「で、どういう事なんだ。私の目を見て説明しろ、ローディー」
そう言った女の目は異様に鋭く、口答えを許す気が無い事が見て取れる。対するローディーについても無言の圧力を返すのみで、企業人同士の会合よりかは敵対するマフィア幹部らの会合に見える。
[お前があれに我慢ならんのは分かった。他の者が来るまで待て]
割って制した小龍が続ける。
[インテリオルと、あとイクバール・アルゼブラは良いとして、まだ来ていないのは……レオハルトか?]
「――悪い、遅くなった」
部屋に抑揚の無い声が通り、レオハルトが少し疲労の色が見える面持ちで席に着いた。
「レオハルト、貴方が遅刻とは珍しい」
「
テーブルにつくのは企業連の代表達だ。所謂“三強”と称されるBFF・GA・有澤の三社と政治的な力を合わせ持つテクノクラート、加えて彼らに同調を示すオーメル・ローゼンタールの六者になる。
「先日の武器流入に関してだが、結果から言えば成功した。敵勢力を排除し、納品情報も手に入った」
有澤重工の代表、有澤隆文の報告だ。彼は自らの持つ書類を示す。
「途中でISと見られる戦力の介入を受けたがこれも破壊。現在解析中だが何かが出るとは考え難い。さて、本題であるこの紙の内容に移りたいんだが……その前に必要なことがあるか?」
五人の意識がローディーの元へと向かった。
「米国の発表についてだが、あれは必ずしもこちらに向いている訳では無い」
「根拠は?」
「防衛部門はかねてからISの軍事利用を考えていた。
テクノクラートのナジェージダ・ドロワを横目にローディーが自らの見解を示す。
[敵の物とはいえ、ISを見られたのが痛いな。発表の後英国でもIS開発企業を優遇する動きが強くなっている。これは他の諸君も同じか?]
有澤隆文、ローゼンタールのレオハルト、オーメルのリザイアが同意を表す。
「我々ロシアは発表の通りだ。この動きは核抑止論に近い性質を持ち、国民に不安と経済的な負担を
「なんにせよ、私たちはISの軍事利用を望んでいない。これ以上の工作を避けるためにも、迅速に行動しなければ」
「それで、武器の出元は?」
「複数の売り手が関わっているが、事前にBFFに身元の照会を掛けたら大半が既に
[蜥蜴の尻尾切りと言ったところだ]
小龍が出した資料、
「残りが消されるのも時間の問題か」
[幸いな事に大物が一人残っていた、先ずはそれを確保する。名は――]
「――セサル・ヴェニデだな?」
「ナジェージダ、何か覚えでも?」
「テクノクラートが一度排除した組織だ」
彼女はうんざりした顔で答えた。丁度、オッツダルヴァの元に依頼が通達された頃の事である。
●
ここ最近の一夏は逃げている。周囲から比較するとマイナスからのスタートとも言えるISの座学については今に始まったことではないが、それに加えて真近に迫る競技大会に関する判断から逃げていた。良くも悪くも積極的なクラスメート達の誘いを回避し、彼は今、操縦訓練に打ち込んでいる。
〚一夏ァ、組む相手は決まったか?〛
〚そういうアレクはどうなんだよ〛
〚俺は天に任せる事にしたぜ。お前の白式はそうもいかないだろ〛
純近接機体である白式がタッグマッチに出るとなると相応の作戦や連携が必要不可欠で、ホワイトグリントのようなアドリブプレーをするには性能と経験が足りていない。
〚分かってはいるんだけど、どんな機体と相性がいいのかさっぱりでさ……やっぱ
〚そいつぁお前次第だな。ま、メニューも終わった事だし、飯行こうぜ、飯〛
ともあれ、そんな故あって一夏は一刻も早くパートナーを見つけなければならない訳だが、本人は未だに悩んでいる様子だ。
「? シャルル、どうした?」
二人が歩く先でシャルルが木陰に隠れて辺りの様子を窺っていた。金色の尻尾がびくりと跳ねて彼が振り返る。
「なんだ、一夏にアレックスか」
「シャルルは凄い人気だったもんな」
「それは一夏も一緒でしょ。困ったなぁ」
彼も彼で訳ありだから、迂闊にパートナーを決められないのは同じだ。
「そうだ! シャルル、俺と組まないか? 男子同士なら文句言われないと思うぞ」
「男子……? あっ、うんそうだね、良いかもしれない」
「じゃあ決まりだな、よろしくな、シャルル」
……まぁ、何とかなるか
……まぁ、何とかなるよね
二人の思惑が、ある意味一致した結果であった。
あれですね、すきま時間で書こうとか思ってると大変なことになりますね。今回はそんな事を思いつつ投稿です。ディビジョンは楽しい(確信