IS―地這い鴉の答え   作:ゲバラ

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 IS編、アニメの一話CMまで、ですね。

 AC編とは違い、文体を多少ライトノベルの系統に近付けて書いていきます。


Mission03

〈ん?〉

「あ?」

IS学園、早朝。

学生の年齢だが、どこか場違いな二人がはち合わせる。

お前、何持ってるんだ?(お前、何持ってるんだ?)

両者はハードケースを、恐らくギターやベースを入れる用途の物を持っていた。

パクるんじゃねえよ(真似しないでくれないか)

あぁ?(おい)

ふざけるのも大概にしろよ(ふざけが過ぎるぞ)

「おいコラ、てめぇバカにしてんのか」

「そもそもなぜここにいるんだ、ストレイド」

「どっこいだろうが、グラズノフ」

「まぁ、そうだな。じゃ」

「あ、おい待てよ!」

 今年度のIS学園に波乱が訪れる事が確定した。

 

 「どう言う風の吹きまわしだ? お前は純企業主義だったと思うんだが」

「アナトリアも自由主義の元、国家を選ぶ大型兵器には反対だったと思うが?」

「フィオナが言うには“ここが一番安全に学校に通えます”だってよ」

 

アナトリアの傭兵(アレックス・ストレイド)の事情はこうだ。

“こちら”に来てから二年、本格的に傭兵、即ちAC乗りになる準備をする彼にフィオナは言った。

「そういえば、貴方高校は卒業したの?」

勿論アレックスは“あちら”の世界の住民でも無いため、中退した事にしてはぐらかそうとした。

「ぁー、っと。確かすぐ中退したっけかな、まぁ――」

「だめよ! 学校には通わなくちゃ。通いきる事が大事なのよ、いい? ――」

後は言うまでも無い。

 

 「はっ、最強リンクスもオペレータには勝てんか」

アレックスは“制服”と呼ばれる白い衣服を着ていた、似合っていない。

「そう言うお前は何なんだよ」

「これだ」

 

 ヴィクトルが取り出したのは二つの封筒、

一つは無地、もう一つは中国語で“特別錄取通知”と記させている。

王大人(ワンターレン)に渡された」

 

 順を追って説明すると、

こちらでもBFFの重鎮であった王小龍(ワン シャオロン)

彼の秘蔵(ひぞ)っ子が高校に通う年頃になったらしい。

王は考えた、彼女にとって、より有効で()つ、

充実した高校生活を送らせるのにはどうすれば良いのか、と。

そして、IS学園に送り込む事を思いついた。

世界を席巻しつつあるISについて、彼女が知る絶好の機会である上、

BFFの家族と言っても良い“オルコット財閥”の一人娘もこの年、IS学園に入るらしい。

日頃から仲の良い者が居れば心強い。

 だが、王は心配事がまだあった。

例の学園、身回りの安全が心配だ、彼は人材を送り込む事にした。

条件は先づ、AMSを持った者、つまりあちらから来たリンクスは神経強化を施されているため、

ISとのMMIが働く。例え男性でもあの学園には行けるだろう。

その中で見た目の年齢が若く、

更に素の人間としての白兵戦を経験したプロフェッショナルの軍人、

ヴィクトル・グラズノフはその三つをクリアしていたのである。

 

 「こちらの無地の方に任務が書かれている。

  こちらの文字入りの方を学園の適当な者に渡し、対応を受けた後、

  無地の方を開け、ここでの任務を確認するよう指示を受けている」

「随分用心深いな」

「普通の傭兵はこうするものだ。中が気になる所だが……先ずはこれ、なんて書いているんだ?」

彼は中国語も日本語も解さない。

「特別、録、取る、通知? 分かんねぇな」

「まぁ、渡せば解るさ」

「ならさっさと行こう。ニホンの学校は凄いらしいぜ、なんでも超能力者だらけらしい――」

 

 

 〚――――? ――――――――?〛

〚――――、――――〛

〚――――――――――――〛

来校者案内に従い、構内を進むと“職員室”と書かれた所に行き着いた。

こちらを視認した黒髪でスーツ姿の女性が、対応のためか、アレックスと話している。

「じゃあ、俺は先に行くわ、んじゃ」

アレックスは足早に去って行った

 

「あー、英語は通じますか?」

「はい、問題無いですよ。

 と言う事はさっきのは理解出来なかったでしょうね。どんなご用件ですか?」

「これを」

王大人に渡せれた封筒を渡す。

「これは? ……!? こちらによろしいですか?」

 

