結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

193 / 201
お久しぶり!今回は7年前、レアと創真の出会いのお話し。そして、急展開も!?


さらに、後書きにミニコラボ第2弾を載せたので、興味のある方は見てってちょーだい。そんじゃ、スタート!


感想等も待ってるぜ


7年前、少年と少女は唐突に出会った

7年前、アメリカ

 

 

『どうしよう…………道に迷っちゃった………』

 

 

赤のスカートに白のコートを羽織っている青い瞳のお姫様………………レアはそう呟いた。

 

 

今から一週間ほど前。レアはアメリカのニューヨークにお忍びで観光に来ていた。社会勉強と言う名目で──────本人はやる気の欠片もないが。

 

 

最初はワクワクしていたが、次第にその高揚とした気持ちは消沈していった。

 

 

何故なら、何処に行くにも護衛がついてくるからだ。レアとしては鬱陶しくてしょうがない。

 

 

だから、滞在最終日に護衛を撒いて外へと飛び出した。スマホの電源は切った。何か自分の位置を伝えるような機械が埋め込まれていると予想したからだ。

 

 

そして、抜け出してほんの20分。地図を見ていながらも───────全て英語表記に加え、中々大雑把だったため───────────道に迷い、今に至る。

 

 

『(うーん、しょうがないわ。誰かに道を訊ねるしかないわね………………)』

 

 

……………と、心の中ではそう思うのだが、レアには中々それが出来なかった。理由は単純だ。やったことがないからだ(・・・・・・・・・・・)

 

 

今まで、お店での注文等は全て護衛に任せてきた。それ故、中々話し掛ける勇気が出ないのだ。それに、アメリカ人はレアにとっては少し怖かった(体格etc.)

 

 

近くの公園のベンチに座って、そんな事を考えていると………………

 

 

『ねぇ、君。お隣良いかい?』

 

 

突然英語で話し掛けられ、ハッと声の主の方を向くとそこには天気は晴天なのに何故か黒い傘を持ち、黒系のジーパンに、黒のロングコートに袖を通している、レアと同じくらいの年の男の子がいた。

 

 

『あ…………えっと…………ど、どうぞ?』

 

 

『ありがとねー』

 

 

たどたどしいレアの英語だったが、ちゃんと通じたようで、少年は隣に座る。

 

 

『ふいー………ついにゲットしたぞ………1日限定60個のアイスクリーム!』

 

 

独りそう呟き、アイスを堪能していく少年。

 

 

『(美味しそう…………私も食べてみたいなぁ……)』

 

 

レアが少年の横顔をさりげなく眺めながらそう考えていると、また新たな声が飛んできた。

 

 

『おーい、創真!フハハハハ!!俺も手にいれたぞぉ!!限定アイス!!』

 

 

30代位の男は大きな声で近づいてくる。

 

 

『…………父さん、声が大きいわ。見ろ。回りの人がこっちを見てヒソヒソ話している………それと、別に日本語でも良いんじゃないの?』

 

 

『おいおい創真。ここはアメリカなんだからよ。ここにいる間は会話は全部英語だろ?そっちの方が雰囲気が出る………………所で、お隣のお嬢さんは誰だ?お前の彼女?』

 

 

『『!?』』

 

 

少年を改め創真、そして今のやり取りを何となく理解していたレアは一瞬思考がフリーズした。

 

 

そして、思考のエンジンが先に再スタートしたのは創真だった。

 

 

『…………何を言うかと思ったら………まったく、呆れさせてくれる。まったく、お隣さんも困って固まってるよ?君、ごめんねー。このアホなおっさんが馬鹿な事言って~』

 

 

『おい………親をアホだの、馬鹿だの、ゴリラだの言うんじゃない…………』

 

 

『ゴリラは言ってないな』

 

 

そのやり取りを聞いていたレアは思わず吹き出し、笑ってしまった。

 

 

声を出して笑っているレアを、創真とその父親はポカーンと見つめていた。

 

 

