結城創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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ついに誕生!


第102話 過去の時間(隼編Ⅲ)

夏休み明けの9月。

 

 

先生が去ってから、創真へのいじめが一切無くなり、陰口すらもなくなった。

 

 

彼等はこう思った。

 

 

創真に目をつけられたら、自分もあの先生のように消されたりするんじゃないかと。乃ち畏怖、だ。創真は皆に恐怖を植え付けたと言うわけだ。

 

 

 

「何者なんだ…………あいつ…………」

 

 

結局、隼は夏休みはほぼ勉強に回したのだった。

 

 

「隼、全然日焼けしてないな」

 

 

「勉強したんだよ。次こそあいつに勝つためにな」

 

 

「燃えてるね~」

 

 

「まー、やっぱ勝ちたいからな」

 

 

隼が何気なく廊下に目をやると、創真が1人、外を見ていた。何となく気になったので、隼は創真の元へ近づく。

 

 

「………………よぉ」

 

 

「……………………ん?あぁ、君か」

 

 

「何してんだ?景色を眺めて楽しいのか?」

 

 

「外、見てみ」

 

 

隼も外に目をやると、そこにいたのは警察官だった。

 

 

「警察?何で来てんだ…………っていねぇし!」

 

 

いつのまにか隣にいた創真が消えていた。隼は教室に戻る。

 

 

「何なんだまったく……………」

 

 

隼が席に戻って再び友達と話していると、先生が慌てた様子で入ってきた。

 

 

「お前らよく聞け。今この学校に包丁を持った不審者が侵入しているそうだ」

 

 

先生の言葉に皆はざわめき出す。

 

 

「その不審者を追って、交番から警察官の人が2名来てくれた。警察が確保するまでの間、我々は体育館に避難せよとの事だ。と言うわけで、お前ら冷静に、静かに廊下に並べ」

 

 

不安ながらも、皆は先生の指示に素直に従い、廊下に並び出す。

 

 

「うわ…………超ヤバイじゃん」

 

 

「ま、授業潰れるからその点ラッキーだな」

 

 

「隼…………………」

 

 

間もなく、皆は体育館へと移動を始めた。

 

 

「(不審者に感謝…………なーんて言ってられないんだけどな………)………ん?」

 

 

その時、隼の視界の端で何かが動いたように感じた。

 

 

「な!?」

 

 

なんと、創真が列を外れ、1人廊下を曲がっていった。

 

 

「あいつ何やってんだ!?くそ、先生は下か…………わりぃ、ちょっと行ってくる!」

 

 

「おい、隼!?」

 

 

制止の声も聞かず、隼は創真を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ…………見失った……………」

 

 

隼は創真を探すが、姿は何処にも見えなかった。

 

 

「本当に考えてることが分からねぇ奴だ…………」

 

 

その時、後ろから足音が聞こえた。

 

 

(まさか不審者…………?)

 

 

隼は本能的に隠れる場所を探すが、見通しの良い廊下には隠れる場所がない。さらに、最寄りの階段までは遠すぎた。

 

 

「こうなったらしょうがねぇ…………一か八かだ」

 

 

隼が戦闘の構えを取る。

 

 

そして、隼の目の前に現れたのは────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、君!何してるんだ!!」

 

 

────────警察官だった。

 

 

「おい!回りの警戒も怠るな!」

 

 

階級が上と思わしき警察官が叱責する。

 

 

「…………なんだよ。驚かせるな………あ、それより生徒が1人いなくなって…………」

 

 

「それも聞いた。我々に任せて君は戻るんだ。おい、彼を他の生徒達の元へ連れてけ」

 

 

「分かりました。さぁ、行こう」

 

 

隼が警察官と共に体育館へ行こうと踏み出した時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちたまえ、隼君」

 

 

声の方に目をやると、何処から来たのか創真がいつも通りの歩調で近付いてきた。

 

 

「あ、創真!お前、何処に行ってたんだよ!?あ、あいつです、いなくなったの」

 