 別室、秘密会合でもするのか、と思う様な部屋に案内された。

「先ずは、座ってくれ。私はここの教員をしている織斑千冬(おりむら ちふゆ)と言う」

「カラード所属、ヴィクトル・グラズノフです」

彼女は動揺しているのか、出した手に握手は交わされなかった。

「何か問題がありましたか?」

気取られぬよう、例のハードケースに手を掛ける。中は銃器だ。

「あぁ、その、こちらが聞きたいのだが……」

「? 失礼」

手に取るのは無地の封筒、中を確認する。

 

   王小龍だ、依頼内容を説明をする

 

   君にはIS学園に入学し、我々企業連のVIPを秘密裏に警護して貰う

   対象は……まぁいずれ解る

   機密性を保持するために、対象は学園の生徒全員とする

 

   あぁ、あと、任務中、特例として他の依頼の受諾を許可する

   派手には動かないで欲しいがな

 

   以上だ。三年の休暇だとでも思ってくれ

   頼んだぞ、ラストレイヴン

 

 〈あんのジジィィィイ!! 聞いてないぞ、こんな事!〉

「お、おいどうした!?」

「ハァ、失礼、つい……では、私はここ(学園)に?」

「あぁ、そうだ、これは正式な特例入学届とIS適正診断用紙、B-はある様だ。

 来る事は聞いていたが、まさか男子だとはな……」

「えぇ、驚きです」

恐らくは秘蔵っ子の護衛がためだけに、男性IS操縦者の存在を明かした王小龍に、だが。

 

 

 無言、無言だった。

一年一組の教室に、男子生徒が二人いる。

IS学園は、ISの機体特性のひとつ、“女性しか扱えない”という点から、

男子がいる事はあり得ない。しかし、男性の適正者がいたのだ。

 

 だが、それはたった一人、織斑一夏(おりむら いちか)ただ一人の筈。

なぜもう一人いるのか、疑問がここに更なる静けさをもたらしているのだ。

 

 〚皆さん入学おめでとう!〛

〚アリガトー〛

〚私は、副担任の山田真耶(やまだ まや)です〛

〚ヨロシクネー〛

〚えっと、良い天気ですね?〛

〚ソーデスネ〛

 ……なんですか、これ?

先程から一人しか反応していない。その上、返しが適当だ。

声の主は、アレックスである。

〚これから皆さんはIS学園の生徒です。

 この学園は全寮制ですから、学校では勿論、放課後も一緒です。

 みんなで協力して、楽しい三年間にしましょうね〛

〚ハーイ〛

〚………………〛

真耶が気の毒である。

 

 

 「グラズノフ、制服は……その様子だと用意していないだろうな」

「えぇ、私は技師として派遣されたとばかり……」

「まぁ、しょうがない。制服の用意が出来るまでそのスーツで構わない」

「恐縮です」

「とにかくだ、君には私のクラスである一年一組に来て貰う、元は二組の予定だったがな」

「理由をお聞きしても?」

扉を開けながら織斑教諭は言った。

「男子はまとめていた方が楽なんでな――」

〚――――!〛

一人の男子生徒が話していたらしい。それを聞いた彼女は神速で生徒の元へ寄り、

〚グェッ!?〛

脳天に拳の一撃を見舞った。

 

 〚いてて……げっ、千冬ねぇ――〛

更に一撃くらわした。

〚学校では織斑先生だ〛

千冬は振り返り、

「そうだな……あそこに座ってくれ」

スーツ姿の若い男に言った。

〚……? 織斑先生、どう言う事ですの?〛

〚あー、生徒だ〛

〚えぇえっ!?〛

〚ウソでしょ!?〛

ヴィクトルが高校生に見えないから、

ではなく、男子生徒がこれ以上増えるとは、考えてもいなかったからだろう。

「諸君、私はヴィクトル・グラズノフと言う。

 聞いての通り、日本語を解さない。よろしく頼む」

極めて淡白(たんぱく)に言い放ち、指示を受けた席へ進む。

 

 ヴィクトルが座った席、その隣に座る少女はじっと彼の事を見ていた。

確証が無かったが、妙な親近感の感じたまま、好奇心の(おもむ)くまま、彼に話しかける。

[あ、あの……]

「何かな? お嬢さん」

彼は感じたデジャビュに、呆れた様な微笑をして言った。

 ……やっぱり

[アーロンさん、ですよね?]

