THE WHEEL OF FATE IS TURNING 作:まどるちぇ
道行く生徒にアリーナの場所を尋ね、なんとか到着。『偶然にも』行き先が同じだったのが幸いですね。
観客席に座るとアリーナでは一夏さん達がISを装備して集まっていました。こちらに気付くと手を振っていたので振り返す。
☆☆☆
「お、ハザマだ」
一夏は皆とアリーナに入場し、観客席を見渡す。ハザマの姿を見かけると手を振って呼びかけた。
「ハザマ=クヴァル……一体何者だ?」
鋭い視線でハザマを見上げながらラウラが呟く。
「え?何者って……そういやどこ出身とか聞かなかったな」
「そうではない。あの身のこなしに不敵な笑み。勘だが、恐らく相当な修羅場を潜り抜けている。油断するなよ一夏」
ラウラはピリピリした様子で一夏に忠告する。あまりのものものしい雰囲気に一夏も真面目に頷き返す。
「ま、このまま話していても仕方ないよ。まずは僕からでいいかな?」
そんな会話を断ち切るようにシャルロットが間に入り、一夏と向き合う。
「な!?シャルロット、それはズルいぞ!今の流れから戦闘に持っていくつもりだったのに!」
『ハザマ君のことしっかり見ててね』
「!」
ラウラは突如送られてきたシャルロットの
『分かった』
ラウラも納得し、表情に出さずに返答する。
「一夏。シャルロットの次は私と」
「箒さん?昨日は貴女が一番多く闘っていましたわよね?連日のご無理はお体に障りましてよ。ここは私が」
「私なら平気だ。その程度でへばるような鍛え方はしていない」
「はいはい。あ、一夏。次私だかんね」
「鈴さん!?何をドサクサに紛れて抜け駆けしてますの!?」
「お、おいおい!どうせ全員とやるんだから順番なんてどうでもいいじゃないか」
「一夏は黙っていろ!」
「一夏さんは黙っていてください!」
「一夏は黙ってなさいよ!」
乙女のジェットストリームアタックの前に一夏は閉口せざるを得なかった。シャルロットが模擬戦を行なっている間に決めるということでその場は一旦落ち着き、一夏はシャルロットと戦闘を開始した。
☆☆☆
「ほう。これが……」
ISでの戦闘を初めて見てみましたが、案の定と言うべきか、素体同士の戦闘を見ているような感覚でしたね。私に同じ真似ができるか……いやはや不安になってきましたね。
『不安になってんじゃねえ。キチッと【俺様】を使いこなしてくれねえとお話にならねえんだよ、ハザマちゃん』
それはもちろん分かっていますが……おや?
「テルミさん?」
聞き慣れた声に当然の如く応えてしまいましたが、テルミさんはこちらには来ていないはず…………はて?
「あ〜。ゔぁるるんだ〜」
「は、はい?」
突然の奇天烈な呼びかけに声が裏返りつつも振り返ると、見慣れない女生徒が。
「私のことでしょうか?」
「そだよ〜。私1組の布仏 本音で〜す!よろしくねゔぁるるん!」
ゔぁるるん…………
「えっと、布仏さん?私に何か用ですか?」
「いんや?見かけたから声かけただけだよ〜」
「…………」
あまり深く関わらない方が良さそうですね。
という私の思惑を台無しにするように布仏さんは私の隣にすとんと座る。手遅れでしたか。
「あの……何故、私の隣に?」
「え〜?なんとなくかな?迷惑?」
「いえ、そういう訳では」
「じゃあいいよね〜」
布仏さんは中々に強かな性格の方のようですね。今後はしっかり警戒しておきませんと。
それはともかく、このISという武装兵器、中々に面白い技術を秘めているようですね。前提として女性しか操縦できないという謎仕様なのも開発者の偏屈っぷりが伺えますね。そして人間を人智を超えた存在にまで押し上げるこの強化礼装の数々。察するに、女性の社会的地位を優位なものにしたかったか、はたまた男性に強い恨みを持っているのか……。
なんにせよ、これを使いこなせないとこの世界では自由に動けないでしょう。どの道専用機も持っていない私は今しばらく大人しくしておくしか……。
『何寝ボケてんだハザマちゃん?専用機ならちゃあんとここにいんだろうが』
チャリ
またしても聞き慣れたあの声。気が付くと、左手首に一本のシルバーチェーンが巻かれていました。先端は尾を喰らう蛇、ウロボロスをモチーフにした紋章が。
「それがゔぁるるんの専用機〜?なんかカッコいいね〜」
布仏さんが興味深そうに覗き込む。しかし、こんなもの巻いてましたっけ?まあこの世界の私が巻いていた可能性もありますが。
「ええ。これが私の専用機。名前は……」
『
「そうそう。牙蛇でしたっけね」
名前を呼ぶと、脳内に大量の情報が流れ込んでくる。機体性能、機体特性、武装、単一仕様…………。ほう、これは面白い。
「すぐにでも試さなくては」
そう呟き、立ち上がる。
「ゔぁるるん?」
「失礼。少し体を動かしたくなったので、私はこれで」
布仏さんに適当にあいさつを済ませ、観客席を後にする。
さあて、
「『楽しくなってきやがったぜ』」