創真の目の前に、山がそびえ立っていた。その中腹には、ポツンと校舎がある。
「あそこが、E組ですか…………山の中にあるなんて、珍しいです。しかし、行くまでが少しめんどくさそうですね」
氷室は、はぁ、とため息をつきながら言った。
「まぁ、そうですけど、ポジティブに考えれば、毎日運動になりますよ…………そーだ、氷室さん。競争しません?」
「競争?あの校舎に着くまで、と言うことですか……………面白そうですね」
「でしょ?僕も面白そうだから言ってみたんですよね」
かくして、急遽『E組校舎までの競争大会』が開催される事となった。
「じゃ、行きますよ……………よーい、ドン!」
創真が合図した瞬間、2人は一斉に走り出した。
「ふいー……………氷室さん。E組校舎までの競争は僕の勝ちのようですね」
「いえいえ、私の方が0.3秒早かったですよ………多分」
レースはかなり熾烈を極めた。当初は氷室が先頭だったが、ラスト数メートルで創真が温存しておいた体力をフル解放し、ほぼ同時にゴールした。
「うーむ…………今回は引分けということにしましょうか………判定のしようがないですし」
「しゃーない。決着は次回に持ち越しですな」
「ヌルフフフフ、ここまでご苦労様ですねぇ」
そんな声が聞こえたと思えば、2人の目の前にアカデミックドレスに身を包んだ黄色い生物がいた。
「あなたが結城 創真君ですね?そちらの方は…?」
「私は氷室 翔と申します。まぁ、簡単に言えば創真様の護衛兼お目付けをさせてもらってる者です」
「そうですか。ヌルフフフフ、それでは行きましょうか」
2人は先生と共に校舎に入っていった。校舎は見た目も古いが、中も同じく古かった。
「では、少々お待ちください。射撃が終わったら紹介しますので」
先生が入って間もなく、射撃をしている音がした。多分、全部よけてるんだろうなぁ、と創真は考えながら終わるのを待つ。
「さて、今日からE組に仲間が加わるのは鳥間さんから聞いてますね?それでは入ってください」
創真はドアを音もなく静かに開けて、教室内に入る。氷室は廊下から創真を見守る。
全員が創真に注目するなか、創真は口を開いた。
「僕の名は結城 創真。まぁ、まずはよろし…」
「創真君!?」
声のした方を見る。そこには、創真が見覚えのある人物がいた。
「おっと……………倉橋さん、かな?」
「そうだよ~。名前を覚えていてくれて嬉しいな~」
「倉橋さんを知ってるのですか、創真君?」
「ま、いろいろあってね。春休み期間中に会ったんです」
「ヌルフフフフ、そうですか。ではでは、質問コーナーと行きましょうか!創真君に質問がある人手を挙げてください」
「何でもカモン!」
創真も質問が来るのをワクワクしてるなか、最初に手を挙げたのは─────────
「はい!」
アホ毛の男子だった。
「俺の名は磯貝 悠真だ。よろしくな!創真は何でE組に来たんだ?」
「何故E組に?簡単に言うとね、ちょっとリンチに遭ってる奴を助けたらこうなった。最初は解せぬ、だったが……………逆にラッキーだったかも。おかげで面白そうな事になったから」
「じゃあ次は僕」
次に手をあげたのは、中性的な男子だった。
「僕の名前は潮田 渚。さっきから廊下にいる人は誰なの?さっき一緒に居たけど…………」
「(あ、男なんだ…………女と間違えられそうな感見た目だなぁ………)廊下にいる人は僕の護衛、的な人。ま、折角なんで紹介してもらいましょうか。氷室さん、入ってきて」
創真に呼ばれ、氷室も教室に入ってきた。
「ちょっと自己紹介を…………」
「了解しました。私の名は氷室 翔と申します。今年、大学を卒業し、創真様の父親の会社の研修の一環として、創真様のお目付け役をしてます。まぁ、よろしくお願いします」
「ほほう、研修の一環としてお目付け兼護衛に…………確か、創真君のお父様の企業は、採用されたらまず1年は系列の子会社に飛ばされるなり、海外留学をされるなど、社会勉強をさせられると聞いています」
「中々面白いことをするでしょ、うちの父さん」
「ええ。しかし、面白いだけでなく素晴らしいとも思います。その人が得た経験は、会社内だけでなく個人的にも必ず役に立ちますから。全ての経験は、人生におけるかけがえのないツールになりますから」
「何か名言っぽくなってるような…………………………ま、良いんだけど。………さて、先生。僕はあんたの暗殺依頼を受け、色々考作戦を練った。僕のプランでどこまであなたを追い込めるのか……………勝負だ」
創真の宣言に皆は驚いた表情を見せた。
「ヌルフフフフ、良いですよ。受けて立ちましょう。先生を殺すのはそう簡単ではない事を教えてあげましょう」
「なら、今日の放課後に勝負だ」
果たして創真は先生を殺れるのか…。
to be continue……