「流石に解るか、リリウム」

[最後のORCA、その片割れなんですよ? 忘れるわけがありません]

「ひどい言われ様だな……俺を怨んでいるか?」

[……分かりません。

 あの事件で多くの人が亡くなり、大規模な戦争が群発的に起きました。

 でも、それでも人民は活力に満ち、何より、王大人は否定していますが、

 リリウム達、企業の罪が清算されました。しかし……]

 

〚静かに!〛

千冬の言に従い、教室が静かになる。

〚諸君らには、ISの基礎知識を半年で覚えて貰う。

 更に実習だが、基本動作を半月で習得する。〛

良いか、

〚良いなら返事をしろ。良くなくても返事をする様に〛

[――例えどちらでも返答する様に、と、(おっしゃ)られています]

リリウムは通訳をしている。

「理解した」

〚では、一時限目の授業を始める〛

 

 〚皆さんも知っている通り、ISの正式名称は“Infinite Stratos(インフィニット・ストラトス)”、

  日本に於いて開発された、マルチフォームスーツです。

  十年前の開発当初は宇宙空間での活動を行うための装置として開発が進みましたが、

  現在は停滞中です。

  更に、“アラスカ条約”によって、軍事利用も禁止されているので――〛

「“競技種目”、ねぇ……」

 ……体の良い情報だ

事実、公然と軍事的研究を進める国家もある。

ISと軍部が近しいドイツ(しか)り、

競技用のワンオフとしては汎用性(はんようせい)を意識し過ぎた設計をするフランス然り。

純粋な競技用の開発は日本しか行っていないかもしれない。

アレックスはそう思った。

〚そしてこのIS学園は、唯一のIS操縦者育成を目的とした教育機関です。

 世界中から多くの生徒が集まり、操縦者になるため勉強しています。

 様々な国の若者たちが自分たちの技術を向上させようと、日々努力しています。

 では、今日から三年間、しっかり勉強しましょうね〛

〚ハーイ、と〛

そしてこの“兵器”、唯一にして最大の欠点は“女性にしか使えない”である。

だが、AMS所有者は違う。そして織斑一夏も。

 ……こいつは、何者なんだ? リンクスにはいなかった筈だが

アレックスの疑問は解決しないだろう。

一夏は結局の所、ただの非力な高校生でしかないのだから。

 

 「なぁ、1st(一夏)がどっか行っちまったぜ。視線が二分の三倍だ」

「好奇の的になる事は容易に予想出来たんじゃないか? 放っておくのが一番だろう」

[良くも悪くも、お二人とも注目には慣れてますものね]

「全くだ。ま、一部の目線に殺気が(こも)ってた昔より数段マシだよなぁ?」

「私の場合はほぼ全てが殺気の籠った目線だったがな」

元ネクスト乗りの三人が揃っていた。

[少し、よろしくて?]

「アンタは……」

「入試主席、英国が代表候補にしてオルコット家当主、セシリア・オルコットだな?」

[え? えぇ、確かにそうですわ……]

ここまで一気に言われるとは、予想もしなかったのだろう。

「ネームバリューでは学年一位だろうに」

[御姉様、何か御座いましたか?]

リリウムは、なにか親睦があるようだ。

[勿論、ご挨拶にと、思いまして]

「そいつぁどうも、お譲ちゃん」

[わたくし、これでもオルコットが当主ですのよ?]

「失礼、Ms.オルコット?」

[セシリアで構いませんわ。同級の者同士ですもの]

「では、セシリア嬢、挨拶だけでは無さそうだが?」

[分かりますの? えぇ、そうですわ。

 貴方達、リリウムには近づかないで下さいます?]

 

 周囲で耳をそばだてていた者が、思わず“え!?”と零す。

 ……面倒な事になったな

「判断材料に欠けるな、理由が聞きたい」

「ウォルコットちゃんも“同級の者”だぜ」

[リリウムにも疑問です。彼らは暴漢ではありませんし……]

[善人だとも言い切れませんわ。まして何か名の有る者でもありません。

 リリウムはわたくしの家族も同然、ただ適正があるだけの男に付かれたくは無いんですの]

 ……恐らく、王の言うVIPとはリリウムだろう

既に強大な守護者がいるが。

「同感だ、俺も適正に甘んずる雑魚と思われたくない」

「そうだな。とすると、我々はどのように証明すれば良い? セシリア嬢」

[そうですわね……それは、また後日にお伝えしますわ]

「良いだろう、その間リリウム嬢との接触は極力避けよう」

[お気遣い、感謝いたしますわ]

「ま、三年は長いからな。気長に待つとしよう」

高校生と人の生を半世紀程生きた二人では口論にもならないだろう。

 

 

 〚この時間はISの基本技術からですね――〛

ヴィクトルは、重大な問題に気付いた。

「セシリア嬢」

〚なんですの?〛

「……通訳を頼みたいんだが」

[? 先程まで、あぁ、分かりましたわ]

実際、敵でも無いので、会話する事には何の問題も無い。

 

 〚では、ここまでで質問のある人―?〛

[質問はあります?]

