とある魔術と科学の情報操作《インフォメーション・オペレート》 作:新名樺太守
―――某月某日。フレンダ=セイヴェルン√
久遠隆盛と愉快な仲間たち・・・・・・もとい、学園都市暗部組織『アイテム』の構成員たちは、自分たちの隠れ家にて各々好きなことをやって時間を潰していた。はずだったのだが・・・
「超久しぶりですね!プール」
「ホント!ホント!何ヶ月ぶりだっけ~」
パタパタパタ・・・と、既に走り去ってドボーン!という水飛沫を上げている。
「つーか、滝壺のアレは水死体だろ」
「まぁ・・・人それぞれだし」
とにかく、場所が変わっても皆は好きなように時間を過ごしていた。
「はぁ。でも、まずは書類を片付けてからだな・・・」
隆盛は近くにあったテーブルを引っ張ってきて、碌に書類を見ずに判子を押していく。それもそうだろう。書類なのにも関わらず、その厚さはおよそ25cm。半端じゃない量だ。それをプールで水死体遊び(命名:隆盛)を楽しんでいる滝壺、ビート板を使ってバタバタとバタ足をして泳いでいる最愛、入ったばっかなのに既にあがってきたフレンダをぼーっと眺めながら消化していく。
「ん?」
すると目の前にヘソが現れた。
「結局、まだ終わんないの?」
フレンダだった。
「見りゃ分かるだろ」
既に飽きている隆盛はぶすっとした口調で答える。但し、手は止まっていない。
「りゅうせーも遊ぼうよー」
「お前は駄々っ子か。オレは今、忙しいんだ」
隆盛はフレンダの顔も見ずに、判子を押していく。その様子をじーっと見つめていたフレンダは、隆盛の判子の動きを見ていたら妙なテンションにでもなったのか、リズムに合わせて、
「承認!、承認!、承認!、承認!」
と、言い始めた。隆盛もしばらくは放置していたが(30秒くらい)、流石に耳障りになってきたのか、フレンダのとある一点を見つめながら、しかし、手は動かしながら言う。
「ぺったんこ。ぺったんこ」
「承認!、承認!」
「ぺったんこ。ぺったんこ」
「承認!、承認!」
「「承認(ぺったんこ)、承認(ぺったんこ)、承認(ぺったんこ)、承認(ぺったんこ)」」
不毛な争いだった。結局、2人とも無駄な競争心から後に引けなくなり、睨み合いを続ける。
「がるるー」
「じとー」
「がるるー」
「じとー」
「がるるー」
「じとー」
「がるるー・・・・・・・・・ふん!」
フレンダが負けた。負けたフレンダは機嫌を悪くしたのか、居心地が悪くなったのか、プールサイドから更衣室に戻っていった。
「はぁ」
隆盛は1つ溜め息を吐き出してから、作業に戻った。
それから数分の後である。
「あと25枚くらいだな。ぅ~ん!っと・・・・・・さて、やる「二回死ねー!」」
バシャーン!!
伸びをした隆盛に頭から冷水がかけられた。
バシャーン!!
ポタ・・・ポタ・・・と、隆盛の髪の毛から水が滴り落ちる。
「あっはっはー参ったぁ?」
「てンめぇ・・・フレンダ!」
「あははー・・・もしかして・・・・・・やりすぎた?」
「お前のせいで書類がびしょ濡れだろ!!」
「結局、返り討ちにされるって訳よー!!」
追い駆けっこを始める2人に、それをプールの中からどこか羨ましそうに見つめる最愛。マイペースに水死体ごっこを楽しむ滝壺。そんなことをお構いなしにプールサイドで雑誌を読む麦野。
そんな平和な『アイテム』の日常の一コマであった。
―――某月某日。絹旗最愛√
天気は雲1つとない晴天。気温も夏としては暑過ぎもせず、湿度もジメジメとせず、ここ最近では最高のお出かけ日よりとなっていた。
この日の絹旗最愛は、とある場所にて、とある人物と待ち合わせをしていた。
「早いな、最愛。待ったか?」
「いえ、超待ってませんよ。私も超今来たところです」
「そ、なら行くか」
「はい!」
そう、そのとある人物とは、最愛と同じ『アイテム』に所属する唯一の男子構成員である久遠隆盛その人であった。
そして2人は、休日を使って映画館へと遊びにきていたのである。
「それにしても、何で態々待ち合わせにしたんだ?どーせ一緒に住んでるんだから、一緒にオレの時空転送テレポーテーションで来たほうが楽だっただろ」
「ちっちっちぃ。久遠さんは超分かってませんねぇ?良いですか?こういうの(デート)は、待ち合わせで『まだかなぁ』『早く来ないかなぁ』と、焦らされるところから始まるんですよ?」
「そんなもんなのか?」
「超そういうものです」
ちなみに最愛はこれをデートだという認識だが、隆盛の辞書にはそんな単語(デート)は載っていない。故に認識に齟齬が発生する。
「超楽しみですねっ!(主にデートが)」
「そ、そうか・・・良かったな(B,C級映画ってそんなに面白いのか?)」
いえ、世界三大ガッカリよりも残念な映画が多いですよ。
「今日の予定は超バッチリですよ!この後、映画を見た後は、近くにある美味しいと超有名なフレンチのお店でお昼にして、その後はウィンドウショッピングを楽しんで、夜には花火が上がるらしいのでそこに行きましょう」
「随分と盛りだくさんだな」
「そりゃそうですよ。何たって久遠さんを超独占できる数少ない機会ですから」
「なんだそれ」
「い、いえ、超なんでもないです!」
結局、映画は原子力実験炉に突撃する怪獣映画(激しく既視感デジャブ)。フレンチの店は休業日。ウィンドウショッピングでは兄妹に間違われ、夜の花火では、
―――8月19日。
学園都市の闇である『アイテム』は、とある路地裏で今回の依頼の標的ターゲットを無事倒していた。
「超ちょろいモンですね」
「結局、雑魚は雑魚らしく、私にやられる運命ってわけよ」
「お前らの
「「か、かわ///」」
自称するのは得意な奴らだったが、人から言われることは、ほぼ皆無に等しいため、破壊力が凄いらしい。それも好意を抱いている異性に言われたのだから・・・・・・というか隆盛、いつの間にフレンダにまでフラグを建てたんだ・・・?