『アハハ……………こんなに笑ったのは久しぶりね。まるでコメディを見てるみたいだわ…………あなた、ソウマ君だっけ?』

 

 

『そうだよー。僕の名は結城 創真。君の名は?』

 

 

『私はレアよ!ねぇ、ソウマはここら辺に詳しい?』

 

 

『まー僕も観光しに来たからね。そこそこ詳しいよ』

 

 

『なら、案内してくれない?私はここに来るのが初めてなの』

 

 

『別に良いけど…………スマホとか使わないの?』

 

 

『えーっと…………す、スマホの電池が切れちゃって。昨日充電し忘れちゃったのよ………ドジ踏んじゃった』

 

 

まさか、発信器が仕掛けられてるかも知れないから……などと言えるわけもなく、レアは咄嗟にそう言った。

 

 

『なるほど。まー僕は別に良いけど、父さんは?』

 

 

『勿論構わんぞ。お前らのデートが上手くいくよう、協力するぜ!』

 

 

『デートちゃうんだけど…………』

 

 

『ふふーん……………さ、行こうぜ!レアちゃんは何処に行きたいんだ?』

 

 

『えっと…………』

 

 

レアは創真の父親にメモを見せる。

 

 

『ほほーう……自由の女神に………お、ここのハンバーグ屋は美味しいんだよなー。いいチョイスしてるなー………創真、移動は俺の車でするか?』

 

 

『そーね………電車はこの時間帯は混んでるだろうし、それで良い?』

 

 

『良いぞー。じゃ、二人ともこっちだぜ─』

 

 

創真の父親に促され、レアと創真は移動を開始したその時だった。レアの視界に、黒服の男が映った。

 

 

自分達の護衛だった。

 

 

《あ!いたぞ!》

 

 

護衛の一人がそう叫ぶと、他の護衛もレアの方を殺到していく。

 

 

『お?何だ何だー?』

 

 

『誰か来るねぇ………』

 

 

不思議そうな親子達。

 

 

(もー!折角良いところ何だから!こうなったら…………)

 

 

レアはそう考え、2人に向けてとんでもないことを云う。

 

 

『あ、あの人達は私の命を狙ってくる人達なの!は、早く逃げないと!』

 

 

『『………………』』

 

 

創真親子は暫く固まっていた。しかし、次の瞬間………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『逃げよッ!』

 

 

『走るぞォ!』

 

 

次の瞬間、創真とその父は回れ右でダッシュを開始。

 

 

『ちょっと失礼!』

 

 

『キャッ!?』

 

 

レアは創真にお姫様抱っこされた。レア自身の重さも加わっているにも関わらず、創真の走る速度は異常なレベルだった。

 

 

「創真。80メートル先を左に曲がって、まっすぐ走れ。俺は車ですぐ合流する」

 

 

「りょーかい!」

 

 

『???』

 

 

はてなマークを浮かべるレアを他所に、2人は左右に別れる。創真の父親は駐車場に向けて走り出す。代わって、創真は突然後ろを振り向くと、傘を追ってくる護衛達に向けた。

 

 

パアンッ、と言う音と共に、小型の丸弾が傘の先端から発射された。

 

 

発射された弾は空中で爆発し、黄色い粉を振り撒いた。

 

 

《ギャア!!》

 

 

《目が!!目がァァ!!》

 

 

どういうわけか、護衛達は地面に膝をついて悲鳴をあげる。

 

 

『マスタード粉末の味をゆっくり味わってろ、おっさん!』

 

 

英語でそう叫ぶと、創真は再び走り出す。

 

 

『凄いわ!今の傘、どういう仕組み?』

 

 

『後でね………って、もう来てんじゃね?』

 

 

言われてみれば、護衛らしき人物が複数人、後ろから迫ってくる。恐らく、先程のとは別の者だろう。

 

 

『あー…………流石にこれは無理ね』

 

 

『ん?確かに、このままじゃ追い付かれるねぇ。ま、どうせお迎えがそろそろ来るから問題ないけど』

 

 

創真は不敵な笑みを浮かべ、チラリと後ろを見る。

 

