IS―地這い鴉の答え   作:ゲバラ

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 先ずは感想をいただいた方に感謝の意を


Mission18

 

 

 〚――アンタはお姉さま(セシリア)と組めばいいじゃない〛

〚鈴さんこそ、前回の雪辱を晴らす好機だと思いますけど?〛

 鈴は人を待っていた。自身が所属するラクロス部の活動を終え、割とよく来るこの部屋(1125室)に来たのは良いが、この現象には――一人を除いてではあるが――少々予想外だった。

〚えぇ? まだ誰も返って来てないの?〛

〚一夏君は一回来たんだけど……〛

〚追えー! アリーナの方に行ったぞー!〛

〚あぁ、そういう事……〛

 皆、手に手に紙を持っている。その内容はこの月に行われる学年別IS競技トーナメントに関するもので“より戦術的な模擬戦とするため、二人組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする”とのこと。登録用紙片手に何をしているかと言えば1125室と1126室に帰って来るであろう人間にパートナーとして登録して欲しいと言う事である。

〚ム、来たわね〛

 渦中の一人、スーツ姿のセキュリティコンサルタントがやって来た。

「なんだ、これは」

「ねえヴィクトル君、デュノア君どこか知ってる?」

「いや、知らないな。まだ帰ってないのか」

 こうして、またわらわらと移動していく。彼の元に残ったのは鈴とリリウムの二人だ。

〚みんな“これ”で来てるの〛

 彼は鈴に紙を受け取る。残念ながら文字の意味は解らないのだが、大体の状況は把握した。

『では、競技会の話か』

〚はい、これは警備上の観点からでしょうか〛

『確かに、同時に出場するISの数が増えれば前のようなことになってもある程度対処可能になるな。まぁ私の提案ではないが』

〚で、本題がここよ〛

 鈴が二人分の空白を示す。

〚アタシと組まない? セシリアとのタッグではヘマしちゃったし、どうしても勝ちたい奴がいるの〛

『ラウラ・ボーデヴィッヒか?』

〚そ、正直言ってアタシ一人ではキツイ、認めるわ。アンタがあの要塞みたいなので出て、近づいてきた所をアタシがカウンターでドカン、てのがベストじゃない?〛

〚相手が遠距離攻撃を維持したらどうなるんです?〛

〚それはっ〛

〚加えて、相手が最初から鈴さんを狙ったり、それぞれで一対一をする戦術を取られた場合、誰がヴィクトルさんを護衛するんですか? たとえタンクでも後ろを取られたらどうしようもないですし〛

〚うぐっ〛

〚ここは、やはりリリウムがパートナーを務めるのが得策のようですね〛

 ヴィクトルが渋面と得意顔をした二人を一瞥して口を開く。

『済まないが、組む相手はもう決まっている』

[……はい?]

『先程オリムラ教諭に言われてな、私はラウラ・ボーデヴィッヒと組むことになっている』

〘ちょっ、どう言うことよ!〙

『先日の好戦的気質を案じてだろうな。何かあった時はお前が止めろ、と言う事だ』

〚むぅ、上の取り決めでは仕方ありませんね……〛

〚なーんか気にいらないわ〛

『私にはどうにも出来ん、あきらめてくれ』

 彼には、そのように言う事しか出来ない。

 

      ●

 

 時折海から吹く涼しげな風は“イムバット(imbat)”と呼ばれ、北アフリカ沿海地域に見られる季節性の海風、らしい。

「故郷に比べると、相当暑いんじゃないか?」

 こちらによくある、少し粗末な白壁のガレージの影で休んでいた男の元に、ビールだろうか、水滴の付いた瓶を片手に持ったもう一人、先程の男と同じような作業服をした男がやってきた。

「暑いのは誰でも一緒だろう? それに前にも言ったけど、俺の生まれはブルックリンだ」

 と、まだ遠いが低いプロペラの音が聞こえる。これを聞きつけてガレージの奥から更に二人がやってくる

「来たか。サーティ、荷台の準備だ――」

 

 かつては高名な教父が説教を行っていたと言う港街、今に残る面影は教会くらいだろうか。街の郊外にある雑多なガレージの一つに、軽量二脚タイプのVAC“アンサング”が収まっている。