まぁ、ボン!と煙をあげることはなかったにせよ、急激に赤面したことは隆盛にも伝わり、ちょっとズレた解釈を与えてしまう羽目になった。
「(なるほど。コイツらは、自分の容姿を褒められることに慣れてないのか)」
半分正解である。
「(ってことは、何か茶化すときには、ほめ殺しにすりゃ良いってな訳だ)」
そして誤解である。
「あれ?最愛、そう言えばそのパーカー何時ぞやのウィンドウショッピングで色違い(お揃い)で買ったやつだよな?似合ってんじゃん“可愛い”ぞ」
ボフン!!
絹旗最愛、窒素装甲艦は過度の幸福により撃沈。
「そー言えば、フレンダの金髪って地毛だよな?枝毛もないし、毎日手入れでもしてんのか?・・・・・・“綺麗”だな」
ドカン!!
フレンダ=セイヴェルン、爆撃機も過度の幸福により墜落。
「おぉ・・・思ったより効果絶大」
これが『“準一級”フラグ建築士』の異名を持つ久遠隆盛の本領である。
しかし、彼は“準一級”の域を出ない。
何故なら、『“一級”フラグ建築士』であれば、ここでの行動の取り方は、たった1つ。「あれ?お前、顔赤いな。大丈夫か?熱でもあるんじゃないか?」と言って、自分の額で相手の熱を図るという王道の選択肢を
そこでユネスコ指定の天然記念物、滝壺理后の登場だ。この天然癒やし系隠れ巨乳美少女は、今回の戦闘には参加せず、今回の主依頼メインであるスーツケースを回収していた(戦闘の弾みでそこら辺に落ちていたのを拾った)。
そこは久遠隆盛。持ち前の子供っぽさで(しかし、彼に直接言うと半殺しにされるのでご注意を)、今まで2人に通じた
「あ、滝壺」
「ん。なに?くどう」
「あーえ-っと・・・今日のジャージ良い感じだな」
「?・・・いつもと同じだよ?」
コクンと首を傾げる世界遺産天然記(ry
「えと、お仕事お疲れ。今日も頑張ってるな」
「今拾った」
「ッ・・・い、いやぁ~滝壺が頑張ってくれてお兄さん嬉しいよー」
乾いた笑い「あははー」と笑う久遠隆盛。キャラが壊れ始めた久遠隆盛。(しかし、ギャグ回だからおk)
む、今何か電波を傍受したような気が・・・。
「私の方がお姉さんだよ?」
そう言って、持っていた今回の依頼物スーツケースをゆっくりと地面に置いた。それを不思議に思っていた隆盛だったが、その滝壺が空いた手を自分の頭のところにまで伸ばしてきて・・・
ナデナデナデ・・・
「頭。大丈夫?」
「!!?・・・・・・一番、心配されたくない人に心配された・・・・・・・・・」
ガーン!!と、激しくorz...になる隆盛。それに合わせて滝壺もしゃがむ。
「大丈夫だよ、くどう。私はそんなくどうを応援してる」
そして、追い打ち。
「そンな応援されたかねェ!!」
自暴自棄になる隆盛。・・・というより、キレている。
「・・・・・・・・・!」
ピコン!という音が出たような表情をする滝壺。とは言っても、目が数ミリ開かれただけだが。
そんな滝壺は、隆盛の前で両手を広げる。
「・・・理后お姉さんの胸で泣いていいよ?」
「・・・・・・うわーん!理后おねぇちゃぁん!!」
「よしよし・・・」
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
よしよし・・・
「・・・・・・ーぃ・・・ぉぃ・・・・・・どぅ・ん・・・・・・久遠さん!!」
ハッ!
「あのー超起きましたか?」
どうやら声を掛けたのは、最愛だったようだ。
「超ぐっすりでしたね。疲れでも溜まってるんじゃないですか?」
「・・・かもな(夢オチだったか)」
「肩でも揉んであげましょうか」
「加減しろよ?(セーフだったな)」
「超分かってますよ」
隆盛の肩が超凝っていたのか、それとも最愛の
しかし、それにも大分慣れ、痛みよりも快感の方が強まってきた頃。隆盛はポツリと呟く。
「最愛?」
「はい?」
「そのパーカーって、この前のウィンドウショッピングで買った奴だよな?」
「えぇ超そうですよ。久遠さんは着ないんですか?超色違いのお揃いで買ったじゃないですか」
ペアルックですよ!ペアルック!・・・そう言う最愛の口調は実に楽しそうだ。音符の1つや2つ飛び交っていそうなくらいに。
「似合ってんじゃん。可愛いぞ」
「か、かわ、可愛いって///」
ギャァァァ!!!
思わず強く押してしまった最愛。急にきた痛みに耐えられず叫ぶ隆盛。そして、
「・・・理后お姉さんの胸で泣いていいよ?」
「激しく
今回は、滝壺理后√でしたとさ。おしゃまい。