{}――不明な言語
今回から、民族紛争に関する内容を取り扱います。
気分を害される方もいらっしゃるでしょう、嫌な方はバックスペースをお願いします。
IS学園、早朝。
〚む?〛
寮から食堂に至る短い路、いつもと同等以上早くに起床した箒が何かを
「どうした?」
「あれ……何があったんだ?」
彼女が指す先、校門の方向が慌ただしくなっていた。
ヴィクトルが見た時計の針は時間にまだまだ余裕がある事を示している。
「行ってみるか」
彼にとって、此処の生活は多少
いた。そこには一人の青年がいた。
「おいおい……五人も
木刀を携えた男が立つ周辺には警備員と思われる制服の者が五人、気絶している。
放っておいても、じきにISが来るから問題無し、だが、
……面白い
この青年は、まだ木刀を振っていないようだった。
体術のみの時点で警備員を圧倒する生粋の武人。
ヴィクトルは右足を少し前へ、ほぼ自然体に近いながらも手を微妙に握り構える、
独特の型を取った。
――――退け、視えんか
「視えんな、貴様の目的も」
――――己の盟友を捜すため
「知らんな、そんな……?」
……何故、私は“会話”出来ているんだ?
〚お、おい! こんな所まで……どうしたんだ!? 真改!〛
真改、とだけ
「最後のORCA」
「……!? 何故……」
ヴィクトルは構えを解く。
「お前か、真改」
――――では、貴様は
「あぁ、最後のORCAのもう一人だ」
〚……嗚呼……〛
真改はがっくりと膝をつく。
「ほぅ? それで、こいつはお前の昔馴染みなのか?」
「はい、彼、真改は私の旧友であり、共に仕事をした事もある者です」
「個人傭兵だったのか? 全く通りで……」
……尋常でない強者な訳か
例の“談合室”には四人が居る。
困り顔の千冬、我関せずとまでに淡々とするヴィクトル、
黙する真改に、ドアの前で怯えを隠せない真耶。
「面会がためにここに強襲まがいの事をするとはな、取り敢えずこれを付けていろ」
千冬が出した札には“来校者”と書かれている。
「面倒はお前に頼む。食事と放課後以外は部屋にいて貰うんだ。
幸い、篠ノ之神社はここからそう遠くない。今度は正式な手段で来校するように」
「……応……」
「あ、後はグラズノフ君に任せますねっ」
真耶は脱兎の如く部屋から出て行った。彼女は真改が苦手らしい。
「あぁ、そうだ」
「…………」
「ん? いや、そんな事は無い」
「…………」
「はっ、確かに、その通りだな」
「…………」
「それが分からないんだ、だが我々が前例として存在している以上、十分あり得る」
「…………」
「
……独り言、じゃない……? でも何コレ!?
一夏がヴィクトルを食堂で見つけた時、彼は二人を連れていた。
箒と、自分が知らない青年一人、そして、
ヴィクトルは、流暢な英語で内容が分からないが、
明らかに何かと、恐らくはあの青年と話している。
が、青年は一言として言を発していない。
少なくとも一夏には、そう見えた。
〚箒ぃ、隣良いか?〛
「む、まぁい……」〚良いぞ〛
〚おう。すっかり英語で会話するのが型に付いたみたいだな〛
〚ストレイドはどうしたのだ〛
〚寝てたからそっとしておいた〛
四人そろって和食だった。
〚でさ、あの人は?〛
〚あぁ、真改は
〚“の様な”って何だよ〛
〚正確には境内で重傷の姿だった所を保護したんだが、本当に寡黙な奴でな、
自分の事を何一つ話さなかった。
だが、真改の剣の腕に魅せられてな、門下生として住まわしていたのだ〛
〚お前がそこまで言うってことは、相当強いんだな?〛
〚少なくとも、奴が本気になったら私は手も足も出ない〛
〚ま、まじか……〛
彼、真改は、剣道の全国大会での優勝経験を持つ箒が“手も足も”と評する程の腕らしい。
〚織斑君、隣いいかな?〛
話しかけて来たのは、同じ学年の女生徒三人。
〚え? あぁ、いいけど〛
小さく“よしっ”と後ろの二人が手を合わせる。
〚うわぁ、四人とも凄い食べるんだぁ〛
〚やっぱ男の子だね〛
箒に失礼な気がする。
〚て言うか、女子は朝それだけで足りるのか?〛
三人の朝食は随分と少なかった。
〚あ……ま、まぁ私たちはね……〛
〚うん、平気……かな〛
〚お菓子良く食べるし〛
