“ジオ社社員N”さん
“oota”さん
“Dragoon”さん
“(´作`)(空牙刹那”さん に感謝の意を
活動報告の通り、
設定見直しに伴い、この回を多少構成し直しました。
一回出したのでどうかと思いましたが背に腹は代えられぬ、と言った具合です。
〚…………〛
「恩義は忘れん、と? お前らしい選択ではあるな」
日は暮れ時を示していた。
――すまん
「
武道場の壁面、陽に当たるが人目につかぬそこで、ヴィクトルは煙をくゆらす。
〚ここにいたのか……む〛
真改を捜しに来ていたのだろう、ペットボトル入りの水を持った箒はもう一人の方を見て半目を向けた。
「今日は休みだ。――それともワイン瓶だったら許してくれるか?」
「どちらも駄目だ馬鹿者」
言って、真改に手の物を渡す。
〚有り難い〛
〚気にするな。いつも世話になっているのだからこの程度はさせてくれ〛
真改の恩義、その向かい先がこの少女であり篠ノ之道場である。
生き倒れの彼を救い、何も言わずに住み込みで働かせてくれた彼女の家族には頭の上がらぬ心持ちであろう。
それで彼が己に課したのは、やはりと言うべきか“剣”であった。
己に教えを請いた箒を一人前の剣術家に、あわよくば篠ノ之道場を剣術の大家にしよう。
真改の意思は固かった、少なくとも
〚しかし、何で真改が賓客顧問なんかに……?〛
真改ならば、肩書きなど無くとも来そうなものだが。
〚それは、私が任命したからさ〛
……わざわざそうしなくても此処に来たんだろうけど
さらしき たてなし が あらわれた !
――逃げよう
秒を数える前に行動に移すが、
〈おっやぁ~? どうしたのかなグーちゃん〉
〈……私は玩具じゃない〉
振り向くと楯無は“行っちゃダメ”のポーズを取っている。
ヴィクトルとしては一刻も早く立ち去りたいが“契約”の拘束がある。
〈そう、良い子ね〉〚まぁ、真改君を見た時にビビッと来て。それにしても彼、強いわ〛
〚えぇ、でしょうね……〛
〚でさ、
彼女の目的はこちらだ、手早く本題に入る。
〚私は特に、ですが彼は嫌がっている様な気が――〛
〚あぁいいのいいの、私の
〚はぁ……?〛
いまいち理解出来ない二人を置いて、楯無は行ってしまった。
●
更に一人、セシリアには更に一人の心当たりが有った。
……確かこちらに
いた。
目当ての人物は箒と共していた、丁度一息つく所らしい。
〚あの、箒さん〛
〚? セシリアか、何か――〛
〚――!〛
声にならぬ声を発したのは意外にも真改だった。
〚な、なんですの?〛
そして更に言が放たれる。
〚メアリー・シェリー……?〛
[貴方っ、何故その名を!?]
今度はセシリアが驚く番だ。
[何処でメアリ様の御名を!?]
その名は、彼女の信仰にも近い名だ。
●
〈貴方、一体どんなコネが有るのかしら?〉
〈どう言う事だ〉
明かりの灯った学園寮ロビー。
人に会うならば部屋に行けば良い事情から、閑散とした印象のする空間に二人は腰掛ける。
〈こちらでちょうど正午頃かしら、“あっち”の人も働き者ね〉
〈イギリスか?〉
〈おしい、経度は合ってるかな。アフリカからの一報よ〉
電話の相手は環太平洋経済圏の重鎮“有澤重工”、彼らはヴィクトルを名指しで呼びたてた。
〈急に来られても困るから一旦退いて貰ったわ、今度は
で、
〈そんな遠くから何の様なのかしら?〉
質問、言い換えれば尋問だ。
〈分からん、有澤の名は知っていても顔馴染みは居ないし
〈そう〉
……じゃあ一体?
