あれからもう、6日も経過し、ついにレーザー発射日となってしまった。
「おい、創真。もうレーザー発射日だぞ」
「分かってるよ。流石に、そろそろ限界か……………僕らの手で無理矢理でも皆を解放させるか?いや、それで皆に何かあったら不味いな………………」
作業も昨日で全て終わり、皆の脱出の知らせを4人は懸命に待つ。
「てか、あいつら脱出出来るのか?」
デュオは創真に訊ねてみた。
「僕の予想では、烏間先生が何か手を打ってくれると思ってたんだけど…………………」
創真は時計を見る。時刻は8時を指していた。
「どうせあと4時間したらレーザーが発射されて、全てが終わる。このままじゃ、殺せんせーに会えずに終わってしまう。きっと、あいつらも殺せんせーに会いたいと思っている筈だ……………」
「創真…………………」
珍しく苦悩する創真を、ホリーが心配そうに見つめる。何か言わねば、とデュオが思ったその時だった。
通信機から声がした。
『…………………そこにいるんじゃないのか、創真君』
「「「「!!」」」」
全員が置いてあった通信機に駆け寄る。
「その声はもしや…………………烏間先生ですよね!」
『あぁ、そうだ。それにしても、やはり檻を出ていたか』
「えぇ、まぁ」
『今、他の者にはバレないようにこっそりと連絡している。創真君、他の皆がたった今脱出した』
「え、それほんとですか!?」
創真が確認しようとしたとき、創真のスマホに着信が入った。自分の父親からだ。創真の代わりにホリーが出る。
『喜べ創真!他の生徒らが脱出したぞ!1人も欠けずにな!』
「創真!やっぱり、全員脱出したのは本当みたい!」
ホリーが創真に向かって叫ぶ。それを聞いた当の創真はニヤリと笑った。
「烏間先生。皆の脱走を手助けしたのは、あなたですか?」
『策を考えたのは俺だが、実際に動いてくれたのはイリーナだ』
「なるほど。ビッチ先生にも感謝しないとね。いや、まずは烏間先生、本当にありがとうございます」
『礼は良い。それより創真君。君も皆と合流するんだ』
「分かりました……………あぁ、そうだ烏間先生」
『何だ?』
「烏間先生も後で校舎に来てください。大切な先生ですから」
『………!!あぁ、分かった。君たちの健闘を祈っている』
そして、通信機は沈黙した。
「よっし、じゃあ3分で準備して出るぞ!」
「「「おう!」」」
きっかり3分後、フル装備の彼等の姿があった。
「よーし、では今から皆と合流しよう」
「よっしゃあ!キバって行くぜ!」
キバットが高らかに宣言する。すると、また通信機から声が聞こえてきた。今度は別の声だった。
『聞こえるか!E組の生徒が脱走した!君達はそこの奴等に気付かれぬようにそこを出て、包囲の方の応援に付け!』
すると、創真はニヤリと笑みを浮かべて通信機を手に取る。
「いえ、残念ですが包囲の応援には行けそうにありませんね。何せ、2人とも檻に入れられてますから」
『!!まさか、貴様ら……………自力で脱出したのか!?』
「ええ、知らないとは思いますが、もう捕まった即日に出てました。あなた方は僕がずーっと、大人しく檻にいると思ってたでしょ?僕らの方が1枚上手だったようですね」
『くそっ……………伝令!至急、特殊警備case004を発動!あの4人を逃が』
創真は飽きたのか、通信機は思いっきり踏みつけて破壊した。
「よーし、行こうか」
創真らが外に出ると、既に回りは大量の自衛隊員に囲まれていた。それだけではなく、上空には軍用のヘリコプターが5台ほど飛んでおり、ライトで創真を照らしている。
『動くな!それ以上、動けば発砲する!我々は、射殺の許可をも貰っている!スナイパーも配置され、見ての通りお前は袋の鼠だ!諦めて、投降しろ!』
隊長らしき男がそう言うと、回りの自衛隊員らは銃を創真に向ける。
「おやおや、大した配備じゃないか。だが、この程度はホリー君に頼るまでもない」
創真は懐からカードを取りだし、何かを唱える。
「『月下獣、半人半虎』」
その瞬間、創真の手と足が虎の物になり──────────
「…………………あれ?」
──────何も起きなかった。
「おい、ホリー君?」
「あれれ、おかしいぞー?」
ホリーは創真の手からカードを取って裏返したり、ペチペチと叩くが、何も起きない。