最後以外は疑問が残る回答だった。
〚御馳走様でした〛
一夏が対応している間に箒達は食事を終えた。
〚…………〛
真改は静かに手を合わせた。
〚ゴ、ゴチソーサ、マデフェシタ〛
「お、もうちょっとだな、頑張れ」
「日本語は、発音が難しいな……」
〚あ、またな、箒〛
〚織斑君て、篠ノ之さんと仲良いの?〛
〚下の名前で呼んでるみたいだけど〛
〚あぁ、ま、幼馴染だし〛
〚え!? 幼馴染?〛
三人合わせて言った。
〚通ってた剣道場でさ、小一から小四まで同じクラスだったんだ〛
……あんまり良く覚えてないんだけどな、昔の事
と、拍手が二回。
〚何時まで食べている? 食事は迅速かつ効率よく摂れ〛
白いジャージ姿の
〚私は一年の寮長だ。遅刻したらグラウンド十周させるぞ?〛
……どうりでめったに帰ってこない訳だ
〚オハヨォ――ゴザイマスっと……あら? なんかあったか?〛
〚ストレイド、お前ちょっと来い〛
十周の奴が一人出た。
〚これより、再来週行われるクラス対抗戦に出場する代表者を決める〛
なお、クラス代表はクラス長を兼任する。
〚自薦他薦は問はない、誰かいないか?〛
[自薦他薦は問いませんわ]
一年一組、教室で、クラス代表生徒についての話し合いが為される。
互いが互いを知らぬ状態で、判断材料が少ない。
だがこの場合、正確には“このクラス”の場合は、適役がいた。
〚はい、織斑君を推薦します〛
〚私はアレックス君が良いと思います〛
〚お、俺!?〛
〚空気には、なれんか〛
既に最大のビッグネームが揃っている。
……機体の事を考慮に入れる気は無いのだろうか
「私は、セシリア嬢を推薦する」
ヴィクトルは言った。
[あら、光栄ですわ]
「ISに関しては、明らかに君が飛びぬけている。装飾無く、な」
〚織斑、ストレイド、オルコットが候補に挙がった。他にはいないか?〛
……これは、好都合ですわね
[わたくしは、グラズノフさんを推薦いたしますわ]
「?」
[更に、代表の選考方法を提案してもよろしいですの?]
〚言ってみろ〛
[候補者に対するクラス生徒の投票ですわ。
選考の参考としての模擬戦の設定も提案いたしますわ]
……そこで、貴方達の実力を見せてみなさいな
セシリアは隣のヴィクトルをちらりと見た。
……マズイな
気が気ではなかった。
〚乗った! 受けて立つぜ〛
昨日セシリアを小競り合いをしていたらしい一夏は勿論、
〚ま、構わんぜ〛
模擬戦への二重の意図を解したアレックスも承諾した。
ヴィクトルの“例の事情”を知る者はここにいないし、
正確にはいるが
「反論が有ります。私を含めた候補者三名には、IS搭乗経験が無い。
よって、公正な選考資料としての効果は薄い」
「少なくとも、私は強ければそれで良い。と思うが?」
「クラス代表者は公務を兼任します。一貫して強さを求める事に対し疑問があります」
「あくまで参考資料、それ以上の効力は無い。違うか?」
「……分かりました」
〚オルコットの要請を受理し、候補者同士の模擬戦を行う。いいな?〛
異を唱える生徒はいなかった。
〚では、試合は次の月曜日、第三アリーナで行う、各候補者は準備するように〛
「やけに突っかかったな、お前なら時も場所も選ばないクチだと思ったが」
「答えられない」
「流石に訓練機とワンオフでは、結果が視えると言ったとこか?」
「答えたくない」
「仕事でも入れてたのか?」
「答えられない」
「その回答も依頼に含まれているのか?」
「答えられない」
……依頼内容は戦闘系か? それも長期タイプのだろうな
残念だが傭兵間で依頼の秘匿は難しい。
アレックスの様に勘の良いタイプ相手なら尚更である。
[御姉様! リリウムはもう決めています、どいてください!]
[昨日、あれ程言ったでしょう? わたくしにも退くつもりはありませんわ]
「どうしたんだ?」
リリウムには珍しく
[あ、アーロンさん!]
「ヴィクトルだ。入学早々に問題を起こすのは心証が悪い、先ずは落ち着け」
[リリウムはもう決めました! 先の模擬戦、リリウムをアーロンさんのオペレータに――]
「昨日決めた筈だが?」
[リリウムは商品ではありません! 自分の事は自分で決めます!]