 先程の内の三人にファットマンを加えた四人がぎゃあぎゃあしながらアンサングの整備を進める。

「こんなもの、どこから?」

「まぁ、職業柄こういった取引相手には(こと)()かないからな」

 整備士のリーダー、セドリックの前に並んだ最新式の装備を見ながら。テルミドールが言う。

「迷彩装備はオーメル製だが、こちらの方がスペックの上では優秀だ」

 セドリックが受け取った受領表には一分隊分の装備が並んでいる。地上装備に限って言えば本国(米国)と同等、最新装備の導入率に関してはそれ以上の身軽さを示している。

「GA・オーメルにBFF、正規品ではないがどれも注文以上の内容だ。正直に言うとここまで揃えられるとは思っていなかった」

「一流の人間も、それに見合った道具が無ければ十分な能力を発揮できない」

「ただ完璧主義なだけでしょう、貴方は」

 テルミドールの隣、両手で扱う程度の大きさをした情報端末を持つマグノリアが横槍を入れる。彼の完璧主義に振り回されてきたクチなのだろう。

「はい、ちゃんと持ってきてあげたからね」

 セドリックが実物の精査に当たる中、マグノリアが端末をテルミドールに寄越(よこ)し、内容を確認させる。

「――しかし、本国に捨てられちまった俺らを匿ってくれるのは嬉しいが、あんたらは一体何者(なにもん)なんだ?」

 整備が一段落着いたのか、それとも抜け出してきたのか、サーティが最新装備達を眺めつつ――また“こいつはスゲェ”などと呟きつつ――テルミドールの元に来た。

縦深(じゅうしん)攻撃タイプの16フィート級ACだったら普通、打撃を担当する機動部隊に相当する機甲一個連隊に四機の部隊が一個あるか無いかって位のニッチ戦力だろ? これを一機のみ、かつ主力として運用するなんて考えらんねぇ」

「なんにせよ、こちらの身の上に関しては触れない取決めなんだが?」

 テルミドールは小事(しょうじ)の如く流し、端末をサーティに手渡す。

「聞いてみただけだよ。これは?」

「この装備の使い道だ」

 依頼のデータである。

該当(がいとう)地域に存在する基地……と言うよりはアジトか、でそれに対する火力打撃か。ACにはおあつらえ向きだな。――?」

 しかし、指でスクロールすると依頼に続きがある。

「重要人物の確保があるな。それで俺らの出番って訳だ」

「そう言うことだ。ハンターチームの諸君、聞いてくれ」

 整備に回っていた二人も手を止める。

「今度の任務には諸君にも参加して貰う」

「久しぶりの仕事だな、内容は?」

 端末が返ってきたマグノリアが答える

「ステイシスが敵のアジトに攻撃を行う。貴方達には前衛機動部隊として敵勢力の発見と捕捉、必要なら攻撃と制圧を担当して貰うわ」

「我々とACの連携はどうする?」

「貴方達が使っているAR(拡張現実)とステイシスを接続するわ。これで敵をマークするとステイシスが対象を捕捉できる」

 これを聞いて四人の隊員が集まる。作戦の主敵に対する部隊に必要な装備、各々(おのおの)が持つ銃のアタッチメントから、四人それぞれの役割を想定した武器を振り分けなどの会議が始まるのだ。

「ここまでだったならばステイシス一機で事足りたのだが、この依頼には要件がもう一つある」

 続きはマグノリアが引き継いだ。彼女は端末を全員に見せる。

「近いうち、この地域に重要人物が移送される。私達は彼を確保しないといけないの」

 彼女が見せた画像には男が一人映っている。画像の背景、男の服装は南米のそれだが、男は東欧系の顔立ちをしている。

「熊でも殺せそうな顔だな。名前は?」

「“セサル・ヴェニデ”。南米を中心に活動している武力組織ヴェニデのリーダーよ」

 

 




 ヴェニデの初代リーダー“セサル”、彼は敵なのか味方なのか……(決めてない

 昔に“端折りすぎ”との意見をいただいて、没入感<話の説明て感じでやるようにしているのですが、なかなかどうして、今度は説明だらけになっているような。もっとザクザクやっちゃっていいんだろうか。

 っと、下らない事を。感想やら何やらは、これから書くことの参考とさせていただいておりますので、“あれどーなったん?”とか気になること書いて貰えると嬉しいです。

 活動報告欄も更新しているので良ければそちらもドウゾ。回答が欲しい質問、本編の誤字とか設定の矛盾とかはそちらにお願いします。ではまた次回に。
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