〚ヴィクトル……?〛
出掛けから帰ったらしい鈴がこちらに気付いた。
〚貴方は……二組の鈴音ちゃんね、“これ”に御用?〛
〚え? まぁ、はい〛
〚へぇ……〛
〚あの、何か?〛
〚毎日、部屋ではどうやって話してるのかなぁ、ってね〛
〚っ!?〛
〚フフン、お姉さんにはお見通しなのだよ?〛
『ほほぅ、ではあのキスも筒抜けか』
〚ぇっ!?〛〚えっ!?〛
……何故鈴が驚くんだ……
『安心しろ、室内にカメラは無い様だ』
何とも簡単な鎌掛けに引っかかった楯無である。
〚これは一本取られたかな……〛
『ちなみにISの展開は問題にならないぞ、自分で私をコンサルタントに任命したのだからな』
〚むー、可愛くないなー〛
〈色仕掛けも効かんぞ〉
楯無は襟に掛けた手を引っ込める、動揺した状態だったからこそ“例の手”は通じたのだ。
裏の見え透いた物に彼が動ずる事は無かった。
●
「お引っ越しです」
音符の付きそうな語調で真耶が言う。
「はぁ」
……あれ? あまり嬉しそうじゃないのは何故?
「ふ、二人とも大変だったでしょう? やっと部屋の調整がついたんです。
部屋は……」
見まわすと、壁に銃器が並べられている。
その量は銃器店の裏と言われても
「私が移動します」
「済まないな」
「気にするな、このままだとお前に依存しかねない。
むしろ少し待っていて欲しい位だし――」
「い、いけませんよ、いつまでも年頃の男女が同室で生活するなんて。
篠ノ之さんもくつろげなかったでしょう……?」
「あ、えっとぉ……」
……女子と居る時よかくつろげたとは言えないっ!
荷物の管理は完璧。生活習慣も理想的、合わせる形で
「まぁ、面倒な誤解は避けるに越した事は無い。
荷作りを手伝おうか?」
「いや、もう――済んだ」
言う間に済むのも日ごろから整理整頓が
「では、お部屋の方に行きましょう」
「はい。また明日な」
「あぁ」
……?
廊下で見送る数秒で彼は
「簪か?」
数秒して、角から簪が姿を現す。
「あ、の、ヴィクトル君」
「…………」
ヴィクトルは何も言わずに待つ。
何度か経験しているが、彼女は口に出す前に少し思案する事が多い。
……今日は長いな
彼女からは、苦痛にも似た表情を見て取れる。
「学年別トーナメントで、良い結果が出たらその、
手伝って欲しい事が――」
「断る」
簪が絞り出した声を彼は正面から否定した。
〚――ぇ〛
「私は契約に
つまり、
「そうだな、上物のウォッカ一本で手を打とうか」
その言葉に、固まっていた簪が動き出す。じわりとした雫を共にして、だったが。
〚ぅ、うわぁぁん!〛
「お、ちょ――」
……な、なんだ!?
同時刻、一夏の部屋の前で起きた騒動は、また別の話。
●
〚ねぇ、あの“噂”聞いた?〛
〚聞いた聞いた〛
〚この間のIS?〛
〚あれは実験中だった機体の暴走だって話でしょ〛
〚じゃなくて、今月のトーナメントで勝つと……〛
〚そっち? 私はヴィクトル君が……〛
双方とも大事であるらしく各所で声が上がる。纏めると、
・学年別トーナメントの優勝者は好みの男子と付き合える
・昨夜、ヴィクトルが女子を連れ込んだらしい
の二点。
〚……なんか話が歪んでる〛
〚アンタまた適当な事言ったんじゃないの?〛
〚あれ? そんな事無いと思うけどなぁ〛
噂の発信元である三人組は困惑顔だ。
と、
〚おはよう〛
〚随分盛り上がってるなぁオイ〛
男三人がやって来た。
〚な、何でも無いよ!〛
女衆は皆口を揃えて言い放つが、
[――アーロンさん!!]