 

レアも釣られて見ると、走り来る護衛たちを一瞬で追い抜かし、黒い車が迫ってくる。

 

 

『おーい、創真!あと6秒後に横に跳べ!』

 

 

『へいへい』

 

 

父親の指示に、言われなくても、と言いたげな表情で応える創真。

 

 

そして、レアを抱えたまま、急ブレーキを掛けて止まる。

 

 

『ねぇ、ソウマ君』

 

 

『うん?』

 

 

『私、これからあなたが何をするのか分からないんだけど……………スゴく嫌な予感がする…………』

 

 

『…………なんも知らん方が良いぞ』

 

 

車がどんどん迫ってくる。創真はガードレールの上に立った。

 

 

そして………………車が創真の横を通りすぎようとするその瞬間、創真はレアを抱えたまま、横に跳んだ。

そのまま、開けてあった助手席の窓から車内へダイブした。

 

 

少しでもタイミングが間違えば重傷間違えなしだったのだが……………見事に成功させた。

 

 

『よっしゃあ!飛ばすぜ!』

 

 

創真の父親はアクセルを踏み込む。エンジンを大きく唸らせ、走り去る。護衛を巻いたと言うことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………これが、初めてソウマと出会ったときの話ね』

 

 

一段落つき、喋り疲れたのかレアはクリームソーダをストローで吸う。

 

 

すると、倉橋が口を開く。

 

 

『ふーん…………で、その後色んな所を2人で回ったのね?』

 

 

『ええ、そうですよ?色々教えてもらって大変有意義だったわ。今着けてるネックレスも、創真が選んでくれたお土産の1つよ。確か、日本円で30000円位だったかしら?』

 

 

『へぇー………………』

 

 

倉橋は創真の方を面白くなさそうに見つめる。

見つめられた創真は、少し弱った様子。

 

 

「すいませーん…………ブラック珈琲を1つお願いします…………」

 

 

何故か、ブラック珈琲を注文する。

 

 

『でもさぁ、護衛からすれば創真らが王女様を拉致したって思われるんじゃね?』

 

 

皆の疑問をカルマが代表して云った。

 

 

『でも、創真は今ここにいるじゃん?てことは、何ともなかったの?』

 

 

『あぁ、あの時は私が口添えしておいたのよ。あ、そうだ!私が王女と知ったときのソウマの反応、凄く面白かったのよ!それも話すわね……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び7年前。

 

 

 

『あー楽しかった!』

 

 

車の中でレアは満足感に浸っていた。自分の行きたいところを、自由に見聞出来たからだ。

 

 

『本当にありがとう。お陰で良い思い出を作れたわ!』

 

 

『そりゃ、なりよりだぜ。俺もお前らのデート見て青春を思い出したぜ…………』

 

 

『だから、デートちゃう………』

 

 

創真は座席に寄りかかりながら、否定する。

 

 

『いやー、デートだろ?だって、お前ら手を繋いでたろ?』

 

 

『アレははぐれないように、だから…………後は、レアちゃんを狙ってくる奴等から護る役目もあったからね』

 

 

その言葉に、レアは少し顔を赤らめる。

 

 

『創真くーん、正直デートでしょ?護る、とかそれ彼氏の役目…………』

 

 

『彼氏?そんな生ぬるいもんじゃないよ。genius(天才)の名に懸けて、って事さ』

 

 

どや顔の創真。創真の父親は、出たよ金田一 一(きんだいちはじめ)のパクリ決め台詞……と呟いた。

 

 

『父さん、目的地のレアちゃんが泊まるホテルまであとどれくらい?』

 

 

『一時間か?少々道が混んでるからな』

 

 

『………じゃ、寝るわ』

 

 

疲れか、それとも父のいじりから逃れるためか、アイマスクを付けて眠りだした。

 

 

genius(天才)の名に懸けて、ね。誰かの名言かしら?』

 

 