「…………」

 ……無い、でも無いが、今すべきではないだろう

と、前の方で一人、頭を抱えている奴がいる。

〚織斑君、なにかありますか?〛

教師、山田真耶はきちんと生徒の理解度を確認している。

〚あぁっ、えっとぉ……〛

〚質問があったら何でも言って下さいね? なにせ、私は先生ですから〛

〚…………先生〛

〚はい、何ですか? 織斑君〛

〚ほとんど全部、分かりません……〛

〚えっ? 全部ですか? 今の段階で分からないって人はどれ位いますか?〛

挙手する者はいない。皆、十分に理解できている。

脇で見ていた、千冬は言う。

〚織斑、入学前の参考書は読んだか?〛

〚? あぁ、あの鈍器みたいな奴ですか?〛

〚そうだ、必読と書いてあっただろう〛

〚確か、物騒なんで捨てましtうわぁっ!〛

鈍器なのは出席簿であった。

〚後で再発行してやる、一週間で覚えろ〛

〚いや! 一週間であれはちょっと〛

〚…………〛

鋭い眼光が光る。

〚ハイ、ヤラセテイタダキマス〛

[貴方は読みましたの? 制服も来ていない様ですけど]

スーツの男は言った。

「読んでいないが、理解は出来る。他の関連で頭に入れているのでな」

要は研究資料である。

〚あら? えっと〛「グラズノフ君は、なにかありますか?」

「……少しなら、あります」

「疑問は無くしておくが吉です、どこについてですか?」

「量子変換機構についてなのですが人体の――」

 

 「――と、思いまして」

「……えっと……」

「後で、研究機関に依頼しておこうか?」

「いえ、こちらから探ってみます」

 ……やはり、聞くべきでは無かったか

[なかなか、面白い切り口でしたわ。人体の量子変換なんて……]

リンクスであれば、AMSによる接続を行った機器に対して、

操作をわざわざ筋肉の転写にする必要が無い。

故に肉体の一部を量子変換すること自体は可能なはずだ。

戻って来た肉が、どのように結合するのか分からないが。

ただ一つ、確定している事が一つ。

 ……このままでは、私はISに乗れないな

例え、操作がパワードスーツと同じ筋肉投射式であっても、AMSに接続する以上、

彼には致命的に低い姿勢制御能力が付きまとう。

駄目元でも、これは企業連に提案しなければならない、ここ(IS学園)に来た以上は。

 

 

 「あ、グラズノフ君、ちょっと良いですか?」

SHRも過ぎ、新しい生活の場、寮に足を運ぶ頃、ヴィクトルは真耶に呼び止められる。

「何か?」

「えっと、これが貴方の部屋の鍵です」

手渡された鍵、付いた札には“1125”と記されていた。

「あの……私達もどんな生徒かの情報が少なかったのでてっきり……」

「女子生徒だと思って部屋を割ったと?」

「……すみません」

男ならニヤける顔を必死に隠しながら“大丈夫ですよ”などとのたまう所だが、

彼にとっては嬉しくない。

日頃から超の付く機密を扱う高級傭兵であるために、

彼は一人の空間を是が非でも作らないといけない。

他にもあるがそれはまた別の話だ。

「空き教室に寝袋など――」

「駄目だ」

千冬である。

「保安上の理由から認められないんです」

「お前がこの話をニヤついて聞いていようものなら、

 私の目の前で睡眠をとって貰おうかと思ったが、

 まぁ、これなら間違いも起こさんだろう」

「では――」

「数週間の辛抱だ、多分」

 ……“多分”てなんだ――!!