リリウムは違った。
[つつつつかぬ事を伺いますが、昨夜はそのぅ、どなたかと共していたとか……]
「……ハァ?」
全くもって、彼には身に覚えがない。
「簪が急に泣き出すから
[あっ、そ、そうでしたか。あはははは……はぁ]
彼が聞き返そうとしたが、
〚席に着け、HRを始める〛
千冬の声と共に静まった。
〚今日は何と、転校生を紹介します!〛
既に慣れた流れだ。
[何処からでしょうか?]
[今にねじ込むのはかなり切迫した状況ですわね]
「とすると……
……予想どおr、ん!?
教室に驚きが広がる要因は二つ、先ず一つ目は、
「シャルル・デュノアです、フランスから来ました。
皆さん、よろしくお願いします」
「……男?」
「はい、こちらに同じく男性の適合者がいると聞き、本国より転入を――」
言い切る前に黄色い声が飛び交う。
〚男子、まさかの四人目!?〛
〚その上ウチのクラス!〛
〚美形! 守ってあげたくなるタイプ!〛
……いや、そこじゃない!
もう一方、元リンクスと一夏の目を奪ったのは二つ目。
〚デュノアは日本語を扱えない、誰かと違って習得の努力を積み重ねているがな?〛
千冬は
〚それに
スタイルの良い、スーツ姿の女性が一礼した。
〚霞 スミカだ。よろしくお願いする〛
……千冬姉ぇ!?
……セレン・ヘイズ!?
そして黒を桜色が混じった、異質ながらも美しい印象を与える髪、ヴィクトルが忘れる筈も無い、セレン・ヘイズその人だ。
〚霞先生はインテリオルユニオンの職員で最新技術に
その関連については霞先生に聞くと良い。
今日は二組と合同でIS実習を行う。各人は直ぐに着替えて、第二グラウンドに集合。
それからストレイド……はだめだな〛「グラズノフ」
不満顔のアレックスを横目に、彼は無言を回答とした。
「デュノアの世話役を頼む」
「解りました」
〚では解散!〛
「初めまして、ヴィクトル君だね。ニュースで見てい――」
「あぁ、だが時間が無い。更衣室には……」
彼はセレンをちらりと見る。
「え? あ、いや流石に一緒では無いかな。男子更衣室なんだし」
「……まぁ、そうか」
……それにしても、デュノアとセレンに何の
確かにセレン・ヘイズの所属、インテリオルの合併元であるメリエスはフランスに籍を置く企業なのは確かだが、その向こうは解らない。
インテリオルグループに加担した事が一切ないために、内情を知る事も無かったのだ。
「問題が有るなら答えなくても構わない。
――デュノアとインテリオル、何処で繋がっている」
瞬間、彼の纏う空気が変わった。
「随分無粋な質問を投げ込むものだ。傭兵は、無礼なのが売りなのか?」
一気に空間が冷たくなった、見えるのは暗い
元より今のヴィクトルは商人でも交渉人でも無い。
従って一々裏の読み合いなどしなかった。
……何にせよ根は深い、か
「フン、聞けるとも思っていない、こっちだ」
ヴィクトルはセレンに気を取られるあまりに気付いていない、問題は
●
その後は事も無く、状況は進行した。
ただ一つ、ロシア人とフランス人の間に交わされる視線が探り合いから差し合いに変わった以外は何も問題はない。
この状況、ヴィクトルは十分に予想出来ていた。シャルル・デュノアはやはり産業スパイの予備軍に近い。
……少年? 待て、何かおかしい
要は目立ち過ぎるのだ。もし情報の奪取を目的とするならばユリアのように完全な“一般”を求める筈、ヴィクトルはようやく気付いた。
だが、それだけでは問題がすり替わるだけで解決にはならない。
……デュノアにメリエス、なぜ今更になって男性適合者を表に出してきた……?