『誰かさんの決め台詞を弄っただけだ。中二病みたいなもんさ。暫くしたらどうでも良くなって言わなくなるだろうよ……………所でレアちゃん。geniusのもう1つの意味って知ってるか?』

 

 

レアは少し考えてから、分からないわ、と答えた。

 

 

『守護者、って意味があるんだよ。geniusの名に懸けて、ってのもプロポーズ…………あなたを一生守りますー、って創真は言いたかったんかもなー』

 

 

お分かりだろうか。この創真(父)のおふざけが後、7年後の今に繋がる。

 

 

『(一生守ってくれる……………それって、結婚してくれって事!?)』

 

 

創真の父親の言葉を真に受けたレアは至上最高に顔を赤く染める。

 

 

『(会ってまだ間もないのに……………でも……………この人になら守られたいかなぁ……………)』

 

 

まだ子供な故、少々楽観的だ。

 

 

…………と言うか、会って1日目なのに何故にここまで発展したのか。解せぬby作者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ん………着いた?」

 

 

『お、タイミング良いな、創真。ちょうどご到着だ』

 

 

アイマスクを外し、大きなあくびをする創真。ふと、隣を見ると

 

 

「ふぁ!?」

 

 

レアが創真の方に体を預けながら寝ていた。

 

 

「…………………………」

 

 

─────────寝顔可愛い。

 

 

率直にそう感じた。しかし、これ以上寝顔を眺めていると、父親に何言われるか分からないので、起こすことにした。

 

 

『おーい、起きろー』

 

 

レアの頬をプニプニ押しながら創真は云う。

 

 

『ん…………………んー、よく寝た~』

 

 

『そーかい。じゃ、行こうか』

 

 

『うん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

 

ホテルに入ったその瞬間、フロント周辺にいた黒服の男達が一斉に創真らに向けて飛び掛かろうとした。

 

 

しかし、凛とした声が辺りに響いた。

 

 

『やめなさい!』

 

 

レアのピリッとした一声に、黒服の男達は動きを止めた。

 

 

『何故止めるのですか!?彼等はあなた様を………』

 

 

『ノルゴ王国、王女として命じているのです。命令が聞けないなら、私への反逆と見なします!』

 

 

『『『………………………』』』

 

 

黒服の男達は押し黙ってしまった。

 

 

レアはふぅ、と一息ついて後ろを振り返った。

 

 

無論、2人とも驚いていた。

 

 

『いやー……………まさか王女だったとはな………』

 

 

『………………』

 

 

辛うじて、創真の父親はそれだけ云った。創真の方は完全に思考が麻痺していた。

 

 

『黙っていてごめんなさい。驚かすつもりはなかったの』

 

 

『あーいや、そりゃ構わないぜ。言いづらいだろうし………』

 

 

『……………………』

 

 

創真は未だ無言。

 

 

そんなフリーズ状態の創真にレアは近づく。

 

 

『ソウマ、今日はありがとう。守ってくれて、案内してくれて』

 

 

『え、いや、別に、そりゃ、えー?あ、えっと、その、べ、別に、た、大した事は』

 

 

テンパる創真。中々レアな光景だ。

 

 

『ソウマ。ぷ、プロポーズの件だけど………喜んで承諾するわ』

 

 

『…………………ん?』

 

 

『そ、それじゃあ、また今度会いましょうね!』

 

 

顔を赤らめたレアは小走りで去ってしまった。

 

 

『プロポーズ……………?どゆこと?父さん、何か知ってる?』

 

 

『シリマセン』

 

 

そっぽを向きながら、創真の父は云った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こんな感じね……………まぁ、このあと学校とか色々忙しくてね。7年間、ほとんど国外の何処にも行けなくてほーんとに退屈だったのよねー。ディベートを日本でやることが決まった時は、本当に嬉しかったわ。日本に来たらソウマを探そうと思ってたの。でも、探すまでもなく、ソウマの方から来てくれたけどね』

 

 

 

レアは創真の方を見て、ウインクする。

 

 

『まぁ、久しぶりに会えたのは嬉しいかな~(くそ親父め…………僕が時期早めの厨二病の時の決め台詞を変な意味でレアちゃんに解釈させやがって………)』

 

 

創真は7年前、レアとどんな会話をしたか大方覚えていた。婚約者と言うワードが出てきた時点で当時を振り返ってみると、厨二病創真が口癖だった、『天才の名に懸けて!』…………レアがgeniusを天才の意味でなく、守護者の意味で解釈したから、少々大袈裟なプロポーズを自分がしたとレアに思い込ませたのか?