「何に執着している? 君のここに来た目的は? 企業は君に何を望んでいる? “
[……“
「王大人の言葉、努々忘れるな」
[……はい]
「何、私が私を証明するまでの話、月曜日には終わる」
[絶対ですよ? お待ちしていますから]
「待たせはせんさ」
……言ったは良いが、IS操縦は物理的に難度が高い、どうするか
一人の悩みを余所にチャイムが鳴った。
〚織斑、お前のISだが、準備まで時間が掛かる〛
〚へぁ?〛
〚予備の機体がない。だから専用機を用意するそうだ〛
一夏は飲み込めていないが、周囲はざわつく。
〚? 専用機はそんなに凄いのか?〛
〚おぅそうだぜ一夏、現在、この世にISはたったの467機。
なにが面倒かってISのコアの製作は例の篠ノ之博士しか出来ないからな、
仲良く分け合った、その内の一機を個人で所有出来るんだぜ〛
……全く、一人でテロが可能なんだよな
“ネクスト”は更に少なかったが、個人依存性が高いのはISの方、
ネクストも実際に操縦するのは一人だが、整備・起動を単独で行うのは限りなく不可能だ。
〚本来、IS専用機は国家、または企業に所属する者にしか与えられない。
が、お前は状況が状況なのでデータ収集を目的として専用機が与えられる。
分かったか?〛
〚まぁ、なんとなく……〛
〚あの、篠ノ之さんはもしかして篠ノ之博士の関係者なのですか?〛
〚そうだ、篠ノ之はあいつの妹だ〛
……謎の博士をあいつ呼ばわりか、裏が有りそうだな
アレックスは別の疑問を抱く。
“えぇぇえ!?”と、どよめきが広がった。
次に出るのは、
〚篠ノ之博士て、今行方不明だよね〛
〚世界中の企業が捜してるんでしょ?〛
〚篠ノ之さんは何処にいるか分からないの?〛
露骨な質問ばかり。矢継ぎ早に出される。
〚あの人は関係ない!! ……私はあの人じゃないし、教えられる事も無い〛
箒が怒るのも当然だろう。
〚お? そう言えば俺も男子だけど何かねぇの?〛
アレックスは話題を転換する。
〚お前はここの所属では無いだろう。アナトリア研究所に聞け〛
千冬が言った“アナトリア研究所”にまたざわめきが広がる。
〚えぇ!? “あの”アナトリア研究所!?〛
〚機械工学技術の最前線にいるとこだよね?〛
〚ISに手を出さないで残った大きな研究所って、あそことアスピナ機関だけだよね?〛
〚今は“財団”てトコもあるらしいよ〛
〚静かに! 山田先生、授業を〛
〚あ、はいっ、では――〛
〚ISは、操縦者の周囲を特殊なエネルギーバリアで包んでいます〛
これを、シールドエネルギーと呼び、操縦者の防護や空気抵抗の操作等に利用される。
〚ISには意識に似たものが有り、互いの対話の時間、
つまり一緒に過ごした時間に比例して、ISは操縦者の特性を理解し、最適化を進めます〛
「自己学習機能付き、ってか……」
〚ISは道具と言うより、パートナーとして認識した方が正しいです。
ここまでで、質問の有る人?〛
〚はーい、“パートナー”って、彼氏・彼女みたいな感じですか?〛
〚えっ? それはその……どうでしょう。私には経験が無いので分かりませんが……
うーん、どうですかね……〛
〚あ、赤くなったー〛
〚先生可愛いっ〛
ヴィクトルは一連を無視して、セシリアの方を向く
「セシリア嬢」
[何ですの?]
「問いたい、シールドエネルギーに種類はいくつある?」
[基本性能に大きな差異は有りません。
エネルギー上限値は機体によって多少の差が見受けられますが]
「防御スクリーンとしての効果は?」
[元々、宇宙での活動中に飛来する浮遊物への対策として作られた物ですから、
最低でも、ダメージを軽減する能力は備わっていますわね]
「PA程では無いか……」
[?]