 

「そうか。君!不審者がいるかもしれない。急いで行こう!」

 

 

警察官が声をかける。

 

 

「まー確かに行った方が良いですよね……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなた方が本物の警察なら」

 

 

「「「!?」」」」

 

 

「何を言ってるんだい?私たちは本物の………」

 

 

「それだとどうも辻褄が合わないんですよね。あなた達は重大なミスに気付いてない。さっき、あなた方が隼君を発見したとき、そこの警察官の人が、『回りの警戒も怠るな!』って言ってたので間違いないですよね?」

 

 

「あ、ああ……」

 

 

その言葉に創真はニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

「次に警察バッチです。まず、叱責した方の警察官の階級は巡査。叱られた方の警察官は巡査長。あっれぇ~?普通に考えて、階級上、偉い筈の巡査長を巡査が叱ります?」

 

 

「「!!」」

 

 

「な……………じゃあこいつらは…………?」

 

 

「多分、偽者じゃない?」

 

 

「服は…………………?」

 

 

「今時警察官の服なんてやろうと思えば作れるもの」

 

 

隼は慌てて離れる。

 

 

「さーて。結局の所どうなの?」

 

 

「……………………ククク………ハハハハハハ!!驚いたよ。そこまで目を配るガキがいたのは!!」

 

 

やはりにせ者のようだった。

 

 

「どーせ貴重品とかを盗もうとしたんですかね?職員室や教室はがら空きで荷物も無防備に置いてありますしね…………それにここの学校の人達は校則破ってスマホやらの貴重品を持ってきてる奴等が多いと聞いたし」

 

 

「君には脱帽だよ。さて、知ってしまったからには計画が終わるまでおとなしくしてもらおうか………」

 

 

偽警察官達は持っていた特殊警棒を取りだし、ゆっくり近づく。

 

 

「なーんだ。拳銃じゃないのか。まぁ、そう易々と手に入る代物じゃないしねー」

 

 

「おい、んなこと言ってないで早く逃げるぞ!」

 

 

「いや、多分大丈夫だよ。僕でも倒せるレベルの相手だろうし」

 

 

「おい、ガキ。大人を舐めてんじゃねぇぞ、ゴラァ!!」

 

 

「そっちこそ、ガキを舐めんな」

 

 

創真の挑発に乗った一方の偽警察官が、創真の方に襲い掛かり、警棒を振るう。しかし、創真は容易く避ける。

 

 

「下手くそか。さては、そんなに使いなれてないね?」

 

 

「うっせぇ!」

 

 

「所で隼君。そっちにも行ったよ」

 

 

「え?…………うおっ、危なッ!」

 

 

隼は顔面スレスレで、もう一人の偽警官の振るう警棒を避けた。

 

 

「こんにゃろう、よくもやってくれたな」

 

 

隼は近くにあった掃除用具入れを開け、中から自在箒を取り出し、投げるが避けられる。

 

 

「チッ」

 

 

「当たるかよ!」

 

 

創真と隼は素手。しかし、相手は武器を持っているため、やはり分が悪い。

 

 

「おい、どうするんだよ。このままじゃ、不味いぞ」

 

 

「仕方ない。隼君、これから僕がすることを先生に言わないって、約束してくれる?」

 

 

「それであいつらが倒せるなら、言わねーよ!」

 

 

「話が分かるようで助かるよ。じゃあ、隼君。後は任せろ。それと、絶対僕より前には出るな」

 

 

そう言って、創真は隼よりも前に出ていく。

 

 

「おいおい、1人で相手をするつもりか?」

 

 

「あぁ。実際、君達なんて倒そうと思えばいつでも倒せたし、ね!」

 

 

創真は懐からスマホを取り出し、タップする。すると突然、上から水が降ってきた。

 

 

「な、何だ!?」

 

 

「み、水が…………!!」

 

 

偽警官のいる辺りにのみに水が降り注ぐ。10秒程で、水は止まった。

 

 