〚一夏、早くしないと置いていくぞ〛
〚だぁっ! 元はと言えばお前が俺をスケープゴートにしたのが問題だろ!〛
その際に、一夏が有らぬ所に触れたりなんだりした事に関して責任を負う気は勿論無い。
〚ま、今はそれよりだ〛
〚ん、そうだな〛
……一体
少なくとも
とすると彼は所謂オリジナルと呼ばれる
●
シャルル・デュノアの“任務”は開始早々から重要な局面に立たされる。
例の“No.3”は予想した通り厄介な相手だった。
……
“敵かも知れない”なんて物ではない“例え味方でも”疑って掛かるつもりだ。
下手なかわしは確実に逆効果になりかねない。
と、
「ハイ、到着だ」
数秒してアレックスらが姿を現した。
「オ、もういたのかって早! 転校生はもう着替えてたか」
「俺のと同じタイプか。っと俺は織斑一夏、一夏って呼んでくれ」
「うん。よろしく一夏。僕の事もシャルルでいいよ」
「じゃ、俺も便乗で、アレックス・ストレイドだ、よろしく」
「アレックスもよろしくね」
「さって早速だが質問行こうか」
既に着ていたパイロットスーツになったアレックスが言を飛ばす。
「何かな?」
「お前”ナンバー”は何だった?」
……チッ
「それともテスターで止まってたとか、か?」
……面倒なのは、存外こちらか
シャルルは押し
「ストレイド、これは違う。何故隠す必要がある?」
「ア? まーあそうだが……」
……フン、相変わらず手緩い追及だ
ヴィクトルはいつもこれだから、
「だからいつも私に……」
――負けたんだ。
「ア? 何か言ったかお前」
……おっと
つい漏らしてしまった。
「おい三人とも時間だぞ、急がないと」
一夏が知らずに助け舟を出してくれた、これからは十分に気を付ける必要があるだろう。
●
〚本日から実習を開始する〛
グラウンドで、千冬が指示を出す。
〚先ずは戦闘を実演して貰おう、そうだな……凰、オルコット〛
〚はい?〛
〚ハイ〛
〚専用機持ちなら直ぐ始められるだろう。前に〛
〚はぁい……面倒だなぁ〛
〚はぁ、了解しましたわ〛
〚もう少しはやる気を出せ、相手は――グラズノフ〛
瞬間、二人の表情が変化する。
〚不満か?〛
千冬言うが、相手は不満の顔ではない。
〚むしろ願ったり、ねぇ?〛
〚えぇ、不足無し、
二対一の構図となるが、慢心も油断も、遠慮さえ無い。
〚それなら良い、そしてもう一人――〛
それの登場は千冬が言い終える前に来た。
『――ぁわあぁぁ! どいて下さぁぁい!』
制御を失った軌道で飛ぶ影が一つ、ISだ。
……
何処に落下するか解らない物に対し、一体どこに
「ええい、面倒な……!」
ヴィクトルは即座に一夏の肩を掴む。
「一夏、展開だ」
言って盾として押し出す。
〚え、ちょっ、おま――〛
「クリティカルヒットォ!」
アレックスが声を上げる。
「さて、
〚っぶねぇ! 死ぬかと――〛
〚ひぁっ!?〛
土煙の向こうから二人の声がする。
一人は一夏、もう一人は察するに、
「山田教諭か?」
〚い、一夏君……動けますか?〛
〚え? まぁはい……!?〛
煙が晴れた、もつれ合うように倒れた二人の顔は近い。
「なんとか展開出来た様だな」
〚一夏ァ! また
〚ま、待て箒! これは不可抗力――〛
ヴィクトルの姿が量子変換の光に包まれる。
〚いつも思うんだけどさ、ヴィクトルの展開は俺より遅くないか?〛
一夏が言う事は頷ける。
掛かる時間はおおよそ十秒。プロとは思えない、初心者並みの速度だ。
〚それは〛
答える声が一つ。一夏が振り向いた先には、
〚霞先生……?〛
〚それは彼の機体には“コア理論”が試験実装されているからだな〛
その間に、光が収まる。
〚おぉ……〛
現れるのはこれまでとはまったく異なる物だ。
――HEAD,CORE,ARMS,LEGS、四つの基礎フレームがそれぞれ同規格の連結をする故に、大量のアセンブリパターンを作り出す。