 

人気のない構内の一角で、ヴィクトルは話す。

「――という事なのですが」

『ほう、面白い発想だ。私から企業連の協同研究の対象として進言しておこう』

「ありがとうございます」

王小龍は二つ返事で了承した。

「しかしなぜ私を派遣したのですか、

 護衛対象(リリウム)には既に優秀なガーディアンが居ます」

『なにかあってからでは困るのでな、それに、貴様ならもっと別な所に――』

「えぇ、解ってますよ」

勿論、

「企業連にISコアの支給は無く、よって研究は国家に協力する形でしか出来ない筈です」

『我々には協力者がいる、と言う事だ』

内容を一切明かさないのが腹立たしいが、己が傭兵である以上、我慢せざるを得ない。

「分かりました、適宜報告していきます」

『リリウムは、元気か?』

「……えぇ」

面倒な事になってはいるが。

 

 ……ここか

男は一つの部屋の前に辿り着く。

周囲は皆、部屋におり、話声が遠く聞こえる。

彼はドアノブを捻る――。

 これは一種の賭けの様な物だ、

旧代の軍人が丘の向こう側を予測するように、

彼は扉の向こう側を予想する。

賭けには勝ったようで開いた先は問題のある状態ではなかった。

 既に荷物が運び込まれているらしく、

彼の持つ物とは別のハードケースが一つ。更に他の機材などもある。

これで予測するならば、ヴィクトル・グラズノフは一線を越えたベーシストか何かだろうか。

勿論、隠蔽の一つだが。

〚誰かいるのか?〛

声がした。彼の左にある扉の向こうからだ。

水の音から察して、恐らくは浴室で、

〚随分大荷物だな、音楽を行うものは皆こうなのか?

 ともあれ、これからよろしく〛

扉が開く。

〚こんな恰好ですまないな、私は篠ノ之箒(しののの ほうき)――〛

言い終わる前にヴィクトルは即座に動く。

バスタオル一枚しか纏わぬ、小女の真正面に立ち、彼女の向こう側の壁に右手を付ける。

それに圧倒される様に彼女は後ろに下がり、壁に背中が当たった。

〚!? な、何を……〛

冷静に言った所で言葉は通じない。ヴィクトルは表現能力を総動員して言う。

〈トラブルは避けたい、浴室に戻ってくれないか〉

数秒、

 彼女は、熊と相対するかの様に、正対したまま後ろに下がって扉を閉じた。

「ど、どういうことだ!?」

出来るだけ優しい英語で話す。

「君も、頭では理解できているんじゃないか?」

「ぬぅ、しかしだな……」

「まずは服をきて、出て来てくれないか――」

 

 

 [御姉様、なぜです!? リリウムはこちら(IS学園)には見聞を広める目的で来ているのですよ!

  自分の身は自分で守れます!]

[リリウム、わたくしは幼年の契りであっても貴方の家族であり“姉”なのです。

 姉として妹を守る義務を果たせて頂けませんの?]

[うぅ、しかしですね、御姉様、物には限度が――]

今日、姉妹は初めて喧嘩とも呼べる口論にまで発展した。

 

 

〚遅かったじゃないか……〛

〚アレックス、なんか嫌な感じがするからその口調止めてくれないか……〛

〚どうせ一年間同じ部屋なんだ、仲良くするしなないのさ……だろう?〛

〚結構マジで止めてくれないか? 悪寒がするから〛

男子高校生のノリでぶっ飛ぶアレックスに一夏は対応できるのだろうか。

 

IS学園、一日目の夜は更けてゆく……。

 

 

 “あちら側”の者が集まる現世統治企業連合の一室、

初老の男と妙齢の女が会話をしていた。

[どうだ? 私は難しいと思うが]

「誰だい、こんな狂気の設計を思いついたのは」

我々(企業連)の傭兵の一人だ、既に説明した筈だが――]

「解ってるよ、“コア理論”でしょ? 全く面白い人だよ、君達は」

[文字道理、住む世界が異なっていたのだ。奇妙でもなかろう]

「そうだったね。たった五年かそこらでここまで大きな企業が出来るなんてありえない。

 たのしみだなぁ、そろそろ企業連製のISとか作ってみない? 面白いよ?」

[企業ごとにISコアがあるなら話は別だが]

「うぅーん、どうしよっかなぁー。ここはみんな考えがはっきりしてるから、

 私もびっくりなのが出来そうで良いんだけど……」

[今は5m級に甘んじよう、開発元が分からんが明らかにあれはACだ。

 ともかく、伝えたぞ]

「おっけーおっけー、任せなさい――」

 

――――――――この束さんにね。

 

 




 これがライトに書く限界値ですかね、
……えぇそうですよ、中途半端に硬いのが俺の好みなんです。

 見た通り、サービスシーンを積極的に入れるつもりは皆無、
容姿の言及も基本的にありません。
ハイスピード恋愛アクションを望んで来た人にとってはハズレですね。
学園モノである以上、需要には応えざるをえないでしょうけど。

 ヴィクトル・グラズノフ、空白の五年間は外伝にする予定

 質問・御指摘フォームを開設します。活動報告に作ってある筈です。
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