「この学校の防災システムを外から乗っ取り、スクリンプラーを一部起動させました。あーあ、水溜まりが出来ちゃったよ」

 

 

「………………チッ、驚かせやがって。たかが水ごときでどうにかなると思ったか?」

 

 

「なるね。だって………………水は電気を良く通すもの」

 

 

さらに創真は懐から何かを取り出す。スイッチを入れると、バチバチと言う音がなる。

 

 

「それは………………スタンガン!!まさか………」

 

 

「そう言う事。お縄につけ、偽者ども」

 

 

そう言い捨てて、創真は水溜まりの中にスタンガンを投げ入れる。その瞬間、辺りに出来た水溜まりを介して、偽警官の身体に電流が走り、声にならない悲鳴をあげた。

 

 

数十秒程でスタンガンは沈黙し、同じく偽警官も倒れて沈黙する。

 

 

「はーい、いっちょ上り」

 

 

「………………何でスタンガンとか持ってんだ?」

 

 

「そりゃ、こう言う時に便利だと思って持ち歩いてるからね」

 

 

「どんな想定してんだよ!?てか、スクリンプラーを発動させたのもお前だよな?てか、外から乗っ取り……………要はハッキングしたってことか?」

 

 

「そゆこと。さて、約束通り倒したんだから、これは秘密でよろしく」

 

 

「あ、あぁ。まぁ、言わねぇけど……………」

 

 

「それよりも、だ。何で君はわざわざ僕を追い掛けてきたんだい?」

 

 

創真は分からなさそうに尋ねる。

 

 

「まずその前にだ。お前はいつからあいつらが偽者だって気付いてた?」

 

 

「確信したのは、君と彼等の会話からだけどまぁ、最初から怪しいと思ってたよ。だって、たった2人で包丁持った不審者を追い掛けてくるなんて不自然だし。たまたま居合わせたからか?だったら、応援を呼ぶはずなのに、一向に来なかった。もっと多人数で対処するのが普通の対処法だから」

 

 

「なるほどな………………で、何でついて来たか、だっけ?そりゃ、お前が何て言うか危ないことをしそうだったから、だな」

 

 

「てことは………………心配してくれたって事?友達でも何でもないのに?」

 

 

「まぁ、間違いではないな」

 

 

「そうか……………君は良い奴だな」

 

 

創真は暫く黙り込んでしまった。暫くして、創真は何かを決めたように口を開く。

 

 

「隼君。1つ頼みがあるんだが」

 

 

「何だ?」

 

 

「僕は君の事が気に入ったよ。なので、ストレートに言うけど、僕と友達になってくんない?知っての通り、僕は今のところ友達として話せる人がいないのだよ。折角この学校に来たんだから、やっぱり1人くらい話せる友人が欲しくてさ」

 

 

「なんだよ、そんな事か。まぁ、お前は悪い奴ではないし、別に構わないぜ」

 

 

「そうか!良かったー!じゃあ、友情の証に…………」

 

 

創真は隼に近寄り、何かを握らせた。

 

 

「何だこれ?」

 

 

「まー、見てみな」

 

 

隼が自分の手が握っているものを見てみると──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────スタンガンだった。

 

 

「あ、電源消し忘れてたわ」

 

 

「オイィィィィィ!!」

 

 

隼は慌ててスタンガンを放り投げる。そして、テメェ何しやがるこの野郎、感電したらどうすんだゴラァ、的な事を言おうと思って創真の顔を見ると──────創真は笑っていた。

 

 

「なーんてね。さっき水溜まりに放り投げたから、壊れたよ。ちなみに、電池も念のため抜いてある」

 

 

「え……………………はぁ?え、じゃあ、何で………」

 

 

「何となく、面白そうだったから(笑) 何か、隼はいじり倒した方が面白そうだね?アハハハ!」

 

 

「くそっ………………最高に最悪な奴と友達になっちまったかもしれないな……………」

 

 

この日である。名(?)コンビが誕生したのは。




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