ヴィクトルのISは毎回構成し直す必要があり、展開に時間が掛かる半面、状況に完全合致する機体、すなわち“特化機”をその場で用意できる。
〚これまでのIS設計思想であるマルチロール思想とは大きく異なる点だ〛
〚霞先生のいう通り、見ただけでも違いは解るな。
更に言えば特化機を作る傾向は第三世代機に強い、
これはIS競技が複雑化している事を表している〛
『――そしてISがより実戦じみた産物になっている点を示している』
姿を現したヴィクトルのISには脚が無い。
〚タンクタイプの重量機ですわね〛
片腕に多連装砲、片腕に大口径の砲を備えている。
〚見るっからに火力過多じゃないのあれ?〛
〚組み合わせは凰・オルコット対山田・グラズノフだ、では始め!〛
言葉と同時に他の生徒は退避、タンクを残して三機は上空へ飛ぶ。
〚多人数戦においては連携が命だ。それを今から実践して貰う〛
地上から千冬が言ったのを余所に、
「い、行きます!」
真耶の言を合図に四人が動く。
先手はセシリア、素早く構えた銃口は地上のタンクに向く、ショット。
〚先ずは一発……!〛
……何処まで削れますの!?
土煙の中からの反応は、大量の弾丸として帰って来た。
〚っ!?〛
〚
発射の風で晴れた煙から姿を現すは
「削り切れるか? これを」
弾幕が二機に迫る。
〚セシリア、先に
〚了解!〛
……でもどうすれば?
セシリアのENライフルが効かない、となると自分の龍砲でもダメージが期待出来ない。
残るは、
〚斬るだけって事ね!〛
鈴は虚空から
〚させません!〛
ヴィクトルの横に回る鈴に対し真耶が攻撃を加える。
〚っ、そう簡単でも無いわね!〛
タンクの周囲を真耶がカバーする陣形だ。
〚これでは展開できませんわ! 鈴さん!〛
なおも続く弾幕に対しセシリアは回避機動を取らざるを得ず、ビットの展開に至れない。
〚タッグマッチで第一に必要とされるのは味方の特性を理解し弱点を補い合う事だ〛
〚この状態では、タンクの機動力の無さをラファールが補っている、て事か?〛
〚それもあるが、こいつぁ逆だな〛
〚? どう言う事だ?〛
〚逆なんだよ〛
ヴィクトルらの戦術は一見
セシリアの戦闘特性は待ち、“相手が”何処に居ても戦闘可能な所が強みだ。
前提はスターライトの突破力、回避を優先させて攻撃の隙を作らせない。その理由は?
結果としてゲームの主導権を握る事だ。そこに介在する問題をヴィクトルが見落とす筈が無い。
〚
〚ゑ?〛
あの戦術に必要な条件のもう一つがそれだ。彼女の機体、“喰らい合い”では脆過ぎるのだ。
彼女の弾幕を回避し、その上で近接攻撃に入る技量が一夏には無かった。では有る相手には?
射撃手の中には回避と射撃を一緒くたに行う者も少なくない。敵が回避しかできない程の苛烈な攻撃をセシリアは展開出来るのか?
〚そんで、
一機を封殺した後は、新型を使い切れない
「はぁ、あれでは手本にならんだろうが……デュノア、山田先生が搭乗する機体の説明は出来るか?」
「はい。山田先生のISはデュノア社製“ラファールリヴァイブ”です。
第二世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期第三世代にも劣らない物でしょう。
現在配備されている量産型の中では世界第三位のシェアを持ち、装備によって格闘・射撃・防御と言った全タイプに切り換え可能です」
と、
[クッ……!]
セシリアが捕まった。
遮蔽物の無いアリーナでの弾幕兵器、その上相手に一切の攻撃が入らない。
そもそも相手が何であれ、場所の相性が悪いと言う他無い。
オートキャノンの嵐の中にヒートキャノンも受けたティアーズは瞬く間にシールドエネルギーを喪失、戦闘不能に陥った。
〘セシリア!〙
……てか、このラファール強い!
