「異能力……………お前、まさか異能者か?」
「ルーク君、0点。廊下に突っ立とっとけ」
「ああ!?てめぇ、さっきから聞いてりゃ………」
ギャーギャー騒ぐノーネームを無視しつつ、創真は解説を続ける。
「この世界で嫌われているらしい異能者とは少し違うな。例えば、誰か先程の戦闘で気づいたことはないかい?」
気づいたこと……………皆は頭を回転させる。
「あ、そういや……………羅生門か?お前、初めて俺の前で使ったときは詠唱が長かったが、今回は羅生門、って言うだけで発動してたな」
「ほう。中々鋭いじゃないか、ルーク君。褒めて使わそう」
上から目線が大変うざい。ルークの心境に気づいていて、あえて無視でもしてるのか、創真はルークの睨みを無視して続ける。
「これが、異能力バージョン、本来の詠唱的なの。魔術として唱えるなら…………『死を畏れよ。殺しを畏れよ。死を望む者、等しく死に。望まるるが故に』」
すると、創真の外套から黒獣がゆらりと現れる。
「君達の使う魔術の特性を理解して、何となく作ったんだよね~」
そう言いながら、創真はチョークを持って何やら難しそうな式やら用語をを黒板に書く。
「この、文豪の世界…………… 魔術バージョンは、君達でもやろうと思えば再現できる。相当ムズいが。だが、本来の仕様…………異能と呼ばれる状態のは、僕しか使えない……………ま、図に書くとこんな感じ…………………分かる?」
「「「無理だわ!?」」」
「いや、俺でも無理だぞ……………何か見たことない用語まで書いてあるじゃねぇか!?」
ノーネーム=ルークの知識でも書いてある複雑な式は分からなかった。
「ま、良いや…………所で、そこの気絶してる人達を早く連れてったら?」
ここで、皆は漸くその存在に気づいた………。
昼休み、創真らは中庭にいた。
「やれやれ。文豪の世界の理解は難しいか」
「お前の説明が難しいんじゃねぇのか?」
「これが1番分かりやすい筈だ、キバット」
そう言いながら創真は文豪の世界のカードをハンカチで拭く。
「しかし………………今さらだけど、ショックだったよ」
「何がだホリー?」
「グレンが転勤してなかったからだよ!!あーもう、何でいるのさ!!ねぇ!?」
「いや、知らねぇよ。てか、本当に今さらだな…………そもそも何でグレン先生がそんなに嫌なんだ?」
デュオが理由を訊ねると……………………。
「だって、性格が不真面目じゃね?」
まぁ、それは完全に否定は出来ないが……………………
「あ、いたいた!創真君!」
誰だ、と後ろを振り向くと声を掛けたのはルミアだった。
「ん?どうかしたの?」
「まず、さっき助けてくれたお礼を言おうと思って」
「何だそんなことか…………別に良いんだよ。で、他にも何か聞きたいことがおありで?」
まず、って切り出した事からそう推測できる。
「うん…………………………あのさ……………
何で創真君は私が異能者って知ってるの?知ったような口振りだったし……………私、創真君には話してないからね」
「………………………………」
「そういえば……………お前、いつ気付いたんだ?」
ホリーも訊ねる。
「…………………別に、簡単なことさ。さっきの襲撃者達が、珍しい異能者を差し出せば何もしない、と言ったとき…………君の表情が曇ったのが見えたからさ」
「…………………凄い洞察力だね」
「超推理に頼らなくとも、この程度はね」
心理学を極めているに加え、暗殺教室でさらに磨かれた観察力に推理力。これらは色んな場面で役立つ。
「その通りだよ。私は異能者なんだ…………」
「さらに、深読みしようか?君は自分が珍しい異能者だから狙われる。そのせいで皆に迷惑が掛かると思っている…………………」
「ほんと…………創真君には驚かされてばっかりだよ…………私はここにいちゃダメなのかな……………」
「さーね。それは僕でも直ぐに答えは出せない。そもそも、君自身はどうしたいと?」
「………皆の命が危険にさらされるなら…………迷わず去る覚悟は出来ているつもりです」
(迷わず去る、ね…………………)
嘘だ、と創真は心の中で呟く。
恐らく、彼女自身は残りたいと思っている。今、それ言っても全力で否定すると思うがな。
「そう…………しかし、君は近いうちに知ることになるよ」
「??」
「ここがどれだけ良い場所か。いい人達の集まりか、とかね」
「????」
どういう意味だろう、とルミアは考える。ここが良い場所。いい人の集まり………………そんなのはずっと前から分かっているのだが。
「確かに君は僕の言ってることをもう感じている。まぁ、僕の勘では、これから起こる出来事でさらにそれを感じる、って事。その瞬間が来たと思う日を見つけろ。これは宿題だ」
「…………宿題?」
「そう。その時を見つけられた時に君は」
……………自分の本当の願いを心の底から云えるだろうね。
「さぁて、お腹もすいたし学食でも行こうか?」
「え、あ、うん。ねぇ、創真君。今なんて言おうとしたの?」
「さぁ?」
「勿体ぶらずに教えてよ~?」
「んー、それはダメだねぇ」
そんなやり取りを続けながら、彼等は足を進めていったのだった。
その頃、ノーネームとキョウヤ、グレンは秘密裏にアルベルトと言う帝国宮廷魔導師団特務分室所属の執行官と会っていた。
「何だよアルベルト。わざわざここに来るほどまでの事があったのか?」
「ああ。ここ最近、妙な事件が起こっていてな……………魔術師が各地で奇妙な死を遂げている」
「奇妙って……………?」
ノーネームが訊ねると、アルベルトは一瞬目を伏せたが………………
「魔術によって殺されている。しかも、全員自分の得意分野の魔術でな」
「「「……………………」」」
怪しさ満天だ。
「既に、死んでいった魔術師は1000人を超えている」
それはヤバイな。
「それで、他には何か手がかりはないのかの?」
キョウヤが訊くと、1つだけあるとアルベルトは云う。
「その死体が発見される少し前には必ず……………………霧が発生している」
「霧………………………」
「これで以上だ。特務分室は、調査に乗り出しているが何の手掛かりも掴めん……………それで、お前らにも意見を聞こうと思ってな」
「残念だが、さっぱりだ」
「同じく、儂も……………ルークはどうじゃ?」
「………………………」
「ルーク?」
「!!……………分からねぇな」
「…………………そうか。また何か分かったら連絡する」
そう言い残し、アルベルトは去っていった。
「大量の魔術師の変死…………物騒な世の中だぜ」
「まったくじゃ……………」
グレンとキョウヤが大きなため息をつく。
そして、彼等は気付かなかった。
ノーネームが不敵な笑みを浮かべていたことに。
(さぁて……………そろそろ動くか)
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次回からスーパーシリアス編です!