「こっちの話だ、すまない」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔おい、確かか〕
〔あぁ、今さっき確認した〕
昼食を食べるヴィクトルと真改の元へ、アレックスが自然に、
だが最大の緊張度を押し隠してやって来る。
使う言語は日本ではまず聞かないアラビア語だった。
これが表すのは“最大限の秘匿事項”がそこに含まれる、と言う事。
〔“前”とは比べ物にならない程巨大化しているらしいな〕
〔もう既に、戦争と変わらんだろう〕
二人は、今しがた入った情報を、最大級の驚愕を持って確かめあっていた。
――――――アフリカ某国で大規模な武装蜂起が発生したらしい。
急速な経済発展により発生した絶望的格差、
国家に与えられる“IS”の絶対的な強さを背景に行われた資源の独占的な搾取。
国家の最高権力者、“ムファルメ将軍”による特定の部族への優遇・弾圧政策。
独裁体制を敷いてきた某国で遂に、半数近い国民の不満が爆発したのだ。
それが“ただの武装蜂起”であれば、此処まで驚きはしない。
〔主導が“マグリブ解放戦線”ってのは?〕
〔間違いない様だ〕
この蜂起の盟主は“あちら”で企業連を
また、別の組織が蜂起に協同しているらしい。そして、
〔問題なのは〕
〔マグリブに対し、企業連が支援・協同する意を内密に通達した事〕
〔こっちで掴んだのは、国連の緊急会議で攻撃を受けている民間人の保護を目的とした、
軍の派遣が決定した事だ〕
〔某国の政府は腐敗しきっているのだろう?
国連は何故マグリブに付かないで回りくどい主張をする?〕
〔マグリブの主張に“ISの否定”が含まれているからだ。
いくらマグリブが正しくとも、現在、国家がISの力に
国家はマグリブの連中に加勢出来ない、って事だろう〕
更に、
〔マグリブだって国家軍じゃない。
将軍側に付いている民間人に交戦規則を無視した攻撃を行っている可能性が高い〕
〔……これは長い戦争になるな〕
〔互いに裏が分かってないようだがな〕
全く知らずして、国家対企業対将軍の構図が完成し、その戦端が開かれようとしている。
〔アナトリアはどうする?〕
〔知ってても言えるかよ〕
〚…………〛
真改は碗を置いて、手を合わせた。
早くも放課後、真改はやっと行動の自由を獲得した。
……ただ静寂であるも、また善し
彼としては静かな空間で禅を取れたので、あまり苦でも無かった様だ。
〚…………〛
と、言っても、彼に別段行くあては無い。
いっそ今日は観想に費やそうかと歩き出す。
〚あら? 貴方が今日の“珍客”様かしら〛
ひどい言われようだが、恐らく真改の事であろう。
彼が声の方を向くと見知らぬ少女が立っている。
〚やっぱり、貴方が真改君ね? 私は
この学園の生徒会長〛
彼女が開いた扇には“自己紹介”と、書いてあった。
真改は沈黙を保ったまま会釈をする。
……うわぁ、これは取っ付きずらいなぁ
楯無は“人たらし”と呼ばれる程、人心掌握術に長けているが、
真改には通じないだろう。だが、
……これくらいの方が“
彼は面倒な者に目を付けられた様だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『――そうか、こちらにも進展があった』
「例の量子化についてですか?」
『それも含むが、人体の一部量子化と“こちら側”の技術を流用したISの開発が可能になった』
「……
『あぁ、機体のデータを集積・譲渡する事でコアの借り受けた』
……ったく、相変わらず手回しが早過ぎる男だ
ヴィクトルは構内の一角、実弾射撃場に足を運んでいた。
何時もの様に依頼主である王小龍に報告を行っている。
「それで、開発期間の予測は付いているので?」
『フレームについては後八日程、兵装は三日あれば出来る、こちらは最適化するだけなのでな。
では、任務を続行してくれ』
「了解」
スマートフォンをしまう。
〚だ……誰?〛
人が来たらしい。
……ここに来る様な生徒はいない筈だが……
立ちあがって声のする方を向く。
〚ひぃっ!? お化けっ!〛
やって来た少女は驚いているようだった。
恐らく正常だろう、ギリースーツを着た者はそうそう見れる物ではない。
この手の技術は上手ければ上手い程、人には見えない様に作られている。
「怪しい者ではない。私は一年一組所属、ヴィクトル・グラズノフだ」
森の化身に言われても説得力が無い。
「あー、君は何のために?」
日本人用の簡単な英語で話す。
「……一人の時間が欲しくて」
制服の装飾色から一年生だと分かるその少女は伏し目がちに呟いた。
「であれば、私と同じだな。ここで出会うのも何かの縁だ、これからよろしく頼む」
彼は手を差し出す。自然に携帯の会話について詮索されない様、誘導していく。
「…………」
握手を交わす。
「さて、私はこれから、居ても居なくても良いような存在になる。
一人観想に浸ってくれて構わない」
「あの……」
「?」
「見てても、良いですか?」
「まぁ、構わない」
彼は何食わぬ様子で、
今となっては奇妙な出会いだったのかも知れない。
ヴィクトル・グラズノフと
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アフリカ某国、武装蜂起は既に始まっている。
『マグリブ現地指揮官、依頼を受けて来た。状況は?』
大型ヘリと、搭載されたACが都市に接近する。
『傭兵か! 潜伏していた
クルザ人への攻撃をしている! 一刻も速く連中を鎮圧しろ!』
『こちらは、その民兵に対する牽制及び示威の依頼を受けた、実戦闘の依頼ではない』
故に、
『当初の報酬に7割追加、ミッション終了後速やかに支払って貰う、よろしいか?』
オペレータの女性はそう言い放つ。
『バカな!? ふざけるな!
