急いだので間違ってるかもしれませんが、どうぞ!
翌日
「さて、皆さんはE組を抜ける資格を手に入れた訳ですが…………抜けたい人はいますか?」
「いないでしょ。ここからが本番だからね、この教室は」
そう言うと創真はマカロフ似のBB弾銃の引き金を引くが、殺せんせーには当たらない。
「所で先生よ。折角全員トップ50入ったんだし、なんか褒美やっても良いんじゃねぇか?」
「キバット君に言われずとも、考えてありますよ。では、先生の最大級の弱点を教えるとしましょうか」
「あっさりそういうヤバそうなの教えるんだな…………その弱点はどんなもので?」
「それはですね…………」
殺せんせーが言い掛けたその時だった。
ドォン!!
「「「!?」」」
突然、教室を大きな揺れが襲う。創真が教室の窓から覗くと……………顔が引きつったまま固まった。
そして、呆然と呟く。
「校舎が半分消えてる……………」
皆も窓から覗くと……………確かに、校舎がショベルカーによって半分壊されていた。
「退出の準備をしてください」
声がした方を向くと、そこには理事長がいた。
「今朝の理事会で、この校舎を取り壊すことを決めました。君達は来年開校する新校舎に移って貰います」
「新校舎?嫌な予感しかしないですね」
「脱出防止システムを搭載した監獄のような環境………………私の教育の理想です」
「理事長。ハッキリと言わせて貰いますが、あなたの思考はパンクしてますね。色々ありすぎて」
「私はいつも通りですよ、氷室先生?……………ああ、それと殺せんせー」
「にゅ?」
理事長は懐から紙を取りだし、殺せんせーに見せる。その瞬間……………殺せんせーの表情が青ざめた。
「もう、私の教育にあなたは不要です」
その紙には、解雇通知と書いてあった。
「ですが、勘違いなさらぬように。私は…………………
あなたを殺しに来たのです」
「へー……………………何を企んでるのか知りませんが、すんなり行ける相手じゃないんですよ?」
創真の言葉に、謎の笑みを浮かべて返す理事長。そして、重機を使う作業員に、一旦解体を中止するように伝え、校舎に入っていった。
理事長は机の上に用意した問題集を置いた。
「殺せんせー。首になりたくない、そして校舎を破壊されたくないなら、私とギャンブルをしてください」
外に出された生徒達は、この時点で理事長が何をしたいのかまだ分からなかった。
「ルールはこうです。私が作らせたこの5つのグレネード…………4つは対先生用BB弾入りで、1つは対人用です。レバーが上がると爆発するタイプのこれらを問題集の適当なページに挟みます」
「………………で、そのページの問題を解けと?」
「正解だ創真君。ページの右上の問題を1題解いてください。ただし、解けるまでは動いてはいけません。順番は殺せんせーが4つ先に解き、私が最後のを解く………こんなところです」
(なるほど。なかなか勝算が高い…………ように見える。首をちらつかせて、あからさまに優位な暗殺を仕掛ける…………………か)
創真が内心でそう分析するなか、理事長は殺せんせーに問い掛ける。
「殺せんせー、やりますか?」
「………勿論やりましょう」
殺せんせーの声が少し震えていた。動揺でもしてるのか、触手も震えてる。
それをにこやかに見守る理事長。
緊張している殺せんせーが問題集を開いた。透明化中のホリーも問題集をチラッと見る。数学………………平面図形計算だった。
(……………ん?おい、殺せんせー!?早く答えろよ!爆発するぞ!!)
ホリーの心の声もむなしく、殺せんせーは何故か頭を抱えるばかり。
そしてついに
バァァンッ!!
教室に煙が立つ。
「まずは、1ヒット」
理事長が不敵な笑みを浮かべながら呟く。殺せんせーはかなりのダメージだった。
「さ、回復する前に次を解いてください」
理事長が解雇通知をちらつかせながら促す。
「フフフフ…………やはりあなたは凄い人だ。流石ですよ、理事長」
「それはありがとう、創真君」
「ええ、本当に凄いです。
自分の首を締めてることに気づかない所が」
「「「!?」」」
理事長すらも挑発する言葉に、皆は少し驚く。
「……………ほう?どういうことだい?」
「見てれば良いじゃないですか?」
創真に言われて殺せんせーに目を戻すと、丁度問題集を開こうとしてるところだった。
ピシッ
そんな音が響いたと思うと、問題集の表紙に答えが書いてある紙が貼られた。
「はい!開いて解いて閉じましたよ。この問題集、どこにどの問題があるか殆ど覚えてます。数学は長く貸していたので、忘れていました」
「馬鹿な…………たまたま覚えていたとでも………」
「日本中の問題集を解いて覚えたんだろ。僕も解いたし。僕がやるんだから教師もそれくらいやるだろ?」
(((いや、創真!!全国の問題集を解こうと思うのはお前ぐらいしかいねぇよ!!)))
全員は心の中でごもっともなツッコミを入れる。
「やはり、氷室先生の言う通り、教え子の敗北で心を乱したようですねぇ」
そう呟きながら、殺せんせーは残りの問題集をちゃっちゃと片付けていく。
「安易な暗殺であなたは自分の首を絞めた…………残り1冊…………解きますか?浅野理事長」
理事長は、殺せんせーの言葉をぼんやりと聞いていた。彼の頭の中では、あのときの『後悔』過っていた。
私は良い生徒を育てていた。
この校舎で塾を始めたときの、第一期生…………彼等は本当に『良い』生徒だった。ずっと、こんな『良い』生徒を世に出していこうと思っていた。
あの時までは。
とても元気だった、第一期生の1人がいじめで亡くなった。その時私は悟った。強い生徒を育てなければならなかったのだと。だから、教える私は強さを学びつくし、その強さを生徒に教え続けた。
強い生徒に育てるために、私は何でもしてきた。
だが、残ったのは『死』だけだった。
「……………理事長。貴方と言えども、流石に爆弾の挟まった問題集を解けるわけがない。あなたの負けでは?」
氷室の声に、理事長は現実へ戻された。
「確かに私の負けです……………でもね」
「…………何をする気ですか?」
氷室の質問には答えず、理事長は殺せんせーの方を向く。
「殺せんせー。あなたが地球を滅ぼすなら、それで良いんですよ」
そう言って、理事長は問題集を開いた。
バァァンッ!!
「……………………!!」
────────理事長は死ななかった。
「なるほど。脱皮を理事長用に残しておいたのか、殺せんせー」
「創真君の言う通りです。私が勝てば自爆を選ぶと思ってたので」
「何故私の行動が断言できる?」
「似た者同士だからです。どこまでも教育に意地っ張りで教育バカ……………テストの間に、あなたにあった出来事を調べました。10年前のあなたの教育理想は私の理想とそっくりでした」
殺せんせーは続ける。
「あなたと私の違いはE組があったこと。同じ共遇をしてるから、校内いじめに耐えられる。1人で抱え込まなくてすむ…………このE組を作ったのは理事長、あなたですよ……………もしかして、御忘れなっていましたか?」
理事長は下を向いて、暫く黙っていた。そして、顔を上げたとき、全てを理解したような顔をしていた。
「どうやら私もあなたに手入れされてしまったようだ……………E組の取り壊しは中止にします。それと、私もたまに殺りに来ても良いですかね?」
「いつでもお待ちしていますよ。ヌルフフフフフフ」
理事長は去り、殺せんせーの首と、校舎の取り壊しはなんとか免れたのであった。
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