 

 

そう予想していた。先程までは。

 

 

しかし、実際はgenius=守護者と言うもう1つの意味をレアは知らなかった。即ち、守護者と言う意味を教え(それ自体は構わないが)、さらにそれをプロポーズだとふざけた事を言い、変な勘違いをさせた元凶の存在=自分の父親という事をここで知った。

 

 

「そ、創真君……………何か大丈夫?」

 

 

何かを殺気に近いものでも感知したのか、渚が小声で創真に話し掛けた。

 

 

「フフフフフフ……………あの親父、ミンチにしてやろうか………………」

 

 

大分お怒りの様子。

 

 

そんなこんなで、一部を除き色々と盛り上がっている。

 

 

「創真。今、僕に用事が出来た」

 

 

 

突然、ホリーが何時になく、真剣な表情で話し掛けてきた。

 

 

「……………どうした?」

 

 

何か緊急事態が発生したのか……………そんな事を考えている創真に、ホリーは云った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トイレ行きたい」

 

 

「はよ行け!!」

 

 

ホリーは即座に立ちあがり、トイレへと走り出す。

 

 

「はぁ………一々言う必要無いだろうが…………」

 

 

ため息をつく創真。そこへ新たな来店者が訪れた。黒服に身を包み、サングラスを掛けた男2人は真っ直ぐにレアのいる席に来た。

 

 

『王女様、大使館から参りました護衛の者です。王女が突然いなくなり、国王陛下も大使も心配しておられます。さぁ、ホテルに戻りましょう』

 

 

神の目(ゴッドアイ)が居場所を突き止めたようだ。

 

 

『えー?まだ良いじゃない、場所が分かったんだから』

 

 

『いけません。国王直々に連れ戻すように厳命されていますので』

 

 

護衛が引く様子がないのを分かると、仕方なくレアは立ち上がった。

 

 

『皆と色々話せて楽しかったわ。また、ディベートでも話せると良いな。あ、ソウマ。また今度ホテルに招待するわ。そこで、色々イイコトしましょうね♪』

 

 

その言葉を受けた創真は少々顔を赤らめ、倉橋はそんな様子の創真を睨み、岡島は鼻血を出した。

 

 

レアが浅野と共に出ていくのを見計らって、倉橋は笑顔で創真に話しかける。

 

 

「ねー、創真君。今度ゆっくり色々話そっか?」

 

 

「お説教なら父にお願いしたいね」

 

 

創真はそう返すと、珈琲を飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

 

一方、喫茶店の側に停めてある車に着いた途端、護衛は浅野の方を見て

 

 

『お前は来るな』

 

 

そう言った。

 

 

『彼は私の付き人よ。失礼な事を言わないで』

 

 

レアが護衛に喰って掛かる。すると、護衛はレアを強引に車の中に放り込み、浅野を突き飛ばし、車を発進させた。

 

 

『助けて!』

 

 

無論、浅野は発進する車を追い掛け始める。

 

 

そして、その様子を見ていたE組の面々も喫茶店の外に出た。

 

 

「絶対何かおかしい!」

 

 

「追い掛けよう!」

 

 

直ぐに皆は追跡をすることを決めた。

 

 

「やれやれ……………勉強会はお預けだね」

 

 

創真はため息をつくと、白いロングコートを剥ぎ取った。

 

 

その瞬間、一気に服装が変わる。

 

 

黒のピッタリとした長袖の上に、黒のパーカーと言った服装へチェンジした。

 

 