『エリア上空を通過。帰って良いかね、指揮官!』
ヘリを操縦する男性は笑いを含んで言った。
『クソッ、払えばいいんだろうが!
いずれ後悔するからな!!』
『契約変更を了解。機体投下し、ミッションを開始する』
ヘリから軽量二脚が飛び立つ。
「オッツダルヴァ、ステイシス……参戦する!」
『指揮官、敵味方の判別方法は?』
『こちらの兵に車両を放棄する様に通達した。車両から攻撃する者、その周辺を殲滅しろ』
「了解した。……ったく、下らん
例え5m級でもAC、車上で機関銃を撃つ者、周囲で戦う者、皆等しく死んでゆく。
{――――!}
……RPGか
飛翔する成型炸薬弾を、ハイブーストの一回で回避、
「敵性戦力と判断する」
左腕の通称“レーザーバズーカ”を発射、赤みを帯びた光線が民兵の胴を焼く。
“ガッ”とも“ギャッ”とも付かない声を上げてその男は崩れ落ちる。
屋上の民兵が口を揃えて叫び、半数は手に持つ兵器をやたらに撃つ。
「フン、攻撃しているつもりか?」
訓練を受けていない兵の撃つ弾丸はACの襲来による動揺でほぼ当たらない、
当たってもダメージにならない。
最早、勝敗は決した。
『! オッツダルヴァ、反応が増えた、こいつぁACだな』
確かに、通りの向こうに中量二脚が歩行している。
「ジャンクパーツの寄せ集めとは……」
それは、緩慢な動きで銃を構えた。
……先ずは様子見だな
土壁の家が並ぶ大通りから横路に入り、スキャンモードを起動、
リコンユニットに示されたACはあろうことか、もう何も居ない大通りにライフル撃ち続けている。
「粗悪なのは機体だけでは無い様だな」
先程警戒したのが馬鹿らしい、
ステイシスは通りに戻り、一気に攻勢を掛ける。
勝敗は言うまでも無い。
威嚇は効果
『スキャンした。敵影は無い、視認ではどうだ?』
「少なくとも、発砲してくる
『指揮官、ACとの戦闘は依頼内容に組み込まれていない』
よって、
『更に三割追加。当初の二倍貰う』
『なんだと!?』
『元はと言えば、敵のACが市街に入る事を気付けなかったそちらのミスだ』
それに、
『今ここには、大した戦力は無い筈、
もし、しらばっくれたりしたら……』
――――そのACが何しても、こっちは責任取れないけど
『約束は守ると言った。
良くやった、このロクデナシどもが』
戦争が始まった、“最悪の序章”と呼ばれるそれが。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
月曜日が来た。
IS学園、第三アリーナに一年一組、そのほか少しの生徒が集まった。
目的は勿論、クラス代表を決める資料となる模擬戦である。
〚なぁ、箒〛
〚なんだ?〛
〚ISの訓練を手伝ってくれる事になってたよな〛
箒は一夏に、ISについて教える事を約束していた。
〚結局剣道の稽古しかしなかったじゃないか〛
〚仕方無いだろう。お前のISはまだ届いていないのだから〛
〚ISが無くとも、知識とか、基本的な事とかあるだろ!〛
〚それはお前が!! ――――〛
……ISを教わるのに手頃だったからと私に言ったからだろう!!
〚……フン……〛
〚だから目を逸らすなったら!〛
〚もういい……アレックスと話していろ〛
〚あ、おい! 箒ぃ!〛
……あーあぁ、一夏は気が利かねぇなぁ
アレックスは一人思った。
先ずは、“アフリカ某国”の所について、
“ベク人”及び“クルザ人”ですが、完全なフィクションです。
何かモデルが有るわけではありません。
この戦争は、いろんな要素を含んだ物です。
ムメルフェ・マグリブ・国連軍の革命戦争、
ベク人・クルザ人の民族紛争、
将軍(のバック)・国家・企業の権力闘争、
大局でみるとトリプルミーニングな物です。
実際、現代の紛争や内戦は、これ以上に多くの人々の思惑が渦巻いています。
この関連の話を書く時は、可笑しくは絶対に出来ません。
楽しくは無いでしょうが、もう少しお付き合い頂ければ幸いです。