先程から、近いものの鈴はタンクとの距離を間合いまで詰められない。
真耶の精確な射撃牽制を前に攻め時を失っているのだ。
「仕上げだ」
圧倒的な弾幕が甲龍に向く。
その後は言うまでも無い。
●
〚まさか、こうも簡単にやられてしまうなんて〛
〚うーん……〛
〚山田先生は元代表候補、経験値は十二分に勝る。
以後は敬意をもって接する様に〛
千冬が更に続ける。
〚次に、グループになって実習を行う。
リーダーは専用機持ちが担当しろ。デュノアは良いが、グラズノフの所に行きたい奴は注意する様に〛
言語的な意味で。
〚では分れろ――〛
「で、お前だけか……」
[そのようですね]
ヴィクトルの元に分かれたのはおおよそ、一人。
誰かは言わずもがなである。
事“教わる”点に関し、ヴィクトルは癖が強過ぎるのだ。
高校一年生に技術者並みの予備知識で話されて、着いて来られるのはリリウムだけなのにも頷ける。
「そうだ、脚部の運動に関して――」
[ではこの接合部の駆動限界値は――]
「待て、そこに関しては積載量によって――」
〚あそこは、何かもうプロだな……〛
一夏が横目に二人を見る。
〚あ、そうそうその調子……じゃあ止まってみて〛
〚っとと〛
〚オーケェ、次の人に交代だ〛
〚ふぅー緊張したぁ〛
〚ハッハァーそのまま飛べんじゃないか?〛
〚ストレイド君危険だから!〛
〚オイオイ山田センセ、いつまでも慎重過ぎちゃ伸びる物も伸びねぇぜ?〛
〚それはそうですけど……〛
〚霞せんせー、デュノア君とはいつからの付き合い何ですか?〛
〚集中しないと、足元をすくわれるぞ? 特に初心者は――あぁ遅かったか〛
ISだって転ぶ時は転ぶ物だ。
〚一夏〛
歩行訓練中の箒が口を開く
〚その、だな……今日の昼は予定が有ったりするのか?〛
〚いや、特には無いな〛
〚そうか。たまには一緒に食事でも……?〛
〚おう、いいぜ〛
レスポンス良く返った答えに箒の表情が
●
1125号室。改造の果てに武器庫となった部屋に二人が扉を開けて入る。
「……まぁ、基本形とは大きく異なるが此処が我々の部屋だ」
扉が閉まる中、ヴィクトルが続ける。
「そして、これからもそうなるかは――」
「僕の回答次第、そう言う事だね?」
閉じる寸前、二人は同時に動く。一人は壁に、一人は腰元に。
閉じた瞬間、互いに向くのは目線では無く銃口に変わった。
「その動き、堅気の人間では無いな」
左手に隠し刃を、右手に
「ハッ、証拠は何処に在るのかな?」
壁の
「お前は
「それは君も同じだろう、ファーロング?」
……だが、この娘は違う
「スミカから聞いたか、あいにくその程度で警戒を解く訳が――」
突然、背後の扉が鳴った。
「おい、私だ。居るんだろう?」
噂をすれば何とやら。扉の向こうからスミカの声がする。
「スミカ、仲裁にでも来たつもりか?」
「なっ、やはり遅かったか! 落ち着けヴィクトル、デュノアもやり過ぎだ」
「安心してスミカ。――僕にも得物はあるよ」
「あぁクソッ! これだから!」
サプレッションショットが三発、扉を文字通り破壊してスミカが部屋に飛び込む。
勢いそのままに彼女が
「過ぎるぞ“アンジェ”!
「……あ」
はい、変更点はアンジェとシャルです。
何故にこうなっているかは次回のお楽しみ、と言うことで一つ。
……まぁ流石にアンジェさんとセシリア嬢を比べるとアンジェさんにしつr、おや? 背後にビットが(ry
別にセシリアアンチでは無く、むしろ好きな方なんで、そこんとこヨロシクッ!