「もーいいや。もう一個のを使おっと」
創真はパチんと指を鳴らす。その瞬間、創真と自衛隊員らの間に金色の光の柱が立つ。それが収まると───────アクティオンゾウカブト型の形をした金色のカブト虫がいた。
「最終兵器。名付けて、マシンカブト3『Actaeon』」
創真がその名を呼ぶと、マシンカブト3は内蔵されている銃口から弾丸を高速で連射し、近くにいた自衛隊員らの銃を弾く。弾かれた銃は地面に転がる。
「あ、あれを撃て!」
裏返った声を聞いた隊員らは銃をマシンカブトに向けて撃つ。銃弾が命中する直前、マシンカブトは装甲を展開し、青く発光し始める。そして、周囲に青い衝撃波を飛ばしたかと思えば、当たろうとしていた弾丸を止めた。止められた弾丸は地面にパラパラと落ちる。
「これで終わりじゃない。『オールデリート』発動」
創真がそう言うと、今度は羽も展開し、全身は緑色に発光する。そして、機械音声が、創真や自衛隊員らの耳元に響いた。
「『オールデリート』」
刹那、緑色の衝撃波が辺りを襲った。その瞬間、異変は起きた。
「じ、銃が……………砂に…………」
銃が砂と化し、地面にサーッと落ちていく。それだけではなく、自衛隊員らの服も朽ちて剥がれていく。さらに、創真を照らしていたヘリコプターも動きを止め、砂と化していく。乗っている隊員はデュオが黒獣でキャッチして、簀巻きにする。
そして、10秒も立つ頃には、素っ裸で何も持っていない自衛隊員らと、服を着ている創真らの図が出来上がっていた。大きな風が吹いたかと思えば、その場にいた自衛隊員らは静かに倒れた。気絶させたホリーはふぅ、と手首をぽきぽき鳴らす。
「いや、スゲー。改めて見るとスゲー……………おい、創真!お前、すげえよ!」
「いやー、大したことないよホリー。でもね、これ弱点がございまして」
「どんな?」
「今の攻撃の有効範囲が100メートルしか無くてですね。あと、1回しか使えない。エネルギー切れを起こす」
「なーんだ、そんな事か。でも、問題ないでしょ。全員倒したんだし」
「………………さっき言ってた自衛隊員の人の言うことがほんとなら、多分スナイパーが僕を狙っている気がし」
「危ない!」
言い終わるよりも前に、デュオが前に出て、黒獣が吠える。その瞬間、赤い波紋に銃弾がぶつかった。
「ほら、言った傍から」
創真は何処からともなくスナイパーライフルを取り出し、スコープを覗く。
「いたいた、距離は1.3㎞位か……………」
創真のスコープには、高層ビルの屋上に屈んで狙撃銃を構えている男の姿があった。銃本体を狙うか、と創真が狙いを定めようとした瞬間だった。突然、後ろから狙撃銃を持つ男に襲いかかる男の姿が、スコープを通して創真に映された。
「お、何か変な男が襲い掛かったぞ!あ、しかもワンパンチでKOさせたよ!」
ホリーが興奮気味で話す。
「てか、創真。あの人って………………」
「あぁ。うちの父さんだ……………」
創真の父親はスコープを通して見ている創真にサムズアップをした。その直後、彼等の後ろに2台のスポーツカーが止まった。
「顔を合わせるのは1週間ぶりですね、創真様」
赤いライカンから氷室が出てきて云った。
「ほらよ、お届け物だ」
ランボルギーニから出てきた隼&碧海の父親が創真に箱を投げつける。創真が慌ててキャッチし、地面に置いて中身を見る。そこには、超体操着等の装備が一式揃っていた。
「ありがとうございます」
「礼は言葉じゃなくて、金で良い」
そう言って彼はニヤリと笑う。
「創真様。他の皆からの伝言です。隣町のこのビルで待ってる、と」
氷室はスマホの地図を見せる。それを見た創真は、コクりと首肯く。
「よし、じゃあ行くか。あぁ、それとお2人共、色々とありがとうございました」
「いえいえ、それほど大した仕事はしてませんよ。ね?」
「ね?って、………………俺的には色々と大変だったんだがな。おい、隼と碧海に伝えておけ。思う存分、暴れてこいと」
「ええ、伝えておきますよ。では!」
そう言って、創真らは飛び去って行った。
レーザー発射まで、あと180分。
THE NEXT story 5/28 PM 22:00
オール、って言っても全部は消してない笑