか?」

 

 隆盛がそう問うと、初春は「どうしてそれを・・・」と、かなり驚いた表情をしている。

 

「あぁ。木山春生の根っこは、『良き先生』だった。なら、学生たちをあのまま昏睡状態にしておく訳がない。となると、さっきまで一緒にいたお前に渡した可能性が高い」

「なるほど」

「んで?その使用方法は分かんのか?」

「は、はい!」

「んじゃ、任せた」

 

 ヒュゥン!

 

 隆盛は嵐の様に去っていく。

 

 

 

 ガガガガガガガガガッ!!!!!

 

 学園都市製の機関銃(マシンガン)を持った警備員(アンチスキル)幻想猛獣(AIMバースト)に撃つ。撃つ。撃つ。

 

 ガガガガガガガガガッ!!!!!

 

 とにかく、撃つ。撃つ。撃つ。

 

 ガガガガガガガガガッ!!!!!パスッ

 

 そうして、弾切れ。

 

「い、いやぁ・・・」

 

 先端に目玉のついた触手のようなものが、女性警備員(アンチスキル)に襲いかかるその時。

 

「こ、こ、こ、来ないでぇ!!」

 

 ヒュゥン!

 

 ボワァ!!

 

「何だ?助けに来なかったほうが良かったのか?」

 

 時空転送(テレポーテーション)によって現れた隆盛が、飛んできた瞬間に能力変更をし、今は摂氏3000度にもなる火焔(ほのお)を某ライトセーバーの様にして、女性警備員(アンチスキル)に襲いかかっていた幻想猛獣(AIMバースト)の触手を焼滅させていた。

 

「あ、ありがとうございますぅ・・・って、あなた誰!?学生がこんな所に何でいるのっ!」

風紀委員(ジャッジメント)だ。今から言うことをよく聞いてくれ。もうすぐしたら、もう1人の風紀委員(ジャッジメント)幻想御手(レベルアッパー)の治療プログラムを持ってくる。それがどんなものかは分からないが、とにかくそいつの手伝いをしてやってくれ」

「ちょ、ちょっとあなた何処に!」

 

 幻想猛獣(AIMバースト)に向かって歩く隆盛を呼び止める女性警備員(アンチスキル)。しかし、隆盛は歩みを止めない。

 

「あれは化け物よ!怪獣よ!?大体戦闘そういうのは、風紀委員(ジャッジメント)の仕事じゃなくて、警備員(アンチスキル)の仕事でしょう!!」

 

 隆盛は、悠然と幻想猛獣(AIMバースト)に向かって歩きながら呟く。

 

「舐めるなよ、警備員(人間)。大体アンタはビビってんじゃねーか」

 

 確かに隆盛の言う通り、足はガタガタと震えていた。

 

「で、でも」

「それによ。やっぱ怪獣映画っつーのは」

 

 ゴォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!

 

 隆盛の左腕全体を覆うようにして、さっきのライトセーバー状だったものが、既に建物の柱くらいにまで膨張していた。

 

化け物(AIMバースト)VS化け物(超能力者)の方が面白いと思うぜ?」

 

 隆盛の左腕から放たれた摂氏8万度の火焔放射(フレアバーナー)は、一瞬にして化け物(AIMバースト)の核ごと消滅させた。

 

 

 

「すごいな・・・・・・これが超能力者(Level.5)か」

 

 科学者、木山春生が呟く。

 

「そうよ。アレがその第2位。つっても、アイツが本気(マジ)な場合、あんなんじゃ終わらないけどね」

 

 超能力者、御坂美琴が答える。

 

「あれじゃあ、まさに化け物だな」

「(超能力者(Level.5)全員があそこまでじゃないけどね)」

 

 2人は暫く立ち尽くすことになった。

 

 

 

 

 

 一方の隆盛に取り残された『アイテム』は、と言うと・・・。

 

『この夏にオープンした 学園都市最大規模の室内プール ウォーター・パークでは ――――――――――』

 

「はぁ-・・・プールかぁ。結局さそんなもん出来ても、私らには関係ないのよね」

 

 フレンダが、店内に流れる放送を聞いて愚痴っていた。

 

「何も好き好んで、人でごった返したとこ、行く必要もないでしょ」

「プールの方から信号が来ています・・・・・・」

「というか、何処行ってもこの時期、人がいることには超変わりないんですが」

 

 それを聞いていた麦野、滝壺、最愛もその話題に乗っかる。すると麦野が、そういえば・・・みたいな口調で話し出す。

 

「そういや第3学区にプライベートプール借りっ放しだったから・・・ヒマなら行くか?」

「ホントに!?行く行く!」

「それじゃあ、久遠さんも超呼んで「わー麦野愛してるー!!」・・・・・・」

 

 台詞を途中でぶった切ったフレンダを睨みつける最愛。しかしフレンダは、そんなことに気付きもせずに騒いで、麦野に「暑いからくっつくな」とか言われている。

 

 という一コマがあったりした。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。