「あれ?創真君、それ東京喰種(グール)の主人公のと一緒じゃん!しかも、オリジナル展開のあったアニメ第二期、√Aの!」

 

 

「あーうん…………(最近、最終章やってるんだよなぁ…………あっち(・・・)側で)………って、んなことは良いんだよ!」

 

 

不破にそう突っ込み、創真はデュオの方を向く。

 

 

「デュオ、憑依を使う」

 

 

「分かった。やるのは久しぶりだな!」

 

 

デュオは、創真の中に入り込む。創真は大きく跳び、喫茶店の隣の小さなビルの屋上に着地する。

 

 

「ほらほら、フリーランニングで追い掛けるよ」

 

 

創真に言われ、皆もビルを登り始める。

 

 

渚は少し迷っていたが、

 

 

「うちらの力、守るために使うって先生と約束したじゃん!今使わないでいつ使うの!?」

 

 

心の内を察した中村にそう諭され、渚もビルを登り始める。

渚が登り終わった時、創真はスマホを暫く操作していたが、直ぐに顔を上げた。

 

 

「……………南に向かってるね。流ッ石『神の目』………………じゃ、行こうか!」

 

 

創真の号令で、E組の面々は南へ向かってビルからビルへと跳び移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ………………皆何処行った?」

 

 

忘れ去られた存在(ホリー)は独りぽつんと呟く。

 

 

そこへ、店主のおばちゃんがやって来る。

 

 

「あー君、さっき創真って人がお代を払っといてって」

 

 

渡された領収書を無言で受けとるホリー。

 

 

そして次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で僕が払うのォォォ────────!?」

 

 

to be continue………




ミニコラボ


創真「漸く来た!!第2弾!!ミニコラボ!!しゃ────────!!」


キョウヤ「ず、随分とテンションが高いのう…………」


創真「企画的には結構前に立ってたけど、漸く実行に移せたんで、嬉しくってつい……………てなわけで、自己紹介よろしく」


キョウヤ「うむ。儂の名はキョウヤ。11歳じゃ。刀の鍛冶をやっておる」


創真「以前、彼が本来いる世界で対決したんだが………強かったんだよね~」


キョウヤ「お主もな…………アレが発動する所だったわい」


創真「今ならアレになっても10秒で倒せるかな~」


キョウヤ「さ、左様ですか…………」


創真「そんなことはさておき、ロクアカの追想日誌の最新刊が発売されましたね」


キョウヤ「うむ!……………うん?いや、その話題を儂が話して良いのか?」


創真「安心しろ。後で記憶消去を行うからな。お前はこのコラボ自体を忘れるので大丈夫」


キョウヤ「そ、そうか………」


創真「今回はグレンの軍属時代のお話です。中々面白かったぜー。是非書店で手に取って見ると良いよ~」


キョウヤ「グレンの軍属時代…………それは中々興味深いのう」


創真「うんうん………………ん?」


キョウヤ「どうかしたのか?」


創真「いやね、ルーク君の場合だと『出版社から案件でも来たのか?』とか何回も言ってきたんだけど、キョウヤ君はそう言うツッコミがなかったから、何か違和感を感じただけ」


キョウヤ「ふむ。儂も言った方が良いか?」


創真「んー……………1回だけ頼む」


キョウヤ「では…………出版社から案件が来たのか?」


創真「来ませんッ!特に有名でもない作者にハーメルン内で宣伝しとけと言う案件なんて来るわけないです!………あースッキリした」


キョウヤ「そ、そうか………」


創真「所でキョウヤ君。君は刀の達人でもあるよね?」


キョウヤ「そうじゃが?」


創真「試しにここで一振りしてもらいたいんだよね~。読者の皆様にその凄さが伝わるように」


キョウヤ「そんな事か。別に構わんぞ?」


創真「じゃ、この刀使って…………で、あと少し周りの物を退かしとかないと…………切れちゃやだし…………………よし、オッケー!」


キョウヤ「では……………参るッ!!」


ブゥン!!


風を切る音がした。そして、キョウヤの気迫も凄まじい。


創真「おー流石だね」


キョウヤ「まだまだじゃよ。さて、これはお主に返そう」


創真「どうもー。てなわけで、今日はこの辺で終わりに」


パリン


創真「……………何すか?今の音?」


キョウヤ「何かが割れたような……………」


創真「………………って、皿が割れてるし!まさか、さっきの一振りで!?」


キョウヤ「そ、そんな馬鹿な。あそこにある皿まではかなりの距離があるから、刀の刃が届かぬ筈……………否、まさかあの時斬撃を飛ばしてしまったから………」


創真「ありゃー………これ、僕の所有物じゃないんだよね。僕の元お目付け役のなんだよなー………」


キョウヤ「す、すまぬ!!弁償は必ず………」


創真「弁償?この皿、こっちの世界で約1億だから………そっちの世界のお金で言うなら…………こんくらい?」


電卓をキョウヤに見せるた瞬間、キョウヤの顔が絶望に染まる。


キョウヤ「こ、こんな額……………儂が払える訳……」


と、そこへ


氷室「ただいま戻りました…………おや、創真様。それに君は…………」


創真「あ、氷室さん」


キョウヤ「氷室!?」


キョウヤは氷室の前で正座をする。


キョウヤ「儂の名はキョウヤ。わざとではないのだが、あなたの所有物を壊してしまった…………そして、とても弁償出来そうにない。なので…………」


氷室「なので?」







キョウヤ「腹を切って、命を以て償いを致す!!」


創真&氷室「「……………え?」」


キョウヤ「さらば!!」


キョウヤはいつの間にか小刀を構えており、腹に突き刺そうと……………


創真「待て待て待て待て待て!!やめろ、やめろ!!切腹すな!!」


キョウヤ「離せ創真殿!!儂にはもうこれしかないのじゃ!!」


創真「ほんと待って!!マジで話を聞いて!!ちょ、氷室さんも押さえて!!」


氷室「分かりました……………だから、やめとけば良いと申したのに……………」







創真「あー疲れた疲れた。拘束するのに5分も掛かるとは…………」


キョウヤ「何故じゃ!もう儂に道は1つしかないと言うのに…………」


氷室「創真様、そろそろネタばらしとすれば?」


キョウヤ「ネタばらし…………?」


創真「あー、そうねー…………」


創真は近くに立て掛けてあった札をキョウヤに見せる。


創真「テッテテ~!ドッキリでした 笑」


キョウヤ「へ……………………?」


創真「嘘。この皿、バザーで買った10円のだから。君の世界のお金で言うなら、0だから。これ、元々割れるような仕掛けになってたんだよ」


キョウヤ「と、と言うことは儂はあの額を払わなくて良いと……………?」


創真「そゆこと♪」


キョウヤ「あ────────もう!ほんと良かったぁー!!もう死ぬしかないかと…………グズッ………」


創真「キャラが多少崩壊してるぞ…………にしても、キョウヤ君。君にはルミアちゃんがいるんだし、切腹なんてダメだよ?」


氷室「いや、何か偉そうな事言ってますが、キョウヤ君が切腹仕掛けたのは、全部あなたのドッキリのせいでしょうが…………」


創真「う……………まさか腹を切ろうとするとは思わなかった。精々泣きながら土下座して許しを乞う姿が見れるかなー、なんて思ってたんだが………逆にこっちが驚かされたわ」


氷室「これに懲りたら、もうそう言うのをキョウヤ君にやってはダメですよ?」


創真「そうですね。これからはルーク君にやるとしよう」


氷室「(いや、全然懲りてませんね…………)」


創真「てなわけで、中々グダクダな回になりましたが、これにて第2回ミニコラボは終了です。で、キョウヤ君。最後にこれ見てる読者に何か言っておきたいことある?」


キョウヤ「そうじゃな……………儂が出ておる『忍を知らぬ、名も無き暗殺者』は好評連載中じゃ!是非、そっちの方も見てみてくれ!」


氷室「最後、宣伝で終わらすんですか!?」

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